2020年2月分
№1575~1611
1575.『地震大丈夫』
#twnovel ああ、あの地震ですか。びっくりしましたよ、震度5弱だったんでしょう。それは間違いだって、そんなはずないでしょう。だってトレンドに上がってるんですよ。みんな言ってるってことはあったんですよ。私は寝てて気づかなかったから取り急ぎ「5弱!大丈夫ですか!」と呟いただけですけど。
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1576.
#twnovel「クソッ、何でだ!」新型ウイルスの流行でマスク需要が高騰する。それを狙って転売用に大量購入したのに入札がない。ネットに張り付いてて気づかなかったが、もう沈静化したのか。外では誰もマスクをしていない。街頭テレビでは国民のほとんどが感染したと。しまった。マスクつけてきてない。
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1577.
#twnovel 同じ屋台で同じ注文をし、同じ景色が見える場所で、同じタイミングで花火に感嘆の声を漏らす。そんなことを同じイベントで、同じ人と何年も繰り返している。待ち合わせでもしているかのように同じになるが喋ったこともない。話しかけて嫌われて、もう会えなくなるよりはマシだと思っている。
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《今日の献立報告シリーズ》
1578.『フルコース』
#twnovel「今朝はフルコースですよ」「えっ」「順番どおりに出していきますね。前菜のお漬物です」「はあ」「味噌スープです」「あの」「鮭フレークと、畑のお肉・納豆です。冷や飯のソルベにお好きな方をかけて」「出来たものから出してるだけだろ!しかも途中で諦めてるし!」「寝坊しましたが何か」
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1579.
#twnovel「監督!ベテラン俳優がクスリで捕まりました!」「何ィ!黒い関係がなさそうな若手を使え!」「監督!若手が不倫しました!」「何ィ!モテなさそうなパッとしない奴を使え!」「監督!絵面が地味です!」「何ィ!バ美肉させろ!」「監督!イキって炎上「もう全部AIでいいんじゃないかな役者」
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1580.
#twnovel 子どもの頃の歌を繰り返し聞いている。部屋の扉を閉めて、イヤホンで耳を塞げば、もう子どもではないと現実を突きつけられることもない。しばらく横になり、天井を見つめ、起き上がって、着替えて扉を開ける。もう少しだけがんばってみる。あの頃の歌って何だか勇気を謳うものばかりだから。
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【#サカイメの書架応募 お題「クラス替え」】
1581.
「前も同じクラスだったじゃない」なんて詰られても本当にわからないんだって。何でだと思ったけど、そうか眼鏡がないせいか。油断してたら次の年も「前も同じクラスだったじゃない」と怒られて、その次の年も繰り返して、何で覚えられてるんだと興味を持ったのが馴れ初めでした。
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【#サカイメの書架応募 お題「ダイヤモンド」】
1582.
君はダイヤモンドの原石だ。その言葉を信じて、しかし従わずに、ごつごつした原石のままこれまでやってきた。いざというとき、カドが取れて転がるだけの加工品より、意外と踏ん張りが利くものさ。ということで、あとは平坦な人生じゃなくなってからが勝負だ。まあ今に見てなって。
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1583.
#twnovel 雪がないせいで商売あがったり。よく聞くし、うちもそうなんだが、どうも言い出しづらい。だって他は、スキーとか、雪像とか、雪で商売してない人にとっても待ち望んでるものでしょう。うちはそうはいかない。あ、板金工場です。普通ならこの時期、スリップした事故車の修理とかやってます。
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1584.
#twnovel またか。このSNSは定期的に障害が起きる。そしてユーザーも、この時を待っていたと本性を現す。素振りの名目で流れていく普段は言えない不穏な空リプ。本当は見て見ぬふりをしているだけで、障害なんてないのでは。益体もないことを思いつつ、逢魔が時をやり過ごすためそっとスマホを閉じた。
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1585.
#twnovel「ごめん」「何に謝ってるの?何で私が怒ってるかわかってる?」「わからない。だから今のは、わかってやれないことへの『ごめん』だ」「…」「…はい」「はい?」「手詰まりだ。ヒントくれ」「自分で考えてください」「いいロールしたんだから何かあるだろ!」「言うほど琴線には触れてない」
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1586.
#twnovel チェーン店でグビグビ飲む酒もある。居酒屋でしっとり飲む酒もある。立ち飲みでぱぱっと飲む酒もある。家飲みでだらだら飲む酒もある。公園でこそこそ飲む酒もある。飲みたい酒は、その時々で違うものだ。「アンタ、医者に止められてんだろう」呆れ顔で出されるノンアルコールも、また一興。
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【『舞台裏』を舞台に、『椅子』と『奇術』と『再開』の内二つをテーマにした話】
1587.
