2019年3月分
№1237~1252
1237.『日替わりおふくろ定食』
#twnovel モーニングメニューに気になるものがあった。「日替わりおふくろ定食…?」注文してみたところ、肉じゃがとかそれっぽいものではないが、確かに実家の朝食みたいな味だった。どういうことか店に聞いてみると「昨晩のまかないで余ったものを朝食メニューに再利用しています」おふくろだわ…。
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1238.『24時間働けますよ』
#twnovel コンビニの24時間営業廃止にはもちろん賛成…と昔なら言えたが、残業上等になった今では、深夜営業なくなるの辛いなあ。イートインで話し相手になってくれたあの子に会えなくなるのも辛いなあ。「24時間営業できますよ」えっ。「そのための永久就職のアテありませんか。ね、お客さん?」
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【『灯台』を舞台に、『靴底』と『針』と『逆転』の内二つをテーマにした話】
1239.『かかったな小物め!』
#twnovel 靴底に釣り針が刺さっているのに気が付き、灯台守は思った。俺は釣りをしないし、いったい誰のものだろう。このシーズンは客は警戒して来ないのに。次の瞬間、足を強く引っ張られた。釣り針についた糸が手繰り寄せられているのだ、海中から。こんなやり方を覚えたか、発情期の人魚どもめ…!
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1240.『注文と違う料理店』
#twnovel 注文したものと全く違うものが出てきた。そうか、ここは注文をまちがえる料理店か。それから何回か通っているが、注文通りだったことは一度もない。「お客様の場合はわざとです」えっ。「油ものだけじゃなくちゃんと野菜も食べなさいと、ヘルシーなメニューにしてます」おかん食堂だった…。
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1241.『マヌケは見つかったようだな』
#twnovel 日本は混迷の最中にあった。マスコミが政府に先んじて新元号決定を報道したのだ。それも複数社が同時に、全く違う元号を。この事態に対する、政府の見解とは。「それぞれにウソの元号をリークして、情報の漏れる過程を観察することが目的の実験だったんですが、見事に全社やらかしましたね」
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1242.『洗車』
#twnovel 久しぶりに洗車をする。言われたからしぶしぶだったが、いざ始めるとあまりの汚れっぷりに驚いた。仕事で忙しくて気が付かなかった。毎日付き合ってくれて、ありがとうな。何だか学生の時より「俺の車」って感じがした。汚いよこの車って言ってきたカノジョを乗せるのが何か嫌になってきた。
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1243.『日課は続く』
#twnovel 道端で彼女とすれ違うとき、彼女が散歩させている犬に必ず吠えられる。それでお互い困ったように笑って会釈する、楽しい日課だった。ある日、彼女は犬を連れていなかった。何となく察して「寂しいですね」と言うと、次の日から彼女が吠えてくるようになった。オイオイ何でその発想に至った。
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【twnvday2019/3/14 お題「平」】
1244.『平じゃない』
#twnvday 今度の人事で、ヒラでなくなることになった。言われたことだけやってればいい平坦な日々が続くと思っていたのに、ちょっとこれからの想像がつかずに平静ではいられない。でも…「先輩、良かったですね!」能天気な笑顔に、上から手を伸ばす。そんな這い上がる生き方も悪くないかもしれない。
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1245.『レバーの店』
#twnovel この焼き鳥屋はレバーが大きい。それは仕入れたレバーを余さず客に食べて貰うためにだ。「それだけ一推しなんですね」いや、大将がレバー嫌いで賄いにもしたくないから余らせまいとしてたんだけど逆にレバーが大きい店と話題になって大量に仕入れなきゃならなくなったという「大将生き地獄」
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1246.『誰がために』
#twnovel 俺はヒーローにはなれないよ。何度も思ったことだけど、今回ばかりは心底そう思う。年度末、同僚は休日返上で仕事をしているのだろう。そんな仲間を見捨てて、俺は職場に行きもしない。きっと後悔する。でも、娘が上京する前の、最後の1日。そんな日に、家族より皆の幸せは選べなかったよ。
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1247.『僕は勉強ができるので』
#twnovel 今までで一番がんばったことって何だ。酒の席でそう訊かれたので、勉強ですね、と答えた。つまらねえなと吐き捨てられたが僕もそう思う。スポーツ少年団は嫌だから勉強が得意だと思わせた。塾は嫌だから独学で充分と思わせた。要は今もがんばってる。勉強は、放っておいて貰える良い口実だ。
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1248.『花束を君に』
#twnovel そういやセレモニーで、期間満了の契約社員のコに花束渡すんだったな。思い出したのは出張先でだったが、ろくに話したこともない俺より他の人がいいだろうし、職場に戻る頃には終わってるだろう。そう踏んだが、定時が過ぎてもそのコは待っていた。仕事より緊張して、襟とネクタイを正した。
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1249.『元号発表①』
「新元号は…」
官房長官が告げると同時に、掲げられた色紙の文字を書き取った。書き取った、はずなのだが。手帳から文字は消え、顔を上げると、色紙は再び伏せられている。どういうことだ。
「新元号は…」
慌てて文字を書き取った。が、また同じことが起こった。
誰だ、リセマラしてるのは!#twnovel
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1250.『元号発表②』
「新元号は…」
官房長官が告げた瞬間、そこが特異点となった。掲げた色紙に、それぞれの新元号を観測した結果、日本国民はそれぞれ異なる時間の中で生きることになった、らしい。アンタも発表の瞬間を見逃したんだろ。俺たちがいるのは、きっと『平成』だ。残り1ヶ月、ゆっくり生きようぜ。#twnovel
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1251.『元号発表③』
「新元号は、あとです」
官房長官が告げると、記者たちがざわついた。あの、あとで発表するということですか。
「いえ、あとです。では、5月1日から、あと1年となります」
1年?元年じゃないんですか。その質問に官房長官は答えずに退室した。あと1年。何のカウントダウンが始まるんだ。#twnovel
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1252.『元号発表④』
「新元号は…」
官房長官の発表はつつがなく終了した。終わってみればウソや事件もなく、呆気ないものだった。これが平成最後の日か。記者たちが席を立とうとすると、突如、退室したはずの官房長官が飛び込んできた。
「平成はー!まだ年号ー!やめへんでー!」
あ、やべ。まだ1ヶ月あった。#twnovel




