2017年6月分
№585~613
585.『チーズをめぐるラブゲーム』
#twnovel 僕が結婚しない理由を言うとみんな呆れる。「女性はチーズが好き。それはチーズ嫌いの僕にとって地獄だ」ピザはいけるんだけどね。チーズ嫌いの共通見解だからね。「女がチーズ好きっていうのがまず偏見じゃん。あたしもチーズまんまは苦手だしね」結婚。「フォンデュはOK」離婚。
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586.『彼氏とデートなう。』
#twnovel「彼氏とデートなう。って使ってもいいよ」とのことだったので、溢れかえる画像をとっかえひっかえして毎日別の彼氏とデートした。まさかその元カレたちに浮気を問い詰められ修羅場になるなんて。私は息を潜めて、ただただプロレスラーが使ってもいい画像をアップするのを待っている。
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【ついのべ三題ったー「猫」「化粧品」「アブノーマル」】
587.『マタタビクリーム』
#twnovel たいへんアブノーマルな気分にさせるという化粧品のサンプルを頂いた。「猫だけでなく、マタタビは人間にも作用します。旅人の疲れをとり『また旅』をさせるという語源があるくらいですから」直に摂取するのは危険だから化粧品に…あ、コレ相手じゃなくて塗った本人に効くのかイェェ
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【ついのべ三題ったー「桜並木」「屋台」「列車」】
588.『その瞬間』
#twnovel 河川敷の桜並木に差し掛かると、列車が速度を落とす。急いで通過すると花を散らしてしまうから。列車から眺める花筏は見ものだ。水面を埋める花びらを掻き分けてしまわないよう、同じくゆっくり進む屋台船。僕らが列車と船の互いを見つけられたのは、この緩やかな時間のお陰だった。
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589.『愛情をひとつまみ』
#twnovel「最後に愛情をひとつまみ」と言ったところ、『ひとつまみって何gですか』『レシピにはそんなこと書いてません』『異物混入を勧めないでください』と意見が押し寄せた。答えるわけにはいかない。要は何でもいいから味を崩して、それでどんな反応を示すかのテストの意図があるなんて。
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590.『サインは直球ストレート』
#twnovel タイムをかけてマウンドに駆け寄って来る捕手に、俺はある予感がしていた。「相手は四番だ、勝負なんて考えるな」やはり敬遠か。「余計なこと考えずに、俺のミットに真っ直ぐ投げろ。全力で」俺は感謝し、フォームをとる。捕手は頷き、ミットを股間に直撃する位置に動かした。おい。
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591.『ごん狐は眠らない』
#twnovel ごん狐を射殺した兵十には正当防衛が認められたが、後悔した兵十は銃をごんの死体と一緒に埋めてしまった。それを知った村のならず者どもは、丸腰相手なら楽勝だと兵十の家に強盗に押し入る。しかし次々と狙撃されていく強盗。聞き覚えのある銃声に、兵十は呟く。ごん、お前なのか。
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592.『アクセント』
#twnovel 無アクセント地帯出身の彼の発音では「雨/飴」「雲/蜘蛛」の区別がつかない。なので彼は「レイン/キャンディ」「クラウド/スパイダー」と意識して呼んでいたが、エセ外人かよと揶揄されてやめてしまった。そのせいで境界がなくなり、蜘蛛が大量の飴を落とす今年の梅雨はヤバイ。
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593.『ロックスター』
#twnovel 世界的ロックスターのライブが今年も開かれる。持ち歌はない。彼は生き方そのものがロックであるとされ、本人も「俺がロックだ」と豪語している。持ち歌はない。会場では彼の自叙伝や名言を綴った語録、自らデザインしたステッカーなどが爆発的に売れる。歌は作ってみても売れない。
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【ついのべお題ったーマニアック「重ねた声」「すねの傷跡」】
594.『ハモりの特訓』
#twnovel 彼らはハモりの達人だ。重ねた声が生み出すハーモニーは、どのようにして培われるのか。それは彼らのすねの傷跡が物語っている。ハモりの基礎はズレることなく同じタイミングで声を出すことだ。その癖を体に沁み込ませるために彼らは全自動竹刀回転機の前にすねを「やめてあげて!」
