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2020年1月分

№1541~1574

1541.


#twnovel『正月に帰省している間、山形を満喫しようと思ってな』「いいですね」『毎日温泉に浸かろうと思ってる』「いいですね」『酒も美味いんだよ』「いいですね」『温泉に入ったら酔いがリセットされるだろ。浸かりながらだと実質ノンアルコールで飲み続けることが』「あんた三が日中に死にますよ」


 *


1542.


#呟怖 実家に帰省すると、流れで本家に泊まることになるのだが、今年は客間ではなく通称『当直室』に泊まれと言われた。寝たきりの大婆さまの部屋の隣だ。身構えて一晩過ごしたが、何もなかった。人の気配すら。大婆さまって本当にいるんですか。そう口にしてしまうと、ここから帰れなくなる気がした。


 *


【「人は本当に悲しいとき、涙が出ないのだと知った」で始まり「そんな思い出が今でも心臓を刺すのだ」で終わるお話】


1543.


#twnovel 人は本当に悲しいとき、涙が出ないのだと知った。大好きなあの子とお別れしたときも。あのとき泣かないで送り出してくれたから、新しい場所でも頑張れたんだよ。その場所へ幸せそうに帰っていくのを見送って、あのときのように一人になってから泣いた。そんな思い出が今でも心臓を刺すのだ。


 *


1544.


#twnovel 水墨画のようだった。写真と気づいても、モノクロだと思っていた。雪深い、靄の立ち込める冬の湿原。靄の中にそのシルエットを、白黒の中に朱の色づきを見たとき、撮影者の心情を、写真の題名がアイヌの言葉である意味を理解したような気がした。サロルンカムイ。湿原の神。丹頂鶴のことだ。


 *


【『病院』を舞台に、『白黒』と『小鳥』と『再開』の内二つをテーマにした話】


1545.


#twnovel 病院で飼っているオウムには「先生」という愛称がつけられている。白と黒の混じり合った毛並みとトサカが某闇医者っぽいからだ。その隣に白いインコが増えた。てっきり助手の名前が付くかと思ったら「よろしく」と呼ばれている。よろしくって。でも確かに真っ白のイメージあるわ。表紙とか。



1546.


#twnovel「治療を再開してもいい、と」「はい。一時期は自暴自棄になりましたが、最近、小鳥を飼い始めまして。そいつのためにも、頑張ろうと思ってるんです」「わかりました。ひとつだけ言わせてください」「はい」「自暴自棄じゃなくて以前からの暴飲暴食を続けただけでしょう。糖尿病から逃げるな」



1547.


#twnovel 医療ミスはあったのか、なかったのか。遺族は白黒つけることを望んでいる。だから探偵に捜査を再開させた。「もっとも、依頼人のあなたは白を確信していたようですが」そう、医療ミスなどなかった。家族は、与えたらダメだって言う理由を正しく理解しないからね。「事実上の安楽死、ですか」


 *


1548.


こうして #twnovel を吐き出すだけのアカウントになっていると、まるで山月記のようだと思う。ストイックなふりをして、売れるまではと人との交流を疎かにしてきた俺は、虎になった。誰の目にも留まらない物語は獣の遠吠えと同じだ。俺に気付く旧友は現れず、呟きは緩やかにタイムラインを降っていく。


 *


1549.


#twnovel「えっ、干支って #一から十二 しかないんですか!?」「いや、数えたらそうなるでしょう」「十四じゃないですか?」「いやいや…聞いたことない? 子、丑、寅、卯、」「はい、そのリズムで覚えました」「ちょっと言ってみて」「ねーうしとらうーたつみーたつみー」「流暢にリフレインするな」


 *


1550.


#twnovel 令和××年、日本の政界は香川県出身者に席巻されていた。躍進について、彼らは子どもの頃の経験が大きかったと語る。親に聞いても埒が明かないので自ら学び、そして知った。「法律は政治で変えられる」と。彼らはゲーム規制令を受けた最初の世代である。それはそれとして今や主食はうどんだ。


 *


1551.


#twnovel「人って記憶でものを味わうんだよ。子どもの頃に吐いちゃったせいで、ずっと嫌いなものがあってさ。でもこの前、酒のつまみになってるところ見たら、いけそう、と思って。実際食べられたんだよ。まあ何が言いたいかというと、酒は好き嫌いがわからなくなるほど舌を劣化させる」「最悪の結論」


 *


1552.


