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2019年7月分

№1344~1374

1344.『闇クエスト』


#twnovel 受注にギルドを通さない闇クエストの摘発が相次いでいる。闇クエスト自体は生活の為と黙認されてきたが、魔王からの依頼もあったことで問題となった。冒険者は「報酬は貰っていない」と証言していたが「世界の半分」の権利書を得ていたことがわかり、非難を浴びている。

#ファンタジー社会問題


 *


1345.『酒に逃げる』


#twnovel そうやってお酒に逃げるのね。小馬鹿にしたように言うが、それは違う。昔は大勢で騒いでいれば夜から逃げられると思っていた。だが何度も追い越されて俺は逃げるのをやめ、浸るようになった。浅い眠りから覚め、女が消えた部屋で気の抜けたビールの残りを飲み干す。逃げていくのは酒の方だ。


 *


1346.『なりきり居酒屋』


#twnovel「こちらには出張で?」雨宿りのついでに入った居酒屋で、女将さんにそう話しかけられた。ただの地元民だが、訛りが下手だから余所者に思われたか。別人として振る舞うのは存外面白く、雨が止んだのにも気付かず酒が進んだ。その翌日、忘れた傘を取りに寄って、すべてバレて以来の常連である。


 *


1347.『言わなくていいのに』


#twnovel 彼とは一緒に映画を観る程度の関係だが、化粧をしていくと必ず「きれいです」と褒めてくる。ある日「お世辞はいいよ」と言った私に、彼は「本音を言うと、化粧するに足る相手だと認めてくれたことへの礼儀です」と答えた。以来、彼を堪え性のないネタバレ野郎と見なし映画には誘っていない。


 *


1348.『江戸切子』


#twnovel 江戸切子。俺が土産にと買ってきたものだ。戸棚の奥から出てきたということは、使わなかったな。せっかくだから俺が使ってやろうと、半分くらい空いた瓶から焼酎を注ぐ。きつい。グラスが小さいから割るのを諦め、ロックでちびちび飲むしかない。この遺品整理は長くかかりそうだぞ、爺さん。


 *


1349.『二段階認証』


#twnovel「やべ、パスワード忘れた。手続きは…」『SNSを使った二段階認証を行います。第一段階、あなたらしいツイートをしてください』「こうかな」『第二段階、そのツイートにあなたが稼いだRTといいねの平均数がつけば本人確認が完了します』「…」『RT、いいね、共にゼロ。本人ですね』「虚しい」


 *


1350.『立ち合いの依頼』


#twnovel 七夕の夜、レンタルお願いします。遠距離恋愛の相手と年イチで会う約束をしているのですが、ここ数年雨続きで会っておらず、今年も曇り気味で行く気が起きません。見物人が1人でもいれば違うと思うので、ただ逢瀬に居合わせてくれればいいです。気が向いたら「会ってた」と呟いてください。


 *


1351.『資質』


#twnovel 心が痛む? …ああ、君は潜入任務を終えたばかりか。優しい自分には向いていない、か。いや、充分適正があるよ。スパイに必要なのは、騙してて悪いなあと思ったり、ちょっとウルッときたりもする『真っ当な感情』さ。そして、成し遂げておきながらのうのうと『優しい』と自称する図太さだ。


 *


【『倉庫』を舞台に、『爪痕』と『雨雲』と『落雷』の内二つをテーマにした話】


1352.『同時進行』


#twnovel「こんな倉庫に呼び出して悪い」「この果たし状は貴様のものか怪人!」「…で、話って?」「そうだ!この爪で貴様に爪痕と死を刻んでやる!」「その…」「無駄だ!正義の雷が貴様を討つ!」「…言って」「変し「君が好きだ!」「…」「…」「…」「聞き耳立てんな」「そっちはそっちでやって」



1353.『革命前夜』


#twnovel 雨雲から逃れて忍び込んだ廃倉庫で、そいつと出会った。ここが何に使われていたか思い出す。きっと実験動物の生き残りだろう。それから隠れてそいつにエサを与えるようになった。壁につけられた巨大な爪痕を見て、成長に満足した。最後のエサだ、俺もお前の血肉にしてくれ。暴れてやろうぜ。



1354.『雨雲倉庫』


#twnovel 雨雲倉庫が緊急解放された。雷のタネが混入した疑いがあるのだという。しかし、一度混入してしまえば見つけても取り出すのは難しい。やはり廃棄するしかないか。やむなく、在庫をそのまま下界に投棄した。まあ、人間も台風だと大騒ぎして喜んでいるようだし、リサイクルといったところかな。


