2023年10月分
№2871~2913
2871.『魔除け』
#twnovel 店舗の改装も完成し、いよいよ新規開店。と、その前に魔除けをしておかないと。「店長、意外と信心深いんですね」いや、別にスピリチュアルな意味合いはないけどね。これ表に貼っておいて。「『インスタとフェイスブックやってます』?」うん、それで一番厄介なSNSユーザーは追い払えるから。
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2872.『不買運動』
社会問題について、道行く人にインタビューを実施した。
#twnovel
「不買運動ですか?ええ、動向を注視しています。でも、口先だけで、誰も本気でやってないんじゃないかな。だって、ずっと待ってるのに全然投げ売りにならないんですよ。もっと真剣にやってもらわないと困りますね。頼みます、本当に」
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2873.『吸い込まれそうな』
#twnovel 美術館で客が一人消えた。その客が一枚の絵をずっと見ていたのを、警備をしていた私は知っている。一人佇む女性が、こちらを見つめている絵。確かに吸い込まれそうな絵だが、まさか本当に入り込んだわけがない。女性は一人のままだ。でも、ふと気づく。彼女の瞳の中に、人影などあったか…?
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2874.『ポケットは要注意』
#twnovel 古着屋に変な客が来た。さっき革ジャンを売っていった客と入れ替わりに、待ち伏せしていたように、その革ジャンを買わせろと血走った目で訴える。やばいストーカーかと思って警察に一報。革ジャンを買った客も、売った客も逮捕された。ポケットに「何か」を忍ばせて受け渡しに使ったらしい。
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2875.『委託切り』
#twnovel「インボイスが始まると、委託業者を切らざるを得ないんですよ。私の場合、上司から弁当買って来いと言われれば、仲介業者に委託し、業者が仕出し店に発注して、私が受け取って渡すことで仕事を回してます。彼らを切ることになってもいいんですか!」「まず君を切りたい。何に金使ってんの…」
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2876.『あのオオタニさんも絶賛!』
#twnovel インタビューを受けるなんて緊張する。どこで俺のことを知ったのだろう。「先ほどお連れの方と話していた時にお名前が耳に入りまして…とりあえず絶賛して貰えればOKです。確認しますが、オオタニさんとおっしゃるんですよね?」いえ、オオタです。オオタ兄さんとよく呼ばれ「バラシでーす」
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【書き終り:「漂う匂いにお腹がぐぅ、と鳴った。」】
2877.『手土産』
#twnovel 僕は今日、花束を持って一世一代のプロポーズをする。料理好きの友達に、何か面白い食材が手に入ったら持っていって手料理を作ってもらう。そんな関係を続けていたけど、遂に一歩踏み出すのだ。彼女は受け取った花束を台所で調理し始めた。僕の体は正直で、漂う匂いにお腹がぐぅ、と鳴った。
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2878.『青菜-1グランプリ』
#twnovel 青菜-1グランプリ。落語の演目『青菜』の「青菜」とは何の野菜なのかを競う大会だ。優勝候補「ほうれん草」「小松菜」「水菜」は、夏の話に対し旬が冬で敗退。夏が旬の青菜陣は酒の肴っぽくなくて敗退。マジで何なんだ青菜。山形県民としてはセイサイ漬け一択ですがね。これも冬が旬だけど。
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2879.『論文ドキュメンタリー』
#twnovel「実は論文を書き上げる過程は面白いのでは?」などと言う映画監督に数年間密着取材され、そのドキュメンタリーが評判になり賞まで取ったという。舞台挨拶に呼ばれ「論文嫌いの風潮が変わってくれると嬉しい」と語った。ちなみに映画で書き上げた論文は読んだかと訊くと、全員が目を逸らした。
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2880.『犯人はヤツ、だが』
#twnovel 俺は最初から犯人を知っていた。ただ「本当は犯人じゃないんじゃないか?」と思うほど、いい奴だった。だから何度もやり直している。だけど、やっぱり今回も犯人はヤツだった。ゲームの電源を切って放心する。「犯人はヤツ…だが、どうして…」ネタバレされたからハマることもあるという話。
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2881.『馴れ初め』
決め手になったのは初デートの高尾山登山。どうせ低い山だからとよそゆきの服で来た私を、あなたがフル登山装備で迎えたとき。「山をなめるな」と叱られたようで、この人となら生きていけると思った。
#twnovel
…と彼女は言うが、俺はデートに着ていく服がなくて登山装備でごまかしただけなんです…。
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2882.『父として』
#twnovel キッザニア楽しかった?「うん!」どんなお仕事したの?「カジノ!」闇かよ。「ルーレットで稼いだ」遊んでたんかい。「そのあとマグロ漁船乗った」負けてんじゃねーか。父ちゃん情けなくて涙出てくらあ。よし、絶対勝てるよう鍛えて「パパ」ま、ママ「こうなったらダメよ」ぐえッ「うん!」
