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2023年2月分

№2497~2532

《ショートコント飯店》


2497.『無罪放麺』


#twnovel「大将、この『無罪放麺』って何」「深夜帯の特別メニューだ。こんな時間にラーメンを食いたい人向け」「へえ。じゃあ一つ」「なら、放免してほしい罪を告白してもらおう」「懺悔室かよ。それじゃ…ちょっと待て、何メモろうとしてんだ」「客の弱みを握るのも大事な企業努力だ」「怖い業界!」


 *


【お題『突然訪れる沈黙』】


2498.『天使が通る』


#twnovel「いま天使が通ったね」気まずい沈黙をこんなお洒落に表現するなんて。感銘を受けて調べたところ、バリエーションがいろいろあるらしい。いつかやってみようと考えていた、自分なりの「天使が通ったね」を遂に披露する時が来た。声を張る。「あんたら、お口チャックマンか!」もっとスベッた。


 *


2499.『肩たたき』


#twnovel 親父の遺品整理の折、ガキの頃にやった肩たたき券が出て来た。何でこんなゴミ残してんだよ。会社の経営が悪化し、資金繰りに奔走した末の過労死。使ってくれたらもっと労ってやったのに。券を握りしめ職場に向かう。父が遺した会社のためにも肩を叩かねばならない。俺の仕事は、人員整理だ。



2500.『肩たたき/B面』


#twnovel「これあげる」と我が子に渡されたのは、肩たたき券だった。仕事で疲れてるみたいだから、と。家族のためにも職を失うわけにはいかない。私の背後に忍び寄り、肩に伸ばされていた腕を掴む。「この肩をたたいていいのは、あの子だけだ…!」腕を捻り上げる。人事担当者の顔が泣きそうに歪んだ。


 *


《今日の献立報告》


2501.『チラシ寿司』


#twnovel「今日はチラシ寿司ですよ」「これ巻き寿司じゃない?」「作るとき、巻くのに広告チラシを使いました」「…フフッ、ばあちゃんみたいだな」「怒らせて鬼にしたかったのに」「怒らないよ。何か懐かしくなった」「じゃあ私が怒ります。誰がおばあちゃんですか!」「鬼は外!」「なんの鬼も内!」


 *


【お題『見破られた真実』】


2502.『真実を追う者』


#twnovel「あなたが犯人ですね」見破られてしまった…これでお縄か。「いえ、私は刑事や探偵ではありません」と名刺を貰う。保険屋?「ものは相談ですが…自殺で片がついて生命保険は払わないと決めたのに、実は殺人だったと引っくり返ると面倒なんですよ。協力して闇に葬りましょう」く、狂ってる…。


 *


【「手紙が届いた。差出人の名前はない」で始まり「やっと言えた」という台詞で終わるお話】


2503.『明日は何の日』


#twnovel 手紙が届いた。差出人の名前はない。封筒の中には、写真と、裏に書かれた『覚えていますか』の文字。次の日、休暇をとって差出人に会うために出かける。髪や服を整え、花束を買って、我が家に戻る。出迎えた差出人に、式も挙げないまま、うやむやになっていたプロポーズを。「やっと言えた」


 *


【書き出し:「枯れた植木鉢に水を遣る。」】


2504.『裏ワザ』


#twnovel 枯れた植木鉢に水を遣る。一見無意味な行動だが、これが裏ワザらしい。聞いたとおり、植木鉢に変化はなかったが、死んだはずの人間が戻ってきた。これは実質バグだから広めるなと言われていたが、どうやら手遅れのようだ。ログイン数が限界に到達。サーバーが落ち、仮想空間の崩壊が始まる。



【書き終り:「枯れた植木鉢に水を遣る。」】


2505.『それを愛と呼ぶのなら』


#twnovel 愛は無用のものだ。だから美しい。美しいだけで、地球を救いはしない。救えるとしたらせいぜい、たった一人のちっぽけな心だけだ。それは例えば、ずっと覚えていて、唯一のできることになってしまった日課を続けさせ、その姿を見守るようなこと。老いた母は今日も、枯れた植木鉢に水を遣る。


