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2016年8月分

№244~274

244.『川辺のポケモン』


#twnovel 夏休み、山の川辺で知らないポケモンを見つけた。いくらボールを投げても捕まらないので、バトルで弱らせるしかないと毎日のように相撲を取っている。初めは「山でもゲームか」と呆れて聞いていた家族が青くなっていく。僕はこの時初めて、そのポケモンがカッパというのだと知った。


  *


245.『見送った、夏』


#twnovel 暑中見舞いのP.S.であの子の結婚を知った。うだうだしていれば学校に通っていた頃のように迎えに来てくれると思っていたけど、それももう終わりだな。夏の日差しが暑い。雨を浴びたいが、夕立を運ぶ入道雲はとっくに流れて行ってしまった。久しぶりにどこか遠くへ行きたかった。


  *


【ついのべお題ったーマニアック「プロローグ」「でぶ猫」】


246.『でぶ猫の災難』


#twnovel 夏休みに入り、鬱陶しい飼い主が家に常駐するようになったのは、でぶ猫の災難としてはプロローグでしかなかった。ダイエットをしようと言い出し、むりやり散歩について回る飼い主。そもそも俺を太らせたのは自分の絶対に太る食生活に付き合わせた飼い主なのに、人間って勝手だよな…


  *


【「昼の居酒屋」で登場人物が「探す」、「水」という単語を使ったお話】


247.『調子に乗ったヨッパライ』


#twnovel せっかくの夏休み、普通じゃできないことをやろう。そう思って昼から居酒屋で酒を呑んでいたのだが、酔い過ぎて動けなくなってしまった。迎えに来てくれた彼女には「バカじゃないの?」と言われ、水を頼めば「タダじゃなー」と足下を見られる。誰か切り抜ける方法を教えてください。


  *


248.『欺瞞』


#twnovel 冷房が切られたので窓を開けると、どこからか喧噪が流れ込んでくる。たしか近所で納涼ビアガーデンが開催されていたはずだ。こっちは一人で残業なのにいい気なもんだ、なんてやっかむ自分を笑い、またデスクに戻る。静かすぎるよりも集中できて、いつまでも残業できる気分だった。


  *


249.『人類は愚か』


#twnovel いい機会なので世界平和について本気出して考える。学ばない人類に怒りを覚える。腹が立って、腹が減る。ご飯を食べる。怒っていたことを忘れる。平和について考えていたことまで忘れる。去年もこんな感じだったことを思い出し「あ、学んでないの俺だ」と気づく。これだから人類は。


  *


【友達が少ない占い師と血の繋がりのない弟との扉越しの物語】


250.『古代日本史のラブコメ』


#twnovel「姉ちゃん、いい加減コミュ障直そうぜ」扉越しに聞こえる『弟』の言葉に、動悸が早まった。「直す必要ないし…私は占うだけで、お告げはあんたが伝えればいいし…それに」直ったらあんたどっか行っちゃうんでしょ…とは言えなかった。日出づる国の巫女はかくも悩み多き乙女であった。


  *


251.『世界猫』


#twnovel 子どもの頃に見えていたのは、もっと大きな地球ネコだった。それに比べたら今見ている世界猫は、しばらく目を離している間にずいぶん小さくなったもんだな。今日は世界猫の日って言われたから思い出して眺めているけど、まさか消えちゃう最後の日じゃあ…おい、待てよ。#世界猫の日


  *


252.『邪気眼の供述』


#twnovel「目を見て話せ!」と強引に視線を合わせた嫌な奴が昏倒した。そのとき初めて、自分に魔眼の能力が宿っているのだと理解した。以来、僕は常に人と目が合わないように生きてきた。僕がおっぱいをガン見していたのはそれが相手のためだからなんです刑事さん。「胸である必要ないだろう」


  *


【ついのべお題ったーマニアック「吸血鬼」「初恋」】


253.『吸血鬼のお姉さん』


#twnovel 近所の洋館に住んでいたお姉さんは、吸血鬼だったのだ。だから肌が青白くて、明るいうちは外に出られなくて、世話してくれる従者が何人もいて。いなくなる前の夜、口から血を流していたのは吸ったからに違いなくて。僕の初恋の人は吸血鬼で、長生きで、今もどこかで生きているのだ。