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2883.『沖縄そば(ソーキそば)』
#twnovel「なんか勘違いしてるっぽいから言うけどさ、ソーキそばって沖縄そばの一種で、同じものの別名じゃないんだよ。『沖縄そば(ソーキそば)』って書いたりするから紛らわしいのかもだけど。だからお前の言う『X(旧twitter)』とは別問題。だいたい旧つってんだから、どっちでもいいわけないんだよ」
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2884.『映画編集動画』
#twnovel「映画を切り貼りして紹介する動画を作っています」ああ、ファスト映画ね。内心軽蔑するも、訊いた手前続きを促す。「DVD化されなかったVHSからまだ見られる部分と、見た人の感想をかき集めて、一本の動画にまとめてます。その人たち集めて上映会すると喜ばれるんですよ」楽しそうで泣いた。
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【書き出し:「枯れた植木鉢に水を遣る。」】
2885.『渇き』
#twnovel 枯れた植木鉢に水を遣る。水を遣ってみれば、枯れたように見えても復活することがあると聞いた。鉢いっぱいになみなみまで水を注ぐ。注ぐ、つもりが、全然溜まらない。そんなに渇いていたのか。まだ湿りもしない。目的が変わってきた。これは怪物だ。水の遣り過ぎで腐らせ、引導を渡さねば。
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【あなたがこれからつくる作品のタイトルは「おにいちゃんの猫派」です。】
2886.『おにいちゃんの猫派』
#twnovel 親戚のお兄ちゃんはうちの猫に塩対応。好奇心旺盛な猫が近寄ると「ウワッ」と飛び退いたり、お腹を見せても「俺は犬派だから」と見ているだけ。それを長年やってきたからばつが悪いのか、おそるおそる指先を差し出す姿を見せるのは、猫と私の前でだけ。私だけが知る、お兄ちゃんの猫派の心。
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2887.『蜂球』
#twnovel 蜂の巣かと思っておそるおそる近寄ると、蜂そのものが無数に集った球でぎょっとした。『蜂球』というらしい。引っ越し途中の女王蜂を守っているのだとか。翌朝、蜂球は消えていた。俺も支度は済んだ。蜂と違って守るもののないたった一人の引っ越し。女王を残し、かつての愛の巣を後にする。
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2888.『挨拶とスカートは短い方がいい』
#twnovel「えー、挨拶とスカートは短い方がいいと言いますが」校長先生の挨拶がとんでもねえ掴みから始まった。炎上するってばよ。「そんな時代にそぐわない発言はあってはならない!」流れ変わったな。「なので、スカートと連帯し、長い挨拶を継続することにします!」うわっ、誰も望まない正しさだ!
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2889.『怪異の名は』
#呟怖
夜、天井からミシミシと足音がしてさ。何かいるのかと身構えると、頭の上に飛沫がかかって、手で拭うと赤い血。おそるおそる見上げると、血まみれの顔が。天井からだらりと首が伸びてるんだ。その特徴から『アカピッピミシミシガメ』と名付けたよ。
「怖くなくなって怪異としては死んだと思う」
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《ショートコント飯店》
2890.『日変わりラーメン』
#twnovel「大将、この『日変わりラーメン』って何」「日によって変わるラーメンだが」「知ってる。毎日頼んでるから。毎日醤油で変わらないから訊いてんの」「スープは日々注ぎ足される。少しずつ変わっていて、同じラーメンなんて一日もねえのさ」「大将…」「でも飽きたな。背脂ぶち込むか」「急変」
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【twnvday2023/10/14 お題「盤」】
2891.『繰り出す一手』
もうやめようと思っていたのに、また来てしまった。ここは勝負の場。一人一人がとっておきの一手を持ち寄り、あるいは各々の出方を見ながらその場で起死回生の一手を編み出し、盤上に放つ。求めるのは盤外からのリアクション。さあ、これが俺の出した #twnvday の一手。この刹那の快楽、やめられねえ。
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【#妖怪呟怖 お題「雲外鏡」】
2892.『スマホの画面に御用心』
また婚活に失敗した。直した方がいいところを散々挙げられたが、意味がわからない。自撮りをした自分を見ても悪いところなんてない。無修正なのに。ありのままでいいのだとスマホの画面が言ってくれている。
#呟怖
「真実を歪め、目を曇らせ、都合のいいようにしか映さない…雲外鏡になっていますね」
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2893.『ボロが出たので旅に出る』
#twnovel 行きつけの本屋はいくつかあるけど、聞きたいものの気分で選んでる。店によって流してるBGMが違うんだよ。ラジオ、ジャズ、ジャスコで流れてるようなアレンジ…と答えたところでインタビュアーから待ったがかかる。「ジャスコ…って?」僕は旅に出た。もうトレンド作家ではないと思い知った。
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2894.『アーバンミミック』
#twnovel 街中でのミミック被害が深刻になっている。ミミックはダンジョンから抜け出してきており、その背景には、迂闊な冒険者が餌食になることで人間の味を覚えたせいだと専門家は語る。ギルドは節度ある振る舞いを訴えているが、宝箱に目が無い冒険者に改善は難しいようだ。