#twnovel「先生の作品、メディアミックスが決まりました」「本当ですか!」「ただ、メインキャラが集合するまでのテンポが悪いので、序盤は短縮します」「でも主人公の背景に説得力が」「序盤のキャラ、話が進むと全然出ないじゃないですか。まず主人公、爺婆が若返るくだりカットで桃から生まれます」


 *


1553.


#twnovel ごめん、夕飯には帰れません。いま、居酒屋にいます。この職場の上下関係を縦断するための飲み会の幹事を私はやっています。……本当は、要らないよと伝えたか怪しいけれど、でも今はもう少しだけ、知らないふりをします。私の中の生存本能が、きっとご機嫌取りのドーナツを買って帰るから。


 *


【twnvday2020/1/14 お題「7」】


1554.


#twnvday セブン、とだけ言い残して奴は年明けに突然退職した。同期で一番ウマが合ったということで俺も事情を訊かれたが、何も聞いていない。マンの次はセブン、なんてくだらない話が通じるのは俺くらいだっただろう。だからあれは俺あての暗号なのだ。あいつ、宝くじで当てやがったな。マンの次を。


 *


1555.


#twnovel 電車で猫カフェをやるって企画、中止になったでしょう。あれ、報道では試運転で猫が逃げ出したからってなってますけど、違うんです。いなくなっちゃったのは、猫と一緒に乗ってた、人の方なんですよ。人間社会に戻りたくなかったんですかね。あ、逆に猫の数は増えてたらしいですよ。何故か。


 *


【#サカイメの書架応募 お題「花粉」】


1556.『ぼくにはわからないけれど』


世の中には花粉症の人間と、まだ花粉症ではない人間がいる。「あなたにはわからないでしょうね!」と濁点だらけで話す君は前者、僕は後者。気の毒だけど、澄まし顔を決壊させて大騒ぎする君といるのは、楽しい。一緒に騒ぎたいけど、頼られもしたいから、まだまだ発症したくない。


 *


【#サカイメの書架応募 お題「別れ」】


1557.


ギムレットにはまだ早い。その一言に憧れて、居酒屋でわざわざ仕入れて貰ったけど、度数がキツくてそもそも俺には早かった。以来、ボトルは入れっぱなし。最後の夜だって少しも減らなかった。名残惜しむ俺に、預かっておくと大将は言った。もう明け方だ。ギムレットにはまだ早い。


 *


1558.


#twnovel 列車内では陰謀がひしめき合っていた。受験生を狙う痴漢、その痴漢を冤罪でも捕える覚悟の活動家、そしてトラブルに巻き込まれて合法的欠勤を目論む社会人。彼らを乗せた車両が出発するのを見送り、駅員は学生たちに振り返った。「迷惑な大人は隔離したから、安心して受験してね。頑張って」


 *


1559.『ファミリーセット』


#twnovel 寒鱈汁はチケット引換制で、前売券はファミリーセットで一品オマケがあるとのこと。お一人様だから心苦しいけど、何も言われなかったし、頂いておこう。「お待たせしました。寒鱈汁と、セットのミニ鱈子丼です」あっ、ファミリーって、そちらさんの…。いつもより神妙にイタダキマスをした。


 *


1560.


#呟怖

あのドラマ、考察班がいっぱいいて話題になってたけど、視聴率が尻すぼみになっていったでしょう。見てた人が行方不明になったからって噂があるんですよ。毎回どこかに写り込んでるエキストラを伏線だと思って探してしまったせいだって。あの、まだ気づきませんか。そうですか…頑張らないとな。


 *


1561.『新作大河』


#twnovel「1年通してやる大作なんだから、変にファンタジーを入れないで史実どおりにしろっていうのはわかる。でも一方で、合戦シーンを増やせって要望に答えてるじゃないか。ずっと合戦するって言ってるようなものだろ。いつもみたくとりあえず見てみろよ、『関ヶ原で勝つまでループする石田三成』」


 *


【『青空』を舞台に、『古本』と『石鹸』と『凍結』の内二つをテーマにした話】


1562.


#twnovel 天気がいいので、屋根裏部屋の蔵書を天日干しすることにした。ほとんどが親父の遺した古本で、そこそこ黴臭い。状態確認でページを捲っていると、ああ俺は好みを引き継いでるなと自覚する。作業後、石鹸をだいぶすり減らして引き継がないものもあったと思い出す。親父の古本はタバコくさい。



1563.『冷やし石鹸』


#twnovel『冷やし石鹸はじめました』って石鹸って凍るのかよ。訝しんでいたが、激熱の露天風呂から上がった後、冷やし石鹸で体を洗うと気持ち良かった。しばらく洗い場でボーッとして、また湯舟に向かう。露天風呂でジャグジーって珍しいと思ったが、これ熱すぎてみんな石鹸入れてたんだな俺もやろう。



1564.