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【ついのべ三題ったー「猫なで声」「グラス」「原稿」】
595.『はかりごと』
#twnovel 猫なで声で出迎えられたときから嫌な予感はしていた。テーブルの上にはグラスがふたつ。乾杯のため持ち上げると、塗られた油で滑ってグラスが落下。彼はアッと叫んでテーブルの下を覗く。原稿ならさっき君が席を外した隙に確保しておいたよ。私のせいにしようとした、白紙の原稿は。
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【文中に『どんなに』を入れて『解って欲しい』をイメージ】
596.『気づいて』
#twnovel どんなに言葉を尽くしても伝わらないこともある。それはきっと、わざと伝わらない言葉を選んでいるからだ。虫の好い話かもしれないが、できれば自分で気づいて欲しい。私だけこんなに恥ずかしがって、バカみたい。言葉で伝えるよりも、視線で想いを送る。とっとと社会の窓閉めろや。
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【ついのべお題ったーマニアック「揚羽蝶」「初恋」】
597.『原風景』
#twnovel 揚羽蝶の写真をずっと撮り続けている。そんな気はなかったが、せっかくだからと勧められて何度かコンクールにも出品した。その度に高い評価を貰ったが、僕の記憶の中のあの光景を超える一枚は撮れていない。足りないものはわかっていた。あの日、揚羽蝶が翅を休めた、僕の初恋の人。
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【twnvday2017/6/14 お題「未確認飛行物体(UFO)」】
598.『見たか?』
#twnvday 僕は見たよ。俺も。じゃあ私も。誰か一人が言い出したら、次々に自分もと名乗り出る。こうしてうちのクラスは、その時誰もが空に気を取られていたことになった。嘘だけど嘘じゃない。僕たちは見た。先生が大きなくしゃみをした瞬間、先生の頭から飛び立っていった未確認飛行物体を。
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【ついのべお題ったーマニアック「赤い糸」「春は来ぬ」】
599.『春は来ぬ』
#twnovel ずっと勘違いしていた。恋人ができないのを「春は来ぬ」とネタにしてきたけど、来ぬは打消しじゃなくて完了形だった。つまり私は「春が来た!」と豪語していたわけで。そりゃ赤い糸のお相手も寄りつかなくなるわけだ。しかし、言い続けたら実現しないだろうか。春は来ぬ、春は来ぬ。
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【ついのべお題ったーマニアック「師匠と弟子」「水葬」】
600.『すいそうの小噺』
#twnovel うちのお師匠はねえ、おいらが死んだら水葬にしてくれっていつも言ってたんですよ。あたしゃそんな気色悪いもん飾りたくないって言ったら、水槽じゃねェよって怒鳴られてねえ。それが今じゃ、人間国宝の遺体を保存するからってホルマリン漬けですからね。水にゃ流せない冗談ですよ。
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601.『父と娘』
#twnovel 父の日だというのに娘は「パンツ一丁でうろうろしないで」と冷たい。だがプレゼントをあげたくなる父になれるよう、この日のために努力してきたんだ。どうだ、この見られても恥ずかしくない引き締まった腹は。「腹が出てよーが引っ込んでよーがパンツ一丁でいるなっつってんだろ!」
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《今日の献立報告シリーズ㉕》
602.『チキンブリトー』
洋画劇場を観ながらチキンブリトーを食べる会が流れた。放送中止じゃ仕方ないが、今週末の楽しみだったのに。暗い面持ちで帰宅すると、出迎えたのはDVDを携えた妻。「1週間借りてるからいつでも観れますよ」間髪入れない俺の返事に、妻はしたり顔。#twnovel「今日はチキンブリトーですよ」
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【ついのべ三題ったー「ライブ」「マグカップ」「人肌」】
603.『どしゃ降りのライブに行くタイプの彼女と俺』
#twnovel ライブからずぶ濡れで帰って来た彼女は、家族が留守の自宅ではなく隣家の俺ン家に飛び込んできた。こんな雨の日に行くか普通。「大雨だからこそアツくなるんだよ!」力説するが、ステージの上の連中はお前を温めてはくれないよ。俺ならホラ、人肌…ぐらいの温度にしたマグカップで…
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【三輪車愛好家の小学生と謙虚なストーカーとの電話越しの物語】
