2018年6月分
№970~1000
970.『幸せが漏れてくる』
#twnovel 一人暮らしは、思っていたようなものではなかった。誰にも気を遣うことがないなんて、嘘だ。ちょっと物音を立てたら隣に筒抜けになる。壁が薄いから。隣の幸せな会話が自分のことのように思える。一つ屋根の下だから。開く必要のないはずの口は、今日も辛うじて独り言を紡ぐ。
#レオパレス文学
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【ついのべ三題ったー「コーヒー」「録画」「幼児」】
971.『すっとぼけ』
#twnovel 家事の合間、コーヒータイムに録画を消化するのが日課だが、録った覚えのない番組が目に入るようになった。幼児番組ばかりで、まさか息子が録画したのか。まあ昔に比べるとボタンひとつでできるしありえなくはないか。と、話した当日に油断して録画場面が見つかった間抜けがうちの旦那です。
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【お題「好きだなんて云えない」、ドSな恋愛作品】
972.『SだのMだの』
今更、好きだなんて言えない。ちょっと困らせるつもりで「実はSなんだよね~」と言ったらガチのドMに仕上がってきた彼。そうなる前の彼が好きだったなんて…
#twnovel
と、葛藤しているだろうな。彼女にはずっとそうあって欲しいから、こんな風にSキャラを強制して困らせることが好きだなんて言えない。
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973.『ガイドブックには頼らない』
#twnovel 東京に出張したとき、よく泊まるホテルのすぐ近くにある居酒屋だ。名前は知らない。調べずに行ったし、尋ねなかった。でも場所を覚えた。変わり続ける都会で、変わることのない居心地のいい場所。もう目を瞑ってでも行ける、と一歩踏み出す。前に来た時はなかった工事中の看板にぶつかった。
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【ついのべ三題ったー「マナーモード」「すごろく」「味覚」】
974.『味覚すごろく』
#twnovel「味覚すごろくで遊ばないか」「何ぞ」「進めるごとに指定されたグルメを実食していって、味覚が鍛えられていくぞ」「ふりだしに戻るが出たんだが」「じゃあ味覚をリセットしないとな」「どうやって」「シュールストレミング」「よせ!」「舌がマナーモードのように痙攣するぞお」「やめろ!」
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【お題「叶わなくても君が好き」、甘い恋愛作品】
975.『ステージ』
#twnovel「叶わなくても君が好き」夢を追ってる男になんてこと言うんだと彼女のもとを飛び出して、気づいたらこんなところまで来ていた。追いかけてきてくれたのに、踵を返して埋もれようとする彼女を引っ張り上げる。ここまで来たのは、君を最高のヒロインにするためだ。「叶えた俺はもっと好きだろ」
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976.『カンパ』
#twnovel「カンパしない?」学食で、普段は接点のないチャラいやつから話しかけられた。遊ぶ金か? 嫌だよ。「10円が上限」安っ。「目標は8億」つりあってねえぞ!「国民全員から10円ずつでいけるべ」どんな国家プロジェクトだよ。「値引いた金カンパで補填したら、別の答弁できんじゃね?」…100円。
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【ついのべ三題ったー「支え」「薔薇色」「ゆとり」】
977.『これだからゆとりは』
#twnovel 何、上司に「これだからゆとりは」と馬鹿にされた? 逆に考えるんだ。「あ~ゆとり世代で良かった」と支えになることを考えるんだ。え、特にない? 誰かと比べることには興味がないからしたくない? そもそも誰に何を言われようが落ち込むほど気にしない? ああ、そう…これだからゆとりは。
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978.『ゴミ拾いボランティア』
勇ましい装いで、街のゴミを自主的に回収しようという活動が広まっている。その異様さに当初は人々も警戒していたが、今では彼らが回収しやすいよう、定位置にまとめておくなど協力的である。
#twnovel
ゆうしゃはタンスをしらべた。
なんとゴミをみつけてしまった!▼
「……」
#ファンタジー社会問題
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979.『ハーメルンのご当地アニメ』
ある町が、地域おこしのために地元を舞台にしたアニメの制作を依頼した。アニメはヒットし、大勢のオタクが聖地巡礼に訪れたが、町はアニメ会社に正当な報酬を支払わなかった。すると、会社はオタクと共に姿を消してしまった…
#twnovel
「一体何が」「会社潰れて、クオリティ低い続編が作られたんだと」
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980.『XY』
