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親父

初めての別視点。会話があるって最高。

グランが生まれて丁度二歳になる。生まれてきたときもほとんど泣かず、逆に不安になるほどグランは手がかからなかった。特に生まれて一年半ぐらいの間は何をしてもほとんど反応せず、まるで人形のようだった。だが、最近は反応がありお世話をする楽しみが増えたなどと言う報告もあるらしい。


俺は今ちょっとした依頼で一年くらい家に帰っていないが、この依頼が終わればやっと家に帰ることができる。大体いくら難易度が高い依頼だからと言って、こんなにいろいろな場所を転々とさせるのはどうかと俺は思う。おかげで依頼をこなす時間より依頼場所に移動する時間の方が長いくらいだ。今もこうして時々送ってもらっている手紙が無ければ、暇を持て余していた所だ。はあ、さっさと家に帰りたいものだ。


二つの馬車がガタガタ音を立てながら進んでいく。ちなみに、今俺がいる馬車は俺のパーティーメンバーのユウが操作してる。後ろの馬車は行き先が途中まで一緒だったので、護衛をついでにしている。時折鳥や虫の鳴き声なんかも聞こえてきてとても穏やかだ。だが、ここは日本とは違う、平和なんて次の瞬間には地獄に変わることだってありえる。そう、今この瞬間だって。



「前方に魔物の大群を発見。レン、さっさと討伐しますよ。」


まじかーせっかく馬車で休んでたのに。まあしょうがない、いっちょやりますか。


「ユウ少し離れとけよ。」


そう言うと常に腰に刺していた剣を構え魔物の大群に飛び込んだ。そこからは一方的だった。

剣を横に薙ぎ払うだけで回りにいた魔物は半分に切れ、魔物を蹴れば五十メートル程吹っ飛ぶ。

人類の天敵、魔物に対してこんな一方的な虐殺ができるのは、冒険者の中でも数えるだけしかいないA級冒険者以上の実力を持つ者だけだ。そして、大量にいた魔物を全て倒すのには十分もかからなかった。

レンの周りには、沢山の魔物の遺体が残っており、そこら辺の人なら余りのグロさに吐いていただろう。

レン自身も魔物の返り血でthe 殺人者のイメージを体現していた。


「やっと終わった。大体こんなに魔物が固まっていたのなんて久しぶりに見た。どこかの街とか村とかに被害が出てないといいけど。」


そんなことを呟いていると、さっきまで一緒にモンスターを討伐していたユウがやってきた。


「レン、お疲れ様。そして残念なお知らせです。この後他の村や町に行って被害にあってないかの確認に行くので、依頼を終えるのはまだ先になりそうです。」


やっぱりこうなった。ユウは正義感が強いからな。ほんと、誰に言われたわけでもないのによくやろうと思うよな。


「もう限界なんだけど。なあ、確認終わったら俺だけ帰っちゃダメ?ほら、今回の依頼って隣国に書物を渡しに行くだけだろ。ぶっちゃけもう危険地帯抜けたからあとお前らだけでなんとかなるだろ?」


少し悩んだあとユウは


「わかりました。ただその代わり村と街を確認してからですよ。依頼主にはレンは他に被害が無いか確認するために別行動をとりました。と伝えておく。馬車は使ってくれていいですよ。護衛をしてたお礼に近くの村まで載せてもらうので。」


ユウは諦めたように軽くため息をつきながら了承してくれた。


「ユウありがと。お礼と言っちゃなんだが、本当に他に被害が出て問題が発生していたら、俺の方で解決しといてやる。」


「さすがにこれ以上家に帰らせなかったらランに私が怒られそうですし。もともとこの依頼は私が言い出したことですしね。では、地図を見ながら近くの村と街を回ってみましょうか。」


こうして、近くの村や町を巡り残り最後の村え向かった。そして、その村は壊滅状態だった。

家は崩れ、畑は荒らされ村人の血で辺り一面真っ赤、地獄絵図すらも連想させるこの村の壊滅状態を見た二人は絶句し暫く何も喋れなかった。


暫くして


「おい、息のある人がいないか探すぞ。地下室とかにかに隠れている可能性だってある。」


二人は急いで瓦礫をどかし生存者を探した。





そして






「レン、来てくれ。子供を発見した。」


「わかった、すぐ行く。」


そして発見された場所まで急いでいくと。そこには子供と言うより赤ちゃんと言った方が正しいと思われる女の子がいた。どうやら今は気絶をしていたようだ。


「俺の方も生存者を探してみたが。一人も見つからなかった。全員死んでいた。ユウはどうだった?」


「私の方はこの子一人だけです。瓦礫の下に丁度はまっていたのでモンスターも手を出すのを諦めたのでしょう。」


「ところで、その子どうする?」


俺がユウに聞いたら、ユウがとても笑顔で答えてきた。


「あなたがグランと一緒に育てればいいじゃないですか。確かグランもこの子と似たようなあ年齢だと思いますけど。それにさっき自分で何とかするって言ってたじゃないですか。」


「おい、実はお前俺だけ先に帰るの怒ってたな。だいたい事の重大さが違うだろ。とにかく預かってもいいがそれは本人次第だ。」


「まあ、少し不満に思ってたぐらいなので気にしないで下さい。でも孤児院に預けるのは反対ですよ。最近どこの孤児院も悪い噂しか聞かないので。」


「まあ、それもそうだ。とにかく一度ランと話してみない事にはどうもしようがも無い。とにかく、このことをギルドに報告したら俺は家に帰るぞ」


「ええ、依頼の方は私一人でやっておくので心置きなく休んでください。」


「それなら、お前がこの子引き取れよ。心置きなくとか嫌味かよ。」


「嫌味ですが?」


「はあ、じゃあな。依頼完了したら家に遊びに来いよ。その時この子がどうなったか話すから。」


「ええ、ではさよなら。」


こうして、俺は家に帰れる事になった。ただし問題ごとを抱えてだが。


いやー珍しく長かったですね。


モンスター=魔物の認識でお願いします

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