2017年11月分
№745~778
745.『犬なんて』
#twnovel 犬なんて嫌いだ。一緒に育ってきたのに襲いかかってきた犬なんて。親戚みんなからじゃれてただけだと庇われる犬なんて。それ以来近寄りもしない俺に尻尾を振り続ける犬なんて。ある日突然夢に出てきて顔を舐め回す犬なんて。嫌な予感がして会いに行ったら、もう…だから、犬なんて。
*
746.『アーミータイツ』
#twnovel「すみません、網タイツの在庫はありませんが、こちらなら」「“アーミータイツ”?」「はい、最新のトレンドでして」「ミリタリーブームか…迷彩柄のタイツなの?」「いえ、もっと実戦的です」「実戦…」「鉄でできてますから」「鉄」「鎖帷子のような」「一周して網タイツに戻った」
*
747.『非電源オンライン』
#twnovel 文化の日ぐらい、最低限文化的な生活をしようと思い、アナログに生きようとスマホを置いた。さて本でも…最近、電子書籍しか買ってないな。音楽…もダウンロードしかしてないな。ううむ、ここはやっぱりサイコロだな、とPCでオンラインセッションを…アナログとは。
#TRPGの日
*
【ついのべ三題ったー「火星」「緑」「錠剤」】
748.『開拓時代』
#twnovel 開拓で火星にもだいぶ緑地が増えてきたが、そうなると警戒しないといけないのは、余計なものを植えようとする輩である。「お前、また“葉っぱ”植えたな?」「生モノ吸いたくて…」「まだ余裕はない。錠剤のブツで我慢しろ」技術が日進月歩しても、人類は未だに依存を断ち切れない。
*
749.『いいご縁』
#twnovel 買い物する都度、お釣りに5円が混じると賽銭用にストックするようにしている。縁結びを神頼みしないといけない歳になってきたしな。毎日のようにお参りを続け、今日は決意を込めて115(いいご)円をちゃりん。すいません、いつもの巫女さんは。いない。先日寿退社。めでてーな!
*
750.『転生前交渉』
#twnovel「これから異世界に行くにあたって、提案したいことが。話を聞くに、その世界はずいぶん過酷のようだ。生き延びるためのスキルを貰えないでしょうか」相手は私の話を黙って聞いていたが「あのさあ」と口を開いた。「地獄行きの人にそんな便宜図ると思う?」ごもっともです、閻魔さま。
*
751.『オタバレ』
#twnovel 遂に職場でオタバレする時が来た。まあ自分で仕組んだんだが。「えーっ、意外!」気になるあのコもこの反応。仕事がちゃんとしていれば、オタクは愛嬌のうちと計算済だ。「好きなものとかない人だと思ってた」…そういや働き詰めで御無沙汰かも。えっと、俺は何のオタクなんだっけ…
*
752.『油の君』
#twnovel 石油王と結婚して働かずに生きる!と野望を語っていた知人。うまく相手を捕まえたと聞いたのでとっくに海を渡ったと思っていたが、どうしてか目の前で茶を飲んでいる。「いや、実際結婚はしたんだけどね。油売ってるってプロフにあったから石油王だと思ったのに、無職とはね…」さいですか。
*
753.『リテイク』
#twnovel 役者として自分の芝居には自信があった。だから何度リテイクをかけられても、寸分違わぬ芝居をしてみせた。綿密な演技プランがあればこそ、為せる芸当である。他の誰がトチっても、俺は大丈夫だ。何度目かのリテイクの後、監督が俺を呼んだ。「お前、何度やっても同じ芝居しかしないんだな」
*
【ついのべ三題ったー「サイコロ」「ネックレス」「年齢」】
754.『年齢申告ゲーム』
#twnovel 俺は彼女の前にサイコロを差し出した。「出目×年齢×千円のネックレスを買ってあげるよ」キャバ嬢を相手にしたちょっと意地悪な遊びだ。若くサバをよんでいるから、最大の出目でも痛い出費にはならないだろう。「6ね。じゃあ…」彼女が口にしたのは桁違いな額。バカな、いや君、その長耳は…
*
755.『ミリしらポッキーゲーム』
#twnovel ポッキーゲーム? ああ知ってるよ。やりたいなら早速準備しようか。いい場所を知ってるんだ。ここに生えてるポッキーはよくしなるからゲームにちょうどよくてね。あれだろ、ポッキー同士を絡めて引っ張り合って折れた方が負けってゲーム。別にとぼけてないし、照れてもないよ。童貞ちゃうわ。
*
【ついのべ三題ったー「薔薇色」「絆創膏」「金星」】
《異常聴取》
756.『熱狂的ファンの供述』
#twnovel『得るものの多い試合でした。敗北の傷を得て、絆創膏を得て。それをくれた彼女との薔薇色の生活を得ることもできました』…なんて、アイツ言ってたんです。人生で金星を上げてやったみたいなドヤ顔で。ファンとしては、試合で金星を得ろと、気合入れてやりたかっただけなんですよ、刑事さん。
