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2023年8月分

№2786~2825

【#妖怪呟怖 お題「油赤子」】


2786.『オイルベビー』


#呟怖

車のガソリンの減りが異様に早い。張り込むと、意外な犯人が現れた。給油口を吸っているのは、生後間もない我が子ではないか。妻を問い詰めると、実は我が子は生まれてすぐに死んだので、サイボーグ化したのだという。後日、妻は死んだ。我が子に直接乳をあげたいと、ガソリンを飲んだのだった。


 *


【書き出し:「ヒリヒリと冷気が粘膜に突き刺さった。」】


2787.『夏風邪はバカしか引かない』


#twnovel ヒリヒリと冷気が粘膜に突き刺さった。クーラーに当たり過ぎると粘膜が乾くせいで体調が悪くなると聞いたが、そもそもそれは、冬は風邪を引きやすいのと同じメカニズムらしい。ためになるなあと思いつつもエアコンを切れない。このまま夏風邪を引こう。だって私、バカだから。バカでいいや。


 *


2788.『反対運動も所詮は流行』


#twnovel あ、と思う。今年、うなぎ食べ忘れた。というより、もともと土用の丑の日のようなイベントへのアンテナは低かったのだが、どういうわけか去年は食べたのだった。当時の記録を振り返ると、反発心によるものだったと思い出した。うなぎを食べるなと騒いでいた人たち、今年は何してたんだろう。


 *


【書き出し:「栞の場所は未だ分からない。」】


2789.『栞はどこに消えた』


#twnovel 栞の場所は未だ分からない。読書が好きと言ったら、本を開くたびに私のことを思い出すといい、と貰った栞だった。何の本に挟んだっけ。そもそも最後に本を読んだのはいつだっけ。本を読まなくなっても栞のことを思い出したのは、僕が探すべきは栞ではなく、栞をくれたあの人ってことなのか。


 *


2790.『囲い(タグ)の外』


「いつまで #twnovel なんてタグ使ってんだ。もうツイッターはないんだぜ。次に使うタグを #140字小説 か #マイクロノベル かで迷ってるなら、つけなきゃいいのさ」と言ったアイツはタグの外へ飛び出し、袋叩きにされた。創作の断りがないと冗談の通じない連中だらけの世界だと知っていたはずなのに。


 *


【書き終り:「冷たい土の感触を味わう。」】


2791.『野垂れ死に』


#twnovel しくじった。こんなところで力尽きてしまうなんて。自分の余命を見誤り、アスファルトの上でじりじり焼かれるだけの俺。そんな姿を憐れに思ってか、街路樹まで運んでくれた人がいた。思えばここから離れたくて飛び立ったのだった。感謝のセミファイナルを申し上げ、冷たい土の感触を味わう。


 *


2792.『仮面の配信者』


自分の力を試したくて、有名人なのを仮面で隠してのゼロからのスタート。目標を達成したので正体を明かすことにしたが、ファンの皆は好意的に受け入れてくれた。

#twnovel

「俺たちは正体が誰だろうが気にしないよ。さあ、また仮面を被ってくれ。俺たちが見たいのは知らない有名人よりそっちなんだ」


 *


【書き終り:「黄昏時の辻に立つ。」】


2793.『一日だけの……』


#twnovel 約束の相手はちゃんと昨日と同じ場所にやってきた。片手を挙げて挨拶し、この一日どうだったか確認し合う。でも、ここにいるってことは、羨ましく思えても、奪うほどの人生ではなかったということだ。お互いに。入れ替わりの一日が終わり、誰が誰だかわからなくなる時間、黄昏時の辻に立つ。


 *


【書き終りは「その表情を、はっきりと思い出せない。」】


2794.『笑っていてほしくて』


#twnovel いつも笑っているような人だった。その笑顔に惹かれて、どんなときでも目で追うようになったから気付いてしまったことがある。きっと悩みがあるのだと、純粋に、力になりたかった。それが大きな間違いだった。本当は笑ってないよね、と声をかけたときのその表情を、はっきりと思い出せない。


 *


2795.『地元の奇祭』


#呟怖

地元の奇祭ですといって画像をアップしたらバズった。計画通り。画像は、手持ちの写真を素材にAIで生成したフェイクだ。気分よく帰省すると、はいお祭り用の、と衣装を手渡される。そんな、あれはフェイクで、実在しないだろ。取り押さえられ無理やり着替えさせられる。この衣装の役割は、生贄。


