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2018年9月分

№1065~1096

1065.『流れ』


#twnovel 河川沿いにあるこの村には、堤防が必要だと全員がわかっていた。しかし観光ホテルも一等地としてその土地を欲し、所有者も乗り気だった。結局、この前の氾濫でそいつが流されたことで堤防に決まったが。流れに委ねただけ、誰に訊いたってそう答える。助けないのは罪じゃないよな、刑事さん。


 *


【ついのべ三題ったー「日曜日」「農業」「約束」】


1066.『復帰プログラム』


#twnovel「農作業は日曜日だけと約束しましたよね」「すまない…でも、毎日の治療より、この方が自分を取り戻せそうな気がするんだ」「気持ちはわかりますが、プログラムがあるんです。さあ、そのお酒をこっちへ」「作業の後は飲まないと…飲まないと作業ができないんだ!」「だから遠ざけたのに…!」


 *


【しんだことに気づいていない引き籠りだった子と血の繋がりのない弟、二人の過去についての話】


1067.『家を出る兄へ』


#twnovel 兄貴は俺のために引きこもった。お互い連れ子だったけど、どこにでも付いていく俺を可愛がってくれた。親が俺を見なくなってからも、兄貴だけは、家から離れられない俺の傍に居た。でもある日、やっと気づいて、兄貴は泣きながら引きこもりをやめた。ありがとう。俺はもう憑いていかないよ。


 *


1068.『川がない』


#twnovel ちょっと川の様子を見に行ってくる。じいさんも親父も、そう言って戻って来なかった。呪いのようで怖くなった俺は都会に逃げたが、そこで就職した今ならわかる。二人は、何もかもが嫌になって、絶望を見に行ったのだ。俺には見に行く川がない。どこにも行けず、どうしようもない明日を待つ。


 *


1069.『クラスの魔女子さん』


#twnovel「魔女なんているわけない」って言われたのがきっかけかな。頭にきて魔法で懲らしめても「これはトリックだ」なんてしぶとい奴。何度も繰り返すうちに私を避けていた皆が「変なのに絡まれて大変ね」と戻って来た。その変なののおかげで、私は怖い魔女ではないらしい。

#私が魔女にならない理由


 *


【ついのべ三題ったー「乳」「包丁」「夏休み」】


1070.『夏の幻影』


#twnovel 夏休みの絵日記が片付かず参っていた。親戚のねーちゃんの横乳以外、今年はクソ暑かったことしか覚えていない。暑すぎて皆おかしかった。ねーちゃんだって、うろ覚えだけど裸エプロンで包丁を…いや完全に思い出した。親戚のねーちゃんなどいない。今年はクソ暑かったことしか覚えていない。


 *


【命を絶つつもりの電話番と犬猿の仲のお隣さんとのロマンス】


1071.『命の電話』


#twnovel「はい、コールセンターです」『アパートの隣の部屋の者です』「…もーなんですかぁ。職場にまで苦情を?」『壁が薄いってのに毎晩大声で喚かれたら誰でもそうします』「クレーム対応でストレス大変なんですよぉ」『なのに昨晩は静かで、今朝は妙に明るかった』「…」『帰りを、待っています』


 *


【お題は「君と過ごした日々のこと」、やさしい恋愛作品】


1072.『ご一緒にいかがですか』


#twnovel ご近所のよしみでお守りを頼まれたこともあったなあ、大きくなるにつれて遊ぶ機会もなくなっていったけど。レジのカウンター越しに接客されながら、君との昔のことを思い出していた。きっと覚えていないだろうと声をかけずに去ろうとしたら「ご一緒に今度遊ぶ約束はいかがですか」と、君が。


 *


1073.『歴史介入』


#twnovel 葛飾北斎の波の絵が、後世の技術で撮影した写真通りだという話題は、歴史管理局でも取り上げられた。果たして未来人が関与した案件か。実際に江戸時代に飛ぶと、さすが北斎は自力で絵を完成させていた。「見ねェ顔の連中が『何か丸っこい波ですね』ってケチつけやがるからこうした」やっべ。


 *


【ついのべお題ったーマニアック「重ねた声」「耳鳴り」】


1074.『前フリ』


#twnovel「あ、ごめんちょっと待って…」「どうした」「耳鳴り。最近酷くて」「キーンってやつ?」「いや、何て言うか…人の声?」「えっ」「重なった声って感じ」「めっちゃ怖いじゃん。どんなの?」「こう…ブン ブン トゥキトゥキブゥゥン」「ボイパ自慢のためだけにやたら長い導入だったな」