 *


1355.『野球観戦のススメ』


#twnovel 打ち上がったボールを目で追ってしまうのは素人だ。観戦慣れした人間は守備の動きを見る。周囲がホームランじゃないかと騒いでいるが、そんなことはこちらに向かってダッシュしていた外野手が諦めるのを見てもわかる。それを見届けてから顔を上げた私は、眼前に迫る打球を避けられなかった。


 *


1356.『ヒーローの黄昏れ』


#twnovel

仕事が定時で終わったら、町を見渡せる丘にのぼってさ。ただ座って、夕暮れから夜に変わるのを見届けたら鼻歌しながら家に帰って、気兼ねなくビールを飲んで。それで「今日も何もなかった」って独り言を言う。それが俺の夢かな。

#名もなきヒーロー

じゃあ、その独り言を聞くのが私の夢だ。


 *


【twnvday2019/7/14 お題「玩具おもちゃ」】


1357.『きみはともだち』


#twnvday そんなに欲しかったわけじゃない。ただ、子どもだったら欲しがるだろうという大人の期待に応えて、適当に選んだだけ。大して遊ばず飾っていたから保存状態が良かったのが決め手で、高額の査定がなされた。されたけど、持ち帰って棚に戻す。遊ばなくても、ずっとこの家で、一緒に居たもんな。


 *


1358.『トンネル』


#twnovel

同じ県なのに、内陸からここまで来るのは一苦労だ。けど、こうしてどこまでも開けた海を見ていると、先人が山にトンネルを掘ってまで来たかったのもわかる。「山を掘ったのはこっちからもだよ」でも、内陸には海のようにいいものはないぜ。「会いたかったんじゃないかな、君たちに」

#海の日


 *


1359.『京都には性格が悪い人間しかいない』


#twnovel「京都には性格が悪い人間しかいないって本当かな」「そんな一部しか見ないで言ってる話、信じるなよ。失礼だぞ。だいたい『人間しかいない』っていう前提からして間違いだ。京都の住民の三分の一は狸で、三分の一は天狗なんだから」「じゃあ残った三分の一が人間?」「いや、性格が悪い人間」


 *


【『深い森』を舞台に、『水脈』と『万年筆』と『格闘』の内二つをテーマにした話】


1360.『源泉』


#twnovel「水脈をたどってここに来た。きっとこの中に源泉がある」そう言って森の中に入っていく者を何人も見た。誰もが万年筆などのペンを握り締めていた。創作の泉が枯れた人間は、皆この森に辿り着く。アイデアは湧き出るもの、源泉でないと価値がないと信じ続ける者は、森の深みに迷い、戻らない。



1361.『ペンを握る者の供述』


#twnovel ペンは剣よりも強し。まさかその言葉を身を以て知ることになるとは思わなかった。死体はこの森の中です。一番奥に埋めました。粗暴な編集者でした。私はそれに万年筆で立ち向かったんです。「だが相手は丸腰だった。剣を持っていたのは、ペンを剣に貶めたのはあなたですよ」はい、刑事さん。



1362.『龍の伝説』


#twnovel この森の、高僧が格闘の末に龍を地下に封じたという伝説は、水脈の存在を伝えているのではないか。推測を立て掘削が始まっても、引っかかりがあった。何故ありがちな神通力でなく泥臭い格闘なのか。その疑問は、爆発したように噴出する濁流に身体ごと流された。ああ、これは格闘って言うわ…


 *


1363.『夏の夜の友』


#twnovel 今よりはるか昔。そろそろ新しい生き物を創りたいと思われた神は、下界の様子を覗かれた。そして夏の夜に寝苦しい思いをする人間の姿を目にし、心を痛めた。「かわいそうに。よし、どうせ眠れないのなら、夏の夜を共に過ごす生き物を創ってやることにしよう」そうして生まれたのが蚊である。


 *


1364.『親鳥の肉』


#twnovel「山形の肉そばには、親鳥の肉を使うんだ」「え、普通は肉が柔らかい若鳥じゃ?」「用済みになった家畜から始末するからだろうよ」「へえ…でもじいちゃんが頼んだのは若鳥そば」「歳とると親鳥の硬い肉が噛み切れんでな」「年寄りが若者を食い物にする現代の縮図」「さすが我が孫、口が悪い」