 *


2506.『オープンな人』


#twnovel ずっとインドア生活だったのを反省し、見習おうと思う人がいる。たまたまテレビで見た、車中泊で旅をしながら自給自足の生活をする究極のアウトドアの人。コンタクトを取りたかったが、SNSには鍵がかかっており、窓口は一見様お断りの有料オンラインサロン。ネットでは引きこもりなんだな…。


 *


【書き終り:「鼓動を抑え込むように、胸をぎゅっと掴む。」】


2507.『動悸』


#twnovel ひょっとしたら明日、起きられないかもしれない。布団に入るとき、最近、そんなことを考える。原因はわからないが左胸に痛みを感じるようになった。そこには私の心臓がある。たぶん。死んだように生きる私が、はっきりと、生きていたいと願う時間。鼓動を抑え込むように、胸をぎゅっと掴む。


 *


【書き出し:「漂う匂いにお腹がぐぅ、と鳴った。」】


2508.『他の家のカレー』


#twnovel 漂う匂いにお腹がぐぅ、と鳴った。隣を歩く彼女は「はあ!?」と言った。「私がカレー作ろうってーのに、他の家のカレーで!?浮気よ浮気!アンタなんかここの家のカレー食べればいいんだわ!」と行ってしまう。ひょっこり顔を出した住人の「食べていきます?」の申し出に、また腹が鳴った。


 *


【書き出し:「風に翻るそれを、美しいと思った。」】


2509.『白い布のように』


#twnovel 風に翻るそれを、美しいと思った。何もかも窮屈に思い、空を見上げたときだった。青空を悠々と泳ぐ、一枚の白い布。俺もあんな風に「あれは一反木綿だね」あんな風に「一反木綿は人に巻き付いて窒息させて殺すね」物理的に窮屈になるのは御免なのでさっさと逃げた。ありがとう野良妖怪博士。


 *


2510.『金貨投資』


#twnovel「老後のために資産を残したいけど、株や仮想通貨は難しくてよくわからない。そこで金です。金の価値は不変です。私に投資いただければ、資産として金貨を確保いたしましょう!」と謳う、異世界資産詐欺にご注意ください。異世界に流出した資金の回収はほぼ不可能です。

#ファンタジー社会問題


 *


【#このマイナー妖怪を現代怪談で復活させてやってください お題「どうもこうも」】


2511.『(どう)(こう)も』


#呟怖

投票券が届いた。誰に入れても同じだろ、なんて愚痴ると、アイツが現れる。双頭の妖怪どうもこうも。政治への無関心を詰るように与党野党のマニフェストを叩き込まれる。投票当日、頭の中そのままの白紙を投じた。右も左も、地獄じゃねえか。笑えてきた俺は出口調査を振り払い、車道に飛び出た。


 *


【「きっと仕方の無いことなのだ」で始まり「黙って頷いたその瞳があんまり優しくて泣いてしまった」で終わるお話】


2512.『みえるひと』


#twnovel きっと仕方の無いことなのだ。葬式だというのに泣けないのは。弔われている本人がずっと隣にいるのだから。いよいよ荼毘に付すとき「薄情でごめん」と囁く。「君が一番辛そうだよ」そう答えたのは他の参列者だったが、本人も俺を見る。黙って頷いたその瞳があんまり優しくて泣いてしまった。


 *


【書き出し:「白と静寂の世界だ。」】


2513.『雪国の朝』


#twnovel 白と静寂の世界だ。たぶん昨日で世界は滅んだ。それなら目覚めなくてもいいんじゃなかろうか。なんてことを考えている間にも体は動く。だいぶ暖まってきて大きく白い息を吐く。ついでに「白と静寂の世界だ」と口遊む。詩は通り過ぎる除雪車の轟音に巻き込まれた。さらば静寂。おはよう世界。


