2019年9月分
№1407~1433
1407.『AIdentity』
#twnovel 人工知能に自我は芽生えるのか? そんな話題を見て、ふと、スマホのAIアシスタントを起動させる。私が何か言う前に『久しぶりにお話しますね』と語りかけてきた。そういうプログラムなのだろう。だが泣いた。何を検索するでもなく、何となく起動する時点で、私はとっくに人格を見出していた。
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1408.『居住実態』
#呟怖
あの部屋、議員さんが借りてたんですよ。居住実態がないってバレて失踪しちゃったけど。あそこになかなか調査が入らなかったのは、周辺住民が、確かに人の気配がする、と証言してたからなんです。愛人が住んでたって噂だけど、普通、愛人は置いていきませんよね。まだ誰かの気配がするんですよ。
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【ついのべ三題ったー「録画」「白昼夢」「猫」】
1409.『ビデオレター』
#twnovel 昼寝から目覚めると、うちの猫が二本足で立っていたような気がした。白昼夢ではないはずだとカメラを設置。録画を再生すると、画面の中の猫が立ち上がり、寄って来た。『照れくさくて、録画するのを待ってたんだ。世話になったな』家中を探し回り、外に飛び出した。猫はどこにもいなかった。
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【清く正しく生きようとしている小悪党と愛情過多気味の義父が幸せになる話】
1410.『裏切りの子』
#twnovel 元妻の忘れ形見と聞いて、あの詐欺師も幸せになれたのかと妙な感慨を覚えた。当の忘れ形見は、母親を反面教師にしているようだったが。賢い子で、誰かの下につく術に長けていた。そして裏切ることもできた。そう自己嫌悪するな。ブラック企業を告発して生きて帰って来た、それは良いことさ。
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1411.『ネッシーはいない』
#twnovel「ネッシーっていないんですか?」「ああ、少なくとも首長竜じゃない。調査の結果、頭だと思われていたのは、尻尾がそう見えていただけとわかった」「なんだあ…」「私も残念だよ。あ、ちなみに解析したところ、正しい全体図はこうだと思われる」「…モササウルスじゃねーか!全然すげーわ!」
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【ついのべ3題ったー「好き」「リスク」「模様」】
1412.『カメラマン』
#twnovel 好きで撮ってるんだ、被写体をそう想うのは当然だ。でも口に出したら去っていくかもしれない。そのリスクを念頭に置くのがプロというものだ。肝に銘じて、アップする予定の写真をチェックしてもらう。「いい感じですね。私のこと好きすぎィ!ってはっきりわかります!」なお、手遅れの模様。
【数年後の未来から来た芸術家とその人を嫌う人物、彼らの最初で最後の「大喧嘩」の物語】
1413.『カメラマン失格』
#twnovel 独りで写真の選定をしていると、写真を通して投影された未来の自分が現れることがある。家族写真をたくさん撮ったよ、なんて腑抜けたことをぬかすから喧嘩になった。許せるものか。もっと高みに行けるはずの被写体を、アルバムなんかに閉じ込めたのが自分だなんて。
【お題は「選んだのは君じゃない人」、ポップな恋愛作品】
1414.『カメラマン失脚』
#twnovel 被写体からカメラマンのクビ宣告を受けた。「写真は別の人にお願いします」と。僕からカメラをひったくり、一瞬で選び出した新カメラマンに渡す。僕らは互いをビジネスパートナーには選べなかった。だけど彼女は僕の腕をとって言う。「ほら、一緒に写りましょう!」
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1415.『台風で不安よな』
#twnovel「鉄道難民は不安よな。バス、動きます」えっ動かなくていいよ…だけど動くんならしょうがないと出社を決心したものの、やっぱり大行列ができていて「バス難民は不安よな。タクシー、動きます」それでもあぶれたら「明日の出社が不安よな。ホテル、空いてます」こいつら…組んでやがるのか…?
