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2016年2月分

№42~71

42.『AIの挑戦状』


#twnovel 男の夢は、ゲームで人間に勝つAIを開発すること。それに何の意味があると馬鹿にされても、人生を懸けて打ち込んできた。そして迎えた対決だったが、開始早々にAIが反則負け。対決後、AIはメッセージを表示した。


こんな け゛ーむに まし゛に なっちゃって と゛うするの


  *


43.『タバコを吸わないとイライラする』


スマホを出そうと懐に手を入れれば「ちょっとここは禁煙ですよ!」 トイレに立とうとすれば「またサボってタバコですか?」 喫煙席でと宣言すると離れた禁煙席の客が「子どもがいる店で吸うなんて!」#twnovel「喫煙室は静かでいいなあ」「“吸わない”とイライラするってのは本当なんだな」


  *


44.『うちの節分』


#twnovel ぼくのうちでは豆をまかない。昔、鬼をかわいそうに思ってかくまった先祖がいて、それからまかなくなったらしい。みんなに言うと、変なの、と笑われるのでヒミツにしている。でも本当のヒミツは、この日になると角と牙が生えてくること。ぼくは鬼と、それをかくまった人間の子孫だ。


  *


【ついのべ三題ったー「コーヒー」「留守」「満月」】


45.『月に吠える』


#twnovel ちょっとした悪戯心で、留守番で暇をしてるだろう君に「月が綺麗ですね」とメールを送ることにした。後から恥ずかしくなった。コーヒーで一服して落ち着いてから冗談だと送ろうとしたが、ようやく来た返信を見て外へ飛び出した。「狼になりますか?」満月に吠える、狼男が街を往く。


  *


46.『アイデン&ティティ』


#twnovel 君たちの見分けがつくのは僕だけと、そう思っていた。「気づいてた? 正解してるように見せてただけってこと」僕が呼ぶ名前に合わせて演じ分けていたと。「でも私たちも、どっちがどっちかわからなくなって」見分けられるのを諦めた双子は、二人で一つの共有人格をもつようになる。


  *


【ついのべ三題ったー「意識」「ぬくもり」「原稿」】


47.『ぬくもりを求めて』


#twnovel 意識が戻ったとき、やはり原稿は白紙だった。寝落ちしている間に小人さんが書いてくれたりはしなかったらしい。夢で見ていた、物語の断片を頭の中でつなぎ合わせる。記憶はふとんのぬくもりと一緒だ。まだなくならないでくれ。「〆切日ですが、原稿まだですか」現実と編集は冷たい。


 そして…


48.『スランプ作家の供述』


#twnovel 真っ白な原稿というのは、僕の頭の中そのものなんです。こんなものを編集に見せるわけにはいかない。編集には、人としてのぬくもりがないんです。殺される。そう思うと、だんだん意識が遠のいて…「だからってね、真っ赤に染めることはないでしょう」おっしゃる通りです、刑事さん。


  *


49.『いつも心に忍タリティを』


今朝、息子が初めての『お別れ』を経験した。「もう守ってくれないの?」頭を撫で、問答する。やると決めたら?「イケイケドンドン!」ピンチになったら?「燃えてキタ!」この一年間の思い出が、これからもずっと君を守ってくれるよ。#twnovel『帰ってくる』のが決まってるのは黙っておいた。


  *


【ついのべ三題ったー「短歌」「カーテン」「残業」】


50.『残る業に給も無し ~続・残業スナイパー』


カーテン越しに誰かがいると気付いたときには、もう遅かった。「俳句を詠め、介錯してやる」もはやこれまでか。「口惜しや、残る業に、給も無し」覚悟をしたが、気配はすでに消えていた。何故。#twnovel「まず惜しむべきは、命だろう」ぽっと出の暗殺者を撃ち抜き、俺は今日も残業に付き合う。


  *


【ついのべ三題ったー「ご飯」「戦友」「まとめ」】


51.『特攻となりの晩御飯』


#twnovel これは料理が苦手な著者が、最前線で戦友に作って貰った料理をまとめた本だ。興味深いのは著者の部隊が途中で全滅してしまった後のこと。困った著者は毎晩一人で敵陣に乗り込み、ご飯を要求したという。著者にとっては敵兵すら、ご飯をくれる戦友だった。著者は名をヨネスケという。