*
757.『試す怪獣』
#twnovel 内閣が総辞職を表明したタイミングで怪獣が現れるのはおかしい、と誰かが言った。きっと怪獣を操る装置を隠し持っているのだと皆が囁く。逆だ。非常時にこそ、政治家がどんな行動に出るか、操って国民に見せてやっているのだ。どれまたやるか、と世論に聞き耳を立てていた怪獣は腰を上げる。
*
758.『要注意県民』
#twnovel 俺はただ旅行先で利き酒セットを注文しただけだったのに。出身地を答えてから空気が変わった。「山形県…」「山形県民だ…」いや確かに有名な酒はあるけど、皆が酒に造詣が深いわけじゃないって。適当にどれも甘口でうまいっすねーと言うと「どれも辛口なのに…」「呑兵衛だ…」誰か助けて。
*
【twnvday2017/11/14 お題「カード」】
759.『プレミアカード』
#twnvday 昔はあんなに夢中で集めたのに、興味を失くした今ではただの紙切れ。しかし最近になって別の使い道が出て来た。プレミアがついて、古いものほど高く売れるようになったのだ。引っ張り出したが、裏返して見て売るのをやめた。裏面に持ち主の名前が書かれたカードは、プレミア過ぎて売れない。
*
760.『童心』
#twnovel「七五三ってのは、親がやりたいだけで子供にゃ退屈だろう。だから気が紛れるように、よっと」屋台のおっさんがひと振りすると、千歳飴が光り出した。これは…ライトセーバー! 千歳飴を振り回して遊ぶ子供を眺め、あの、と私は切り出す。「もう一本ください」自分用に、という一言は伏せた。
*
【『動物園』を舞台に、『緑色』と『インク』と『強奪』の内二つをテーマにした話】
761.『猿山の大将』
#twnovel 猿山をスケッチしていたら、猿に紙とペンを強奪された。あんなもので何をする気だろう。山のてっぺんで何か書いている。まさか絵を…いや違う、サインだ。しかも気に入らないのかインクを使い切る勢いで書き直している。私にもサインだけ練習するお山の大将だった頃があったなと踵を返した。
*
762.『パーティドラフト会議』
#twnovel「さあ今年も酒場でパーティドラフト会議が始まりましたが、やはり賢者に指名が集中するところでしょうか」「そうですね。成長を見越して遊び人という番狂わせも考えられますが」「あっ今、第一指名が出揃ったようです…すべて、異世界人!」「時代も変わりましたねえ」
#ファンタジー社会問題
*
【ついのべ三題ったー「通信」「化粧」「ワイシャツ」】
763.『トドメのキスマーク』
#twnovel 盗み聞きを終え、簡単に化粧を施して家を出る。違法な通信機を買ったのは、怪しまれずに互いの家の留守を確認し合うため。直接連絡をとるリスクは冒せない、そういう関係だった。忍び込み、ワイシャツの襟元に口紅をつける。いずれ奥様が発見するだろう。いつまでも別れない貴方が悪いのよ。
*
764.『ほっとステーション』
雪が降り出した。皆帰って暖房の切れた職場、誰も待っていない肌寒い自宅、そんな場所で冷めた飯を食うのは気が滅入る。そうコンビニで愚痴ると、彼女は「せめて温かいご飯が食べたくなったら、言ってくださいね」と笑った。じ、じゃあ…お願いします。
#twnovel
俺はチンしたビニ弁をイートインした。
*
765.『ピザかピッツァか』
#twnovel『ピザとピッツァは別の食べ物なんだって。みんなで食べるか、一人で食べるかの違いらしいよ』そんなことを教えてくれたのも君だった。なら、君を思って、一人で食べるこれはピッツァ「いやこれはピザだね。明らかにお一人様用ではないカロリーのやつ」「…」「人が外出した隙にこそこそと…」
*
766.『強制終了』
#twnovel 彼が無理して仕事に打ち込む姿を、毎日見てきた。手伝おうかと言っても「いや大丈夫」としか言わないから、その大きな仕事の終わる日に、せめて打ち上げをしてあげるのだ。「片付いた!」歓声を上げる彼に声を「これでこっちの仕事にとりかかれる!」かけずに手刀。気絶させてでも休ませる。
*
767.『猫を飼いなさい』
#twnovel 子猫を飼い始めた。これが手のかかる奴で、最近の妻との会話は、もっぱらその対策で持ちきりだ。おかげで、小言を言い合う回数が減った。子供が独立してからは、絶えることがなかったのに。子はかすがい、ということか。テーブルの上でお茶菓子を荒らす猫を、その調子だとこっそり甘やかす。
