2020年3月分
№1612~1641
1612.
#twnovel これは夫につけられた傷。そう言うとDVかと驚かれるけど、幼い頃の話だ。ちなみに結婚の理由もこの傷。責任とってくれたんだねと言われるがちょっと違う。「過ちを忘れなければ、より良い生き方ができる」と彼は言った。だから安心したのだ。私も、償いを求める生き方をしなくていいのだと。
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1613.
#twnovel 皆、遂に「お代理様は何の代理?」問題に終止符が打たれるときがきた。確かな筋からの情報によると「お雛様」とはそもそも壇上の全員を指すらしい。つまり「お代理様とお雛様」という歌詞は、お代理様以外の9人でワンチームなのを意味している。お代理様は、野球の代打のことだったんだよ!
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1614.
#twnovel カーナビ相手に惑わされながらドライブするのも面白いと思っているけど、乗せた彼女はそうでもないらしく「車が恋人なのね」と別れたことが何度も。もうそれでいいかなあ、とぼやいたら、カーナビにでたらめな道を走らされる。『目的地周辺です』と示されたのは、ラブホ。『休憩しませんか』
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1615.
#twnovel「雪どけラーメン」隣の客の注文を聞いて、何だその風流なラーメンはと自分も頼む。春先だというのに吹雪に見舞われ、あったまるものを食べたかったのでちょうどいい。おまちどおさまと出されたラーメンは、なるほど温かいスープに、雪のように白い粒が浮かんでこれ背脂じゃねーか。しあわせ。
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【ついのべ三題ったー「頭痛」「日曜日」「頭痛」】
1616.
#twnovel 土曜日です。昨晩、日々の頭痛の種からちょっとだけ解放されて、5本空けたのが間違いでした。ストレスで中和されないストロングはストロンゲストでした。布団から出られません。気が付くと二度寝していて、二日酔いの頭痛も治まっていました。ようやく休日が始まります。もう日曜日です。
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1617.
#twnovel「今年のアカデミー賞の映画、どうだった?」「見てない」「私も見てないから評価アテにしてたのに」「見たやつ知ってる?」「知らない。周りにいないかも」「そもそもいつどこでやってたんだろう」「受賞の理由って批判がなかったからじゃないかな」「誰も見てないから批判できないってか…」
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1618.
#twnovel 昔の作家は滅茶苦茶だったのに今の作家は大人しくなったねえ、と君は言うが、そうではない。変わったのは読者の方だ。昔は、文豪は住む世界の違う住人だった。それが今では発表の場が開かれ市井に作家が溢れている。すぐ傍に頭のおかしい奴がいるかもしれない恐怖が読者に夜警をさせるのだ。
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1619.
#twnovel「今日はパラパラのチャーハンですよ」「パラパラですか」「秘策があります。何とマヨネーズを使うと簡単にパラパラになるのです」「聞いたことある!」「では早速、炒める前のお米にマヨ」「ふむ」「ある程度炒めてから追いマヨ」「えっ」「最後の盛りつけに絞りきる勢いでマヨ」「やめて!」
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1620.
#twnovel もうだめかもしれない。あのときそう言ったのは、楽しいことが大好きな奴だった。何をやっても虚しくなると言っていた。乗り越えるためにボランティアに行って、もうだめかもしれないと言い出した。なくしてしまったらしい。歌とか、絵とか、それしかできないなんて言える人間になる覚悟を。
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1621.
#twnovel 新型ウイルスの感染拡大を受け、国王は、勇者選びの延期を発表。剣を引き抜く際、不特定多数との間接的な接触が避けられないためと説明している。一方、魔王も不要不急の侵略を控えるよう部下に命じており、事態が収まるまで、王国は平穏な日々を送ることになりそうだ。
#ファンタジー社会問題
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1622.
#twnovel 久しぶりにやってきたら、この街はどうなっちまったんだ。人影はなく、まるで活気がなく、たまに出くわした人間は「マスクをよこせ」と襲い掛かってくる。これじゃ逆じゃねえか。追い払うためにチェーンソーをバリバリ鳴らす。つーか、ホッケーマスクで本当にいいのか。見境なさすぎだろう。
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【twnvday2020/3/14 お題「産声」】
1623.
#twnvday 時代を間違えたとか、何も今じゃなくてもとか、反対はあった。しかし、生まれるものは生まれるのだ。それに、こんなときだからこそ、だろう。何も取り繕わず右往左往する様を見て、助けようと思うのか滅ぶべきと思うのか。やがて人間を超える新たな命が静かに産声を上げた。ハローワールド。
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【#サカイメの書架応募 お題「青空」】
1624.
空の写真を撮って何が面白いんだろう。馬鹿にしていたけど、抜けるような青空を見たとき、何とかして残したいと思った。でも写真だと切り取ることしかできなくて、360°見回してるうちに、同じようなことをしてる人と目が合った。「いい天気ですね」って、こういうときに言うのね。
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【#サカイメの書架応募 お題「親子」】
1625.
パパはかっこわるい。漫画のヒーローみたいだった頃もあるよとママは言うけど、その頃の夢も諦めてるじゃない。好きなこと何もしないで、私が調子づいたときも、ダメになったときも、どんなときも傍にいるばっかりで。ありがとう、私の親になってくれて。私を主人公にしてくれて。
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1626.
#twnovel 全国でヒーラーが悲鳴を上げている。新型ウイルス感染症対策として【キュア】の需要が高騰しているからだ。「状態異常が確認できない人にも【キュア】を求められるので、他の回復魔法の処置に支障をきたしている。不安はわかるが、冷静な行動を」と呼び掛けている。
#ファンタジー社会問題
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【『夜道』を舞台に、『復讐』と『小鳥』と『奪取』の内二つをテーマにした話】
1627.