 *


【書き終り:「それは人生の灯火だった。」】


2796.『今日の良き日に』


#twnovel「今日は俺の誕生日なんだ」蝋燭の火を眺めて呟いた。もっとも、それを祝う人間は誰もいなくなってしまった。俺をここに連れて来た相手もそんなこととは知らなかっただろう。こんな日だからこそ、『良い』のかもしれない。俺は蝋燭の火を、死神の目の前で吹き消した。それは人生の灯火だった。


 *


《ショートコント飯店》


2797.『食べるサウナ』


#twnovel「大将、この『食べるサウナ』って何」「麻婆豆腐。食べるだけで熱くなって整うぞ」「じゃあこの『食べる水風呂』は」「冷や奴。麻婆豆腐と交互に食べると整うぞ」「やけに整うを推してるな…ん?これチャレンジメニューなの?」「整っていい謎かけができたら無料」「実はわかってないでしょ」


 *


【書き出し:「黄昏時の辻に立つ。」】


2798.『出会いを求めて』


#twnovel 黄昏時の辻に立つ。逢魔が時とも呼ばれる今なら、いけるかもしれない。パンを咥えて、曲がり角にスタンバイ。人間と出会いつくした以上は、魔物相手のワンチャンを期待するしかない。現代の辻斬りとして、自分が魔物扱いされていることを知るのは、そのことを知る相手と出会ってからのお話。


 *


2799.『バカ舌の(ひと)


#twnovel 夫の舌は愚鈍だった。何を食べても美味しいと言うばかりで、建設的な意見を求めても何も言えやしない。やがてお互いに愛想が尽きて出ていってしまった。夫の感想などなくても当然、私の店は回る。何を作っても美味しいとしか言わず、私に店を出す気にさせた人がいなくなっても、店を開ける。


 *


2800.『嫉妬はスパイス』


#twnovel 子どもの頃に食べたカレーは特別というが、弟にとってのそれは、両親がいないときに作っていた私のカレーらしい。最高と言ってくれるが、ウソだろ、レトルトだぞ。そんな弟が帰省してきて「彼女が作ってくれるカレー、スパイスから凝ってて最高なんだ」と言う。へえ。今夜はカレーにするわ。


 *


2801.『フェンスを見る人』


#twnovel 花火大会の有料と無料を隔てるフェンスを見物に行くと「当日ここは有料だよ」と声をかけられた。何で金払ってフェンス見るんだよ。「あのさ、隙間から覗こうとする人いるじゃん。前屈みになるじゃん。お尻突き出すじゃん。浴衣だったら、下着が」なんてことだ!被害を防ぐために買わねば!!


 *


2802.『超時空因果』


#twnovel 知らない奴にいきなり「赤ちゃんの写真をネットに晒すのはやめろ」と言われた。また辻説教か。悪いのは他人の子どもの写真で遊ぶ連中であって俺は悪くないだろ。そう言ってやると「仕方ない」と銃を向けられる。「未来で聞いた台詞と一字一句同じだったな…子どもの将来も考えてほしかった」


 *


【書き終り:「胡散臭そうな視線が痛い。」】


2803.『新しい言葉』


#twnovel「アンコンシャスバイアスって要は偏見のことじゃんそう言えばいいのに」と言うので「あなたには偏見があると言われて認める奴なんかいないから新しい言葉を作って知らなかったこととして刷り込ませるんだよ」とテクニックを教えただけなのに、ペテン師を見るような、胡散臭そうな視線が痛い。


 *


【書き終り:「それは肚を括った表情だった。」】


2804.『ケツをまくる』


#twnovel「もうケツをまくったらどうだ」と、お前の負けださっさと逃げろというつもりでそう言った。すると相手は「ではお言葉に甘えて」と、どかっと座り込む。「どうやら言葉の意味を間違えているようですが、ケツをまくるとはこういうことでさあ」居直って徹底抗戦、それは肚を括った表情だった。


 *


2805.『盆の後』


#twnovel 送り盆を終えて、ようやく日常が戻ってくる。お盆の間は、御先祖を安心させるためとはいえ、規則正しい生活を強いられ大変だった。今夜は久々にスナック菓子を夕飯に、と思うが、役目を終えた精霊馬が目に留まる。今夜は焼き茄子にして明日からだらけるか。野菜の美味さを知る、そんな季節。


