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2017年9月分

№682~713

682.『宴の(あと)


#twnovel ミサイルが飛び、警報が鳴るご時世だ。ちゃんと非常食を用意しておかないとな。長持ちするよう乾き物で。ビーフジャーキー、スルメ、ピーナッツ。たくさん用意していたのに、たった一晩で消えたんだ。あと、大量の空き缶もあった。何も覚えてない。いったい…いったい…あー頭痛い。


 *


【ついのべお題ったーマニアック「止まり木」「星に願いを」】


683.『何度願っても』


#twnovel 星に願いを。流星群が降り注ぐ夜、願い事のために僕はずっと準備してきた。流れる星をただ眺める。『彼女に好きになって貰えますように』止まり木のインコが、僕の言葉を繰り返す。僕は何も言わない。叶わないことは知っていた。星降る夜に彼女が結婚すると、知ったのは昨日だった。


 *


684.『最後の願い』


#twnovel「ランプの精です。あなたの願いを3つだけ叶えましょう」「えーと…行ったきりなら幸せになるがいい」「ひとつ」「戻る気になりゃいつでもおいでよ」「ふたつ」「せめて少しはカッコつけさせてくれ」「みっつ」「寝たふりしてる間に…」「4つめ。オーバーです」「肝心なところが!」


 *


【ついのべ三題ったー「頭痛」「農業」「記憶」】


《異常聴取》


685.『記憶喪失の供述』


#twnovel 頭痛がする。記憶が戻るときはいつもこうだ。すべてを忘れている僕を責めるように、走る痛みが体を動かす。僕の手は鍬を握り、大地を耕し、種を蒔く。これは農業の技術だ。この都会の片隅で、過去のない僕は…僕はただ、農業をしたかっただけなんです。大麻って何ですか、刑事さん。


 *


【ついのべお題ったーマニアック「幸福について」「観察日記」】


686.『幸福についてお腹出して考えてみた』


#twnovel 幸福についての観察日記。幸せ太りという指標から、体重を観察対象及び尺度とする。社会人1年目、まだ学生時代と変わらない。2年目、飲酒の頻度が高くなる。それから年を経るごとに運動量は減り、晩酌の量は増え、遂に観察史上最高の体を手に入れた。私は太ったぞ。幸福はどこだ。


 *


【『ブルー』と『鼓動』、登場人物が『抵抗する』というお題】


687.『フライトブルー』


#twnovel 心臓の鼓動が早まっていくのを感じる。昨日まで抱いていた高揚感とは違う。不安と憂鬱による動悸だ。項垂れる私の前を、また一人、抵抗しながら連行されていく。「やっぱり信じられるもんか、こんな鉄の塊が空を飛ぶはずがない!」我々が陥っているのは、離陸直前のフライトブルー。


 *


688.『通勤探偵』


#twnovel 真相に迫っていく過程は、朝の通勤の一幕に似ている。突然ハマった渋滞にイラつき、少し進めば次々と合流してくる車が原因かと腹を立て、やがて合流地点を抜けるとその先も渋滞していると気付く。そして、交通事故の現場に行き着く。真相を通過すると、生き方が変わる。安全運転に。


 *


689.『空の青と海の青』


#twnovel まず、俺が逆さまになっているのか、と思った。でなければ、眼下に青空があるなんて。それが空を映した海だとすぐに理解できなかった。海が青い理由も、飛行機で実際に見てみないとわからないものだ。だから機体が背面飛行しているとパニックになったのは恥ずかしくない。ないとも。


 *


【『背伸び』と『口唇』、登場人物が『落とす』というお題】


690.『くちびるとチェリー』


#twnovel くちびる、という響きがどうも卑猥に思えて、僕は意識して『口唇』と呼んでいた。「変なの!」と笑う君にはそんな照れ隠しは見抜かれていたのだろう。「そんな呼び方じゃ固すぎる」反論する前に、背伸びした君の口唇…いや、柔らかいくちびるが…という感じに、僕は落とされました。


 *


《今日の献立報告》


691.『菊酒』


#twnovel「今日の晩酌は菊酒ですよ」「珍しいものが出て来たな…」「重陽の節句、菊の節句ですからね」「つまみは?」「菊のおひたしですよ」「菊の無間地獄だ!」「一晩くらい、揚げ物みたくガツンとくるものはお休みしてもいいんじゃないですか。不老長寿を願う節句ですから、ね?」「ハイ」