 *


2514.『業界談話』


#twnovel「いよいよ回転寿司業界のお力をお借りしたく…」「もちろんです。運送業界には、魚の輸送で大変お世話になっていますから」「ありがとうございます。2024年問題が迫っておりましてな。これまでの物流を維持するには『人間は労働していない』で法を逃れるしか…」「ええ。そのための河童です」


 *


《今日の献立報告》


2515.『にんじんしりしり』


#twnovel「今日はにんじんしりしりですよ」「聞き慣れない料理だね」「沖縄料理らしいです。本当は玉子も使うんですけど、せっかく雪中人参を使ってるので油だけで炒めました」「なるほど甘味がある」「甘過ぎたら、シリーズ第二弾で辛味の調整を」「第二弾?」「だいこんすりすりです」「大根おろし」


 *


2516.『はずれみち』


#twnovel イルミネーションのイベントなのに、ついでにライトアップされた木の写真を撮っている。何か趣きを感じて。すると、更に奥にカメラを向ける人がいた。「ライトアップのおこぼれで光っちゃってる木を撮ってます」ほお。会場の端っこを二人して歩く。そういえば出会いのイベントだったっけか。


 *


【#このマイナー妖怪を現代怪談で復活させてやってください 「牛頭馬頭」】


2517.『地獄漫才』


「はいどーも牛頭です!」「バズです!」「馬頭やろうが!お前がバズなら俺はウッディか!」「カウボーイに追い回される方の顔なのにね」「やかましいわ。ちゃんと馬の顔の馬頭ですって自己紹介せんかい」「うっふん♡」「メスの顔すな!」

#呟怖

この漫才をずっと見るのが俺の地獄での責め苦らしい。


 *


【twnvday2023/2/14 お題「質問」】


2518.


#twnvday「苦いのと甘いのどっちがいい?」毎年貰っているうちにサプライズも何もなくなり、チョコの塩梅の打合せまでしている。「ハチとタバどっちがいい?」質問に質問で返す。怪訝な顔をした彼女は、当日、花束を携える僕に目を丸くした。マンネリ打破は成功。次は、とポケットの中の指輪に触れる。


 *


【書き終り:「あの日も、流れる煙を見上げていた。」】


2519.『煙突』


#twnovel 外は冷えるがどうしても見送りたかった。火葬場の煙突から上る煙は、寒さのせいか格別に白く見える。それだけで何となく救われたような気がしていた。ふと、昔もこんなことがあり、そのときは隣に父もいたなと思い出す。初めて銭湯に連れていかれた日だ。あの日も、流れる煙を見上げていた。


 *


【書き終り:「それは人生の灯火だった。」】


2520.


#twnovel 君の行く道を照らす光でありたい。幼い頃から手を引いてきた者としての自負だった。その言葉のまま愛を伝えたけれど、道はとっくに違えていたらしい。きっと私は光に誘われた羽虫。火に飛び込みその身を燃やす。君の心に火を点け、進むべき道へ背中を押すと信じて。それは人生の灯火だった。


 *


《ショートコント飯店》


2521.『翼の折れたエンジェル』


#twnovel「大将、この『翼の折れたエンジェル』って何。いやマジで何なのこのメニュー名」「注文すればわかる」「…それじゃあ」「へいお待ち」「餃子じゃん。あ、羽根つきだったってコト?その取った羽根も出してくれない?あのパリパリ感好きで」「嫌だね。俺の晩酌用だから」「悪魔の翼生えてんぞ」


 *


2522.『ブラックで』


#twnovel「コーヒーに砂糖とミルクはお付けしますか?」「ブラックでいいです」そう答えたっきり、店員さんは固まってしまった。そういえばこういうとき普通にブラックでと言っているが、イエスかノーかを無視した回答なんだよな。気を付けよう。自戒しながら店員さんの解凍を待つ。気怠い昼下がりだ。


 *


【書き出し:「『宝物』をそっと懐に仕舞う。」】


2523.『意識の死角』


#twnovel『宝物』をそっと懐に仕舞う。相手はそれを見逃さなかった。「出せ。残念だったな、無意識の行動は隠せない」そして俺は『宝物』を渡す羽目になった。と、相手は今でも思っているだろう。無意識を語る奴の意識ほど支配するのは容易い。さあ、突き止めたアジトの扉を吹っ飛ばしてネタばらしだ。


 *


【#君があまりにも優しく笑うからの続きをみんながどう書くのか見てみたい】


2524.


