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2022年9月分

№2339~2368

2339.『覚醒』


#twnovel 噂の菌が千倍という乳酸菌飲料を飲んで寝てみたが、悪夢は見なかった。いや、目が覚めて伸びをしたとき、もう忘れていた。何も変わらないまま年を経てしまうことへの恐怖と後悔は、ただの悪い夢だったのだ。誕生日おめでとう、今日も特に何もない自分。仕事帰りにケーキでも買ってみようか。


 *


2340.『ご当地ガチャ』


#twnovel 最近「ご当地ガチャ」が流行っているそうだが、先駆けというか、うちの会社には定期的にご当地ガチャをする制度がある。ついさっき引いた。『山形県』…嫌だ…肉も果物も美味しいが…その農畜産物が美味しく育つために夏は暑く冬は寒い過酷な環境が整っている土地になんて転勤したくない…!


 *


2341.『もんじゃを焼くからもんじゃ焼き』


#twnovel「もんじゃ焼きって、焼く前のが…○○に見えて嫌なんだよね」とぼやいたら、牧場に連れて来られた。そこでは、焼く前のもんじゃがスライムのように活き活きとしていた。人に良く懐き、餌の豚肉を取り込んで豚玉、エビならエビ玉の個体になるもんじゃ。「どうだ?」別の意味で食べ辛くなった。


 *


【お題「二番目でも良いですか?」】


2342.『発破』


#twnovel ポカンとしてしまった。そんな言い方をされたことはなかったから。みんな、もう充分だと、その時期だと、労いの意味でかけてくれた。だが、目の前のこいつは。引導を渡してくれるはずの、若僧が。「二番目でも良いですか?」の問いに、口角を上げて答える。「お前の下なんて、何番でも嫌だ」


 *


【#このマイナー妖怪を現代怪談で復活させてやってください お題「獏」】


2343.『誰が悪夢』


#呟怖

人が夢を見ない時代。なのに、久々に会う獏はひもじい思いなどしていないようだった。「最近は出歩かなくても、人間の親が子を連れて来るようになったよ。悪い夢を見ているから食べてくれって」へえ、どんな悪夢?「ゆーちゅーばーになりたいっつってたかな。本人は悪夢とは思っていなかったが」


 *


2344.『教祖の日記』


#twnovel インチキ教祖やってて一番辛いのはガチ信者との面会。今日は大病を患う女の子の父親。「金出せば治るよ」とは言えなくて「神の傍で幸せになるんだよ」とケアする方向に。すると「奪っていく君を殴らせろ」と。俺も「娘さんをください」と応じ、二人で泣きながら殴り合った。神の無力が辛い。


 *


2345.『そして舐めとる』


#twnovel 人は誰しも心に獣を飼っていて、俺の場合はオオアリクイ。ハズレっぽい。でも、人を殺すこともある獣らしいので注意して付き合っていきたい。たとえば、大切な彼女が怖がっていたり泣き叫んだりする姿を、魅力的と思わないように。餌を求めるオオアリクイは蟻塚を抱き締めて破壊するらしい。


 *


【#このお題で呟怖をください お題「アメオンナ」】


2346.『雨女リフレイン』


#呟怖

しとしと雨の降る夜。昔、こんな日に雨女と会ったことがある。雨の夜に泣いている子は雨女に連れていかれるという話。それから逃れた僕は、成長し、家にも学校にも居場所がなくて泣いている。雨女は僕に頬を寄せて泣いている。あのとき連れていってあげればよかったね。そう囁いて、泣いている。


 *


2347.


#twnovel いつからか蝉の鳴き声は鈴虫のものに変わり、秋を感じる。風流な気分で歩いていると早速鈴虫の声がした。そこには腹を上に向けた蝉がいた。そうか、人間は鳴き声で別の虫と思っているけど、本当は同じ虫が声色を変えているのかもしれない。唐突に始まるセミファイナル。私もでかい声が出た。


 *


【お題「愛の値段」】


2348.『サブスク彼女』


#twnovel 彼女との関係は月々定額のサブスク制。会いたいときに会って、メンテは人任せだから俺の手間は何もない。それが歯がゆい。俺は彼女が生きていてくれるように、入院費を払うことしかできない。退院したら関係は解消するつもりだ。命を買い上げたとしても、愛の値段が込みなのか、自信がない。