 *


692.『最後の電話』


#twnovel『ご愛顧、ありがとうございました』スマホに非通知でかかってきた電話。それだけ言うと、通話は切れた。もしや夜逃げかと思いなじみの店を回ったが、どこも健在。その間にスマホの充電が切れ、ふと近所の電話ボックスに行くと、撤去されていた。ご愛顧。もっと使っておけば良かった。


 *


693.『待ちの戦術』


編集者は待つ。作家が「これどうしたらいいですかね?」と訊いてくるのを。作家に自分のアイデアを無理に押し付けてはいけないのだから。

#twnovel

作家は待つ。編集者が「これこうしたらどうですか」と言ってくるのを。売れなくても「アイデアを押し付けられたせい」と言い訳できるのだから。


 *


694.『金剛蔵王権現縁起』


#twnovel「役小角が、金峰山で自己の守護仏を祈願したところ、釈迦如来、千手観音、弥勒菩薩があらわれた。だがこれらに満足せずさらに祈り続けたところ、最後にこれこそ我が意にかなう仏と感じる金剛蔵王権現があらわれた。即ち小角は…」「リセマラしたんスか」「徳の低い表現は慎むように」


 *


【twnvday2017/9/14 お題「X」】


695.『何もわからん』


「Xx…」xxx、xxxxx。「xxxxx」xx、xxx、xxxx。x-X-x。「xxxxx?」「xxx…xxx。『XxxX』、xxxx」(xxxx、xxx…xxx)xxXxx、xxxx。xxx…「X!」「XX!?」「XXX!!」xxxxx、xxx。

#twnvday【※検閲済】



696.『強者の方程式』


#twnvday「俺のことを好きにならない奴の数をXと仮定する」彼はそう切り出した。「Xは邪魔者だ。最小にするにはどんな式を立てれば良い?」ゼロにするのではなく?「それは困る」彼は不敵に笑う。「俺にとって好意的でない未知の意見をもたらす奴は、邪魔者であっても排除すべき敵ではない」


 *


697.『猫鍋』


#twnovel 野良猫の餌付け問題で市民団体と愛護団体の板挟みとなった行政は、奇策に打って出た。要は人目につかないところで幸せに暮らせば良いのだと、路上生活者に餌付けを任せたのだ。問題が目に届かなくなったので、両団体とも矛を収め、行政は放任し、路上生活者は今日も鍋を囲んでいる。


 *


698.『筋肉で解決できてないマッチ売りの少女』


#twnovel マッチが売れないままでは家に帰れない。寒空の下で暖を取るため、少女はマッチに火を点けていった。そして最後に火の中に現れたマッチョマンの幻影が、道行く人を筋肉で脅しながらマッチを完売した。少女を優しく抱きしめて筋肉で暖めようとした件は断られた。

#筋肉で解決する昔話


 *


《異常聴取》


699.『マッチ売りの少女の供述』


#twnovel マッチが売れないままでは家に帰れない。寒空の下で暖を取るため、その少女はマッチに火を点けた。でも当然、それだけで暖まるはずがない。だから、家に火を放った。継母への復讐が目的かと訊いたわね。そうじゃないの。あなたたちに捕まって、留置所で寒さを凌ぐためよ、刑事さん。


 *


700.『内陸くんと庄内ちゃん』


#twnovel 内向的な内陸くんと社交的な庄内ちゃん。同じ山形県民とは思えないほど性格も方言も違うふたりは、それでも仲睦まじい恋人になりました。その秘訣は…「味噌と豚肉なんて豚汁もどきだ!」「醤油と牛肉なんてすき焼きもどきよ!」相容れない芋煮戦争で日頃の鬱憤を晴らすことでした。


 *


701.『いいねでかいます』


#twnovel 俺がSNSに投稿した動画をニュースで使いたい、という旨のメッセージが届いた。よほど慌てているのか全文ひらがなで。「いいねでかいます」とあったので即座に承諾し、値段交渉に備えていたがその後、連絡はない。代わりに俺の投稿には必ず「いいね」がつくようになった。まさか。


 *


【『誓い』と『根源』、登場人物が『忘れない』というお題】


702.『大人になれない僕の』


#twnovel 君と僕の誓い。それは僕の悩みの根源であると言ってもいい。大人になったら結婚しようねと言っていた君。いつまでも子供でいたいと言った僕。忘れられない日々、僕らは勝手に大人になれると思っていた。君の結婚を祝い、誓いを果たせなくなった僕はどうすれば大人になれるんだろう。