#twnovel 椅子に座った御婦人に布をかぶせ一瞬で消失させる。当然ながら、この奇術には会場から選ばれた婦人の協力が不可欠である。奇術の成功に、何も知らない婦人の夫も拍手喝采。舞台裏では今頃、婦人は本当に姿を消しているだろう。協力も何も、夫から逃がしてほしいと頼んできたのは婦人の方だ。
1588.
#twnovel 舞台裏では協議が続けられていた。彼らの中心には剣が刺さりまくった箱。脱出するはずの演者が中で死んでいた。問題は誰が刺したとき死んだかだ。このままでは全員が共犯で誰もいなくなってしまう。協議の結果、ショーを再開した。観客にも一人ずつ刺させて真の全員共犯、一蓮托生にしよう。
1589.
#twnovel ではここで、人をダメにするソファ製造の舞台裏を見てみよう。生産ラインの作業はすべてAIによって行われている。それというのも、人間はすべてダメになってしまったからだ。これはAIによる反乱なのか、人類が再起する日は来るのか、わからない。ていうか、ソファが快適だからどうでもいい。
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1590.
#twnovel それもこれもあの探偵が悪いんだ。閉鎖された環境に探偵がいるなんて殺人事件が起きると予告されてるようなものじゃないか。だったら被害者にならないために、みんなやることは同じだろ。俺もそうした、だから生き残った。なのに探偵がいないなんて嘘だろう。いたんだよ、あのとき、確かに…
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1591.
#twnovel 店が混んできて相席になった。対面に座ったのが女性で、気後れしながら麺をちゅるちゅる啜っていると、対面の彼女はずるるると音をたてた。ふっきれて俺もずぞぞぞぞ。そうだ、これが俺のラーメンの食べ方だ。スープを飲み干した俺を、彼女はドン引きした感じで見ていた。これはアカンのか。
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1592.
#twnovel カラフトラーメン?カラフトってあの樺太?なら、あちらさんの郷土料理なのだろうか。具はニラと玉子で樺太っぽさはないけど。いや樺太の文化よく知らんけど。名古屋発祥だけど台湾ラーメンとかそういう文化かしら。どうなの大将。「辛めのスープで太麺使ってるから」おのれ何でも略す文化。
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【twnvday2020/2/14 お題「マスク」】
1593.
#twnvday 下駄箱に匿名の手紙を貰った。チョコをくれるらしい。こっそり渡したいので放課後に、と。恥ずかしい気持ちはわかる。俺もたまたまマスクをかけてなければ、にやけてるのがばれて笑われただろう。そして放課後、約束の場所に現れた恥ずかしがり屋は、覆面マスクを被っていた。そこまでかよ。
1594.
#twnvday 仮面の戦士にならないかと誘われた。この世界には悪が満ちている、自分以外の誰かになれば勇気が出るはずだ。断ると、ヒーローが好きなくせに何を学んだのかと罵られる。学んだよ、本当は敵なんていない方がいいってことを。液晶画面の中だけの世界で、感情的に言葉を投げ合う戦いは嫌だと。
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1595.
#twnovel「寒天の日。風情があるじゃないか」そう言って、傘を広げる。「雨模様で冷え込みも強い。そんな嫌なことばかりの日でも、名前をつけて祝おうっていうんだから、粋だね」いや透明でぷるぷるなアレのことだとは思ったが、今言うのも無粋かなと黙っておいた。それでもいいやって気分になったし。
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1596.
#twnovel「最近クスリとか不倫とかの報道多いッスね」「あれ、カラクリがあってな。今、バレやすくなってるんだよ」「へえ」「調査のために動くのが警察だけじゃないから」「何でですか?」「『新型ウイルスの感染者かも』って通報すればかなり細かく行動を洗ってくれる。相手を嵌めるなら今なんだよ」
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1597.
#twnovel 階段を上っていると、目の前で人がよろけた。大丈夫ですかと声をかけると「すみません、まだこの体に慣れていなくて」サイボーグか何かかこの人。ネタにのっかって俺も経験あるけど苦労したよと返すと、その人は真顔で、よく見たら膨らんでるお腹をさすりながら言った。「頭大丈夫ですか?」
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【『映画館』を舞台に、『銀色』と『眼差し』と『対決』の内二つをテーマにした話】
1598.
#twnovel 昔の映写幕は銀色に塗られていて「銀幕」はそれが由来の言葉らしい。子ども心に輝いて見えるからだと思っていた。そんな遠い記憶からは時が流れてしまったが、私が映画に向ける眼差しは変わらない。絶対!俺の方が!!面白い映画撮れるんだからな!!!違った、これは青年期の眼差しだった。
1599.
