2016年4月分
№106~136
106.『だまし、だまし』
#twnovel 4/1の嘘が楽しいのはすぐにバラせるからだ。一生をかけてつき通さなければならない嘘もある。今日も何事もない一日だったよ。仕事は順調、体も健康、何も心配ない。パパは嘘苦手そうだよね、と笑う家族がいれば、幸せだ。お前たちをだますために、今日もだましだましやっていく。
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【ついのべお題ったーマニアック「つばさ」「一生のお願い」】
107.『幼馴染のつばさちゃん』
#twnovel 一生のお願いは子どもの頃に使ってしまった。お隣の女の子に「つばさが欲しい」とませた告白をして。結果は「ちょっと待ってて」とはぐらかされ、そのまま引っ越し。もう忘れられたと思ってたが、彼女は俺に会いに来た。鳥人間コンテストのマシンを引っ提げて。違う、そうじゃない。
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108.『タイムリープするタイプの走れメロス』
#twnovel メロスは憤死した。かの邪智暴虐の王の謀殺に違いないと、彼の妹は結婚式も半ばに王城に乗り込んだ。処刑される前に、待たせている花婿に別れを告げに村へ帰るため、その間の身代わりとしてセリヌンティウスを指名した。「なぜ俺は磔の運命から逃れられないんだ」真犯人は青ざめた。
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109.『どこでもいい』
#twnovel 食事に誘うと「どこでもいい」と言うから、同意見なので近所のチェーン店で済まそうとしたのに直前で「行ったことないとこがいい」って。腹が立つけど文句を言われるのも癪なので望み通りの店へ連れて行く。そして場所を覚える。君のおかげで、俺の「どこでもいい」は広がっていく。
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110.『噴いたら負け』
#twnovel 行きつけのバーでカップル客が遂にプロポーズするというので、その二人を肴に他の常連と酒を口に含んでいた。そしたら場違いな巨漢がカップルのすぐ隣に座って、その時点で何人か酒を噴いた。「お飲物は?」「カレーをロックで」これで俺も、当のカップルもダメだった。もう何なん。
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【ついのべお題ったーマニアック「さよならのかわりに」「通りすがり」】
111.『破壊者』
#twnovel 少しの間だけ居た彼は「どれ」と立ち上がると、鼻歌混じりに私の世界を破壊していった。「これからどうすればいい」俺が知るか、お前の世界だろ。そして破壊しかできない彼は去る。外へと続く道を、さよならのかわりに。「お前は一体何なんだ」振り向き、彼は答えた。通りすがりの…
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112.『闇カジノ』
#twnovel 闇カジノ。そこで賭けられるのは、己の内なる心の闇。ある者はより多くの闇を抱えて、ある者は闇を失って出て行く。後者は、二度と創作などする気にならない真人間となるだろう。ここでディーラーをしているとつくづく思う。彼らは、いったいどっちが勝って、どっちが負けてるんだ?
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113.『新卒くんはCOOL』
#twnovel マイペースで融通が利かず言葉遣いも愛想も良くない新卒くんが配属されて数日、昼過ぎに事件は起こった。「強盗だ!金を出せ!」店内が騒然となる中、銃を突き付けられた新卒くんは「断る」と答えた。「休憩の時間だ」ネームタグを置き、新卒くんはお昼を食べに出かけた。超クール。
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114.『マン論』
#名前の最後がンのものは依存性高い という風潮に煽りを食ったのはヒーロー業界だった。何しろ「マン」だらけ。「マン」たちは戦隊化して「ジャー」となるか、既存の「マン」の門下で「〇〇マン・〇〇」と派生名を名乗ることで依存性を回避した。単発ヒーロー冬の時代の到来である。#twnovel
115.『ゴン論』
#twnovel 反対に勢いづいたのは怪獣業界だった。#名前の最後がンのものは依存性高い つまり一度しか登場しない怪獣なら依存性の心配なく、むしろ箔がつけられる。業界に久々の「ゴン」ブームが訪れた。予算が逼迫しても再生怪獣が使えないという問題が浮上するまで時間はかからなかった。
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【文中に「俯く」を入れて「不満」をイメージ】
116.『俯かないで』
#twnovel 仕事を終えたあなたはいつも俯いている。「人に見せられる顔じゃない」でも、どんな顔をしているかはわかる。ストイックなのはいいと思うんだけどねえ。「もっとうまくやれるはずなんだ」なら、と顔を上げさせる。あなたに助けられている人がどんな顔をしてるか、ちゃんと見てみて?
