2018年10月分
№1097~1127
【ついのべお題ったーマニアック「薄紅」「すばらしい世界」】
1097.『きらめく世界』
#twnovel 初めて薄紅をさした自分を見たときは心が躍った。母の道具で勝手に化粧したときとはまるで違う。これで私も母と同じ、華やかな、すばらしい世界へと行けるのだと思った。母は仕事のことを、私にそう言っていたから。確かにそうね。だから帰って来なかったのかって、今では納得しているもの。
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【ついのべ三題ったー「人肌」「人肌」「屋台」】
1098.『スキン』
#twnovel 人肌が恋しくなったので、せめて温もりを感じようと愛想のいいおっちゃんの屋台に行くと「ヘイ、新鮮なスキンだよ」マジで人肌売ってんのかよ。えっじゃあこれください。「それは格別イキがいいよ。煽り文句が出放題だよ」イキがいいんじゃなくてイキリだよ。スキンどころか総スカン買うよ。
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1099.『温度差』
#twnovel 台風の接近に伴い「イベントは開催するのか」と問い合わせが相次いだ。それが決意を固めた。こんなに期待されているのだ、何が何でも中止にはしないぞ!と、上は言っているが、実際に問い合わせを受けた俺は知っている。彼らが込めた、電話越しでもわかる「中止ですよね?」のニュアンスを。
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【ついのべお題ったーマニアック「海色」「おさな心」】
1100.『海色の声』
#twnovel おさな心にも、海に向かって声で叫ぶ人たちの気持ちは何となくわかっていた。大人になって自分もやってみたけど、子どもじみた金切り声を出す自分が惨めになるだけだった。波が足元に貝殻を運ぶ。私の黄色い声への返事。思い出を遠くへさらっていく、そしてすべてを溶かしこんだ、海色の声。
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【ついのべ三題ったー「変態」「舞台」「サイコロ」】
1101.『ルーニーにインタビュー』
#twnovel「自分を変態だと思ったことはないね。舞台があって、求められてるわけだから」演者は語る。「サイコロの結果は無視できない。無理だ、なんて言う奴には、サイコロを握る資格すらないのさ」なるほど。だが、舞台とサイコロに求められたことに、変態ロールで応えているのはあなたですよね…?
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1102.『特撮ノリで学ぶクソ物件』
「着工!」ブラック建設会社が新築一戸建てを建築するタイムは、僅か1ヶ月に過ぎない。では、竣工プロセスをもう一度見てみよう。#twnovel それを見なかったことにした不動産屋は顧客への情報を操作して欠陥住宅という一種のブラックホームを売り出す事が出来るのだ。「即決契約に引きずり込め!」
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1103.『絶許スイッチ』
怒りっぽいのを自覚していた俺は「絶対に許さないこと」を決めて、それ以外は許してうまくやってきた。なのに…「失礼、お話を伺っても?」「は?何か事件ですか?」
#twnovel 俺は質問に質問で返されたら許さないと決めていた。職務質問に素直に答えてくれていたら、こんなことにはならなかったのに。
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1104.『黒幕』
「おかげで魔王を倒せました。あなたの手助けがなければ、どうにもならない場面がどれだけあったことか…」「礼はいい。私の目的は君たちの冒険を成功させ…それを永遠に繰り返して貰うことだからな」「なっ」「フハハ…遂に世界は完成する…!」#twnovel「…よーしデバッグ完了。あとはリリースだ!」
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【ついのべ三題ったー「タバコ」「赤」「英語」】
1105.『改装』
#twnovel 赤信号で足を止めると、見知った店で工事をしていた。閉店かと思ったが改装中らしい。ああ良かった。喫煙者に厳しい御時世で、自由にタバコが吸える店だったから。改装が済んだら久々に行ってみよう。そして足を運んだ俺を出迎えたのは、改装の成果と英語の文句。『No smoking』くそったれ。
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1106.『水を含む』
#twnovel 酒を嗜んできて、最近ようやくチェイサーの使い方がわかった。あれは舌にピリッとくるほどの度数の酒を薄めるためでなく、舌がピリッとしたあとにお冷やとして口に含むためにあったんだ。ママ、早く教えてくれればよかったのに。「お酒を飲んでる人に水は差せないでしょ」含みのある言い方。
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1107.『コマーシャル』
