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2022年10月分

№2369~2400

2369.『精霊蜻蛉』


#twnovel 近づいても、スマホで接写しても全然逃げないトンボ。調子に乗って指を伸ばすと、なんとそこに飛び移った。ツーショットで自撮りをしたあと、私の周りをぐるぐる飛んでから去っていった。なんというか、勝手だけど、達者でな、と言われたのだと思う。秋晴れの日。今日は祖父の月命日である。


 *


【#このマイナー妖怪を現代怪談で復活させてやってください お題「鉄鼠」】


2370.『鉄鼠のあとしまつ』


#呟怖

近所の寺から、住職が亡くなった後に妖怪が現れて困っていると相談を受けた。おそらく鉄鼠だろうと当たりをつけ、前住職の部屋に出入りするのを確認し、放っておくよう進言した。鉄鼠は、高僧の執念が生む妖怪である。その鉄の如き歯牙で、見られたくないハードディスクを処分しているのだろう。


 *


《ショートコント飯店》


2371.『飛翔ラーメン』


#twnovel「大将、この『飛翔ラーメン』って何」「注文すんの?めんどくせえなぁ」「言ってないケド…何でスープだけ入った丼を置いて厨房に引っ込んだ?」「警報、警報。ただいまより麺が飛翔します。丼に着弾しますので注意してください」「ちょっ、うわっ撥ねた熱ッッッ!」「しゃがんでねえからだ」


 *


2372.『あちらのお客さんにどうぞ』


#twnovel 頼んでないカクテルが「あちらのお客様から」と言って差し出された。その人はもういなかったけど。次も、その次も「あちらのお客様から」が続いたので、待ちぶせをして遂にその人に会う。よかったら、一緒に飲みませんか。「いや、カクテルのコラボグッズが欲しかっただけで…ごめんなさい」


 *


【#このお題で呟怖をください お題「遺髪」】


2373.『通夜振る舞い』


#呟怖

なんだこれは、と怒号が上がったのは、葬儀後の食事会。料理に髪がごっそり入っていたらしい。申し訳ありませんと謝る喪主に、いやあんたに怒ったわけじゃと口ごもる。喪主は深々と頭を下げる。「故人の意向なんです。葬儀にいらしてくださった皆様と共に在りたいと。だから、髪だけじゃなく、」


 *


【お題「嫌いじゃないよ」】


2374.『本心』


#twnovel まだ付き合わないのかと誰かしらから毎日のように言われる。長い付き合いだから逆に踏み込めないの。そう言えばみんな納得してくれるが、私自身は、気持ちを伝えたら友達でいられなくなると思っている。友達のままでは、じゃなくて、友達ですら。ずっと前から、嫌いじゃないよ。苦手なだけ。


 *


【#このお題で呟怖をください お題「猿夢」】


2375.『正夢』


#呟怖

夢を見るんだ。と、男は切り出した。お猿が運転手の電車で、乗客が次々に死んでいく夢。いつも自分の番の前に夢から醒めるのだと。よかったじゃないか。しかし男は首を振る。醒めるのは、乗客の活け造りや挽肉に唾を飲み、手を伸ばしたとき。だから腹が減って仕方ないんだ。男の手が私に伸びる。


 *


2376.『無所属無責任勇者』


#twnovel「魔王城、誰もいなかったから倒したってことでよくない?」と、不在を狙った勇者の投稿で魔王の権威は失墜。国王がよくぞやったと声明を出すも「なんだろう、味方面やめてもらっていいですか」と返されこちらも失墜。勇者への批判が集中し「それあなたの願望ですよね」

#ファンタジー社会問題


 *


2377.『駐車場は土地の終着点』


#twnovel 更地を駐車場にしたいと相談があった。元々のオーナーは何か店をさせたいと言っていたが、相続した現オーナーは店舗を新築するのは難しいと判断したのだ。後日、その駐車場でキッチンカーが営業を始める。「これが精一杯」脱サラしたオーナーが、キッチンカーの窓口からはにかむように笑う。


 *


2378.『ビジネスサウナ』


#twnovel ビジネスサウナに参加する。「こうしてタオル一枚で同じ部屋にいると、マウントの取り合いは無意味になる。ざっくばらんに話ができるからビジネスも円滑になるんですよ」へーそうなんだ。私が立ち上がると「あれえ?早いっすね?」という目で見られた。マウントを感じてどかっと座り直した。


 *


2379.『心理戦』


#twnovel 塩か醤油か。どうせならその店のお薦めを注文したい。できれば訊ねることなく。メインは鶏肉か。良い肉なら素材を味わわせたいに違いない。ならば合うのはシンプルな塩スープ。よし、鶏塩ラーメンひとつ!「…あっ、醤油じゃなくてですか?」外した。ラーメンは醤油じゃなくても美味かった。


 *


2380.『ドトール仕事論』


#twnovel ドトールは頻繁に利用する。仕事前のモーニングとか、仕事の合間のアフタヌーンとか。この後は仕事が控えている、そういった雰囲気にあてられてシャキッとしたいのだ。それからワーキングスペースに移動してパソコンを開く。ドトールは仕事でも頻繁に利用する。ドトールから出ない日もある。


 *


【twnvday2022/10/14 お題「鍵」】


2381.


