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2017年4月分

№522~553

522.『エイプリルフール企画』


#twnovel 入社前に研修と称して集められた新採社員たちに課せられたのは、4/1に向けての社運を賭けたプロジェクトだった。「このウソで何としても会社の評価と株を上げる。よろしく頼むよ」「しかし社長、これはいわゆる粉飾決算では…」「それとも、君たちの採用内定をウソにしたいかね」


 *


523.『外国人にインタビュー』


#twnovel「日本はミスが許されない国でしょう。例えば道を尋ねて、その人がうまく答えられなかったら、酷く傷ついたり、誰かから叱責されたりするのではと思うと、迂闊に声をかけられないんですよ。『あいきゃんとすぴいくいんぐりっしゅ!』と逃げられると逆に微笑ましい。小動物みたいでね」


 *


【お題は「間違いない」、逃げ出したくなる恋愛作品】


524.『ガサ入れ彼女』


#twnovel 気のせいではない。俺の部屋がガサ入れされている。小物の位置が微妙に違うし、ベッドの下に隠してあった雑誌も露わに。間違いない。彼女は俺に惚れていて、監視をアピールしている。スマホを開き、撮った写真に必ず写り込んでいる霊の顔を見て是非を考える…までもない。たすけて。


 *


525.『命を粗末にするな』


債務者の家に押しかけると首を吊って死ぬ寸前だった。稼ぎ方を知らねえだと。バカ野郎。死んだら稼げないんだよ。命を粗末にすんじゃねえ。債務者は泣いて俺に頭を下げた。

#twnovel 後日、預けたマグロ漁船から連絡があり、奴の命は保険金となって口座に収まった。粗末にならなくて良かった。


 *


【お題は「すごくいい夢」、あっさりした恋愛作品】


526.『芝浜』


#twnovel「すごくいい夢だったのになあ」と起き抜けにぼやくので「なら、同じことしてあげよっか?」とからかった。彼は少し考えてから「いや、よしとこう」と断って「また夢になるといけねえや」と頭を下げる。そこで目が覚めた。落語好きの恋人ができるなんて、すごくいい夢だったのになあ。


 *


527.『いっぷく盛り』


#twnovel その居酒屋の名物「いっぷく盛り」にはファンが多い。特別な味付けでもしているのかと訊くと、大将は「毒」と言った。毒を一服って御冗談を。苦笑いの私に常連がこっそり教えてくれた。「ニコチンさ」と湯気を吸う。なるほど。そういえば全ての居酒屋で一服ができなくなって久しい。


 *


【お題は「熱源」、あからさまな恋愛作品】


528.『くそっ、じれってーな!』


#twnovel 雪山で遭難した。熱源を確保するためにすることは…「付き合おう」「この状況で!?」「抱き合って温めるにも段階を踏んだ方がいいと思って」「助かったらそれっきりってこと?」「いや、それは…」このあからさまなラブコメに乱入するタイミングを、救助隊も計りかねていたという。


 *


529.『異世界ゲート税関』


#twnovel 異世界ゲート税関では、今日も職員が怪しい冒険者を相手に手を焼いている。止められたのは、自称転生者の男。禁止されているチート能力を持ち込もうとしていた。神を名乗る悪徳業者に騙されて、結局無能力で行くはめになる人が最近多いんですと職員はぼやく。

#ファンタジー社会問題


 *


【お題は「たとえ恋が終わっても」、メルヘンチックな恋愛作品】


530.『終わりじゃない』


#twnovel 君を探してたんだ。恋人を失えば世界も終わるなんて、ガキくさい恋をしていた頃の君を。君は知らないだろうけど、たとえ恋が終わっても、世界は終わらなかったんだ。だから迎えに来た。見て欲しくてさ。時間はかかったけど、君は幸せになれるんだってところを。そうだよ、僕は君だ。


 *


【「どちらかが命を断たないと開かない部屋で段々酸素が薄くなっている」状況を全力でハッピーエンドにしてください。】


531.『インドはすべてに答えを出す』


#twnovel「『どちらかが命を断たないと開かない部屋で段々酸素が薄くなっていく』と、説明を聞いた時から、酸素の減り具合しか監視されていないことは察しがついていた。試しに息を止めてみたら案の定だ。何、どうやって10分も止めたって? お前、もしかしてインド行ったこともないのか?」