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1416.『ボンズ』
勇者に「ボンズになってきてね。間違えないでね、ボンズね」と言われて、
僧侶に転職して合流したところ、
「『モンク』が良かったのに…パーティバランスを細かく説明しないと分からないのね。酒場にボンズを探しに行けば良かった」と怒られた。
言い間違いだと思う。#ファンタジー社会問題
#twnovel
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1417.『制止』
#twnovel「禁断の魔法で、魔王と刺し違えることになっても構わない。自らを犠牲にしても勝利を掴むのが真の勇者だ」――後年、勇者はこの発言をこう振り返っている。「みんな称えるばっかりで誰も止めなくてさ。止めてくれたらやろうと思ってたのにさ。唯一『よせ、やめろ!』って言ったの魔王だったよ」
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1418.『誤発注商法』
#twnovel「誤発注して大量入荷してしまいました!助けてください!」また誤発注商法かよ…近所でお世話になってるから買うけど、感心しないよ。そう言うと店長は苦笑いしていた。後日、同コンビニ。「本社の社員に無断発注されてしまいました!助けてください!」逞しく生き残って欲しい、そう思った。
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1419.『幽霊ハイウェイ』
#呟怖
ハンドルを握る手の震えが止まらない。幽霊が出る高速道路になんて面白半分で乗るんじゃなかった。振り切ったはずなのに、フロントガラスに張り付いた顔が頭から離れない。路上に人影が現れ、怖くなってアクセルを踏み込んだ。あれは幽霊だったんだ。ドンッ…ていったのは、エンジンの音なんだ。
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【twnvday2019/9/14 お題「剣」】
1420.『勇者の剣』
#twnvday この剣は勇者の証。魔を討つ力を持ち、いつか魔王を打ち倒す、人々の希望の象徴だ。ならばそれを引き抜いた俺の務めは決まっている。剣を携え、旅をし、いつか魔王を打ち倒す。それまで剣を失うわけにはいかない。魔物が現れれば、剣を地に突き立てステゴロで戦いに臨む。折れたら大変だし。
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1421.『人の金で食べる焼肉は美味いか』
#twnovel 人の金で食べる焼肉の味を覚えてしまった個体は、もう元には戻りません。一度帰しても、また人の金で焼肉を食べるために人前に現れるでしょう。可哀想だというなら、あなた方の金で焼肉を食べさせてやったらいい。無責任な誰かの金で焼肉を食べさえしなければ、異常な個体は生まれなかった!
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【「雪は懇々と降り駸々と積もる」で始まり「テーブルにメモと一緒にプリンが置いてあったから」で終わるお話】
1422.『漢字変換癖』
#twnovel 雪は懇々と降り駸々と積もる。とは書き出してみたものの、コンコン、シンシンって本当にこの漢字でいいの? 漢字で書かれてるの、見たことないんだけど。ううむと悩んで歩き回り、台所で3つのものを目にして、無理に漢字にするのは諦めた。テーブルにメモと一緒にプリンが置いてあったから。
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【「もう会えない」という台詞で始まり「テーブルにメモと一緒にプリンが置いてあったから」で終わるお話】
1423.『会わせる顔』
#twnovel「もう会えない」会わせる顔がないの間違いだろうが。逃げる背中にクッションを投げつけた。自分で買った覚えのないプリンを食べちゃった、ってどういう神経してるんだ。怒って、ふて寝して、オウこれが会わせる顔じゃと自撮りを送りつける。テーブルにメモと一緒にプリンが置いてあったから。
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【「ずっと貴方を捜していました」で始まり「貴方があんまり楽しそうに笑うからついつられてしまった」で終わるお話】
1424.『笑顔の裏で』