#twnovel「夜道には気をつけろよ」そう脅しても、小鳥の囀りほどに気にしていないようで、鼻歌まじりに歩く姿は不用心が過ぎる。今日も家に着くまでに恨みを買っているのであろう人間に3回は襲われかけた。全部俺が片づけたが。か勘違いするなよ、お前に復讐を遂げるのはこの俺ってだけなんだからな!
1628.
私からアレを奪っていった小鳥を追いかけて追いかけて、とうとう夜になってしまった。薄暗い夜道、すぐそばで自転車のブレーキ音を聞いてはっとする。ぶつかるところだったのだろうか。すみません、青い小鳥に奪われたんです。時間を。#twnovel「ツイッターに没頭して歩きスマホするのはやめなさいね」
1629.
#twnovel ソレは、ずっと復讐の機会を窺っていた。かつて自分たちを地下へ追いやった人間どもから、地上を奪取するその時を。運命の夜、各地でマンホールの蓋が持ち上がる。だが目撃した者はいなかった。不要不急の外出を控えていたから。時期が悪かった。ソレらは新型ウイルスで、人知れず全滅した。
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1630.
#twnovel 人を殺してはいけない。その本質を、私は規制ではなく自戒だと考えています。自分のせいで家族に迷惑をかけられない、好きなものまで悪く言われたくない、と。そのふたつを私はクリアした。家族に勝手に断捨離され、無趣味にさせられた私は、何も気兼ねすることがなかったんです、刑事さん。
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1631.
#twnovel いいか、今日3月20日がXデーだ。いつも以上に気を引き締めてパトロールにあたるように。何があるのかって。ワニが死ぬんだよ。それで後追い自殺が出るのかって。そうじゃない。ワニを失って、野に放たれちまうんだよ。この100日間、ワニに「早く死ね」と言い続けてきた危険な連中がな。
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1632.
#twnovel 宅配シェフを頼んでみた。新しいオプションのモニターになれば値引きするとの話だが、シェフは普通に調理を終え、さあ食べようというときに、オプションでついてきた男が「これは失敗作だ、食べられないよ」と言った。「店に来てください、もっといいものを出しますよ」とクーポンを貰った。
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1633.
山形県はラーメン消費量が全国一。ラーメンを食べる頻度の高さ、そしてスープまで飲み干せることはステータスとなる。よって山形では、太ってる男の方がモテるのだ。
#twnovel
「って言ってますけど本当のところは?」「みんなラーメン食べてていい男も太ってるってだけだから度合いは関係ないかな」
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1634.
#呟怖
低く飛ぶ鳥を目で追ったら、そこに鳥居があった。へえ、気付かなかったなこんな裏路地に。何を祀っているのか知らないが詣っておくか。路地に足を踏み入れると、先に鳥居をくぐった鳥が、ぼとりと落ちた。ぞっとして踵を返す。来た道にも鳥居があった。振り向けない。狭まってきている気がする。
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1635.
#twnovel これ以上の感染拡大が続くようなら、王都封鎖もありうる。国王の発言に、そんなことができるなら侵攻される前に封鎖しろよと国民は文句を言い、侵攻していた魔物たちは出られなくなったら困るので続々と引き上げ始めた。活気がなくなったと国民はやはり文句を言った。
#ファンタジー社会問題
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【ついのべ三題ったー「骨」「名刺」「屋台」】
1636.
#twnovel ラーメン業界で荒稼ぎしたいと思っていた矢先、ひと味違うと言われる屋台の噂を聞いた。どうやらスープに秘密があるようだ。店主に名刺を見せて商談をもちかける。だが「横文字だらけで気概を感じない肩書だ」と門前払いされてしまった。「骨がありそうなら出汁に加えてやったものを」何て。
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【ついのべ三題ったー「目玉焼き」「勇気」「牛乳瓶」】
1637.
#twnovel 君がいないと何にもできないわけじゃないと、自炊にチャレンジしてみる。食パンがあったので、それに合わせて冷蔵庫にあった卵を使って目玉焼き。瓶の牛乳を添えれば、ほら立派な朝食だ。優雅な朝に必要なものは揃った。あとは勇気だけだ。君がいないと、俺はこれらの消費期限がわからない。
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【ついのべ三題ったー「爆竹」「耳」「白鳥」】
1638.
#twnovel 白鳥の群れが飛んでいた。後から聞いた話だが、飛び立つところを撮りたかった誰かが、爆竹で驚かせたらしい。そのとき白鳥の鳴き声を聞いたと思ったが、どうやら爆竹の音だったようだ。なんかロックっつーかメタルっつーかちょっとよくわからなかった。そう言ったら群馬県民にぶん殴られた。
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1639.
#twnovel 呼び止められた気がして振り返る。こんなところに小路があったのか、長くこの町に住んでいるのに知らなかった。きっとそんな場所がたくさんあるのだろう。そうだよ、だから行くなよ。さっきと同じ呼び声がする。ごめん、でも決まったことなんだ。引っ越し前の散歩は感傷的になっていけない。
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1640.
#twnovel 食べ物の味がよくわからなくなった。新型ウイルスに感染したのかもと思ったが、風邪みたいな症状は特にないので、気のせいかなと放置。やがて完全に味がしなくなり、取り乱して、部屋の隙間から勝手に生えてきた奇妙な果実をもぎ取る。ちょっと前に魔が差して食べて以来だ…やっぱり美味い…
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1641.
#twnovel 遂に我が県でも感染者が出た。「ベスト4にまで残ったのだから、こうなったら最後になるまで帰省しない」なんてお前が言ったばかりなのにな。え?出たなら帰る?そ、それは、応援してたのに負けたら掌を返す民衆特有のアレ。やめろ!そういうのはオリンピックだけにして…延期してるよ畜生!