 *


【「夜の公園」で登場人物が「逃げる」、「コーヒー」という単語を使ったお話】


1075.『On the road』


#twnovel 公園生活三日目。段ボールは割と寒さをしのげると実感するが、辛くなってきたので、わざと目撃されるよう周囲を歩き回った。あとは公園に残した痕跡から、金が尽きて路上を転々としていると見てくれれば、当分はホテルが死角となるはず。快適な逃亡生活を期待して、温かいコーヒーを買った。


 *


1076.『こんなときにごめん』


#twnovel 大きな災害のあとだと、つい、自分が今やっていることを悩んでしまう。本当にやりたいことなら、むしろ焦燥感でなりふり構わなくなるはずなのに。君と離れてまで始めたことなのに、俺は手が止まってしまったよ。電話した用はそれだけかって。ああ、いや。こんなときにごめん。愛しています。


 *


1077.『発掘今昔』


村で人骨が発掘された。騒然となったが、長老が「ここは昔、人柱が埋められた場所だ」と語り場は収まった。事件どころか歴史的発見で村おこしになるかもしれない。はやる村人は警察ではなく学者を呼び、どれほど昔の骨かじっくり鑑定して貰った結果は「平成だね」

#twnovel 長老の行方は誰も知らない。


 *


【twnvday2018/9/14 お題「転」】


1078.『致命的失敗(ファンブル)


#twnvday 何が出るかな、何が出るかな、それはサイコロ任せよ、っと。ピンゾロ、ファンブルだ!っかー、ファンブルじゃしょうがないな!心の中でダイスを振り終えた俺は怒られる覚悟でミスを打ち明けた。結果、早めの対応で致命的失敗にはならなかったりするものだから、現実はどう転ぶかわからない。


 *


1079.『一杯食わされた』


#twnovel 祭りの夜、酒の肴を探して出店を巡っていると、一本外れた通りで小坊主たちが鍋を煮ていた。手書きで「一ぱい300円」の張り紙。500円が相場の出店でこれは安い、そして美味い。でも何の鍋だっけと思って振り返ると、出店は消えていた。一杯食わされた、いや、本当に何を食わされたんだ俺は。


 *


1080.『立ち止まる』


#twnovel 隠れるように生きている俺でも、祭りは好きだ。祭り囃子に誘われて出てきた、普段は出会うこともない人々に紛れて歩いていれば、ほら、君を見つけることができた。僕は君を探していたけど、どうか僕のことは探さないでくれ。そう頼むまでもなく、幸せそうで良かった。俺は雑踏で息を潜めた。


 *


1081.『ステップアップ』


#twnovel 出店から食べ物の匂いが漂ってきても食欲が湧かなくなった。トシだなあと思うついでに、若い頃は敬遠していた地酒を買う。酒を片手に人混みをぶらぶら。ここってこんなに人がいたんだなあ。何だか胸がいっぱいになって酒が進む。食べずに飲めるようになるのが酒飲みのステップアップらしい。


 *


1082.『祭りの最奥』


#twnovel すれ違う神輿行列を見送って僕は歩く。明かりと喧噪の中を遡って、僕は「祭りの後」を目指す。最後の神輿とすれ違う。人波が去って照明が消える。やあ、今年も会えたね。祭り好きだけど、暗がりから見つめることしかできない僕の友達。それじゃあ、今度は後ろから神輿を追いかけて歩こうか。


 *


1083.『ストッパー』


#twnovel ここで急にハンドルを切ったらどうなるか。昔の俺はそんなことばかり考えていた。君を乗せるようになってからはだいぶ抑えられたが。君の命を預かっている間は、自分に価値があると思えたんだ。助手席が空になってからは腕が軽くて仕方ない。俺の腕よ、頼むから俺を殺してくれるな。どうか。


 *


1084.『治療』


#twnovel 何でもいいからアウトプットして、自分とは切り離すんです。どうですか? …そうですよね。こんなものを抱えていたら、いつか取り殺されてしまいますよ。だからこうして排出しないと。ええ、そうです。あなたには毎日、このプログラムで治療を受けてもらいます。今日からあなたは小説家です。


 *


1085.『昼も夜も』


#twnovel 牛丼チェーン店は昼と夜とで食べるスタイルが違う。日中は時間と待っている客に追い立てられるように牛丼をかきこむが、すいている夜はおかずと味噌汁のセットで贅沢をする。昼と夜とで違うようで、変わらないものがある。早食いも、遅い食事も、健康に悪い。その腹は満腹のせいじゃねえぞ…