 *


【「愛しい人の血液を飲まなければ消滅してしまう吸血鬼の恋人が病に伏せている」状況を全力でハッピーエンドにしてください。】


532.『愛は別離』


#twnovel 吸血鬼は愛する人の血を飲まなければ生きられない。そんな相手に、恋人はもう吸血行為に耐えられる体ではないと告げるのは、余命宣告よりも死刑宣告に近かった。吸血鬼は伝言を残して姿を消した。『愛人なんて他にもいる』と。もう一度会ってぶん殴る、と恋人は回復に前向きでいる。


 *


533.『全米ライフル協会力高い矛盾』


#twnovel「これはどんな盾でも貫く最強の矛です」「ほう」「これはどんな矛でも防ぐ最強の盾です」「ふむ」「そしてこれが、最強の矛の射程圏外からの攻撃を可能にし、最強の盾に防ぐ暇を与えない弾速を誇る銃です」「盾と矛は何だったんだ…で、銃はいくらだ?」

#全米ライフル協会力高い童話


 *


《今日の献立報告シリーズ㉒》


534.『ポテトサラダ』


『今日はポテトサラダですよ』と書置きを残し、先に寝たようだ。起こすのも悪いし、温めなくてもすぐ食べられる料理なのは合理的で助かる。そんな生活がしばらく続き、俺は…

#twnovel「今日は早かったんですね」「ポテトサラダ以外のものが食べたくてね」もうひとつの理由は照れ臭くて隠した。


 *


535.『鶴脛の湯』


#twnovel 鶴が飛び去ったあとに温泉を見つけた旅人が、この温泉宿を始めたのだという。流れ者が留まるほど心地よい湯、という売りかと思いきや、真相は押しかけ女房と所帯を持ったからだとか。「先日入浴を覗かれた鶴です責任とって」と。あの足湯に浸かってる娘も鶴にならないかなあ。逆か。


 *


536.『ポテトチップス品薄中』


#twnovel お客様からポテトチップスの味が変だと苦情があった。試しに食べてみると、しお味のはずなのにピザやらわさびやら雑多な味がする。ただでさえ品薄で困っているのにトラブルは御免だ。イタズラの可能性を考慮し夜中に張り込むと…商品棚のポテチ同士が、生き残りを賭けた喰い合いを…


 *


537.『ベルトの延命』


#twnovel ベルトの革の亀裂が遂に半分までいった。就職したての頃からずっと使っていたベルトだったけど、毎日同じ場所にかかる負荷に耐え切れなくなったか。せめて千切れるまでは使ってやろう。ところが、なかなかその時が来ない。気が付くと金具を通す穴がひとつずれていた。あっこれ太っ…


 *


【お題は「惚れるしかない」、ドキドキする恋愛作品】


538.『惚れてまうやろ』


#twnovel 大した雨じゃないから傘を仕舞おうと思った。そこに「いれてー」と君が滑り込んできた。傘を押し付けて走ろうとしたが「そういうの良くない」と肩を寄せて歩くことに。これを避けたかった。惚れるしかない状況でも、絶対惚れたりしない。相手は『 』だぞ。(※空欄は各自で埋めよ)


 *


【親に捨てられたラジオパーソナリティと無機物に憑いてる生真面目な幽霊が、ゴミの山から「愛」を見つける話】


539.『伝言ラジオ』


#twnovel 私は尋ね人へのメッセージを読み上げるラジオ番組を何年も続けている。何年もの間、本当にしたかったことの踏ん切りをつけられずにやってきた。そんなある日、スタジオに宿った幽霊が勝手に喋り出すようになった。今日もゴミ箱から葉書を拾い、読み上げる。私が綴った、私の親への。


 *


540.『オーバーブッキング』


#twnovel パーティメンバーを募集するだけしておいて、人数上限が確定してからふるいにかけるオーバーブッキングが横行している。たいていは補償金を渡して丸く収まるが、中には力ずくで始末する悪質なケースも見られ、近々酒場やギルドの信用問題にまで発展する模様。

#ファンタジー社会問題


 *


541.『研究の功罪』


#twnovel「教授、研究に戻ってください」「それが誰も望まぬ研究であってもかね」「教授?」「私は知りすぎた。そして嫌気が差してしまった。こんなことなら明らかにしなければ良かったと」「教授…」「どうして…どうして研究するたびにかっこ悪くなっていくんだ…私のティラノサウルス…!」


 *


【twnvday 2017/4/14…? お題「遅刻」】


542.『遅刻探偵』


#twnvday 探偵が到着した時には、既に惨劇が行われた後だった。先に着いていた警部に「居合わせるのが探偵の役目だろう。現場検証の間、廊下に立っとれ」と怒られた。「いいんですか?」部下の刑事が不安がる。「問題ない。あいつは話を聞いただけで謎を解く安楽椅子系だから。立ってるけど」