 *


2349.『追放村』


#twnovel パーティ追放が流行ったせいで、追放者の集まる村ができる。皆、自己肯定感が低いので、スローライフを望むが、意外と重労働だと気づき、一転して出稼ぎ希望者が村の仕事を押し付けるため戦い合う。そこで初めて真の実力が発覚し、村ごと焦土と化す惨事が起きている。

#ファンタジー社会問題


 *


【「冷たい風が頬を刺す」で始まり「炭酸の強いラムネは涙の味がした」で終わるお話】


2350.『辛口ラムネ』


#twnovel 冷たい風が頬を刺す。日に日に「夏は終わった」と知らせる夕暮れ。夏らしいこと何もしなかったと思う矢先に現れる屋台。昔のようなどんぶり勘定で百円の瓶ラムネ。迷って「辛口」を選ぶ。もう夏夏言ってられる子どもじゃない。甘すぎるものは口に合わない。炭酸の強いラムネは涙の味がした。


 *


【twnvday2022/9/14 お題「ホームラン」】


2351.


#twnvday 野球は九回ツーアウトから。つつがなく進む結婚式を眺めながら、そんな言葉を思い出した。今から逆転は可能なのか。いや、ホームランだってバットを振らなければ出ないんだ。「ちょっと待った」と立ち上がる。「小さい頃、パパと結婚するって言ったじゃないか!」「特大ファールだ座ってろ」


 *


2352.


#twnovel 商店街の朝のゴミ拾いには、仮面のヒーローが参加する。ある店のマークを付けているから、その店の店長が正体ではと皆言っている。僕は本当の正体を知っているが口止めされている。「何で店長さんはこのためだけに人を雇うの?」「ゴミ拾いに参加してないと、集会での発言権がなくなるのさ」


 *


【「君はきっと知らないだろうね」で始まり「黙って頷いたその瞳があんまり優しくて泣いてしまった」で終わるお話】


2353.


#twnovel「君はきっと知らないだろうね」台風が接近する中、僕は蘊蓄を披露した。「地震雷火事おやじのおやじって、実は台風のことなんだ」と。だが「それ創作ですよ」と聞こえた気がして、目が口ほどにものを言うと評判の君を、じっと見つめる。黙って頷いたその瞳があんまり優しくて泣いてしまった。


 *


【「手紙が届いた。差出人の名前はない」で始まり「そのときの手紙はまだ大切にしまってある」で終わるお話】


2354.


#twnovel 手紙が届いた。差出人の名前はない。こういうことがあるたびに、心の中でありがとうと言う。本人はバレないつもりでも突き止める方法はいくらでもあるし、何より誹謗中傷の物的証拠があると裁判で有利になる。全員逃がさねえからな。ということで、そのときの手紙はまだ大切にしまってある。


 *


2355.『休憩中アイス』


#twnovel ビジネスチャンスは一分一秒を争う。ネットのバズりが発信なら尚更だ。何としてもその消費スピードに間に合わせようとする姿勢には、毎度、頭が下がる思いだが…『クレーマーが大激怒!役所の人が休憩時間を使ってまで食べたかったアイスはこちら!!』…さすがにこの売り方はどうなんだ…?


 *


2356.


#twnovel 祭りの日。人だかりの後ろから、精一杯腕を伸ばして神輿行列にスマホを向ける。躍動、喧噪、打ち上がる花火も、配信のため確りとカメラに収める。本当はスマホではなく彼女の手を握っていたかった。祭りにはいかないと言った彼女も、僕の配信を観ているはずだ。できたばかりの彼氏と一緒に。


 *


2357.


#twnovel「看護師長、あの入院したっきり面会謝絶の人、大丈夫でしょうかね?」「いないよその人」「えっ」「建前上そうしてるだけだから」「で、でも、その人の病室から確かに人の気配とか音がしますよ?」「そうなのよ」「えっ」「何かわかんないけど、何かいるっぽいからこういうとき利用してるの」


 *


【#このお題で呟怖をください お題「メリーさん」】


2358.『オーバーキル』


#呟怖

メリーさんに憑かれてしまったときの対処法は「今、あなたの後ろにいるの」と電話がくる直前に背を壁にくっつけること。「今、壁の中にいるの」と敗北宣言を聞けば退治完了。ドジっ子で助かったわ。笑いながら歩きだすと、さっきまで背を預けていたビルが、ドジっ子が転ぶように倒れ込んできた。