昨日と同じ一日。せめて飯は違うものをと思っても、何を食べたか思い出せなくなってベッドに倒れる。自分はループしているんじゃないだろうか。毎日寝落ちするまで眺めているスマホが、バカな妄想を打ち消した。「あ…更新きてる」#twnovel 昨日とは違う今日。そのきっかけを作れる、小説家になろう。
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【ついのべ三題ったー「緑」「残業」「グラス」】
1108.『緑のグラス』
#twnovel 緑のグラスは使うなよ。残業で飲み会に出られなくなった同僚から幹事を引き継ぐ際、そんな注意を受けた。翌日、その通りにしたと報告。「課長のだからって言い忘れたか…まあ誰も使わなかったなら良かった」俺は、本当は言い添えられたことに気づいていた。グラスに毒が塗ってあることにも。
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1109.『○○マン列車』
#twnovel『この車両はワンマン列車です』ローカル線では聞き慣れたアナウンスだ。『申し訳ありません、訂正いたします。この車両はタイマン列車です』は?と戸惑う俺を残し、乗客が全員降りる。いや、1人乗り込んできた。覆面レスラー…しまった!ここは山形県!『終着駅までデスマッチ、発車します』
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1110.『悪党になる』
#twnovel「俺、悪党になろうと思う」「どうした」「最近、ヒーローコスチュームでゴミ拾いしてる連中がいる」「いるな」「目障りだ」「えっ」「だから今から、」「ちょ、待て、まさか襲撃」「奴らより先にゴミを片付けて活躍できないようにしてやる!」「ンだよめんどくせーなァお前!!」
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【twnvday2018/10/14 お題「勘違い」】
1111.『いや、違う』
#twnvday 本を読むのが好きだった。違う、それしかすることがなかった。図書室に入り浸っていた。違う、逃げ込んでいた。みんな「アイツはああでなきゃ」と言った。違う、俺に興味がなかった。「えっ、小説家になったんじゃないの?」違う、と言えなかった。まだ俺のことを勘違いしていて欲しかった。
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【ついのべお題ったーマニアック「輸血」「旅人」】
1112.『出かけよう』
#twnovel そうだ旅に出よう。そう言うと、大きな事故を乗り越えた後だからか、みんな「そうするといい」と気を遣ってくれた。出不精の俺の心変わりを喜んですらいたようだ。思い立ったのは、血が騒いだから。出かけようぜと内側から急かすから。くそ、輸血してくれた人はお節介焼きのアウトドア派か。
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【ついのべ三題ったー「桜並木」「ランプ」「アブノーマル」】
1113.『忍者 虻膿丸 爛付虫の巻』
#twnovel 忍者虻膿丸は特殊な虫を育てている。爛付虫もそのひとつだ。「爛付虫は体に油を貯めこんでおり、火に飛び込む習性を持っております。この死にたがりを傍に付けておけば提灯の明かりが絶えることはないのですよ」その話をわざわざ桜並木の下でするのは、武士の私に対するあてつけなのだろう。
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【お題は「純情」、失恋恋愛作品】
1114.『純愛だよ』
#twnovel 本当に大好きだった。絶対に失敗したくなかった。だから今すぐに告白したいのを我慢して、いい仕事に就いて、稼いで、結婚を焦る年齢になってから金ならあると声をかけたんだ。なのに「それだけの人とは嫌」断られた。あばずれが純情を弄びやがって。何が「純情を失くしたのは誰かしら」だ!
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【夢を失った写真家と常識が脳内に存在しないコンビニ店員、彼らにとって一生分に値する数時間のお話】
1115.『コンビニで証明写真を撮れるわけじゃない』
#twnovel 写真で食うことを諦め、履歴書の証明写真を撮ろうとコンビニへ。「ここで撮れるわけじゃないんですよ。印刷ならできますが」無理だ。カメラはデジタル仕様じゃないから。「はぁ?そんなカメラ意味あります?」こいつにホンモノの写真を教えてやる。そう奮起して、写真家を続けてきましたね。
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1116.『親は子がやりたいことをやらせよ』
#twnovel 勉強は嫌だ、と喚く子どもに、じゃあしなくてよくなったら代わりに何がしたいと問う。ゲームと答えたので尊重してやらせることにした。うまくいったようで、今は大人しく勉強してるよ。対戦で叩きのめしてお前なんかゲームしたって何者にもなれやしねえんだと教えてやったからなゲハハハハ!