#twnvday 嫁が出て行った。鍵のかかった金庫を残して。俺の声で開錠できるらしいが、謝罪やプロポーズの台詞を吹き込んでも反応しない。途方に暮れて、今まで言ったこともないような言葉を呟く。聞き届けた金庫からガチャリと音。『理解らない』と言った俺。『理解られたくなかった』という置き手紙。


 *


2382.


#twnovel 映画館。後ろの席にいる子どもがうるさい。上映中も実況しっぱなしで、このホラー映画を観て元気でいられるのは逆にすげえなと怒りなんて吹っ飛んだ。どんな顔か拝んでやろうと、座ったまま横を通るのを待つ。スタッフに「お客さんで最後ですよ」と退場を促される。振り向いて、誰もいない。


 *


《ショートコント飯店》


2383.『長いメニュー名』


#twnovel「大将、メニューの『水の星に愛をこめて』って何。つーか『に』じゃなくて『へ』なんだけど」「黙れガノタ注文しろ」「じゃあこれ」「へいお待ち」「水煮。ああ略すと…じゃあ『愛のままにわがままに僕は君だけを傷つけない』は?」「へいお待ち」「黄身が破れてないきれいな目玉焼きだぁ…」


 *


2384.


#twnovel 今どき珍しくSNS投稿禁止の居酒屋。「憂さ晴らしに飲んでるところを晒されるのはあんまりだろ」でも料理の写真ぐらいなら。「ぼったくり料理を出してるのがバレたら客が来なくなる」どっと笑う常連客。彼らは皆、大将の顔を指名手配で見た気がしているが、酒を飲んで忘れることにしている。


 *


2385.


#twnovel 2045年には大半の仕事がAIに取って代わられるらしい。じゃあ最後まで残る人間の仕事は何だろうか。俺の仕事はさっさと奪ってほしい。今日の呼び出しもひどかった。なぜクライアントは電源のオンオフすら試さないのか。ふて寝した夜は、全知全能のAIの電源を入り切りしている未来の夢を見た。


 *


【「花なんか別に好きじゃなかった」で始まり「暖かで優しい感情を貴方が教えてくれた」で終わるお話】


2386.『花束を君に』


#twnovel 花なんか別に好きじゃなかった。買ったのは仕事上の付き合いで仕方なく。何かその花の名前だけ憶えてしまった。そんな言い訳を並べて、また同じ花を、私が「いいね」と言った花を、新聞紙の花束でくれる貴方。実は私も花なんか別に好きじゃなかった。暖かで優しい感情を貴方が教えてくれた。


 *


【お題『ここから先は立ち入り禁止』】


2387.


#twnovel 生まれ故郷が避難指示区域に指定された。電車にさえ乗ればいつでも帰れるはずの場所だった。「帰りたい」と「死にたい」が近しい感情だと気づいたのはしばらく経ってからのこと。時は経った。もうこの街で死んだように過ごした時間の方が長い。でもここは、死んでもいいと思う場所ではない。


 *


2388.


#twnovel 友人はすっかり人間不信になってしまったようだ。「もう騙されない。すべては仕込みなんだ。あっちもこっちもサクラやエキストラなんだ」これは重症だ。騙される側になりたくないと言っていたのを拗らせている。安心しろ、俺は仕込みじゃない。「本当か…?」ああ。いつも通り金くれたらな。


 *


2389.


「乳酸菌1000倍のやつ、ちゃんと悪夢を見たよ。オムニバス形式で、二度寝してからの一時間でワッときた。でもどれも現実的すぎてイマイチで面白みがなかった。小説のネタにしたかったのに残念だ。一番悪夢だと思ったのは…#twnovel のタグを付け忘れたものが実話扱いでバズったっていうのは怖かった」


 *


《ショートコント飯店》


2390.『ファクトチェック飯』


#twnovel「大将、このファクトチェック飯って何」「嘘を嘘と見抜けない人には難しい」「うっせえわ。注文するわ」「このステーキの牛肉は高級山形牛である。本当か嘘か見抜けないと料金二倍」「げっ。じゃあ当てずっぽうで…これは山形牛じゃない!」「名誉棄損で訴えます」「これ客めっちゃ不利ィ!」