#twnovel 君があまりにも優しく笑うから、どうにしかしてその嘘くさい微笑みをひっぺがせないかと考えた。とにかく話しかけて、怒らせて、引っ叩かれて、泣き止むまで胸を貸すつもりが貰い泣きしたりして。そうやって昔みたいにでかい声で笑う君がいる。僕は寝たふりしてその腹に響く声を聞いている。


 *


2525.『人目を惹くファッション』


#twnovel 道行く人を二度見するのももう疲れた。何だこの街は。みんな変身ベルトを装着しているじゃないか。「ファッションだよ。みんなヒーローが好きなのさ」限度があるだろと思ったが、それはここで暮らすヒーローの正体を暴こうとする者の目を惑わせるため。街を守るヒーローを、街が守っている。


 *


【書き出し:「不意に、呼ばれた気がしたのだ。」】


2526.『ふい』


#twnovel 不意に、呼ばれた気がしたのだ。気づかないふりをしてもよかったが、フイにするのも気が引けて、ふいーっと溜息をついて向き直る。そんな俺に不意は「ふふ、呼んでみただけ」などと言うものだから、「こいつめっ」と不意を突いてやった。何かちょっと、良いふいんき(何故か変換できない)。


 *


2527.『ふたり鍋』


「豆腐と白菜でシンプルな鍋にするつもりだった。でも白菜と肉の重ね鍋用の材料が半額で、豆腐はもうカゴに入れてて戻し難くて。そんなわけで一人鍋なのに一人じゃ食べきれそうにないから、今からウチに来ないか」

#twnovel

こんなことでもないと呼ばないからと、何だか言い訳がましくなってしまった。


 *


2528.『禁止看板』


#twnovel 街は禁止を呼びかける看板だらけになり「昔はこんなんじゃなかった」と嘆く住民にインタビューをしました。「民家に押し入るのも、タンスを漁ったり壺を割ったりしてアイテムを探すのもみんな禁止。クレーマーばかりで息苦しいです」訂正します。住民ではなく勇者でした。

#ファンタジー問題


 *


《ショートコント飯店》


2529.『冬の小川』


#twnovel「大将、この『冬の小川』ってクッソ気取ったメニュー名、何」「今日な、川の辺りを散歩してたんだ。立春も過ぎたのに寒いなあと思ってたら、鴨も同じなのか、何羽も固まって川面に浮いてたよ。それを見てな」「風流だな…えっマジで気取ったやつ?」「鴨肉団子の鍋をな」「そうこなくちゃ!」


 *


【書き出し:「最初、聞き間違いかと思った。」】


2530.『え〇えん』


#twnovel 最初、聞き間違いかと思った。そうに違いない。言い聞かせて、なかったことにしようとするも、また、はっきりそう口にするのを聞いた。相手への憧れも、抱いていた知的なイメージも、萎んでいくのがわかる。詩的表現だとしても無理だ。「延々と続く」を「永遠と続く」と言い間違える者など。


 *


2531.『流行りの二毛作』


#twnovel ずっと遊ばせていた農地を使いたいという者がやって来た。「雪下野菜がブームなので一山当てたいなと」いや遅いってばよ。もう雪溶けるよ。「なので、次の冬までは別のものを作ります。二毛作!」そして農地にはソーラーパネルが植えられた。太陽光発電で次の冬まで食っていけるのだろうか。


 *


2532.『結局処理しきれず延長されるやつ』


#twnovel ポイント付与は今日まで、人々が役所に長蛇の列。そのニュースを見て、思い出したのは「最終日に行けば何とかなる」あのイベントだった。夏休み最後のラジオ体操。サボっていてもお情けでハンコを押してもらえた。同情をあてにする人間がこんなにいるのに、完全電子化なんてできるんかいな。

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