 *


1086.『預かり品』


#twnovel クリーニング屋は預かったものを捨てられないので、取りに来て貰わないと洗濯物はいつまでも残っている。うちにも祖父の代からの預かり品があるが、どう見ても現代のデザインだし、冗談だと思っていたが。「預けた者です。そのまま着てっていいかな?」時間跳躍すると本当に全裸になるんだ…


 *


1087.『長いお休み』


#twnovel 殺人事件にはもう関わりたくない。だからお節介な助手を追い出し、日常系探偵をやっている。なのに依頼人が殺され、アリバイを証明してくれる相手がいない俺は真犯人を探すはめになった。おかげで助手を呼び戻す気になったのに。「私はあなたを呼び戻せただけで充分です」何でお前が犯人だ。


 *


1088.『お仕事は何を?』


#twnovel 昔は神童と呼ばれ、末は博士か大臣かなどと言われていた。どちらにもなれなかったが、今の職に就いていると両者の違いがよくわかる。学者は知っていること、政治家は知らないことが仕事なのだ。その両者の間に入り、両者から「何で知らないんだ」と罵倒されるのが俺の仕事。どーも役人です。


 *


1089.『未成年の主張』


#twnovel「私には、伝えたいことがあります!」打てば響くように校庭のギャラリーが「なーにー!?」と問う。私は今日、屋上から告白する。相手には「感謝の気持ち」としか言っていない。私も、自分の気持ちがよくわからないから、先生とのことを皆に聞いて貰います。告白じゃなくて告発になるかもね。


 *


1090.『感想を売る』


#twnovel 読書家は今日も本を読む。読んで感想を売る。本を読まなければいけないが読む時間のない客が感想を買っていく。きっと課題だったり話のタネにしたりするのだろう。実は売っているのは感想ではなくあらすじだが、だからこそクレームはない。読書家は知っている。感想は表に出すものじゃない。


 *


【ついのべ三題ったー「連絡」「模様」「液晶」】


1091.『間が悪い』


#twnovel 間の悪い奴と言われ続けた俺だが、挽回するアプリを手に入れた。連絡をとりたい相手の機嫌が、模様となって液晶に表れるのだ。それで様子を窺っているが、なかなか穏やかな模様にならない。ヤバイ話だから怒られそうな時は避けたい。よし今だ、あの、実は…おお、液晶の模様が荒ぶっている。


 *


【ついのべお題ったーマニアック「首長竜」「刺青」】


1092.『首長竜の刺青』


#twnovel その組織は、全員が首長竜の刺青をいれている。それが唯一、奴らを見分ける方法だ。こいつは違う、首は長いがブラキオサウルスだ。こいつも違う、首がやたら伸びている亀だ。おっとそいつは組織の者だ。首が長くないって? そういう首長竜もいるんだよ、そう…クロノサウルスだ!「わからん」


 *


【ついのべ三題ったー「国」「月」「ご飯」】


1093.『断食研修』


#twnovel この国でも、一ヶ月の間断食する習慣を試験導入することになった。苦行を経て連帯感を高めるという点に着目したのだろう。空腹を乗り越えた先で、同じ釜の飯を食べた人々は強い絆と自己犠牲、そして無償の愛に目覚めるのだ。なお導入される先は、某大々的なボランティアの研修との噂である。


 *


1094.『串カツ屋の変な客』


#twnovel うちの串カツ屋には親父の代から変な客がいる。常連と呼べるのだが、いつもカツをソースにつけないのだ。もしや味の問題かと不安になって尋ねると「親父さんとの約束なんだ」と。まさか俺を見守るために串カツが苦手なのに通って「ソースの二度づけは禁止。俺は二度とソースをつけられない」


 *


1095.『憑依系俳優』


#twnovel 憑依系俳優になってからしばらく経つ。最初はどうなることかと不安だったが、普通の役者でいた頃とは需要も待遇も格別。いい思いをさせてもらっている。しかし、手っ取り早く言うことを聞かせるために、動物に人間の意識を移すなんて闇が深い業界だ。こう忙しいと俺はいつ人間に戻れるのか。


 *


1096.『偽装親子』


#twnovel 大丈夫、泣かないで。家族にはすぐ会えるから。迷子センターに連れて行ってあげるからね。それまでおじさんをお父さんだと思っていいんだよ。その代わり、お願いをきいて欲しいんだ。これから通る場所で、ちょっと指差して言ってくれるだけでいいんだ。「お父さん、これ気持ち悪い…」って。

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