挿入歌
おもちゃの チャチャチャ
おもちゃの チャチャチャ
チャチャチャ
おもちゃの チャチャチャ
そらにきらきら おほしさま
みんなスヤスヤ ねむるころ
おもちゃは はこを とびだして
おどる おもちゃの チャチャチャ
*
銃弾と怒号、肉片、鉄片が飛び交う。
それらを白々と太陽が照らしつけ、やがて砂塵に塗れて、意味をなくしていった。
地表からの熱が二人の姿をゆらめかせる。
一人がもう一人を背負い、一心に自陣を目指して歩いていた。
「・・・なあ、僕は捨て置いてくれ。もうきっと使い物にならないよ。足の感覚が無いんだ」
「私は衛生兵としての任務を遂行しているだけです。私の独断で貴方を見捨てる事はできません。」
このような押し問答は先ほどから繰り替えされ、その後は負傷兵の謝罪の声のみがあたりに虚しく響いた。
「すまない。君を巻き込んで、本当にすま」
破裂音と共に、一筋の熱線が彼らを貫いた。たまらず、ふたり折り重なるように地面に倒れ伏す。
暫しのあと、衛生兵は負傷兵の下から這い出す。
背負われていた兵は、もう手の施しようがなかった。
衛生兵は立ち上がろうとして、ふと
自分の胸に熱い液体がじわりと広がっていることに気がついた。
負傷兵のものを浴びてしまったと思い、拭う動作をしかけたが、
よく見れば自分の胸に穴が開いていた。
立ち上がるのを取り止め、地面にごろりと体を投げ出す。
目は閉じず、ただ遠くを見つめた。
ここで終わっても、全てが終わるわけではないと知っていた。