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Toybox Online meta-β  作者: しんがりコーン
13/57

Oracle:01

「ようやく街に入れたな」

機械兵の話が正しければ、街に入った時点で『謎の声』から次の命令が下されるらしいのだが・・・

「・・・・・・・・・は?」

「?おい、大丈夫かい」

しばし呆然とした様子の機械兵だったが、やがてこちらに顔を向けた。それは困惑に満ちていた

「めいれいのいみがわかりません・・・おかしいですこんなの」

「何て言われたんだ?一言一句違わず教えてくれ」

その時だった。


『1号がアイテムストレージから取り出されました』

『2号がアイテムストレージから取り出されました』

『V3がアイテムストレージから取り出されました』


僕のアイテムストレージから『三つのアイテム』が突然消失した。

まわりを見渡しても奴らの姿はどこにも無かった。

「『データとして』消えたってことか・・・?なあ、あいつら三体がどっか行ったっぽいんだが」

「でしたら、わたしとはちがうめいれいがだされたのでしょう」

どうやら4号は他三体に下された命令については把握してないようだ。

でもそれっておかしくないか?元は同じ一つの体だったのに。

「それより、はぜるさん。まちは『せーふえりあ』だときいているのですが」

「ああ。この街で戦闘行為は基本行えない。したら衛兵に捕まる。

『決闘』だけなら出来るがね」

「・・・ああ、『けっとう』すればいいんですね!


『はじまりのまちにきたるわざわいにそなえよ。ただしまちをほろぼすもまもるも、ひとのわざ』


なんていわれたから『せーふえりあ』でどうたたかえというのだと・・・」


その場に居た全員が静止した。

これは。もしや。ついに・・・『物語』が、動くのか。

視線をまわりに彷徨わせて、ふと、カテリーナちゃんと目が合う。

彼女も覚悟を決めたように、一つ頷いてみせた。


「始まるんですね、『都市防衛戦』が・・・!」





「しかし、スライムの薄皮とダークラビットの耳軟骨なんかで本当にロボが作れるもんかね?」

「お前、ここまで集めておいて今更それ言うのかよ」

「いやさっきまでテンション高めで気づかんかったが、だんだん冷静になってきてよ」

「ハゼルさんがそう言ってたっつったじゃんお前」

「いや本人はそう言ってなかったが」


ここは街から少し離れた、はじまりの草原。

根拠の無い噂はあっという間に広まり、噂に煽られたロボ好きプレイヤー数十名が、

血眼になって哀れなダークラビットとスライムを虐殺していた。

レアドロップアイテムにしか興味が無いとはいえ、通常ドロップアイテムである兎肉や謎の粘液

が血溜まりに打ち棄てられている光景はなんとも異様であった。


熱狂したプレイヤー達は気づかなかった。その血溜まりからどす黒い瘴気が立ちのぼっていることに。


「なあ、なんか急に暗くなってきてないか?」

「まだ夜になるような時間じゃないのに・・・」

「空見てみろよ。でっかい雲に覆われてる」

そのうちぽつ、ぽつと雨粒が落ちてきて、やがて本降りの雨となった。

顔にかかる雨をうっとおしそうに袖で拭う、と


袖が真っ黒になっていた。


「なんだよ、これ・・・黒い雨?」

「おい、魔物の様子がおかしいぞ」


スライムにも雨は等しく降り注ぎ、墨を水に溶かしたようにじわりと黒く染まっていき・・・

ダークラビットの漆黒の肢体はさらに暗く、全ての光を吸収するような闇を内包した。そして


『これよりフィールドボス戦を開始します。現時点を持って、はじまりの街パンドラの

セーフエリア指定が解除されました。ボス討伐が完了するまでこの設定は変更されません。』


無慈悲極まりないアナウンスが全てのプレイヤーの耳に届く。









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