 *


【ついのべ三題ったー「ご飯」「骨」「お茶」】


《今日の献立報告》


1365.『お茶漬け』


#twnovel「今日はお茶漬けですが、お茶漬けの素を使わずに、ちょっと手間をかけて作りますよ」「楽しみです」「用意するのはご飯、アツアツのお茶、そして鰻の骨」「おっ」「ちょっと贅沢な気分で、鰻の骨茶漬けをご賞味あれ!」「身は」「えっ」「骨があるってことは、鰻の身はどうしたの」「…えへ」


 *


【お題は「君にだけは恋しない」、カラフルな恋愛作品】


1366.『恋サセヨ乙女』


#twnovel 僕の世界は白黒だった。そこに色を持ち込んだのは君だ。いや、違う。世界の中に君を見つけてから、僕は君のために色を覚えた。瞳の色、頬の色、光を浴びた髪の色、そんなことまで考えて。どれだけ想っても、僕は君にだけは恋しない。外の世界を恋させるために、描き上げた彼女を世に放った。


 *


【『青空』を舞台に、『愛憎』と『数字』と『窓』の内二つをテーマにした話】


1367.『スカイフォール』


#twnovel カウントダウンは5秒前から。その間に私は決断しなければならない。パラシュートは2つ。片方は私が壊しておいた。もちろんそっちを押し付けるつもりだったのに、青空の中で、憎しみと愛情が溶け合っていくのを感じている。ゼロ。相手が先に飛んだ。私も続く。落ちながらもう少し考えよう。



1368.『青空教室』


#twnovel 青空と言えば、窓で切り取られ、窓の中にしかないものだった。壁と天井が吹き飛ぶまでは。一人で悶々と計算していた黒板にも、何の数字だと子どもが群がってくる。わかりもしないのに何だ、いいかこれは…と説明していたら、勝手に青空教室にされていた。お陰で心の窓まで開くはめになった。



1369.『出張、恩讐美術館』


#twnovel「『恩讐美術館』飛行船出張版です。愛憎入り混じる感情の尊みを知らしめる展示をしています」「悪趣味な…」「こちらがメインの展示物『虐げれていたのに真っ先に脱出させられた船員たちと、堕ちる飛行船と運命を共にする鬼艦長が窓越しに敬礼を交わす図』です」「ン゛ン゛ッ…って縁起悪ィ」


 *


1370.『もってない』


#twnovel この度、弊社販売スタッフの接客に問題があったことをご報告いたします。ポイントカードの提示をお願いする際、もってないと答えたお客様を「俺がもっとるんじゃい!」と力強い言葉で恫喝し、自分のカードにポイントを不正に加算していました。深くお詫びするとともに、再発防止に努めます。


 *


1371.『人気メニュー』


#twnovel 注文したら席に着く前に海鮮丼が出てきた。新鮮さを売りにしているのに、こんなペースで作り置きがあるのか。すぐに捌ける自信がなければできない。これが『繁盛している』ということか。「あっ、それ違うお客様のです」えっ。「人気メニューなもので…呼ぶまで座っててください」アッハイ。


 *


1372.『餌付け』


#twnovel 余った食品をタダで配ることについてですか? まあ、廃棄するのももったいないし、店の宣伝にもなりますから。一度味を覚えてもらって、何度ももらいに来るようになれば、配るのをやめても値上げをしても来てくれますよ。来ざるを得なくなる。廃棄予定のものに何混ぜてたって店の勝手でしょ。


 *


1373.『梅雨の檻』


#twnovel 息苦しい。梅雨の季節はいつもこうだ。降る前の雨も降った後の雨も関係なく、湿気の壁となって行く手を阻む。それを掻き分けて家路を急ぐ。家では窓を閉め切って冷気の底に浸る。泳ぐように外を歩く人と、窓越しに目が合った。何だかこっちが水槽の中の気分。早く梅雨明けないかな。#窓枠水槽


 *


【お題は「君じゃなきゃダメなんだ」、かわいい恋愛作品】


1374.『あの頃は』


#twnovel『君じゃなきゃダメなんだ』なんて、いつ言った台詞かと思ったら幼稚園の頃かよ。あの時はホラ、よくわかってなかったっていうか、世界を知らなかったっていうか。言う資格も説得力もなかったんだよ。今は…そうだな。今だって、何も成長した気がしない。でも、俺は「君じゃなきゃダメなんだ」

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