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2016年10月分

№307~342

307.『まずいコーヒー』


#twnovel 俺が淹れるコーヒーはまずい。だから缶コーヒーを買っている。それは無駄遣いだと言われ、豆の分量、挽き方の勉強をして店を持つまでになった。今までの淹れ方が間違っていたわけだが、正しかったこともある。閉店後の一服。やはり自分のために淹れるコーヒーほどまずいものはない。


  *


308.『凶器はどこに消えた?』


#twnovel「凶器がわかりました」被害者の妻が出してくれた昼食を御馳走になっている折、探偵が切り出した。「豆腐です」「豆腐」「液体窒素でカチカチに固めた豆腐の角で頭部を殴打したんです」「待て。それ別に豆腐でなくてもよくないか」「証拠隠滅に便利だからです。ほら、この味噌汁とか」


  *


309.『登山のお供』


#twnovel「登山には道具の準備が大事だって言ったろ。何で棒しか持ってないんだよ」「ただの棒じゃない、長い棒だ。地面を突けば踏む前に罠を発見できるし、熊に出会っても長いリーチを活かして戦えるぞ」「登山道に罠はねえし熊を倒そうと思うな!」「俺の知ってる冒険と違う」「登山だよ!」


  *


310.『天使は見ていた』


#twnovel 有翼人種の存在が公表され数年が経つ。最初こそ終末論に結び付けられた彼らだが、同じ人間であり、「翼の有無は肌の色と同程度の差異である」との認識が広まった。だから有翼人種は再び姿を消した。彼らは天使として地上をずっと見てきたのだ。「肌の色の違い」がどれだけ大きいか。


  *


【ついのべお題ったーマニアック「ふくれっつら」「観察日記」】


311.『もごもご』


#twnovel ふくれっつらの観察日記をつけることにした。これで怒りの理由、持続期間を解明することができれば、今後の関係修復に大きく役に立つだろう。1日目、まだ膨らんでる。2日目、ちょっとしぼんできた。3日目、しぼんだ分を何かほおばって膨らませている。これもう怒ってないのでは。


  *


【ついのべ三題ったー「約束」「ボタン」「タバコ」】


312.『予測可能回避不可能』


#twnovel「彼がタバコを吸いそうになったら、このボタンを押しなさい」と医者から渡された禁煙スイッチ。タバコを吸うと痛い目に遭うと教え込むパブロフの犬的な装置らしい。結果、タバコ自体に興味はなくなったが、痛みを求めて吸うフリをするドMができあがった。お約束すぎて何も言えねえ。


  *


【「早朝の橋」で登場人物が「決める」、「跡」という単語を使ったお話】


313.『決断』


#twnovel 僕は吊り橋を切り落とすことに決めた。対岸の彼女は「どうして」と絶望した顔で僕を見つめている。ゾンビは橋無しでは谷を越えられない。より確実に生き残るためには必要な措置だ。そして僕は何事か叫ぶ彼女に背を向け、ゾンビの群れへと進み出る。噛まれた跡を日の出の光に晒して。


  *


《今日の献立報告シリーズ④》


314.『魚の骨』


#twnovel「今日のお昼は魚の骨ですよ」「嫌がらせかよ!?」「ほら、その怒りっぽいところ。もっとカルシウムを摂らないと」「ぐうの音も…いやだからってご飯に魚の骨が乗ってる絵面、全然物足りないんだが」「じゃあボリュームのある一品を加えましょう。チキンの骨」「肉を!ください!!」


  *


315.『魚臭い店』


#twnovel その街のアニメショップは魚屋の上に店舗を構えるため、魚臭いことで有名でした。現在は移店しましたが、新しい店舗でも「魚の臭いがする」と言う声が未だにあります。なぜ…。ちなみに移転後の跡地には同人ショップが入居しており、客層がかぶっているそうです。#世にも宮城な物語


