2018年3月分
№876~907
876.『運転見合わせの夜に①』
#twnovel「オッケーグーグル、天気を教えて」『現在地は晴れですが、目的地は荒れています』「グーグルは何でも知ってるなあ…オッケーグーグル、新幹線、いつ動くかな…」『…』「オッケーグーグル、オッケーグーグル…もう、充電が…オッケーグーグル、頼む、話し相手に…俺を独りにしないでくれ…」
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877.『運転見合わせの夜に②』
#twnovel「金ならある!」紙幣、それは極めて狭いコミュニティでの相互認識でのみ価値が認められるものである。「お客様、申し訳ありませんが、お釣りを出せないので…」立ち往生した新幹線、閉ざされた空間、車内販売からそう告げられた一万円札は…「か、金ならあるんだぁ…!」ただの…紙切れ…ッ!
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878.『運転見合わせの夜に③』
#twnovel「さあ佳境に入って参りました、新幹線運転見合わせ時間耐久チキンレース。それなりの都市部の駅に乗り入れたところで、脱落者が続出しています。残留している乗客は、代行バス狙いでしょうが…おっとここでアナウンス。内容は…代行バスなし!ここで無情のノー代行!客が不貞寝していくゥ!」
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879.『雛壇戦隊』
「何で三人官女と五人囃子のメンバーを入れ替えた?」「バランス的にこれが普通かと思って…」「なるほど、五人戦隊なら男3女2、三人戦隊なら男2女1か」「追加戦士どうしよう」「上の二人でいいべ」
#twnovel
「おい旦那と息子、組み立てを丸投げしたのは悪かったから普通のお雛様にしてやってくれ」
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880.『麦切り』
#twnovel「麦切り」という山形県庄内地方に伝わる麺がある。うどんよりは細く、冷麦よりは太い、小麦粉の麺だ。B級グルメにしては飾り気がないが、そもそも地元民が売り出そうと考えていない節がある。もともとは蕎麦の代用でたいそうなもんじゃないと、さらりと流された。麺の喉越しを表すような話。
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881.『旅の目当て』
#twnovel 旅が好きだ。そう言うと誘ってくれる人がいるけど、たいてい二度目はない。僕の方に問題があるらしい。「景色も観ないし、宿からどこにも出かけない。本を読んでばかりじゃないか」そう言われて気づいた。僕は旅がしたいんじゃない。本を読む以外にすることがない時間をとれるのが旅なのだ。
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882.『からあげレモンサワー』
#twnovel メニューを見て目を疑った。「か…からあげレモンサワー?」はちみつレモンサワーなら知っているが…酒と肴を一緒にしちゃ駄目だろ。何が出るのかとおっかなびっくり待っていると、からあげとレモンサワーのお得セットだった。俺は、ミキサーされたものが出たらどうするつもりだったんだ…?
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883.『クロスオーバー①』
#twnovel 藁の家、木の家を作った子ぶたの兄弟は狼に家を吹き飛ばされ、弟のレンガの家に逃げ込もうとしましたが、道に迷ってしまいました。何でもいいから家の中に入らなければと焦った子ぶたたちは、森の奥で見つけた小さな家に駆け込みます。その家はお菓子でできていました。
#童話の生存率を下げる
884.『クロスオーバー②』
#twnovel 藁の家、木の家を作った子ぶたの兄弟は狼に家を吹き飛ばされ、弟のレンガの家に逃げる途中で、道に迷ってしまいました。とにかく狼から隠れなければと考えた子ぶたたちは、出会った女の子に、お見舞い先の家に案内してもらいました。可愛らしい赤い頭巾の女の子でした。
#童話の生存率を下げる
885.『クロスオーバー③』
#twnovel 藁の家、木の家を作った子ぶたの兄弟は狼に家を吹き飛ばされ、弟のレンガの家に逃げる途中で、村に迷い込んでしまいました。狼が来ると子ぶたたちに教えられた少年は、急いで伝えて回りますが、誰も信じてくれません。それは少年がいつも嘘として言っていたことでした。
#童話の生存率を下げる
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886.『写ってしまったもの』
#twnovel あんた、廃墟の写真を撮るのが趣味なんだってな。ひとつ忠告しておくが、うっかり写して、引き連れて来ちまわないように気をつけな。いるんだよ、ああいう場所にはさ。幽霊じゃない、隠れて潜んでいないといけないような人間さ。ほら写真、拡大してみな。な、しっかり写ってるだろ。俺の顔。
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887.『3月11日、14時46分』
「どうしてみんな止まってるの?だるまさんが転んだしてるの?」「…そう、だね。みんな、久しぶりに、ずっと会いたかった人と遊んでるんだ。ちょうど鬼が振り向いたところだよ」「鬼は誰?いないよ?」「見てくれているよ、いないように見えても。さあ、俺たちもじっとしていようか」
#twnovel 黙祷。