劇場内で、怪しげな動きをする男。係員が駆けつけ、男を捕らえようと手を伸ばす。しかし逃げつつも、男の視線は映画にくぎ付け。決して自分には眼差しを向けない対決相手を、必死に追いかける係員…#twnovel「とても尊い映画だったわ」「それ、ひょっとして始まる前の寸劇しか記憶に残ってないのでは」
1600.
#twnovel 映画はエゴの塊だ。そのむき出しの極大感情を諫めるために、映画祭や金だの銀だのと賞が作られる。賞をとるには配慮が必要で、結果、ポリコレは映画界に浸透した。良いことだ。それにばかり目を向ける人々は、映画館裏での監督同士のストリートファイトが活発化していることに気が付かない。
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1601.
#twnovel ウィルスの感染を警戒して、あちこちでイベントの自粛ムードになっている。企画する側の彼も、さぞ気落ちしているだろう…と思ったら、ここ最近で一番元気そうだった。理由を尋ねたら「進捗が絶望的だったイベントをウィルスのせいにして流せるかもしれない」と、昏い光を湛えた瞳で言った。
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1602.
#twnovel グルメタレントが好きで、紹介していた店をレポするのを趣味にしていた。でも外食ばかりだと出費が嵩むので、節約のために自炊に挑戦。今では外食は控え、グルメのガイドブックは本棚の奥にある。「グルメやめたの?」「作るようになってみて、食べるだけの人が偉そうなのは何か違うなって」
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1603.
#twnovel「これ何だと思う?」「コロッケ?」「違う。ヒント、外はサクサク、中はトロトロ」「たいていの揚げ物がそうでは…クリームコロッケ?」「違う。ヒント、ここは蕎麦屋」「そうか!コロッケそばのコロッケ!」「違うっての。正解は、揚げそばがきだ!」「そば…がき…?」「おっとそこからか」
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1604.
#twnovel 餅の丸呑み大会は予定通り開催された。このご時世にそれが叶ったのは、参加希望者の熱意の賜物。全国各地からお年寄りが、家族に連れられやってくる。地元の老人会が餅を呑むのは簡単だと手本を見せるが、それは長年の訓練あってこそ。口減らしが目的の行事だと、知らぬは出場者ばかりなり。
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1605.
#呟怖
このトロッコがまっすぐ走っていけば、1人が死ぬことになる。俺をトロッコに乗せた奴はそう言っていた。なるほど、じゃあ5人が死ぬ方を選ぼうかな。そう思ったが、レールの切り替え点はなかなか来ない。遂には轢かれる誰かもいないまま、出口の光が見えてきた。この場合、死ぬ1人というのは。
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1606.
#twnovel 今年は雪が降らないからと、雪が積もったらストーブを点けようと。そんな意地を張ったまま2月も終わろうとしている。もう降らないだろうし今更ストーブなんて、と吐いた溜息は室内なのに白かった。何だか冷えてきた気がして、ストーブを点けに行くか、布団にくるまって迷っている。#氷の吐息
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1607.
#twnovel(……きこえますか…きこえますか…日本の…みなさん… 今… 使われなくなった…無線で… 呼びかけています…感染を…避けて…自主的に謹慎して…だいぶ経ちましたが…あの…芸能ニュースばっかりなんですけど…あの…ウイルスって…どうなりましたか…あの…まだ…自粛って解けませんか…)
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1608.
#twnovel 第二の月が現れた。とは言っても、とても小さくて、すぐに地球の周回軌道を外れてしまうらしい。それでも僕は、ミニムーンが留まり続けて、だんだん大きくなっていくような気がしている。思い出すのだ。子どもの頃に冒険した、月が二つあったあの世界は、もしかしたら異世界なんかではなく…
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1609.
#twnovel 何でトイレットペーパー不足なんてデマを流したかって?善意だってマスコミが言ってるじゃないですか。ま、そんな訳ないんですけど。これはね、復讐なんですよ。品薄と聞いて、最初に動く奴らに大損させてやりたかった。明日には普通に店頭にあるのを見た、転売屋の反応を楽しみにしてます。
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1610.
#twnovel 誰にも教えないラーメン屋がある。秘密にしたいわけではない。ワンコインで、スープは醤油のみ。指図されないし具材を選ぶ手間もない。5分で出てきた腹八分目にしかならない量を15分で平らげ、俺は疲れてたんだと気づくための店だからだ。やっぱイマイチだなと思えたらもう大丈夫。失敬。
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1611.
閏年の世界ではちょっとした騒ぎになっていた。「どうだった?」「ダメ。何も教えてもらえなかったよ」誰も、この4年間の時間を持ち帰れなかったのだ。「前回も『知らない方がいい』って帰されたろ。また平成40年まで持ち越しか」「どうなったんだろうなあ、色々」
#twnovel どうなるんでしょうね。