 *


【ついのべ三題ったー「入道雲」「ぬくもり」「自己暗示」】


703.『誰もいないこの部屋から』


#twnovel 入道雲をどこまでも追いかけたような記憶がある。そんなことをして何になる、という問いは、僕の手を引いていったあの子にして欲しい。嫌がる僕をこの部屋から強引に連れ出した、その手。その手のぬくもりですら、僕の自己暗示だったというのか。誰もいないはずの部屋で、独りの僕。


 *


【『宇宙』と『世界』、登場人物が『拾う』というお題】


704.『路地裏の宇宙と少年』


#twnovel 路地裏で宇宙を拾った。お母さんは「そのうち手に負えない大きさになるわよ」と反対したが、最後まで観測すると誓った。だが年を経るごとに宇宙への関心は薄れて行き、やがて僕は宇宙を手放した。膨張し続ける厄介者がいなくなったのに、何故か世界がちっぽけになったように思った。


 *


【ついのべ三題ったー「タバコ」「カーテン」「アブノーマル」】


705.『忍者 虻膿丸 布衣布衣(ホイホイ)の巻』


#twnovel 虻膿丸が煙草の煙を吹きかけると、その布に虫が群がって来た。大量に湧いて困る虫を駆除して欲しいと頼まれてのことだった。「虫の好む香りを染み込ませるちょうどいい布があって助かった」呑気な虻膿丸だが、依頼人の顔は青い。彼が虫取りに使った布は、高級品の窓掛けであった。


 *


706.『行政処分(ケジメ)


#twnovel うっかり有り金を全部溶かして、破産するしかない状況に陥ってしまった。でもヤクザに追われるよりはマシかと申告した。俺は知らなかった。指紋で支払いをするのが当然の今の時代、自己破産が『ケジメ』と暗喩されている理由を。「ではすぐに行政処分を」職員はナイフを取り出した。


 *


【『お味噌汁』と『冷酷』、登場人物が『抱きしめる』というお題】


707.『死の味の味噌汁』


#twnovel 始末人として現れたそいつは、役目に相応しい冷酷な眼差しをしていた。だから「最後の晩餐ぐらい」と料理を始めた時は驚いたが、更に驚いたのは、それがとても美味しかったことだ。温かい味噌汁に涙が止まらない。抱きしめたくて仕方なかった。たとえ凶器を俺に向けていたとしても。


 *


【ついのべ三題ったー「ぬくもり」「列車」「残業」】


708.『人のぬくもり』


#twnovel 残業後の最終列車。終電の良いところは、座れない心配がないこと。うとうとしながら腰かけると、座席にぬくもりが。さっきまで座っていたどこかの誰かが残していったのだろう。その暖かさに安心して寝てしまった私は、寝そべっていたおっさんの上に座っていたことに気づかなかった。


 *


709.『情報遮断』


#twnovel 久々にワープロを使ったが実に作業が捗る。最大の妨げであるネットができないからだ。ネット断ちで缶詰めをした私は余裕で原稿を書き上げた。編集さんに自慢したかったが、連絡がつかない。「そうか、ネット断ちで知らなかったんだな…あのな、お前の本を出すはずだった会社は…」


 *


710.『監督降板』


監督の降板が決定した。皆が「残念です」と惜しむが、監督は「上からのお達しだから仕方ない」となだめる。そして監督は急な仕事の呼び出しで草野球のマウンドを後にした。

#twnovel

「…行った?」「ああ」「元甲子園球児だか知らないけどさあ」「子どもの野球で大人がピッチャーするなっての」


 *


【ついのべ三題ったー「月」「老婆」「フラスコ」】


711.『月と小人』


#twnovel 月の模様が老婆の横顔に見えるというのはどこの国だったか。気になって訊いてみると、そんな話はどこにもないと答えが返ってきた。俺が間違えて覚えていたのか。『そうでもない』あらゆる知識を持つ友人は言う。『確かに老婆にも見えてきた』フラスコの中で、微かに笑った気がした。


 *


712.『招福』


「招き猫専門店が売れ残りまくってるの縁起悪くない?」招かれてるじゃないか、君が。「私は違うよ、買わないし」買うだけが客じゃないさ。「でも、猫に招かれたわけじゃないよ」じゃあ何に。「あなたに…って言ったら?」

#twnovel

この間、店先には出歯亀する招かれざる客が大勢いたという。


 *


【『眼光』と『透明』、登場人物が『睨む』というお題】


713.『見えない愛』


#twnovel しまった。透明化しているはずなのに、彼女は僕を見据えて睨むように目を凝らす。「そこにいるの?」その眼光に観念して正体を現そうかとも思うが、そういうわけにはいかない。僕には使命がある。「また助けてくれたの?」答えたら傍にいられなくなる。「おとうさん」守護霊として。

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