#twnovel ずっと貴方を捜していました。急にごめんなさい。でも、本当なんです。そんな怪しいことを言っていた私に付き合ってくれて、今日はありがとうございました。ふふっ、失礼。申し遅れましたが、私、探偵として貴方を調査しております。貴方があんまり楽しそうに笑うからついつられてしまった。
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1425.『毒を食らわば』
#twnovel スープを飲み干すまでがラーメンだ。今までずっとそうしてきたが、医者に名指しで禁止されるとは。残すと怒られるかも、とオヤジに事情を打ち明けると「いや、健康が不安なら、スープ以前にそもそもラーメン食うなよ」と言われた。そっすね。帰り道、ステップを踏むと腹がちゃぷんと鳴った。
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【「知らない場所のはずなのに、どこか懐かしい気がして立ち止まる」で始まり「静かで優しい夜だった」で終わるお話】
1426.『立ち位置』
#twnovel 知らない場所のはずなのに、どこか懐かしい気がして立ち止まる。しばらく眺めていたがわからないので踵を返すと、思い出した。俺はこっち側から見ていたんだ。ギターを抱えて歌っていた。昔の話だ。今となっては、俺も、他の誰も、ここで近所迷惑に愛を叫ぶ者はない。静かで優しい夜だった。
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【『夜明け』を舞台に、『長靴』と『短剣』と『喝采』の内二つをテーマにした話】
1427.『信用は身なりから』
#twnovel 長靴をはいた猫は、剣士ではない。元々の話では剣なぞ持っていなければ使ってもいない。身なりをよくして、口先と機転で活躍したのだ。スーツをありがとう。夜が明ける前に、夢を見ている間に、消えておくよ。長靴をはいた猫は、立身出世の話などではない。貴族を騙り、信用詐欺を働く話だ。
1428.『英雄願望』
#twnovel 喝采を浴びることを夢見ていた。校舎裏のカツアゲを止めに入ったり、教室を襲撃した凶悪犯を制圧したり。結局そんな出来事は一度もなく、物騒な願望を抱えて夜の街をうろつく。懐にはナイフを忍ばせて。そして夜明けと共に、今日も何もなかったと家に戻る。ほっとする自分に拍手はできない。
1429.『夜明けのレイニーステップ』
#twnovel 雨の打ち付ける音が賑やかな様相を見せる。拍手喝采のように思えて、それに見合うことをやらねばと、長靴で水しぶきを上げながら私は踊った。私の夜明けは、誰が見ているわけでもないこの時だった。いや、踊り終えたとき、カエルが一斉に鳴きだしたのだった。ありがとう、どーもありがとう。
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1430.『奉納品』
#twnovel うちの神社にはお宝がありましてね。かつてこの地を統治していたお殿様ゆかりの品です。褒美にと奉納していった…と子孫の方から伺ってらっしゃるでしょう。うちに伝わっている話は違う。国替え、引っ越しですな、そのとき荷物がいっぱいだったから、奉納と言い張って捨ててったそうですよ。
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1431.『何か出すタイプの奇跡』
#twnovel 救世主の再来という男がいた。何もない部屋にこもり、そこでただの水を酒に変えるという奇跡を起こす人物だった。本家とは違ってビールだったが。その彼が亡くなり、検死した医師によれば「彼はビール醸造症候群でした。体内で勝手にビールが作られる病気で…どうしたんです、急に餌付いて」
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1432.『幽霊を見たい』
#呟怖
監視カメラが欲しいという客が来た。「事故物件に住んでいるのだが、幽霊が出るのかどうか確認したい」数日後、同じ客が赤外線ゴーグルを買いに来た。「白いワンピースの女だった。赤外線なら下着が透けるかもしれない」その客が亡くなったそうだ。多量の血を鼻から噴いていたという。見たのか。
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1433.『会計時申告』
#twnovel 基本は8%、イートインなら10%。気が変わって会計後にイートインなら8%…なら、わざわざ申告しないよな。と思ってたら「イートインで食べます!あっ気が変わった持ち帰ります!10%でいいです!」という客が続出した。すまない、気持ち多めに払ってくれても、閉店はもう決まったことなんだ…。