 *


543.『すみません』


#twnovel 頭を下げるのが営業の仕事だ。若者に手本を示すため、彼に代わってすみませんと謝る。案の定「すみませんで済むと思っているのか」と叱責された。すると若者が前に出て「済まないと思ってるからすみませんって言ってるんじゃないですか」俺がな。あとそういう言葉遊びじゃないから。


 *


544.『ある忠犬の話』


#twnovel 駅前で虐待される犬を見て、保護するには有名にするのが良いと思い美談を創作して投書した。現金なもので、記事になったその日から人々は美談の一部になろうと犬を可愛がるようになった。遂には犬の銅像まで建ったが、除幕式前日に大量発生した飼い主の遺族には笑うに笑えなかった。


 *


【ついのべ三題ったー「ゲーム」「募集中」「耳」】


545.『ゲームモニター』


#twnovel『耳のいい人募集!』との要項のゲームモニターを受けた。音ゲーかと思いきやスマホゲー。遊んでみると「ガチャ引く寸前の効果音の違いでレア度がわかる」ことに気づいた。昔の駄菓子みたいだなーと思ったら製品版ではバグとして『改善』されていた。そこ以外面白いとこなかったのに。


 *


【ついのべ三題ったー「青」「狼少年」「無差別」】


546.『鳥を見た』


#twnovel 羊を失った狼少年は、無差別に嘘をついてきた過去を後悔した。幸せの青い鳥を見たという、昔ついた嘘のひとつを聞きつけた兄妹がやってきたからだ。兄妹のために、見たと嘘をつく。すると、本当に青い鳥が彼らの前に現れた。兄妹の目当ては、嘘を本当にする狼少年の《能力》だった。


 *


547.『幸せって何だっけ』


#twnovel その鳥籠の中には何もない。幸せの青い鳥がいると言われ買ったものだ。売ったのは当時、金に困っていた恋人。誰もが詐欺だと呆れていたが、それで良いと思っていた。だが恋人は、鳥を買い戻しに来た。「…俺にはもう見えないな」鳥籠を見て言う。「この鳥には、君が必要だ…俺にも」


 *


548.『怒りのデス腹筋』


#twnovel 床に寝そべって、両手で空中に輪を作るように腕を伸ばしましょう。その輪に額をつけるように上体を起こしていきます。輪に額がついたら「V8!」これを繰り返すだけで楽しく腹筋ができます。ただあまり「V8!」と声に出すと何回目かわからなくなるのでやりすぎに注意しましょう。


 *


549.『仕返し』


#信用してはいけない言葉選手権

「授業参観には行くよ」「次の休みは遊園地に行こう」「誕生日会までには帰るから」

#twnovel お父さん、あなたの言葉は信用できないものばかりでした。だから「お父さんと結婚する」約束を破ったのは、仕返しだと思ってくださいね。今までお世話になりました。


 *


550.『でも、あいつには悪妻がいるから』


#twnovel ソクラテスに悪妻がいたのは有名だが、実は彼がそう装っていただけではとの説がある。喧嘩を売るように問答していた彼にとって「悪妻がいる」というだけで当たりが弱くなるのは有益だった。皆がソクラテスの話だけで悪妻を知った気になっていたことこそ、彼の哲学の思う壺であった。


 *


551.『スーパー空想大戦』


#twnovel 光の巨人と怪獣王の決闘に、突如として美少女戦士が乱入してくることが当時にはままあった。そうなるとサイズ的に無理があるだろうという常識を捨てて相手をせねばならなかった。無視して機嫌を損ねたら面倒なことになるのはわかっていたからな。男兄弟でようやく生まれた末の妹だ。


 *


552.『へうげもの』


#twnovel 静寂に包まれる中、鹿威(ししおど)しが落ちるのを合図に、皆で作法通りに器を回してからお茶を口に含む。そして最後の一人が器に手をかけ、「チェケラッチョ」と小刻みに器を回す。噴き出す皆。噴霧されるお茶。このお茶会、いつからこういう小ボケをぶっこんでいくスタイルになったんだっけ。


 *


553.『雲を抜けて』


#twnovel 東京は晴れていたのに、関東圏を抜ける頃、窓に水滴が張り付き始めた。心配で郷里の天気を調べると、現在晴れ。この新幹線は雨の中を駆け抜けるらしい。まるで逸る気持ちを見透かされているようだった。雨雲を追い越す瞬間を見たくて、ずっと窓から空を覗いていた。

#春雨のスキップ

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