  *


316.『限界は超えるために云々』


#twnovel 走っていると「あ、限界だ」と思う瞬間がある。そこで、腹に力を込め、呼吸を整えると、安定して走り続けられるようになる。そんな乗り越えて当然の限界を何度も経験するうちに感覚が麻痺するのか、日常、仕事中でも同じ感覚を見出すことがある。知ってるか。残業はスポーツなんだ。


  *


【ついのべお題ったーマニアック「刺青」「夢枕」】


317.『背中に人生を』


#twnovel これは自分の人生を体に刻んでいるんだとおじさんは言っていた。そうして覚えておかないと、夢枕に立たれるらしい。どんな人が立つの、という質問には答えてくれなかった。代わりに母さんに訊いたら、その銭湯には二度と連れて行ってもらえなかった。刺青の絵は、母さんに似ていた。


  *


【ある意味とても真面目すぎる職人と華やかすぎる外見をした漫画家が幸せをもぎ取る話】


318.『Harvest(Her-best)』


#twnovel 幸せになったら創作活動なんて続けられない。ずっとそう戒めてきた。そんな僕がシナリオに仕込む心の闇を、外見どおりの華やかな作画で引き立ててくれる相方。君は幸せになっていいんだよと告げると、ぐいと手を引かれる。彼女は幸せを、そして僕の固定観念をもぎとろうとしていた。


  *


【ついのべお題ったーマニアック「うぐいす」「お手を拝借」】


319.『フラッシュモブ』


#twnovel「それでは皆さん、お手を拝借」とウグイス嬢の合言葉で、街頭演説に集まった人々が手拍子を鳴らし、踊り出す。政治家先生が喜ぶような仕込みを、と頼まれたのでフラッシュモブを手配したのだ。ダンスが終わり、解散するサクラたちと見物人。演説を聞こうという者は誰も残らなかった。


  *


【大切な事に限って間違ってしまうネトゲ廃人と迷惑なほど気を回してくる不良とのファンタジー】


320.『オタクと不良の異世界道中』


#twnovel ファンタジー世界に迷い込んでから俺たちの立場は逆転…とはいかなかった。ネトゲ廃人の俺は知識を提供するだけで、実行と無双は不良任せ。持て囃されるのは当然、不良の方だ。俺は妬んだが、それは間違いだった。名が売れると付き回る危険の類を、不良が一手に引き受けていたのだ。


  *


【twnvday2016/10/14 お題「VR(仮想現実/バーチャルリアリティ)」】


321.『現実は仮想を超える』


#twnvday これは仮想現実なんだと自分に言い聞かせてもうまくいかない。何度誘ってもバーチャルの君は首を縦には振らなかった。シミュレーションですらこのざまなのに現実でうまくいくはずがない。僕は挑戦を諦めた。そう、まさか攻略対象の方から声をかけてくるなんて考えてもなかったんだ。


  *


322.『カップ焼きそばの作り方』


#物書きのみんな自分の文体でカップ焼きそばの作り方書こうよ

お湯を注いでの3分は、自分の心の声に向き合う時間だ。

妻は私のポリシーを「貧乏くさい」と受け入れない。

だが…やはりこれだけは譲れない。

ええい、放せ!

わかめスープは湯切りのお湯で作らねばならんのだ!

#twnovel


  *


※番外『世界一の太巻き殺人事件』


ギネス挑戦の巨大太巻きの中で、男が圧死した。氷の密室に挑むのは、放浪者探偵、嶺岸春馬。ライバル諌山総理との火花散る推理合戦の果てに浮かび上がる真実とは?


