2018年2月分
№848~875
848.『朝の習慣』
#twnovel 日曜朝の番組改編に「そんな…」とショックを受けていた息子だったが、今は早起きの習慣が残り、朝のジョギングに出てからSHTに合流にするようになった。表向きは。尾行した私は知っている。「何か…点いてたから…」という言い訳が使えなくなったプリキュア難民の存在と、その集会所を。
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849.『だが日本じゃ二番目だ』
#twnovel「大した経営手腕だが、お前さん、日本じゃ二番目だ」なぜだ。私は海外帰りだぞ。世界基準を学び、最も効率よく働くにはやはり定時退社が一番だと提唱して義務付けまでしたのに、どうして皆、無断で残業するのをやめないんだ。「世界で一番でも、日本じゃ二番なんだよ」では一番は…「根性論」
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850.『マメに生きろ』
#twnovel 豆撒きをサボったら、鬼が家に上がり込んできた。それでも豆は撒かなかった。人に避けられている俺も鬼と同じだし、誰かが家に居るなんて久しぶりだから。そう言うと鬼は姿を消した。「俺が居ると本当に人が寄り付かなくなる。サボるな、豆撒きも、人付き合いも」俺は泣いた。鬼は青かった。
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851.『花火動画』
#twnovel「皆、スマホを空に向けてらあ。風情がないっすね親方」「いいじゃねえか。花火の弾ける瞬間を、頭ン中や写真に残せても音だけは動画でないと残らねえ。その儚い音を『いやー観てますか皆さん!』『やばーい!』『おっとこの尺玉は』うっせーな花火の実況なんざたまやでいいんだよたまやで!」
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852.『片方だけの手袋』
#twnovel 朝、出掛ける途中で見掛けた片方だけの手袋。夜帰ったら道路にはみ出していた。風にとばされたのかともとの場所に戻す。しかし次の日も同じことが起こり、やっと思い至った。帰ろうとしているのか。道路向かいの家に届けると、住人はばつが悪そうに受け取った。玄関には新品の手袋があった。
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853.『仮想チョコ』
#twnovel 仮想チョコに手を出したのは失敗だった。簡単に増やせると聞いて、欲を出したせいで結局すべて溶かしてしまった。元手にした、唯一貰った本物のチョコまで。最初はそれをくれた人に見栄を張りたくて、いや、喜ばせたかっただけなのに。「…もしもし母ちゃん。チョコ、美味かったよ…うん…」
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854.『通の食べ方』
俺はラーメン屋を訪れた際は、醤油ラーメンを頼むことにしている。こういうシンプルなものにこそ店の個性が出る。そこに一期一会の、繊細な味の違いを見出だすのが通というものだ。#twnovel「お客さん。繊細な味を見出だしたいなら、一期一会のラーメンにマヨネーズかけて無個性にするの今すぐやめろ」
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【ついのべ三題ったー「景色」「残業」「頭痛」】
855.『白い部屋』
#twnovel 頭痛を感じて目を強く瞑る。次に目を開けると、景色が一変していた。どこを向いても、白い。まるで異世界転移の手前だ。「目が覚めましたか」となると、この人が神様か。「あなた残業の途中で倒れたんですよ。しばらく入院です」こうして俺は堂々と休めるチートを手に入れたが…嬉しくない。
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《今日の献立報告シリーズ》
856.『マンガ肉』
#twnovel「今日はマンガ肉ですよ」というメッセージが添えられた画像には、白いスケッチブックが写っていた。「これから作ります」またメッセージが送られてきた。いや描くんでしょ。「次にあなたは『うまい』と言う」いや絵なんだから食えないし、言ったとしても美味そ…ちょっと待って絵ェうまい!?
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857.『惜別』
#twnovel「ここでコーヒーを飲むのも最後になりました」「お引っ越しですか」「仕事が終わっただけです」「それは残念」「私もですよ。好みでした、あなたのコーヒー」「なのに、終わらせてしまうんですね」「仕事ですから」「張り込んだ甲斐がありましたね。私、どこでぼろが出たんですか、刑事さん」
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858.『未来売ります』
#twnovel 転売に関わったのは一度だけだ。今でも後悔している。でも、あのときはそうするしかなかった。教授が買ってくれなければ破産していただろう。そのせいで、売った俺の研究成果は教授のものとして世に出たわけだが。俺の未来を先買いした奨学金を返済するために、俺の未来は教授に転売された。
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859.『魔女集会』
#twnovel 魔女が集会から帰ってきた。町の御用聞き代行の役目もおしまいか。「留守中、変わったことはなかったかい」あったよ、客が増えた。「アンタ好かれてるね」ナメられてるのさ。「何言ってんだい。こんなに見舞いを貰って…」魔女は変わらず美しかった。寿命が尽きる間際にまた会えて良かった。
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860.『くまのジビエ屋さん』
#twnovel『くまのジビエ屋さん』という店に寄った。流行りの動物が店長の店かなと思ったら、熊みたいなオヤジが「いい熊肉があるよ」と勧めてきたので、ああそういうことかと美味しくいただいた。後で知ったが、あのオヤジは店の者ではなく、本物の店主は行方不明らしい。あのとき食べた熊肉ってまさか
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【twnvday2018/2/14 お題「黒」】
861.『暗黒物質』
#twnvday チョコを作ろうとしたらダークマターが生成されてしまった。どう処理したものかと頭を悩ませたが、少し目を離した隙に消失していた。きっとダークマターとして、本来あるべき不可視の領域へと戻っていったのだ。なので、つまみ食い犯としてクロに違いない、トイレで唸ってる奴は不問にした。
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862.『卒業見込み無し』