 *


【#このお題で呟怖をください お題「隣人」】


2391.『おすそわけ』


#呟怖

今のアパートに越してから、食が豊かになった。お隣の女の子が毎日のようにおすそ分けをくれるのだ。しかも肉料理。最近、壁越しに父親の声が聞こえなくなったし(出張か?)寂しいのだろう。怒鳴り声ばかりの親でも。おすそ分けが途切れた頃、警察が来た。犯人の証言によると、俺の腹の中には…


 *


《ショートコント飯店》


2392.『FX丼』


#twnovel「大将、このFX丼って何」「とけるやつ」「偏見すご。あ、でも、口の中でとけるようないい肉使ってるってこと?注文します」「へいお待ち」「ただの白米」「肉は俺がとかした」「ざけんな」「その意気だ。お前のFXを他人に委ねるな。ほれ、どうせとかすなら、自分の手でとかしな」「生卵…!」


 *


2393.


#twnovel 店舗を持たない宅配専門店があるのは知っていたけど、包丁一本さらしに巻いたおっさんがやってきたのは驚いた。うちのキッチンで作ってくれるらしい。おっさんのレパートリーは豊富で、毎日のように注文した。やがて「ここがあの店?」と訪れる者が現れた。おっさん、うちを店舗にしたのか。


 *


【「まだこんな場所があったのか」で始まり「焦げたトーストは、苦いのにやたら美味しかった」で終わるお話】


2394.


#twnovel まだこんな場所があったのか。AIが発達し料理の一切を受け持つようになってからは栄養バランスの整った「標準食」が普及した。だから人間がテキトーに作った料理を出す店は、このような未開の地でしか出会えないのだ。モーニングを注文する。焦げたトーストは、苦いのにやたら美味しかった。


 *


2395.『臥薪嘗胆』


#twnovel 山形、ラーメン支出額ランキング一位陥落。山形出身のアイツ凹んでるかなぁと様子を見に行くと、意外に平気そうだった。「こういうこともあるさ。それに、ハロウィンの時期じゃん」どういうこと?「今は仮装してるのさ。本当は一位なのに二位に甘んじているラーメン王国の仮装を…」怖ぇよ。


 *


【「誰かに会いたいと思うなんていつぶりだろうか」で始まり「そのときの手紙はまだ大切にしまってある」で終わるお話】


2396.『まだ会ったことがない誰かを探している』


#twnovel 誰かに会いたいと思うなんていつぶりだろうか。何故こんな気分になったのか、たぶん、金ローで君の名はを見たせいだと思う。劇場で見たときもそうだった。会いたい勢いで、まだ会ったことのない誰かへの手紙をしたためてしまった。それで満足して、そのときの手紙はまだ大切にしまってある。


 *


2397.『美味い炒飯』


#twnovel 炒飯はパラパラの方が美味いとよく聞くが、近所の店の炒飯はべちゃっとしている。店の炒飯が美味いのは拉麺のスープを使っているからとも聞くので汁気が多めなのだろう。そうおやじに言ってもピンときてない様子だった。「美味い」の法則から悉く外れているこの炒飯だが、美味いからいいや。


 *


2398.『べんけい』


#twnovel 囲炉裏のそばにある藁の詰まった籠。これは何かとばあちゃんに問うと『べんけい』だと教えてもらう。どう使うんだろう。「名前の由来になったお坊さんのようにね、魚ごと串をいっぱい刺す」べんけいかわいそう。「で、吊るし上げて、囲炉裏で火あぶりにする」べんけい、そこまでされたんか。


 *


【#このマイナー妖怪を現代怪談で復活させてやってください お題「砂村の怨霊」】


2399.『名前のない怪物』


#呟怖

カボチャ頭が「トリックオアトリート」じゃなく「おれはなに?」と訊いてきたら気を付けろ。物知顔で「ジャックオーランタン」と答えたら「違う」と蔦を伸ばして襲ってくる。それが『砂村の怨霊』だ。そう呼べば退散するかって?無理だ。それは“名前”じゃない。伝わってないんだ、本当の名前は。


 *


《今日の献立報告シリーズ》


2400.『カーボロネロ(黒カボチャ)』


#twnovel「今日は特に名前のない料理ですよ」「ベーコンとほうれん草の炒め物?」「ほうれん草ではなく、カーボロネロ。こう見えてカボチャです。はっぴーはろうぃーん」「あ、これ酒のアテにいける」「どや」「焼肉の鉄板の端っこで焼かれ過ぎたカボチャの味がして美味い」「的確だけどフクザツです」

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