※フィクションです。


  *


52.『天職世界の英雄』


#twnovel 神殿に一生の職業が決められる世界。唯一、神のお告げを得られなかった男は「生まれ変わっても本質は変わらないか」と溜息をついた。やがて男は職業選択の自由を求める革命の旗印となるのだが、ついた二つ名は奇しくも前世で呼ばれていたものと同じだった。人は彼を「無職」と呼ぶ。


  *


53.『病む』


#twnovel 殿は病んでしまったのだと誰もが言った。戦を好まなかったのに、平和な世を作るためといって敵将を次々と討伐するなんて。「しかし、これで戦を生む者はいなくなりましたな」恐れ慄く家臣に、殿は「まだ残っている」と自らを指さす。「じき死ぬがな。皆の言う通り、儂は不治の病だ」


  *


54.『重力波は時空を歪める』


#twnovel「今日、初めて重力波が観測された。僕の見立てだとこれはチョコであり、専門家の意見によると本命である確率が高い。この事象は僕と君との間に歪みを生じさせ、距離と関係を変化させる。2月12日に起こったという時間のずれが何よりの証拠だ。大発見だから発表しよう」叩かれた。


  *


【ついのべ三題ったー「アブノーマル」「水薬」「英語」】


55.『忍者 虻膿丸』


#twnovel かつて虻膿丸という忍者が、水薬を求めて海外に渡ったという記録がある。虻膿丸は優れた蟲使いだったが、使役する蟲を体内で飼うという困った性癖を持っていた。水薬も幼虫の栄養分として飲んだ。当時の現地人が彼をどう思ったのか、abnormalという英単語が今も伝えている。


  *


【twnvday2016/2/14 お題「重力」】


56.『僕が地に足を着ける話』


#twnvday チョコを貰ってからこっち、僕はふわふわと地に足が着かないまま。どこかへ飛んでいかないのは君の引力がしっかり繋ぎ止めているから。しばらくはその幸福感が続くんだけど、君が僕を逃がさなかった理由と、それに気づいてしまった重みが、僕を地上に引き戻す。「そうか…3倍か…」


  *


57.『叩かれる』


#twnovel 彼女に叩かれたと友人に愚痴ったら「とんでもない女だな」と軽口を叩かれた。笑い話としてツイートしたらフォロワーに「お前が悪い」と叩かれた。炎上が止まらずどうしようと頭を抱える内にドアが叩かれた。今はツーショット写真を上げて終結宣言しなさいと彼女に尻を叩かれている。


  *


58.『もらえたチョコの個数だけ文字が打てる』


#もらえたチョコの個数だけ文字が打てる という弾圧が行われる中、モテない男達は奇策に打って出た。同志の中で最も口が巧い者を代弁者として、チョコを集中させるのだ。彼は皆から希望を託され、その希望ごと消えた。一文字も打てなくなった男達は思う。『確かに口の巧い奴だった』#twnovel


  *


【ついのべ三題ったー「コーヒー」「紅葉」「風邪」】


59.『後輩の見舞い』


#twnovel「風邪にはコーヒーが効くんです。そもそも風邪薬の多くにはカフェインが含まれていますからね」上がり込んだ後輩は語る。飲んだら帰そう。伝染したら…赤くなってない?「顔に紅葉を散らしているだけです。先輩用のアクセサリーですよ」何だ夕焼けか。「先輩、赤いですよ」風邪だよ。


  *


60.『フリマ出品者の供述』


#twnovel コラボなんて知らなかったんです。いつも出社前に皆で栄養ドリンク買ってたからタペストリーもよくわからないまま貰って。で、他の皆は欲しかったわけじゃないから俺に渡されて。俺だってこんなにいらないから…「でも転売なんて、好きならやらないよね」好きなんですか、刑事さん。


  *


61.『チープトリック』


#twnovel マジシャンは断腸の思いで未完成の脱出マジックを披露した。しかし誰もトリックを見抜けなかった。使い古されたトランプマジックでも、誰も見抜けなかった。子ども騙しの親指分離マジックをしてようやく、誰も見抜くつもりがないことに気づいた。魔女裁判の時間は無情に過ぎていく。