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1117.『落としただけなのに』
#twnovel スマホを落としただけなのに。それだけなのに、こんなことになるなんて。そりゃ、中のデータを勝手に見られるかもしれないと用心してなかった落ち度はあるかもしれない。でも、その中身を誰かにバラすなんてあんまりでしょう刑事さん。「そうか」漫画村から落としただけなのに。「ギルティ」
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1118.『吐くまで飲む』
#twnovel 久しぶりに吐くまで飲もう。ここ最近ずっとそう思っているが、吐く前に寝落ちしてしまう。この話をした相手はみんな「逆に健康的でいいんじゃないの」と言うが、そうかなあ。俺、とことん酔わないと愚痴も吐けないんだけど、でもみんながそう言うならもう少し飲み込んだままでいよう、かな…
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【ついのべ三題ったー「筋肉痛」「フルボッコ」「風邪」】
1119.『たったひとつの冴えたサボり方』
#twnovel マラソン本番を仕方なくサボる方法を考えていたんだけどな。まず猛練習すれば筋肉痛で休める。それじゃ理由が弱いなら、土砂降りの中で練習して風邪を引けば盤石だ。だが風邪を引く保証はないし何より練習する気力がない。だからこうして頼んでるんだ。さあ、フルボッコにしてくれ。骨折れ。
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【ついのべお題ったーマニアック「カナリア」「金魚すくい」】
1120.『金魚とカナリア』
#twnovel すくってきた金魚をいれた金魚鉢を、カナリアの鳥籠の隣に置く。騒ぎ出すかと思ったが、お互いあまり気にしていないようだ。同じ愛玩動物仲間だとわかっているのだろうか。そうそう、君たちは飼われるために品種改良されたんだから食べても美味しくないんだ。君たちの先代と、俺が保証する。
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【ついのべ三題ったー「水薬」「風邪」「頭痛」】
1121.『問診』
#twnovel「あなたの風邪はどこから?」「私は「その答えを得るため南米アマゾンに「飛ばない!」「頭痛から?」「決めつけんな。喉からです」「なら喉用の水薬を薬局が処方してくれますよ」「ここに来た意味!!ゲホッ」「そんなに叫ぶから。喉用の薬ありますよ?」「…やっぱり、頭痛薬も貰えますか」
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1122.『ゴッドエラー』
#twnovel 神は「光あれ」と言われた。すると天使は「また適当な思いつきを」と文句を言いつつも下界に光を発注した。すると人間は激しい光を伴う爆弾を作って「ヨシ!」とし天使はその爆発を見て「何か違う気がするけどまあ光ってるからヨシ!」と神に報告した。神はその光を特に見ずに良しとされた。
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1123.『コーヒーを一杯飲む間』
コーヒーを一杯飲む間に、#twnovel を一つ仕上げよう。こんな風にちびちび飲むのは久しぶりな気がする。最近は缶や紙コップを捨てる場所がないからと、その場で慌てて流し込んでいた。結局仕上げられなかったが、すっかり冷めたコーヒーを口にして思い出した。昔はこれくらいゆっくり飲んでたっけな。
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1124.『地味ハロウィン』
#twnovel 派手なのは苦手だけど地味ハロウィンなら…と思って来たはずなのに、のっけから気合の入った衣装の人と出くわしてしまった。もう帰ろう。「待って!私は『地味ハロウィンなのにガチハロウィンの衣装で来てしまった場違いな人』の地味仮装です!」…その引き攣った顔、さては仮装じゃないな?
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1125.『あかんやつ』
#twnovel あの…ここに来れば食べられるって聞いたんですが。「何をだい」…あかんやつ。「ほう。いいぜ、用意してやるよ。ただし常連になってからだ」そして大将から食の嗜好を把握されるまでに通い詰め、遂にあかんやつが出された。「ほれ、前に苦手だと言ってたやつ」俺にとってのあかんやつかよ!
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【ついのべ三題ったー「勇気」「トンボ」「戦友」】
1126.『蜻蛉に乗った戦友』
#twnovel 蜻蛉はね、亡くなった人の魂を乗せているんだ。俺にそう教えてくれた曾爺さんは、蜻蛉に乗った戦友の姿を見たという。勇気のあるやつだったけど、その蜻蛉はいつまでも同じ場所に浮かんでいて、やっぱり止まりたかったんだろうなと思った、と。曾爺さんの戦友は、最後は神風になったらしい。
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1127.『たとえば神輿のような』
#twnovel ハロウィン参加者の暴徒化を避けるために、たとえば神輿のような、人々の興奮を一手に引き受けるものが必要だと議論された。意見を求められた識者は、ニヤリと笑いながら語った。「それなら大盛り上がりする、ハロウィンに由緒正しいものがありますよ。ウィッカーマンっていうんですけどね」