#twnovel 少年マンガが好きだった。昔ながらの、主人公が出来損ない扱いから逆転するやつ。流行りの主人公無双に飽き飽きしていた頃に、俺はその事実を知った。もしかしたら少年マンガって、この現実に向き合わせるためにあったんじゃないかと思ったりして。男は女の出来損ないらしい。逆に興奮する。
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981.『本物が飲みたい』
#twnovel 珍しい客人が現れた。何でも、貧困階層から這い上がってきたらしい。「貧困階層では、飲み物はすべて味のついた透明な偽物だ。俺は本物が飲みたい」お望み通り、コーヒーを淹れた。「何だこれ!?泥水じゃん!」お気に召さなかったようなので紅茶を淹れた。「枯れ葉!?ガチの泥水じゃん!」
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982.『雨の日の窓辺』
#twnovel こんな日は何もしたくない。窓辺で雨の打ち付ける音を聞きながら、ぼんやり天井を眺めていた。水族館に行くつもりだったが、この大雨じゃ家の外全部が水槽のようなものだ。何も泳いでいない濡れたガラスに目を向ける。ふと、水槽の中はこっちかと思い、タオルケットでお腹を隠した。
#窓枠水槽
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【twnvday2018/6/14 お題「蹴」】
983.『キックバック』
#twnvday すべてを失った俺にキックバックが発生した。青春時代に夢中で蹴ったボール、もっといい就職先が内定したので蹴った御社、忙しいしまだいいよと蹴った縁談。それらが一斉に追いかけてくる。蹴躓いた俺は、ああ俺の人生って結構充実してたんだな、と思いながらこれまでの御縁に足蹴にされた。
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984.『海来ハイボール』
青いハイボールを見たのは、それが初めてだった。地元の小さな祭りで復興屋台と称していた他県の出店。プラスチックのコップに澄んだブルーが注がれる。きっと彼らは、この色を海で知ったのだと思った。彼らが諦めなかった街と海の未来を見に行こうか。ちょうどまた飲みたくなったところだ。
#47のべる
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#小さな図書室 お題「いつかまた」
985.『いつか世に出す物語』
#twnovel いつかまた、か。ここ数か月、投稿を続けてきた企画が終わる。行き場のない創作衝動のはけ口にさせて貰っていたが、これからはどうしようか。ふと思い出したのは、前はいつ開いたかも覚えていないメモ帳。書きかけの物語がそこにある。いつかが来るまでは、こっちの『いつかまた』を、また。
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986.『知らない靴』
#twnovel ただいま娘よ、どうもありがとう。何がって、お前がくれたプレゼントのことだよ。父の日の。隠すのを忘れるなんてドジな奴だなあ、そのままになってたぞ。玄関に、俺の知らない男モノの靴が。でもサイズ合わなかったな。そこのカーテンから覗いてる足とか、合いそうじゃないか。出てこいや。
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【ついのべ三題ったー「新月」「カーテン」「耳」】
987.『丸いものを見ると』
#twnovel「えっ何、ゴール?どっちゴール!?」俺たちがボールの行方に一喜一憂する度に、観戦場として貸してくれた部屋の主は、そんな風にもっと騒ぐ。見ずに聞いてるだけだから。新月の夜だから平気と思っていたのに、サッカーボールでもダメとはなあ。くるまったカーテンから覗く狼耳を見て思う。
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【お題は「キスしようか」、ほのぼの恋愛作品】
988.『キスのタイミングは難しい』
#twnovel 初めての「キスしようか」は無邪気な子どもの頃。二度目は失敗した。雰囲気読んで、と。それから、ずっと雰囲気を掴めずにいたけど、今はしろって言われてるし、いいんだよね。確認のために「キスしようか」とヴェールを開ける前に訊いたら、今更かと言われたし神父さまにめっちゃ笑われた。
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989.『無断録音』
#twnovel 就職活動で呪文の詠唱試験を受ける際、学生が試験の様子をスマートフォンで無断録音するケースが増えている。「聞き直して改善点を見つける」などの理由だが、専門家からは「マナー違反以前に、再生した場合、魔法が勝手に発動する恐れがある」と指摘する声が出ている。
#ファンタジー社会問題
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990.『全力キス』
#twnovel 俺はお前が目をつぶれと言ったからつぶったわけだ。そして何も起きないから目を開けた。何でお前もつぶってるんだよ。恥ずかしいってお前…わかった、そのままつぶってろ。あとは俺が…だから目を閉じたらじっとしてろっての背伸びが頭突きの速度じゃねえかこの野郎!