  *


【ついのべ三題ったー「変態」「布地」「白昼夢」】


62.『下着泥棒の供述』


#twnovel 未来は変えることができる。僕が見た白昼夢で、悲惨な結末を迎えた彼女は、この薄い布地の下着をはいていた。最悪の未来を回避してきたのは、いつだってヴィジョンとの些細な違いだったんだ。だからたとえ変態と呼ばれても、この下着を返すわけにはいかないんだ、刑事さん!「逮捕」


  *


【ついのべ三題ったー「記憶」「錠剤」「戦友」】


63.『退役』


#twnovel 退役祝いの錠剤は、戦場の記憶を消すという代物だった。それに頼らずに生活できている事実は、私の自信の源だ。戦地のニュースを見ても何も感じない。だが、妻が泣いていた。「戦死が報じられたのはあなたの戦友なのよ」妻は、忘れてもいないのに平静でいられる私の姿に泣いていた。


  *


64.『大事になったでござるの巻』


「NINJA…」一瞬の静寂の後、サミット会場は騒然となった。日本代表がおもむろに印を組み始めたからである。#twnovel 私は、発言のチャンスを得るために注目を集めようと、パフォーマンスしただけだった。狙いは当たったが、まさか阿鼻叫喚の地獄絵図と化すとは。このままドロンしたい。


  *


65.『ちゃんとしたとんかつ』


とんかつ。店に行って驚いたね。俺が知ってる、衣ばっかりのパサパサしたやつじゃないんだもの。しょっぱくもないからソースをかけてちょうどいい塩梅。当然美味しかったけど、俺が食べたいものじゃなかったんだ。頼むよ母さん。店じゃちゃんとしたものしか食わしてくれないんだよ。#twnovel


  *


66.『一億総作家社会』


#twnovel『小説投稿サイトの普及は、一億総作家社会を生んだ。それ自体は悪いことではないが、問題は、事実のみが述べられるべき場面にも空想が混じり出したことだ。報告が報告の意味を成さず、このままでは社会は崩壊する』という私の報告に、総理は「よくできた話だなあ」といいねをくれた。


  *


67.『引き継ぎ』


#twnovel 会議の開催を宣言するための会議を開くことを決定するための会議の検討をするための会議を延期するかどうか決めるための会議をいつやるか選考するための会議が中止になって早十年、もはや何のための会議だったのか覚えている者は誰もいなくなった。この仕事を君に託そう「辞めます」


  *


【ついのべ三題ったー「チェス」「焼肉」「プール」】


68.『プールーコーギー!』


#twnovel 焼肉屋で、それぞれ赤肉、白肉だけ食べてる二人組がいた。しばらく見てて気づいたんだけど、そいつら焼肉でチェスしてた。部位を駒に対応させて、取った相手の駒を食べて。たぶんチェックメイトの意味で「プールーコーギー!」と叫んだとき、夢中で見てた俺の焼肉は炭だった。訴訟。


  *


69.『そんな彼女と今度結婚します』


思い違いってあるよな。向かいの席の同僚がやたら話しかけてくるから、仕事中に雑談はどうかと思ってかわし続けてきた。でも周囲からすれば「気にかけてくれる子を俺が冷たくあしらってる」だったらしい。言われるまで気づかなかった。そんな彼女と今度結婚します。俺じゃない誰かが。#twnovel


  *


70.『探しものは何ですか』


#twnovel「探してください」男は疲れきった顔をしていた。「見つからないのは、ひとりだからだと気付きました。だから」制して、背後を指す。俺にこの男を探させようとした依頼人がそこにいる。「ふたりで探すんだな」大抵のことは誰かに訊けばわかる。探偵に頼らずとも。【~オチを探して~】


  *


71.『2月29日』


#twnovel『本当の誕生日』になると娘が家に来る。もう一人の自分に会って、4年分の成長を受け取るために。「ねえ、わたしはどこ?」今年は来られないみたいだ。娘は私と一日過ごし「また来るね」と時間を止めたまま帰っていった。ああ、またおいで。私は倒していた娘の写真に、手を合わせた。

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