#ファンタジー社会問題
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2895.『乗ってますステッカー』
#twnovel 前を走る車に『県民が乗ってます』というステッカーが貼られていた。ナンバーは県外。なるほど、自粛警察から逃れるための工夫。コロナ禍の名残か。俺も転勤してきた県外ナンバーなので、同情されそうなステッカーを貼ってみる。『僻地に左遷された都会人が乗ってます』。後続車に煽られた。
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【「背中についた爪の痕が、痛いのか熱いのかわからない」で始まり「濡れた睫毛がゆっくりと下を向いた」で終わるお話】
2896.『怪物殺し』
#twnovel 背中についた爪の痕が、痛いのか熱いのかわからない。抵抗、だったのだろうか。でも私は抱きしめられたように思えた。刃を突き立てられたのに、一歩進んで、それが致命傷に。どうして。どうして、最後まで死すべき怪物のままでいてくれなかったのだろう。濡れた睫毛がゆっくりと下を向いた。
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【お題:『ここから始まる』】
2897.『続編未定』
#twnovel おかしい。私の体感時間が盛大に狂ってなければ、もうぼちぼち三分の二くらいまで来ているはずだ。なのに何故、山場らしい山場が…えっ終わるのコレ。終わっていいのコレ…お、終わった…!後から調べたら、長い長い原作の本当の本当に序盤だけの映画化だった。ここから始ま…れるのかコレ。
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2898.『顔認証』
#twnovel 顔認証システムとは相性が悪い。朝、出勤時に全然顔を読み込んでくれない。でも退勤する時は登録者と認めてくれるんだよなあ。最初に顔認証したのも夜だったっけ。「疲れてるパパの顔しか知らない」とかぬかすガキみてえな奴だな。子どもなんていないけどさ。悪あがきにリポD飲んで退勤しよ。
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2899.『寄って候、酔って朦朧』
#twnovel ウイスキーを嗜むようになったのは、何処かの酒場で出会った、名前を聞くのも忘れたあの人が飲んでいたから。水割りの度数はどんどん高くなっていった。今ではあの人の顔もろくに思い出せない。ただただ強い酒が飲みたい。そろそろロックで飲ってみようと思う。酒カスとは憧れの残滓である。
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2900.『古参のフォロワー』
古いフォロワーの中に明らかな出会い系アカウントの人がいる。フォロバしなきゃすぐリムるだろうなと思っていたが、ずっといる。「もう #twnovel やめる」と言ったら「毎日読んでました。寂しいです」とメッセージが。純粋なファンだったのか!それがきっかけで交流が始まり、僕は貯金を失いました。
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2901.『山腹の東屋』
#twnovel 寂れた東屋を見つけた。まるで入っておいでと誘うかのような陽の当たり具合だが、立ち入っていいのだろうか。おそるおそる足を踏み出すと、ぱきぱきと枯れ枝の折れる音が響き、一斉に蜻蛉が飛び立った。ざあっと風が吹き、日の光が雲で遮られ辺り一面が暗くなる。私は一目散にとって返した。
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《ショートコント飯店》
2902.『あご出しラーメン』
#twnovel「大将、この『あご出しラーメン』って何」「何だコノヤロー」「何で喧嘩腰。何でアゴ突き出してんの」「元気ですか!」「いや質問に答えろよ」「食えばわかるさ!」「…注文だコノヤロー!」「何だその喧嘩腰と突き出したアゴは」「急に猪木やめんなよ!」「あごはトビウオのことな」「はい」
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2903.『金の香り、銀の香り』
#twnovel「一位にこだわる理由は?二位じゃダメなんですか?」「では、一位と二位を金と銀に置き換えて話をしましょう」「は…?」「季節は秋。金木犀はいい香りだと話題に上がります。では、銀杏の臭いは…?」「な、なるほど。言い分を認めましょう」(こんな詭弁に丸め込まれるならもうダメだな…)
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2904.『助手席』
#twnovel 助手席は昔、車のドア開け係の席だったらしい。自動でドアが開くようになった今、タクシーに必要な助手とは何だろう。試しにトラブル対処担当として探偵を乗せることにした。「僕は探偵であり助手じゃない。君が僕の助手なんだ」車を事務所にしようとしたので放り出した。自動ドアって便利。
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2905.『アキレスは亀に追いつけない』
#twnovel ずっと、のろまな亀だと思ってた。手を引いたり、背中を押したり、世話を焼いてきたから。ずっと先を行っている俺から言わなければと、ずっと考えて出した答えに「私も」と先回りされたのは驚いた。とっくに追い越して待っててくれたのか。手を繋ぐと、亀同士でやっと歩みが揃った気がする。
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2906.『エンパシー』
#twnovel
――熊の言葉がわかると聞きましたが?