#キスシーンを全力で書く
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991.『水分補給』
#twnovel「あっ、またシメにラーメン食べてる!」「違う!これはお冷やだ!」「嘘だ!」「冷たいラーメンだからお冷やみたいなもんだ!山形県民はみんな冷たいラーメンで水分をとる!」「じゃあマラソンの給水もラーメンか!」「ウォーキングなら給水所でラーメンもふるまう」「どうなってんだ山形県」
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992.『見定め』
#twnovel 戻ってくると人づてに聞いてから、決めていたことがある。君は知らないだろうけど、離れてからずっと、君と次に会ったときどうするかを考えて過ごしてきた。だから会わなきゃいけないと思った。会っておきたかったんだ。初めまして。いい人を見つけたね。
#恋という字を使わずに失恋を表現する
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993.『階段がない』
#twnovel「頼通サン、平等院鳳凰堂の設計図、ほんとにこれでいいんですか?」「ああ、見てきた通りだよ」「でもこれ、二階に上がれないですよ?」「えっ、あっちじゃみんなすいすい上ってたけど。こう、光が差して吸い込まれるように」「あはは。そのあと、お堂が飛んだりとか」「それな」「まじすか」
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994.『評価』
今の時代、誰かの評価って大事にされてるだろ。みんな、どうせなら価値の認められてるものが欲しいけど、自分じゃ価値を見抜く自信がないんだ。俺もそう。だから、ついつい他人の評価をあてにしたり、他人の持ってるものが欲しくなったりするんだよ。
#twnovel
「ひとの彼女に手ェ出した言い訳がそれか」
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【ついのべ三題ったー「模様」「合格」「雨」】
995.『模様検定』
#twnovel 模様検定に合格するのは難しい。空模様や雨模様が設問のうちは勘でもパスできるが、夏模様とかちょっとよくわからないものになってからがキツい。そこで一旦間を空け、最終問題の人間模様を解するまで成長してから受験するのがセオリーだ。が、最近はその手前の恋模様で躓く人が多いらしい。
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996.『心はひとつ』
#twnovel 会場の観客全員が、スマホを眺めていた。せっかく会場にいるんだからスマホより試合を観ろと思うだろうが、それは違う。他の試合の結果次第で、決勝進出か否かが決まるのだ。選手だってそれを気にしてパス回しに終始している。この時、観客と選手の心は、間違いなく共にここに在らなかった。
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【お題は「相性」、静かな恋愛作品】
997.『言葉はいらない』
#twnovel 喧嘩して口もききたくないときは、出会った場所で過ごすことにしている。そこでなら話す必要もないし、第一に図書館でお喋りは厳禁だ。それぞれが読みたい本を読むだけだが、これで割と仲直りできる。手に取った本の貸出履歴にお互いの名前を見つけると、やっぱり相性は悪くないと思うのだ。
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【ついのべ三題ったー「名刺」「狼少年」「緑」】
998.『こういう者です』
#twnovel 貰った名刺に「狼少年」と書いてあった。何これ。『私は嘘つきです』ってか。俺は試されているのか。こんな悪戯を仕掛ける奴と今後やっていけるのかと脳内がエラーで真っ赤になったとき、相手が口を開いた。「ラン・シャオニェンです」あっそういうことか!すいません、オールグリーンです!
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999.『中堅化パッチ』
#twnovel 従業員ロボットの開発元の会社から中堅化パッチが無償配付された。さっそく当ててみると、その日からロボットは言葉使いがラフになり、頻繁に飲み会を提案し、仕事観を語るようになって職場の空気が悪い。この態度に見合う機能を持たせるために、昇進アップデート処理を…こっちは有料かよ。
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1000.『千本ノック』
か、書いた…#twnovel 千本…ッ
これで手に入る…
面白い話をすらすら書く力が…!
さあ、試練を達成した俺に授けてくれ!
『君は、もうそれを持っているよ』
なに?
『挫けずに千本書き上げた努力こそが』
そういうのいいから。
努力とかなしでぱぱっと書ける力くれ。
『また千本書けばいいよ、もう』
1000本達成しました。
長年のご愛顧ありがとうございます。