 *


《ショートコント飯店》


2359.『あたるやつ』


#twnovel「大将、このメニューにある『SSR』って何」「大当たりするやつ」「いや、だから何」「またまた。わかって注文したんだろ。ほら、生レバーだ」「超レアだわ…ごめん、キャンセルで」「さすがに冗談だよ。んじゃ、通常ガチャにしとくか」「いや、それも何」「ほら、牡蠣だ」「なるほどなぁ…」


 *


【「好きって言ったら怒る?」という台詞で始まり「ふと思い付いて、ごく自然に筆を執った」で終わるお話】


2360.


#twnovel「好きって言ったら怒る?」「当然。単純すぎる」もっと捻りを、との御所望だったので考えているが…『月がきれいですね』…スベる気がする。そうだ、この愛の言葉は引用ということにして箔をつければどうだろう。誰の言葉にしようかな。高名な作家で…ふと思い付いて、ごく自然に筆を執った。


 *


2361.『どっちもどっち』


#twnovel 彼氏がフードコートでお盆を持ちながらキョロキョロ自分を探してる姿を見ると冷めるって言うけど、探してもらえるだけマシだと思うよ。私は、彼氏が一人でガツガツ食べてる姿を見ることになったから。「探してる間にメシが冷める。だからお前だって食い終わってから探しに来たんだろ」てへ。


 *


2362.


#呟怖

チェーン店が出す「昔懐かしの味」なんて偽物でしょ。一口目には「やっぱり」と思ったが、食べ進めるうちに、何だか、ずっと昔からこの味を知っている気持ちになってきた。食後のお冷や、その水面に映る自分の顔に愕然とする。懐かしいわけだ。食べ終わるまでにどれほどの時が経ったというのか。


 *


【#このマイナー妖怪を現代怪談で復活させてやってください 「大かむろ」】


2363.


#呟怖

スマホの画面に変な顔が出て動かなくなる。詳しい人は「これは小かむろ。まだ続くぞ」と言い、その言葉通り、今度は中かむろにテレビの画面がジャックされた。次は襲われるそうだが、これ以上大きな画面なんてないでしょ。そう油断するうちに忘れてしまっていた。映画のスクリーンを見るまでは。


 *


【#このお題で呟怖をください お題「秋」】


2364.


#呟怖

あっ小さい「秋」みつけた!との声を聞き何を言ってるのかと見てみると落葉の山の上に本当に「秋」がいた。逃げ出した「秋」を追って山の奥へ奥へと。「秋」を見失い、帰れなくなってここにいる。そういえば、みつけた!と言ったあの声は誰のものだったのか。私はソロキャンプに来ていたはずだ。


 *


2365.『呪いのASMR』


#twnovel 聞いた者が全員発狂すると噂のASMRを入手した。すごく怖い怪談を聞かされるとかだろうか。期待と不安がない交ぜになりながら、イヤホンを装着し、再生する。『当ASMRのプログラムを説明します。これから、ゴキブリが耳の中に入り込む音と、ゴキブリが鼓膜を食い破る音を続けてお送りします』


 *


2366.『異物混入』


#twnovel 和菓子に異物混入とのクレームがあったと報せ。老舗というだけではやっていけず、事業を広げすぎたのが油断に繋がったのか。事を重く見て直々に謝罪に伺う。お客様は言った。「重曹使ってるんだってな!掃除用具じゃねーか!」私は「医薬品でもありますよ!」と豆知識で殴り返した。拳でも。


 *


2367.『招き猫』


#twnovel 店先に猫が現れるようになった。もちろん餌付けは無責任なのでしない。いつしか猫を追ってきた初見の客が訪れるようになり、客寄せしているならと対価に餌をやる。猫目当ての客のために、遂に店内へ雇い入れる。給与は賄い。不満らしく客にチップをねだるので、うちの店ではイカは出さない。


 *


2368.『最後に待つ者』


#twnovel 月末は孤独だ。特に九月は。上半期の決算期であるからして、残業は必至。同僚が次々に帰るのを最後の一人になるまで見送り仕事をした後、戸締りをして職場を出る。こんな私を待っている者など、いな「よう、まさかこのまま帰ったりしないよな。一杯()りに行こうぜ」プレミアムフライデー…!

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