 *


【書き終り:「突然落ちた影に、空を見上げる。」】


2806.『目を離すのは……』


#twnovel 最近の若者はスマホを見すぎ、という説教をスマホで見た。大きなお世話。それに、大事な情報は最速でスマホに入ってくるのだ。目を離すのはそれこそ命を落とすときだろう。怪獣出現のリアルタイム情報が流れる今なら尚更だ。あ、怪獣がテレポートしたらしい。突然落ちた影に、空を見上げる。


 *


2807.『村の(火)おこし』


#twnovel 村おこしのために湖にサメを放った。トレンドを勉強した甲斐があり、そのミスマッチを「映え」と呼ぶ観光客が訪れるようになった。だが、もう一つの目的は果たせていない。定点カメラをチェックし、今日もダメかと嘆息する。浮かれた観光客がサメに食われる映像はもっと「映え」るだろうに。


 *


【書き出し:「怒声が響く。「こんなに散らかしてどうするの!」」】


2808.『回収非対象』


#twnovel 怒声が響く。「こんなに散らかしてどうするの!」僕はようやく正気に戻り、これまでとっ散らかしてきた伏線を回収する作業に入った。ヒーコラ言いながらまとめ上げたものの、謎が残る。あの怒声は誰のものだったのか。きっとそれは伏線ではなく、『奇跡』というやつだ。回収するのは、野暮。


 *


2809.『バベルの菓子』


#twnovel 一人のペテン師が裁きにかけられた。みだりに『新しい言葉』を用い、人心を乱した罪だ。ペテン師は語る。「一時といえど、私の目的は果たされた。私を排斥しようとする間、争いはなかっただろう。人が今川だの回転だの争う限り、平定を願い第二第三の『ベイクドモチョモチョ』は必ず現れる」


 *


2810.『時価』


#twnovel 席に着いた瞬間、失敗を悟った。彼女にいいところを見せようと入った寿司屋は『時価』の店だったのだ。板前さんにこっそり予算を伝えると、僕の面子に気を遣ってか明らかに予算オーバーの寿司を振る舞ってくれた。清算はまた後日。時価を、文字通り時間で支払う。この職人の技を、僕が継ぐ。


 *


【#妖怪呟怖 お題「キムナイヌ」】


2811.『山にいる人(キムナイヌ)


#呟怖

タバコに火を点けたことがあるのはただの一度だけ。北海道の山中で、キムナイヌに出会ったときだった。丸坊主の男が、持っているタバコとライターを私に預け、吸わせてほしいと頼んできたのだ。「うまかった。ありがとう」そして男は山奥に消えた。白い雪に、滴り落ちる血の赤が、鮮やかだった。


 *


2812.『ライター』


#twnovel 何の仕事をしてるのかわからない親戚に、素直に訊くと「ライター」だと言った。火をつけるの?「おう、人気の火付け役さ」とその人は笑った。おじさん、俺も同じ仕事で、火付け役やってるよ。おじさんのように誇れないけど。炎上狙いのシケた記事を世に放ち、今年も帰らなかった郷里を思う。


 *


【書き出し:「過ぎ去った月日に思いを馳せる。」】


2813.『二年後に』


#twnovel 過ぎ去った月日に思いを馳せる。「二年か…」区切りをつけて新章にするため、作中時間を経過させることにしたが、登場人物たちはどう過ごしただろうか。「……うん、そうだな」やっぱ人間、二年くらいでそうそう変わるもんでもないしとりあえず髪型とか髪の色とか髪の長さとか変えておくか。


 *


《異常聴取》


2814.『宇宙物理学者の供述』


#twnovel ブラックホールの研究をしている。黒い穴にあらゆるものが吸い寄せられ破滅するという、理不尽な現象に興味があった。抗う術を調べるつもりが、僕自身が現象を証明することになってしまったが。胸元のほくろに視線が吸い寄せられるのは抗えないことで、逮捕は宇宙の摂理ですよね、刑事さん。


 *


2815.『シェア屋台』


#twnovel 別々の出店者が屋台と食材をシェアし、一品料理を出す共同屋台に最近通っている。どれも美味かったのに、突然廃業してしまった。聞けば、隠し味にしていたラーメン屋のスープを取り合ってカレー屋とチャーハン屋が大喧嘩したらしい。シェアすると何でも恋愛リアリティショーになるんだな…。