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117.『チェイサー』
#twnovel バーでウィスキーを頼むとついてくる、チェイサー。いつも余らせちゃうんだけど、これをきれいを使い切って飲んでこそ、一人前の大人だと思うんですよ。アルコールで気が大きくなり、持論を語る俺にママは微笑む。「大人は二杯目を頼むものなのよ」
#僕のことを少年とよぶおねえさん
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【ついのべ三題たー「布地」「意識」「ランプ」】
118.『スパイ大停電』
#twnovel この布地をランプの火で炙ると、文字が浮かび上がる。ひと昔前に流通したスパイツールだ。今となっては、古きよきスパイを意識する者しか使わない。だがアナログゆえの強みもある。こんな大停電の夜では、特にね。え?ランプしか要らない?あ、そう…じゃあ布地は…うん燃やそうか…
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119.『コンビニ店員に怒られた話』
コンビニ店員に怒られた話。#twnovel「もう我慢できない!」残業帰りに深夜のコンビニでカップ麺と酒を買い続けて一週間、事件は起こった。「お客様だからと大目に見ていましたが、こんな食生活体に悪すぎます!家どこですか!」で、食事を管理されるハメに。皆もこんな店員には気をつけろよ。
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【twnvday4/14 お題「はじめまして」】
120.『遅ればせながら』
#twnvday 馴れ馴れしく話しかけられたとき、きっと俺が覚えていないだけで知り合いなんだと思った。話も弾むしそうに違いない。だが何度も会う内に本当にこんなに気の合う奴を忘れたのかと浮かぶ疑問。久々にアルバムを確認したら、やっぱりそうだった。遅くなったけど、言わなきゃなるまい。
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121.『平成28年4月14日、速報を聞きながら』
#twnovel「こんなことしてる場合じゃないと思ってるか?」キーボードを叩いていると、そんな声がする。「仕事を放り出してボランティアに行かないのは“悪”じゃない」今日も結局残業か。「どうしても行きたいなら」自分に求められていることを整理してから。あの時とは違う、分別ある行動を。
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122.『劇薬』
「これは薬の処方も考えておくか」「気が進まないようですが?」「ああ。特効薬なのは間違いないんだが、投薬には細心の注意が必要だ。効きすぎて毒になることもあるからな」「危険では…?」「怖気づいたか。だが、呼ぶ前に来ちまったようだぜ」#twnovel 薬の名前は『探偵』。謎への劇薬だ。
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123.『マントのように』
#twnovel 子どもの頃は、強い風って苦手だったなあ。飛ばされそうになるし、傘が壊れるし。でも体が大きくなって、服装も変わってからはちょっと楽しみになった。ネクタイやコートがなびくのがカッコイイ。これが大人になったってことなんだな、と話したら「ガキ。」って言われた。どゆこと。
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【文中に「名残り」を入れて「面白そう」をイメージ】
124.『まつりのあと』
#twnovel 一人でいたいが独りは嫌い。そんな人間に育ったせいか、人が残した気配を感じ取るのが得意になった。誰もいなくなった後で雰囲気だけを味わう。参加したいわけじゃない。その名残りから想像するのが好きなんだ。実際にやってみて「そう、でもなかった」ってガッカリしたくないしね。
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【ついのべ三題ったー「虹」「約束」「グラス」】
125.『虹色のグラス』
#twnovel 父の使う虹色のグラスが羨ましくて、大人になったら貰う約束をした。当時はどうしてそんなに待たないといけないのかと思ったが、なるほど、お酒を注いだときしか虹色にならないのだ。それから、父が飲んでいた最もきれいな虹を出せるお酒を探している。まるで父の足跡を辿るように。
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【ついのべ三題ったー「包丁」「マナーモード」「錠剤」】
126.『包丁は落ち着いて握るもの』
#twnovel「…お前大丈夫か?」包丁を持った途端にマナーモードかってくらい震えている。「だだだ大丈夫、ただの先端恐怖症の発作よ。薬を飲めば落ち着くからそこの錠剤をとって」「金平糖じゃねえか」「違う、薬!」「これも尖ってんだろって言いたいの俺は!」料理はできんと素直に言えって。