*
768.『休出チーム』
#twnovel ダメ元で募集をかけたが、こんな怪しげな即日採用日雇いバイトに結構な人数が集まったものだ。「いやあ、ちょうど祝日で休みだったんで」だからダメ元だったのだが。皆、そんなに働きたいのか。「世界を救う仕事ができるなんて、逆に感謝ですよ」有難いが、心配になるな、その労働スタイル。
*
【ついのべ三題ったー「老人」「虹」「牛乳瓶」】
769.『銭湯絵師』
#twnovel 銭湯の壁画といえば富士山だが、この銭湯では虹のかかった富士となっている。描いた絵師によれば「物足りなくて、ずっと描き足したかった」とのこと。腰に手を当てて瓶のコーヒー牛乳を飲み干す絵師の姿を、番台の老人が「昔はただの落書き小僧だったが、仕事でなら文句言えねえな」と笑う。
*
【『酒場』を舞台に、『兵士』と『斜面』と『運河』の内二つをテーマにした話】
770.『運河に落ちた男』
#twnovel 運河の警備をしている兵士が酒場に現れたのは、千載一遇のチャンスだ。「先日、運河に男が転落した事件。あなたはそれを目撃していたのでは?」知らんな、と兵士は答えた。だが俺は、お前が本物の兵士ではないと知っている。あの日、俺を突き落として成り代わった男。正体を酒で暴いてやる。
771.『禁酒法時代』
#twnovel 斜面に差し掛かり、どう越えたものかと立ち往生したとき、運悪く兵士に見つかった。「何を運んでいる?」答えに詰まっていると、兵士がニヤリと笑う。「押すのを手伝ってやるよ。その代わり…」案の定、斜面を越えた先の闇酒場で奢らされた。禁じた方が堕落は進む、その行く末を示す寓話だ。
772.『風呂酒』
#twnovel 日本酒を頼むと、風呂桶のような大きさの升が運ばれてきた。コップから溢れた酒が升を満たしていく。コップを持ち上げたときに波打つ水面は、まるで酒の運河だ。これを傾けて口の中に流し込むのを想像するだけで…想像する前に岩の斜面を滑りお湯の中。温泉を酒場にするのは、やはり危ない。
*
【ついのべ三題ったー「手足」「カーテン」「ミカン」】
773.『こたつ虫』
#twnovel そろそろカーテンを閉めようと思ったら、閉まっている。誰かが…いや、部屋には誰もいないはず。でもみかんが床に転がっているのが気になったので、しばらく待っていると、こたつから手足が生えた。ガタガタと暴れて残りのみかんを散乱させると「暑い…」と力尽きた。もしもし、ポリスメン?
*
【ついのべ三題ったー「すごろく」「錠剤」「カーテン」】
774.『降りられないゲーム』
#twnovel カーテンの隙間から光が差し込む。もう夜明けだ。なのにまだすごろくは上がれない。眠気覚ましの錠剤も残り少なくなってきた。終わりにしなければ。サイコロを振る。ふりだしに戻る。日差しは強まる。どうせなら俺の時間もふりだしに戻してくれないか。せめて、この盤上の人生を始める前に。
*
775.『子供はわかっている』
#twnovel「テレワークってなに?」仕事中だったので、適当に答えることにした。「照れ屋さんで、会社に行けない人のための、行かなくてもできる仕事のことだよ」「じゃあパパは照れ屋さんなの?」「ああ、とってもね」家でお前の面倒を見るためだよ、とは言わなかった。子供って、意外と気にするから。
*
【ついのべ三題ったー「目玉焼き」「濃厚」「意識」】
《今日の献立報告》
776.『目玉焼き』
#twnovel 昨晩は何したんだっけ。思い出せないということは、帰宅したあと無意識に行動し、寝落ちした可能性が濃厚だ。ここ最近は残業続きでずっとこうだ。しばらく呆然としていたが、鼻をくすぐる匂いに誘われベッドを出る。キッチンで、今日も俺を送り出す笑顔が出迎えた。「今日は目玉焼きですよ」
*
777.『大当たり』
「よし、777!」「何? スロットで大当たりしたの?」「いや #twnovel がこれで777つ目なんだ」「へぇー、続くもんだねえ」「塵も積もればってやつさ」「で、その777のうち当たったのは?」「…」「大当たりしたのはいくつあるの?」「…777だから、確変するし」「つまりこれからだと」「精進します」
*
778.『新橋駅前』
#twnovel 手に持つのは箱ではなく、封筒。中身のお札をチラ見せするためだ。先にお金が入っていると、なら自分もという気にさせる。「あの、恵まれない子供たちに…」「さっき、もう募金してきました」そう言うと舌打ちして離れて行った。最近の集りは、小手先だけ達者で募金の人になりきれてないな。