  *


254.『責任感が強いタイプの神』


#世界を終わらせる神が今日降臨 そして、世界の終わりを予言した神は人々から誹りを受けた。高みの見物なんて無責任だと。「我もそう思う」民衆は静まる。「降り立った以上、我の命運もこの世と共に在る」神は僕たちを見据えて言った。「諦めず、最後までこの世を見捨てずにやろう」#twnovel


  *


255.『徹夜並び代行』


「初参加の方ですか? 運営部公認の徹夜並び代行です」「そんなのあるんですか?」「ええ。例年無くならないので…体調を崩される方もいるのでいっそのこと初めての方に限りサポートしようと。料金は前払いで。こちらが控えのタグです」「助かります! ではまた朝に…」#twnovel「やられた」


  *


256.『サラダ緊急食べ放題』


#シェフの超気まぐれサラダの内容とは 僕が通う食事処で、珍しくサラダ食べ放題をやっていた。「処分しなきゃいけない葉っぱを使ってるからね。残さず食べて貰った方が嬉しいんだ」サラダとは思えない人気で、皆何かに取り憑かれたように貪る。処分しなきゃいけない葉っぱ…まさか。#twnovel


  *


【twnvday2016/8/14 お題「メダル」】


257.『金言』


#twnvday「残業競技部門では、今回も日本勢がメダルを独占ですね」「全国民が選手候補といえる分野ですからね。まさに日頃の積み重ねの結実です」「『メダルはいらない。残業代が欲しい』との名言も生まれました」「換金しようにも、メダル自体は金メッキだから大した額になりませんからね…」


  *


258.『一時解散、各自終了』


#twnovel 今日が出勤日で良かったと思う。休みだと、黙祷の時間を寝過ごしていた恐れがあるから。英霊となり、遺骨も帰らず、先祖代々の墓に入れなかったうちの曾祖父。祀られている他県までわざわざ足を運べるはずもなく。各々が終戦記念日の黙祷をすることを以て、我が家のお盆は終了する。


  *


259.『花火よりも』


#twnovel ここからでも遠方の花火が見えるかも、と屋根に上った。近場での花火大会がなくなり、気落ちしていた彼女を元気づけるためだ。彼女はなんと浴衣で上ってきた。裾を引っかけて落ちたら危ないと手を握る。結局花火は見えなかったが、満足したと言っていた。ならいいけど…どのへんが?


  *


260.『傘がない』


#twnovel 台風一過にありがちなこと。傘を忘れる。朝はざんざん降っていたのに、昼過ぎにカラッと晴れると、帰る頃には傘のことなんて頭から抜けているのだ。落ち着かなくて職場に取りに戻ると、まだ残業中の同僚がいた。「届けようかと思ってたのに」なんて言われたら、そりゃ付き合うよな。


  *


【幼女「なんでしりあいに会うと隠れようとするの?」】


261.『かくれんぼのおじちゃん』


「おじちゃんはね、あの人たちとかくれんぼをしてるんだ。もうずっと長いことね。ごめんなさいするタイミングを逃しちゃったせいでね。よくわからない? そうだなあ、お嬢ちゃんはちゃんとすぐごめんなさいできるいい子だもんな。ほら、行った行った。一緒にいるとつかまっちゃうぞ」#twnovel


  *


【ついのべ三題ったー「年齢」「プール」「マグカップ」】


262.『うるさい妖精』


#twnovel 蛇口から出るままの水では「ちょっとぬるい」と言われたので氷を投入。今度は「冷たい!」と言われ、溶けてちょうどいい水温になるまで待つ。マグカップをプール代わりにして遊ぶ妖精を眺め、彼女の姿がぼんやりしているのを寂しく思う。年齢を重ね、次第に見えなくなってきていた。


  *


【ついのべ三題ったー「カマキリ」「まとめ」「筋肉痛」】


263.『いつでもどこでもマッサージ師を派遣します!』


「お前らまとめてかかって来い!」

ひたすらカマキリ拳法で応戦していたら、腕が攣った。

筋肉痛になったらしい。これはピンチ!