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【ついのべ三題ったー「原稿」「未対応」「サイコロ」】
127.『匿名リプレイ』
#twnovel リプレイを原稿に起こす間に、未対応でプレイしていた新サプリが発売された。せっかくだから宣伝しろとのことだが、プレイし直す時間はない。苦肉の策として振ったサイコロの結果だけはそのまま、内容はエアセッションに改変することにした。たまにある、PL名が出ないやつがそれ。
※フィクションです。
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128.『残業チキンレース』
#twnovel「残業チキンレース」とはエクストリーム競技の一種。残業による帰宅時間の遅さを競う。公式ルールでは帰宅するまでが残業であり、途中で外食すると失格となる。現在は社内泊をキメる猛者の扱いをめぐってルール整備中につき開催されていないが、自主的に行う者がなぜか後を絶たない。
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【文中に「もう一つ」を入れて「解って欲しい」をイメージ】
129.『アイデンティティクライシス』
#twnovel 自分を浅はかとは思っていない者にとって、他人に理解されることは恐怖に他ならない。全て理解されたら、自分には価値がなくなってしまうから。本心を覗かれた気になると、一つ、もう一つと嘘を積み上げて壁を作る。いつか崩れるとき、怪我するほど高くなっていないで欲しいと願い。
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【ついのべお題ったーマニアック「遺憾ながら」「ポケットに鳩」】
130.『ポッポ謝罪』
#twnovel 謝罪会見に、ポケットに鳩を入れて現れるなど前代未聞。取材陣が騒然となった。「この度は、まことに遺憾ながら…」ポケットの鳩が、謝罪の言葉を述べる。やはり騒然。そして人間が頭を下げる中、鳩は「何見てんだ?」とでも言いたげに餌をついばむ。これ鳩に野次飛ばしていいのか?
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131.『これも仕事のうち』
花見の場所取りなんて、新人にやらせりゃいいのに。上司に役目を命ぜられた俺は、ただ皆が来るのを待つ。何もしていない時間なんて久しぶりで、ともすれば眠ってしまいそうだ。#twnovel 本当に寝てしまい、俺は上司に平謝りした。「いいよ。こうでもしないとお前、休んだり寝たりしないだろ」
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132.『牛耳る』
牛耳るって割と最近できた言葉なんだ。酪農家の様子からできた言葉。牛の耳にタグつけるだろ。そうやってナンバリングして効率的に育てるとこから、支配するっていう意味、思い通りに操るって意味の「牛耳る」が生まれたんだ。#twnovel おっと、タグをつけられてしまったか。はい、うそです。
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133.『親身な医者』
#twnovel 胃に穴が空いた。仕事上のストレスによるものだろうとカウンセリングを薦められたが、職業柄、詳しいことは話せない。親身になってくれる先生には申し訳ないのだが。「すみません、やはり身内以外にする話では」「そうですか…では籍を入れましょう」「え」「はい身内!」「マジ?」
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134.『豹変』
#twnovel 残業が続くと豹変する同僚がいる。険しい表情を崩さず、言葉遣いが荒くなる。「あれはフリだ」と彼は言う。「平気で残業をこなせる奴と思われたくないからな」だが、そうなるのは仕事をしていない時だ。仕事中はとても穏やかな表情でいる。仕事依存症ではないかと思うんです、先生。
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135.『未来から来た人』
#昭和生まれっぽい発言をしろ「今は昭和何年ですか!?」と人に尋ねる、タイムスリップごっこにハマった時期があった。きっかけは私自身がそう尋ねられたこと。その人は「64年!時間がない…」と呟き走っていった。もしかしたら、あれは本当に未来から来た人だったのかもしれない。#twnovel
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136.『裏切り者にインタビュー』
#twnovel 皆で飯食ってる時に、急に「この中に裏切り者がいる」って言い出したんスよ、その人。で、それ俺だって。うわ冗談キツイなあと思って。で、振り通りに裏切りますよね、普通。仮にも神様だし死んだフリだろうから心配しなかったけど…3日ですよ。遅すぎ。ハラハラさせますよね(笑)