「んなわけねえだろ。ただ、命のやり取りをしてるから何となく想像がつくだけだ。『死にたくねえ』っていう当然の執念だよ」
――熊を殺すなというクレームについては?
「ああ…アレか。人間の言葉を喋ってるはずなのに、熊より何考えてるかわからねえ」
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2907.『二代目の改革』
#twnovel 俺は実家の定食屋が嫌いだった。やる気がなくて、料理も微妙。だから親父が引退したのを機に俺が店を立て直した。料理の味も、評判も上がったと自負している。親父の代からの常連も同意して笑う。「アイツは君のために家にいる時間を作りたくて店を始めたから、商売やる気なかったもんなあ」
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《ショートコント飯店》
2908.『ARE29』
#twnovel「大将、この『AREの肉』って何。っていうかアレって何」「誰にも言うなよ…怪物みたいなKUMAいたじゃん。AREの肉が手に入ったんだよ」「BAKAの商売じゃん。食い尽くされて残ってねーだろ!」「BAKAはOMAE。実はもっと強い『19』のNIKUだってGYOUSYAが言ってた」「DAMASARETERUZO、BAKAGAYO」
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2909.『黙浴のルールは残ってほしい』
#twnovel コロナ禍にあった規制は緩まったようで、日帰り温泉でも『黙浴』の注意喚起がなくなり、客同士が普通に会話するようになった。にしても、だ。温泉にガヤガヤ入ってきたグループが「で、今度の転売のターゲットなんだけど」って話を始めたときは(生きて風呂を出られるのかな…)と思ったわ。
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2910.『オープン未定』
#twnovel ダンジョン周辺には恩恵を求めて新興住宅地が形成されているので、攻略後のダンジョン跡地は大手企業が狙う好物件である。だが最近は、店舗が完成しても商売が始まらないというケースが目立つ。住民の間では、BIGな違反が判明した車屋が入る予定だったのではないかと…
#ファンタジー社会問題
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2911.『長期保管』
#twnovel ハロウィンの夜にだけ、仮装して現れる常連客がいる。街を練り歩くでもなくボトルキープの酒をちびちびやっている。その調子じゃ飲み干すのに何年かかるかな。そう声をかけると「大丈夫、長生きだから」と返事。毎年同じ仮装だけど、もし『ホンモノ』なら、店の後継ぎを考えないといかんな。
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2912.『真実の姿』
#twnovel 前々から存在は知っていて、同じイベントで初めて顔を合わせたらたまたま男と女だった。そう話すと運命的だなんて誰かは言うけど、きっとそういう関係にはならないのだとお互い思っている。どんなに素敵な言葉で愛を語っても、僕らが日頃、ラジオに投稿しているゲスなネタが頭をよぎるから。
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【#妖怪呟怖 お題「ひとつめ小僧」】
2913.『百鬼夜行』
#呟怖
ひとつめ小僧が歩いている。いや、そんな妖怪名じゃなく「一目人の子ども」と呼ばないと差別になるか。彼らはもうだいぶ前に、目が一つしかないだけの「人間」と認められたのだ。この街にもずいぶん一目人が増えた。彼らは悪さをしない。だから受け入れるしかない。言い知れぬ不安が街に渦巻く。