「今すぐ出張してくれるマッサージ師がいてくれれば…!」

#twnovel

「…これちゃんと店の宣伝になる?」

「CMはこれくらいめちゃくちゃな方がいいって」


  *


264.『夏の窓辺』


#twnovel 網戸しか遮るものがなく、セミの鳴き声が部屋中に響く。青空が見える。白い雲が流れて行く。吹き抜ける風を感じ、窓際まで転がる。隣家のアイツと目が合い、何でもないように居住まいを正す。クーラー使わないのと訊かれ、そっちこそと返す。夏は部屋が少しだけ広くなる。#夏の空間


  *


265.『来ない理由がある』


#東北ゴジラにありそうな展開 山形県には「怪獣に襲われない」というジンクスがあった。宇宙怪獣が上空を通過して停電した程度である。故に対策本部は山形県に設置され、避難民の収容先にもなった。怪獣が避けて通る、つまり、より恐ろしい怪獣が眠る地であるということも知らずに…#twnovel


  *


【ついのべお題ったーマニアック「ばらばら」「おさな心」】


266.『父の教え』


#twnovel 散らかしたものは片付けないといけない。小学生に上がる前に教わるようなことだが、おさな心にも「散らかす」「片付ける」という言葉の響きは寂しく、出来なかった。だから父は僕に「ばらばらになったものは集めないといけない」と優しく言った。言われた通り、迎えに来たよ、親父。


  *


267.『侮蔑の称号』


#twnovel 俺が冒険者になった一番の理由は「食」の問題だ。ある日突然、何も食べられなくなった。無理やり口に詰め込んでもすぐに戻してしまう。それでも、唯一喉を通るものがあった。倒した魔物を衝動のまま食い散らかす。やっぱり美味い。魔物を狩る宿命にある俺を、皆は「勇者」と蔑んだ。


  *


268.『本格派・究極形』


#twnovel「即席ラーメンを、お店で出されるような本格的な味に近づけることを目指した、その究極形のひとつがこれです」そう言って出された大きめのカップにお湯を注ぎ、3分待つ。蓋が開き、乾燥状態から再生したラーメン屋のおやじが顔を出した。「へいらっしゃい。ご注文は?」


  *


【「昼の書店」で登場人物が「思い出す」、「秋」という単語を使った話】


269.『テキトー看板娘』


#twnovel 読書の秋到来に備え、うちの書店ではお客様にオススメを訊かれた際に取り出す「看板娘文庫」の選定が始まった。読書が苦手な私の代わりに選んでくれるのは本好きの同級生。報酬は…「店の看板」「道場破りか」「今なら(わたし)も」「もう貰ってます」そうだった、そういやあげたんだった。


  *


【ついのべ三題ったー「擬人化」「留守」「猫耳」】


270.『恩を返さないタイプの猫』


#twnovel 家に帰ったらペットが擬人化していた。証拠はと訊くと、この猫耳がそうだと。なぜかと訊くと、その方が留守番するのに都合がいいからだと。もうひとつ質問いいかな。俺の頼んだ覚えのない、この山のような出前の中身とヘソクリどこいった。「…君のような勘のいい飼い主は嫌いだよ」


  *


271.『無限腹筋』


#twnovel 24時間。マラソンする代わりに腹筋をし続けようと頑張ってみたが、30分で限界が来た。腹筋をやめても、腹が小刻みに震えている。それが振動マシーンと同じ効果があるなんてそのときは思いもしなかった。俺の腹筋は常に振動し、割れ続け、鋼のようになったらいいなと寝転がる昼。


  *


272.『血は争う』


#twnovel 焼肉屋では、父は上機嫌でホルモンを注文する。家族では自分しか内蔵系を食べないと知っているからだ。焼けて食べ頃になったとき、父のホルモンをかっさらったのはいつのまにか食べられるようになっていた弟だった。父は挑発的に笑いレバーを注文する。争いは同じレベルでしか云々。


  *


273.『風の一族』


#twnovel 台風一家が宿を求めてやって来た。台風の被害に遭わないコツは、常に台風の『目』の中にいること。一族の教えのもと、彼らは台風と共に旅をしている。常に中心にいる彼らこそ台風の原因だという意見もある。出て行けと言うべきか、根をおろしてずっと『目』にしてくれと言うべきか。


  *


274.『夏休み最終日の電話』


#twnovel「なに? 自由研究をやっていなくて、あと一日しかないのにアサガオ観察をしてもしょうがないから、発想を変えて、アサガオの種には本当に下剤作用があるかどうか人体実験をしたので、この欠席の連絡をもって自由研究の提出としたい? 先生、そういう計算ずくの狂気は感心しないな」

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