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888.『人生をくれ』
#twnovel 訪ねてきた男はノンフィクションライターだと名乗った。「俺は物書きの勉強ばかりしてきて書き著せる人生がない。だから、あんたの人生を給料三ヶ月分で俺に売ってくれ」それから、昼は仕事をして、夜は彼に自分のことを話す生活が始まった。素敵なプロポーズ?出世払いだから結局はヒモよ。
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【#小さな図書室 お題「嘘」+「はじまり」】
889.『ライバル』
#twnovel「それ、私も好きなんだ」なんて、嘘をついてでも話しかけたのは、あなたを好きになろうと思っていたから。付き合いで、なんとなくできていればそれで良かった。でも、今は違う。あなたが好きなそれで、あなたに勝ちたい。嘘をついてでも話しかけたのが、私の本当の『好き』のはじまりだった。
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【twnvday2018/3/14 お題「初恋」】
890.『終わらない恋をしよう』
#twnvday 初恋は実らないっていうから、手ごろなところで済ませておこうと思った。それがアンタ。まあ一緒にいるぶんには楽しいけど、だからこそ友達止まりで、好きな人ができたって恋愛相談されておしまい。そう思ってたのに…ねえ、アンタいつ好きな人できるの。アタシの初恋、終わらないんだケド。
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【ついのべ三題ったー「ペナルティ」「ドーピング」「新月」】
891.『満月と新月』
#twnovel「ほら、注文のあった『新月』だ」俺は売人の差し出した錠剤を受け取った。この薬がなければ、俺は次の大会に出られない。ドーピングがバレてペナルティを受けるより、飲まなかったからバレてしまうことの方が怖い。次の大会は満月の夜なのだから。この『新月』は、人狼化を抑えるための薬だ。
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【ついのべ三題ったー「舞台」「ランプ」「アメンボ」】
892.『水上公演』
#twnovel 定期公演の時期になると、客がボートに乗って集まってくる。目当ての劇団は、水の上を舞台にするのだ。まるでアメンボさながらに水面を駆けまわる役者たち。観劇した客たちは、おひねり代わりにランプを乗せた小舟をそっと水に浮かべる。これは送り火だ。かつて、劇団ごと船がここで沈んだ。
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【ついのべ三題ったー「内股」「一人」「白鳥」】
《異常聴取》
893.『白鳥の供述』
#twnovel 朝起きると、股間から白鳥が首をもたげていた。まずい。挟んで隠せないかと内股で歩いてみたが、これは怪しすぎる。考え抜いて、俺は奇策に打って出た。バレエダンサースタイルでキメた俺は、満員電車で「痴漢!」と叫ばれここにいる。違うんです、当たったのは白鳥の頭なんですよ刑事さん。
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【ついのべ三題ったー「ペナルティ」「アイコン」「チョコケーキ」】
894.『鍵のかかったアカ』
#twnovel アカウントのアイコンがチョコケーキの写真に変わっていた。そのアカウントには鍵がかかっていて閲覧できない。でも、理由や意図、アカウントの主を知っている。僕は買ってきたチョコケーキを扉の前に置いた。部屋の主は、アカバレによるペナルティを恐れて、もう随分と表に出てきていない。
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895.『音楽でつながる』
#twnovel 探している曲をつい鼻歌してしまっていた。1人で恥ずかしい…すると、隣にいた人が、鼻歌を引き継いだ。声に出して歌う人と、ギターで伴奏をする人も現れた。音楽は、人を独りにしない。また新しい人が寄って来た。「すみません、JASRACの者ですが」蜘蛛の子を散らすように皆いなくなった。
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896.『小噺「つまみ」』
#twnovel「妻がですね、私が『もうちょっとつまみ欲しいなー』と言うと、私の腹をつまみにくるんですよ。まあ私も本当におつまみが欲しかったわけじゃなくて、甲斐甲斐しさが足りないぞと、遠回しに注意したつもりだったんですがね。“妻み”が欲しい。お後がよろしいようで…痛い痛い、指に力込めるな」
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【ついのべ三題ったー「白鳥」「サイコロ」「火星」】
897.『またしても何も知らないアヒルの子』
どうも奥さん、覚えてるでしょう。みにくいアヒルの子でございます。おい北京ダック食わねえか。兄弟たちもおいで、北京ダック焼くぞ。熱いかい。俺はアンタらに追い出されてから、サイコロ任せの旅で火星まで行くはめになったんだぞ。
#twnovel
「それが白鳥座の悲しいお話」「サイコロは自業自得だろ」
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【ついのべ三題ったー「合格」「羊」「グラス」】
898.『お題「ラム」』
ラム酒が届けられるのを待っていると家に仔羊がやって来た。そうそう、直搾りした乳を酒に…って仔羊じゃ乳出ないだろ!