#twnovel 彼も私も卒業を失敗したクチだ。彼は、怪獣は着ぐるみだと知っているのに子ども向け番組が好き。「そろそろ卒業したら?」と言っても聞き入れない。それどころか「これ全部、人の手で作ってるんだぜ」と夢中。私は眼中になし。でも、そのきらめく瞳が、私を初恋から卒業させてくれないのだ。
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【ついのべ三題ったー「名刺」「時計」「マグカップ」】
863.『そのままで』
#twnovel 名刺は切らしている。時計は止まったまま。マグカップは割ってから代わりを見つけていない。君が出て行ったからだ。本当はわかっている。名刺は新しく印刷すればいいし、時計は電池を替えればいい。それにマグカップは探す必要がない。余った方を使えばいい、お揃いで買ったやつだったから。
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864.『プーさんシャワー』
#twnovel 旅行に連れて行ってもらえる! 初めてだから楽しみ。ぼくは平気だけど、とても寒いとこみたいだから君は大丈夫かな。ここで何か観るの? ぼくの仲間が大勢いるね。あれ何で持ち上げてるの、えっ他の皆も…そっか、短い間だけど楽しかったよ。あのスケート選手がぼくの新しいご主人なんだね…
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865.『行く道を開く』
#twnovel 満員電車に子どもがひとり乗り込んできた時、動かねばと思った。潰されないよう、一歩下がってスペースを作る。背中で押した人に睨まれたが、俺と同じようにしている人もいた。まだまだ捨てたもんじゃないな…目と目で通じ合う俺たちの真ん中で、子どもはハンドスピナーを豪快に回し始めた。
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866.『積読文学』
#twnovel 仕事帰りに本を買う。読まずに寝る。毎日。俺は読まない本を買っているのではなく、本屋で感じた微かな好奇心を持ち帰っているのだ。この部屋には、あの本屋には、世界にはまだ読んでいない本がある。当分は生きていたいから、今日は寝よう。
#積ん読があるのに本を買ってしまう理由を文学的に
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【恥ずかしがり屋の料理人と健康的でいやに行動力のあるニートとのミステリー】
867.『つまみ食いから始まるミステリー』
#twnovel「…ここにあった料理、食べた?」「ニートだからってすぐ疑うのは良くない。ところで、食べると何か問題が?」「…自信、なかったから」「そんな恥ずかしがるなよ」「食べる人にはモニターとしてお金出さなきゃって」「美味かったよお金くれ」「やはり貴様か」「しまった恥じらいは芝居か!」
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868.『ビブリオバトル』
#twnovel 最初のビブリオバトルは、大学のゼミで、課題図書を決めるために行われたという。自分が選んだ本の魅力を熱弁する学生の姿が、今日の発展へとつながったのだから、相当な力の入れようであったと思われる。「課題図書が既に読んだものに決まれば、負担が減るのだから。」台無しな一文足すな。
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869.『和解せよ』
今さら戻ってきてどういうつもり。前からふらっと出ていくことはあったけど、こんなに家を空けて居場所があるとでも。私はアンタは死んだと思ってたのよ。だって皆そう言うから、そうするものなんだって。なのに、なのに…帰ってきてくれて、よかった…!
#twnovel「あれは何やってんだ」「猫との和解」
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870.『深夜テンション』
「うるせーな、何モメてんだ」「新しいキャラの名前なんですが…『忍者猫』にするか『猫忍者』にするか」「じゃぁーもう、こうしろよ」【忍者猫ネコニンジャ】「それっぽい!」「凄ぇまとまった!」「決まりな!よし寝るぞ!」#twnovel「…この、深夜に書き散らしたメモどうします」「ゴミ。捨てよう」
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871.『スーツの新調』
#twnovel 新しいスーツを買いに店に来た。目当てにしている店員さんは「また太ったんですか?」と呆れ顔。スーツが売れることよりも、客の健康のために苦言を呈する優しい人だ。「いや、それが緩くなったみたいで」あなたに会いたくて太っていったけど、今度は痩せて、あなたに告白すると決めたから。
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【ついのべ三題ったー「露天」「赤」「責任」】
872.『敏腕女将』
#twnovel「女将、現状では維持費で赤字です。露天風呂を閉めるべきかと」「そうですか…では混浴にして話題づくりしましょう」「女将、百点満点のダメな発想です」「バズりますよ」「女将、そして誰も来なくなりますよ」「私が責任をとって四六時中入っておきますから」「女将、堂々とサボリ宣言すな」
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873.『銭湯の作法』
まずはぬるめの湯で心臓慣らし。さらにジェットバスで体をほぐしてからの熱めの湯。続けてサウナ、水風呂をはしごして、寒暖に耐性をつけた万全の状態でシメは露天風呂。この無駄のない流れこそ銭湯の醍醐味!#twnovel「お客さん、最初の掛け湯は」「サーセン」「水風呂も汗流してから」「…サーセン」
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《今日の献立報告シリーズ》
874.『カキフライ』
#twnovel「今日はカキフライですよ」「好きだけど、中ったって報道が出たばかりだからなあ。これまで中ったら、もう…」「安心してください。中りませんよ」「絶対に中らない牡蠣なんてないって聞いたけど」「中ったとしても報告しなければ中ったことにはなりませんよ」「…」「牡蠣、好きでしょう?」
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875.『とけてゆく』
#twnovel 寒いと何かと億劫になる。布団から出るのも、家から出るのも、「いってきます」と口に出すのも。「いってらっしゃい」と聞こえた気がしたが、返事もろくにしなかった。そんな朝の出来事からじんわり熱を帯びた私の中の冷たさは、白い息となって暖かい玄関にとけてゆく。「ただいま」
#氷の吐息




