母親
そりゃー父出したら母出さないと。
「昔々あるところに・・・・」
部屋に女の人の声が響き渡る。カーテンは窓から入ってくる風に揺られている。時には鳥の鳴き声や、人の雄たけびが聞こえてくる。(前者はいいとしても後者は何をやってんの?)
今俺はメイドさんに本の読み聞かせをしてもらっている。ハイハイが出来るようになったので本の前に行きその前で声を出す。そんな事をやっていると、メイドさんが意図を察してくれたのか、
「本が気になるのですか?私が読み聞かせてあげます。」
と言ってくれた。それからたまに本を読み聞かせてくれるようになった。寝る、食べる、魔力上げしかやる事が無かったので、本を読み聞かせてくれるのは本当にありがたかった。読み聞かせてくれている間に、文字を覚えようと必死になって本を見ているのだが、まだ完璧には覚えられてはいない。さっさと覚えて自分で本が読めるようになりたいものだ。
「・・・・・幸せに暮らしました。おしまい。」
そんなことを考えていると、読み聞かせが終わってしまった。感謝を表そうといつものように声を出すことにした。
「あーと」
え!今までどんなに声を出そうとしてもうなり声しか出せなかったのに遂に、声を出すことができるようになった。その驚きはメイドさんも同じようで、いつかの時のように部屋を出て行ってしまった。
しばらくすると、母親を連れてきた。
「ほんとなの?喋ったなんて」
母親が驚いたような声でメイドさんに話しかけている。
「はい、ラン様。確かに喋りました。」
「グラン、あなたのママですよ~」
あ、こんな感じのノリでいいんだ。もっと難しいお母さんですよ~だったら今の俺じゃ喋れないからな。
ではさっきの通り頑張って発音してみよう。
「マ 、マ 。」
お!これはなかなか成功した方じゃないか?だろ?期待してママの方に顔を向けると
「何この子、ひょっとしてこの年で、喋れるようになったの?ハイハイの時から思ってたけどうちの子って天才?もう本当にかわいいーそうだ、今度この子に似合いそうな服を・・・」
あ、なんか入れない方が良いスイッチ押しちゃったみたい。まさか自分の母親が親馬鹿でこんな残念だとは思ってなかった。俺の中にあった今までのイメージではもうちょいしっかりしたイメージだったんだが・・・。
「は!いい、貴方は何も見てない。」
おお、この人自分が残念な人だと築いてまさか口止めに走るなんて。なんて腹黒なんだ。
「はい、私はラン様のちょっと残念な一面など見ていません」
「私は残念じゃありません。」
あれ?このメイドさんと母親ってもしかして仲いい?流石に普通のメイドだったらあんな不敬なこと言ったら即首だよな?メイドさん、魔法もできて家事全般できて貴族とも知り合いとか優秀すぎじゃね?
あとお母さん、それ余計に残念に見えます。
「あ、そうだ。ついさっきレンから手紙が届いたんだけど、この家に新しく女の子が来ることになったからお願いね」
あれ?部屋をさる間際にとんでもないこと言ってきたよ。まあいいか、これで遊び相手ができたし。できれば同年代か妹が良いな~~
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