#twnovel 青空文庫には著作権切れとなった本が収納される。ここ最近入ってくる本は、不思議と凍結されているものが多かった。この時期はいろいろ規制が厳しかったのだろう。解凍したものを読み解くと、その時代背景を推し量れる。ふむ、本の内容にはさほど問題がない。問題があったのは、作者の方か。


 *


1565.


#twnovel「今年は雪がない」「ないな」「これはまずい」「まずいか」「雪が降ったと騒ぐ素人に対して雪国はこんなもんじゃねーぞとマウントがとれなくなる」「とるなよ」「あッちょっと待て、降ってきた、雪降ってきたぞ!」「はしゃぐなよ素人」「呟いたら豪雪地帯の人からマウントされた」「アホめ」


 *


1566.


#twnovel だいぶ生活の質が良くなってきた。これも絶えず流れ込んでくるライフハックのおかげだ。料理も、掃除も、仕事も、ライフハック通りにこなせば効率的にやれる。前の暮らしを思い出せないや。趣味のアレはやめたよ。使えそうなライフハックがなかったから。…何のために時間作ってたんだっけ。


 *


1567.


#twnovel がんばったけど、写真の撮り方は上達してないみたいです。本当に伝えたいのは景色だけじゃなく、近くに熱い温泉があって、その湯冷ましに立ち寄って、思いつくままに歌を口ずさんだら涙が流れたとか、そういうことなんです。一緒に見てとは言わないから、やっぱり会いに行ってもいいですか。


 *


1568.


#twnovel「いつもありがとうございます」俺の席に寄ってきた店主は、そう言ってラーメンのど真ん中に玉子を落とした。正直ちょっと感動した。でも、何かサービスされたみたいになっているが、俺はもともと豚玉ラーメンを頼んでいたので、これが仕様のはずだ。顔は覚えられたが玉子を忘れられたらしい。


 *


【『美術館』を舞台に、『竜』と『犬』と『司書』の内二つをテーマにした話】


1569.


#twnovel 矛盾塊っていうネタがあるんだけど、それを知ったときこいつを思い出した。それで子どもを連れて映画展に来たわけだ。「この犬なに?」「ファルコン」「犬じゃん」「いや、ドラゴン」「犬じゃん」「ファルコンって名前のドラゴン」「だから犬じゃん!」ネバーエンディング漫才ができて満足。



1570.


#twnovel この美術館には、アドバイザーとして図書館司書が招かれているという。先進者だからということらしいが、何のことだろう。見て回っていると、子どもが犬の像に触れようとしていた。止めようとしたが間に合わず、子どもの手は、すっと犬をすり抜ける。ホログラムの展示物。そうか、電子化か。



1571.


#twnovel 美術館内の図書室で司書を募集していた。「ここのポスト、すぐに空きができちゃうんですよ。何て言うか、動くんですよね、美術館だし。本だから『出る』って言った方がいいかな。うちは特に幻想的なモチーフを蒐集してるから、本もその系列になるので。あっドラゴンと戦ったことあります?」


 *


【お題「開封」】


1572.


#呟怖

封筒を開けると、封筒。その封筒を開けると、また封筒が出てくる。こんなくだらないことをする人間のように最後は空っぽなんだろう、と意地になって開け続ける。ふと手が止まる。この封筒、昔、私が出したものじゃないか。これを始めたのは私ではなかったか。見覚えのある封筒は未開封。薄い。


 *


1573.


#twnovel 連載とアニメ化の作業、その並行が忙しくて漫画家仲間の誘いを断り続けていたら「人が変わった」と呟かれてしまった。仕方ないだろ。一方、面識のないファンは「1巻と最新巻とでは主人公の情報量が削られすぎて別人にしか見えない。忙しさは人を変える」と呟いた。こっちのがキツかった。


 *


1574.


#twnovel 兄は時速6kmで右回り、弟は時速4kmで左回りに、外周1kmの池の周りを歩くことにしました。2人が出会うのは何分後でしょうか。その質問に兄は時間表示された写真を提示し、これこそ弟が池を離れておらず、犯人ではないアリバイだと証言しました。弟はどのようなトリックを使ったのでしょうか。

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