604.『おじさん僕の何なのさ』
#twnovel いつも公園にいるおじさんは、色んなものを買ってくれる。おじさんとの連絡に使っているケータイもそうだ。『もう小学生だろう、自転車が欲しくないか』「お父さんに貰った三輪車だから、お父さんの買った自転車にしか乗り換えないよ」言葉を詰まらすおじさん。手のかかる大人だよ。
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605.『筋肉で解決する金太郎』
#twnovel 昔話の主人公でありながら、特にこれといった物語がなかった金太郎は、来る日も来る日も稽古に精を出した。おかげで山を出る頃には、金太郎の筋肉は極限まで鍛えられていた。現代でいう冒険を始める前からレベルカンストチート主人公、その元祖の誕生であった。
#筋肉で解決する昔話
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606.『食害』
#twnovel 防鳥ネットから、1本だけはみだしているさくらんぼの木があった。試しに食べてみると、美味い。売り物にならないからというわけじゃなさそうだ。「それは鳥に差し出しているのさ、これは食べていいから他のは勘弁してくれって」と、農家の人。「お前さんみたく勝手に食う奴にもな」
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【ついのべ三題ったー「味覚」「トランク」「意識」】
607.『運び屋の晩餐』
#twnovel せっかくの高い食事なのに、トランクの、正しくはその中身にばかり意識がいって味覚が鈍い。運び屋なんて仕事は、俺には文字通り荷が重かったのだろう。俺をもてなしていた依頼人が、トランクが空なのを見て激昂する。逃がした中身を気にかけながら、味のしない最後の晩餐を終える。
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【ついのべお題ったーマニアック「終末論」「都市伝説」】
608.『大論争』
#twnovel『世界が終わるんだって』最近耳にする都市伝説に終末論が増えてきたのは、世界が終わる前にパーッと金を使おう!と思わせて経済を回す政府の仕込みだ。そんな陰謀論が収まった頃に、滅亡は真実で神の仕業だとしたらとオカルト論が出る。そう熱く語る僕に「で?」と冷たい君の一般論。
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609.『市外民浴場』
#twnovel ここの市民浴場は、源泉100%で露天風呂付きという、共同浴場にしては贅沢な仕様だ。旅館にするつもりが、お湯が熱すぎて客が来ないだろうと断念したという。隣で浸かるおじさんから地元の逸話を聞く僕は、その熱さが目当ての余所者。おじさんもだ。地元の人に会えない市民浴場。
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【文中に『瞬間』を入れて『悔しい』をイメージ】
610.『悔しさをバネに』
#twnovel 絶対に間に合わないとわかる瞬間がある。そのときの悔しさったらないね。結果すら出ていないのに、諦めている自分に気が付いてしまうのだから。でも、伸ばすだけじゃ届かないなら、蹴躓いた足で大地を踏みしめて、跳ぶ。バネにするってのは、こういうことさ。あ、着地は保証しない。
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611.『痴漢対策』
#twnovel 目の前で吊り革を掴むおじさんがひたすら鼻をほじっていた。両手を塞いで痴漢にされないためだという。鼻くそほじってるのを見せつけられるのは…まあ、痴漢ではない。電車が揺れ、案の定おじさんは指を深く突っ込んでしまった。鼻血をぶっかけられるのは…痴漢ではないのだろうか。
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《異常聴取》
612.『使命に駆られた男の供述』
#twnovel 叫びながら大挙して押し寄せる人々に、すべてを察した俺は一緒になって走り出す。たどり着いた先には、ステージを取り囲む群集が。「何やってんだ!来るんだぞ!」「ああ、もうそこに来てるよ。ビートルズが」ビートルズという怪獣か。殺さねば!…という勘違いなんです、刑事さん。
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613.『あるセールスマンの話』
#twnovel 保険のセールスが天職だと嘯く男だった。疲れをためやすい彼は、いつも体調が悪そうで。そういう相手だと、人は同情して警戒が薄れるらしい。同時に、保険の必要性を実感して、契約してくれるのだと。その彼が過労死して、労災認定したくない勤め先が保険金の支払いを渋ってるとは…