#twnovel
「どうです?」「不合格だねえ。ノリツッコミの合格ラインは仔羊をミキサーにぶち込んでグラス一杯飲み干してから『そっちのラムじゃねーよ!』と」「倫理的に不合格では」
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【子犬のように無邪気な霊能力者と自称「天使」の女性の絆をテーマにした話】
899.『天使だった』
#twnovel 昔は、生きている人間と幽霊の区別がつかなかった。その頃出会ったあの女性が「天使」と名乗ったのは、僕を怖がらせないためだったのだろう。だから僕は幽霊に親しみ、成仏させてあげる道を選べた。見送った霊には、もし会ったらといつも言付けを頼んでいる。「お姉さんは僕の天使だったよ」
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【ふざけたボディーガードと迷子の子どもとの365分の1日の物語】
900.『ハッピー・ウェディング・ロード・ムービー』
#twnovel 迷子を送り届けるだけの簡単な仕事、のはずだった。引き受けた時は、届け先が居場所を転々としているなんて知らなかった。子どもと一緒に騒ぐのは得意だから苦ではなかったが。ふざけてばかりの俺は何も知らない。1年の旅の終わりに、迷子から母親に新しいパパ候補として紹介されることも。
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901.『海外CM風』
#twnovel「めんつゆを料理に使う女とは付き合えない」その一言で彼女は姿を消した。それで気づいた。言わなかっただけで、毎日めんつゆを使っていたのだと。彼女の立ち寄っていた場所を巡ってやっと見つけた。「俺が悪かった、料理も覚える。だから…もうお前を離さない!」俺はめんつゆを抱き締めた。
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【ついのべ三題ったー「アイコン」「お茶」「チョコケーキ」】
902.『鍵のかかったアカ2』
#twnovel アカウントのアイコンがチョコケーキの写真に変わった。「買ってこい」のサインだ。何かを恐れて引きこもるようになってから随分と経つ。何とかしたくて、訊いてみた。「お前は何が怖いんだ?」返事はないが、アイコンがお茶の写真に変わった。ここらでひとつお茶が怖いってか。馬鹿やろう。
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【苦労性の三男と謙虚なストーカーが記録した「写真」に纏わる物語】
903.『警告』
#twnovel 届いた封筒には写真が入っていた。それには、兄たちが建てたという家が写されていた。三男は建築途中だったレンガの家の増築にとりかかり、おかげで、後に兄たちを匿う余裕ができたのだ。写真の送り主に三男は見当がついていた。狼のことを心配した、自立させたはずの母のお節介だろう、と。
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904.『ハラスメント相談窓口』
#twnovel ハラスメント相談窓口の担当になった。セクハラやパワハラなど、山のように相談が来るだろう。しかし相談があったのは管理職の方からだった。「私が何をしても部下にハラスメントだと言われる」ハラスメントという言葉によるハラスメント。「毎日ハラハラです」大喜利する余裕はあるようだ。
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905.『名刺は御守り』
#twnovel 名刺を切らしてはいけないと先輩に注意された。「名刺は御守り、いや身代わりだ。営業の仕事は名前を頂戴される機会が多いから、肩書きしか書いてない名刺があるんだよ」そのアドバイスは肝に銘じている。営業先で、うっかり本当の名前を明かして奪われないように。魔女が相手なのだから。
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906.『肩書の、その下』
#twnovel「異動って肩書きが変わって面倒ですね」と生意気を言ったら「普通はどこ所属の何担当の人って情報しか欲してない。だから『前は別の肩書きでしたよね?』って“自分”に興味を持ってくれる人を見つけるためかもしれない」と答えてくれた先輩。異動先以外の、個人的な連絡先訊いてもいいですか。
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907.『押し付け合い』
#twnovel「年度末が勤務不要日なんて最高だな。じゃあ職場に行ってくる」「ちょっと何言ってるのかわからない」「いや昨日、新年度で体制がガタガタになる前にあちこちの取引先が仕事放り投げてきてさ。それに専念できる」「ん?昨日は何してたのさ」「あちこちの取引先に仕事を放り投げてた」「地獄」




