砂漠にて彷徨うは
ホプエル...
この名前をつけてくれた君はもういない
君と歩みを共にしていた仲間ももう僕だけ
君とまたこの世界で談話できるなら、もしできるなら僕は
『何を考えている?』
耳にではなく、脳に直接意思を伝えてくる声なき声が反響する
「いや、なんでもないよ。ロキ。」
僕はそう声に出す
念話...思考や思いを声で耳に届け伝えるのではなく、脳に直接伝える技法である
ロキはそうやって僕と話す
「それはそうとさロキ、うっすらだけど見えてきたよ」
行く遥か先を指差す
朧気にだが壁のようななにかが見える
その空には曇天
『この砂漠の世界で曇天とはな』
「避暑地にはなりそうだね。まるでオアシスだよ」
見渡す限りの砂漠、今にもかれた植物が燃えだしそうな炎天下、これは本当に体に堪えるよ
『とある辺境の地に小さな集落があったんだと。
いつもなんときも空腹や渇きにうなされ、それを打開するための技術も環境もなかったそうだ』
...急にどうしたんだろ?
「ロキ、暑さのせいで頭でもお釈迦になってしまったの?」
『お釈迦っておい、この俺に使うとはな
いやなんだ、語り部になって旅するのも良いなって思ってな』
そんな唐突にこの方は
まぁ、思い立ったら即行動のロキらしいな
「じゃあ聞かせてよ、君の語る物語を
次の町につくまで堪能させてもらうよ」