 *


【書き出し:「それは人生の灯火だった。」】


2816.『手放すとき』


それは人生の灯火だった。ビニールテープでまとめられ、ゴミ捨て場に置かれた本の山を目にしたとき、ふとそんなことを思った。俺はその本を全部知っていた。俺もいつか捨ててしまう日が来るのだろうか。実家の玄関先で、そんな遠い未来を考える帰省となった。

#twnovel

母さん、俺の部屋の本どうした。


 *


2817.『ドリンクスパイキング』


#twnovel この辺りのバーには、他人のグラスに怪しい錠剤を入れる輩がいると聞いた。ドリンクスパイキングという昏睡強盗の手口だ。気を付けていたが、トイレから戻ると私の酒にまさに錠剤を入れるところに出くわした。輩は逃げていっ…うわあの野郎これメントスかよドリンクがスパーキングしてるゥ!


 *


2818.『注文を間違える店』


#twnovel 知人が注文を間違える店に通っているらしい。規則正しい性格なのに、間違いを許すコンセプトを受け入れるとはちょっと意外。と思っていると、ノートを広げて見せてきた。これまでに注文した結果が書き連ねられている。「あの店の間違いには規則性がある。それを解き明かしている最中なんだ」


 *


【書き終り:「大切にしている記憶がある。」】


2819.『ポートレート』


#twnovel ポートレート写真を撮るとき、テーマなんて決めないようにしている。こちらが用意しなくても被写体はストーリーを持っているものだ。雰囲気にそぐわないアクセサリーを外すよう指示すると、応じるけれど、ちょっと寂しそうに苦笑いする程度には。どんな人にでも、大切にしている記憶がある。


 *


2820.『願い事』


#twnovel 絵馬が大量に奉納されている神社を見かけた。願い事はどれも「百万円ほしい」と妙に生々しい額だったが。神社の人に訊くと「氏子さんにSNSでお金配りする人がいて、エントリー方法がこの絵馬なんですよ」とのこと。願い事ってそういうことじゃないだろうに…ええと…一応、奉納しよっかな…。


 *


2821.『だから禁酒法はなぜ悪法だったのか考えろっつってんの』


#twnovel 食堂で米の提供が禁止された結果、猛抗議で禁止を免れた一部の者が、米の転売を始める。サイドはおろか、メインのおかずですら差し出さねば交換できないほど米のレートは上がっていく。そして、逆に米しか食べられず脚気にかかる者が続出するので米禁止をやめるよう監督に進言する所存です。


 *


【書き終り:「あともう少し、と布団に潜る。」】


2822.『先生は「潜る」と仰ってました』


『先生、原稿は…』「ああ、待たせて悪かったね。あともう少し、潜ったら、取り掛かることにする」『潜る…なるほど、思索に耽ってらしたんですね。わかりました、お邪魔はいたしません。それでは後で』

#twnovel

何とか時間稼ぎができた。有効に使わねば、と思いつつも、あともう少し、と布団に潜る。


 *


【書き出し:「胡散臭そうな視線が痛い。」】


2823.『胡散臭いとはこういうことさ』


#twnovel 胡散臭そうな視線が痛い。日除けに帽子とサングラス、感染対策にマスクと、真剣に命を守る行動をしてるだけなのに。視線を遮るために日傘も持つことにした。更に風通しが良いよう、服は甚兵衛、靴は草履に。すると誰も見向きしなくなった。完全に胡散臭いと「ただのそういう人」になるのだ。


 *


《ショートコント飯店》


2824.『レモンライス』


#twnovel「大将、メニューに『レモンライス』ってあるけど、インド料理始めたの?」「えっ」「…注文します」「ちょっと待って」「ダメだね。見せてくれよ大将のレモンライス」「ヒントくれ」「ご飯にレモン汁しぼったヤツではない」「よしセーフ!」「ご飯にレモン乗せただけのヤツでは絶対にない!」


 *


2825.『エンドレスエンド』


#twnovel「何?この世界はループを繰り返していて、ループは宿題の提出で終わるとわかっているので、まだ全てを救えていないから夏休みを終わらせるわけにはいかない?そうか、お前も気づいていたか。安心しろ、明日は来る。来るんだ。お前の登校により世界は救われたと見なし、自由研究の提出とする」

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