「おい…死んでるぞ」「なんてこった。太巻きに巻かれて圧死するなんて…」「このままじゃギネス記録どころじゃなくなってしまう」「仕方ない。このまま巻け。巻き続けて死体を隠せ」「太巻きを完成させたらこっちのもんだ。保管後に冷凍庫に忍び込んで死んだように偽装しろ」「ついでに密室にしよう」


「まさか、太巻きを冷凍庫に保管する前に…作っている最中に巻き込まれて死んでいたとはな。ギネス達成の瞬間に立ち会うはずが、とんだ事件になってしまった。だが、久しぶりに彼に会えたのは良かった。あの密室の謎を解いた彼だよ。古い知人でね、今は放浪者などしているが昔は…」


  *


【「夜のコンビニ」で登場人物が「抱きしめる」、「涙」という単語を使ったお話】


323.『お弁当あたためますか』


#twnovel「申し訳ありません。レンジが故障中で…」お弁当を温めて貰おうとしたら、まさかの。「あの…代わりに、懐で温めますか?」深夜でうまく声が出ず…いや、その厚意を断れなかった。人の温もりに飢えていた自分に気づいて涙が出た。店員さんの許しを得て、俺は弁当を抱きしめて温めた。


  *


324.『ね』


#twnovel いや…違う、誤解です。私が来た時にはもう、十円玉で車体に傷がついていたんです。このままだと車の持ち主が、自分の車に「死」なんて中二くさい文字を刻んだセンスのない奴だと思われてしまう。だから私は「ね」を書き足し、悪意のある落書きとして完成させたんです。今ちょうど。


  *


325.『技術の使いどころ』


#twnovel この国の冷凍食品の進歩は目覚ましい。作り立てのような味の質もさることながら、遂には冷凍庫なしでも保存し続けられるようになったという。どうやっているんです、という我々視察団の質問に「なに、食品の時間を停止させているだけです」と企業は答えた。この国はやはりおかしい。


  *


【大切な人を失った調香師と緩やかに死を待つ女性との3日間の話】


326.『死は甘き香り』


#twnovel その調香師は、死の匂いを嗅ぎつけてやってきたと言った。「死神のような人ね」これは余命3日の香りですねとのたまい袋叩きにされた彼は笑う。「僕は、ある人を看取ったときに嗅いだ“甘い匂い”を追い求めているだけですよ」彼の期待に私は応えられるだろうか。甘き死よ、来たれ。


  *


327.『リデュース・リユース・リサイクル』


#twnovel「3Rって何ですか?」「リデュース(減らす)、リユース(繰り返し使う)、リサイクル(再資源化)のことです」「もう少しわかりやすく」「リサイクルは輪廻転生、リユースは前世の記憶を持ったまま転生、リデュースは転生先を異世界にして口減らし」「異世界転移は?」「不法投棄」


  *


328.『人事を尽くして』


#twnovel「天才は1%の閃きと99%の努力」とはかの発明家、エジソンの言である。しかしこれは誤訳で、本当の意味は「1%の閃きがなければ99%の努力は無駄になる」との説もある。俺は努力で99%埋めておいて、1%の閃きを待てってことだと思うね。さ、埋めたぞ。オチよ降りて来い…!


  *


329.『アンケート殺人事件』


私は民主主義が嫌いだ。それが間違いでも、数の暴力で真実となってしまうところがね。アンケートの結果、私が犯人だと?バカバカしい、付き合っていられるか。私は部屋に戻らせてもらう!#twnovel 部屋で待ち構えていた、死体に票を入れた人物を前にして思った。犯人になっておけば、良かっ…


※私は探偵、犯人、助手、死体のどれっぽいですかとアンケートをとりました。


  *


【「早朝のバー」で登場人物が「騙される」、「ミルク」という単語を使ったお話】


330.『坊やだからさ』


#twnovel「夜明けのコーヒーを飲みましょう」と声をかけられ、舞い上がって飲み過ぎた。最初から俺を酔い潰して、勘定を押し付けるつもりだったのだろう。まんまと騙されてりゃ、坊や扱いされても文句言えないな。「すみません、アルコールのないものを…」マスターは俺にミルクを差し出した。


  *


【ついのべ三題ったー「風邪」「サイコロ」「味覚」】

《今日の献立報告シリーズ⑤》


331.『サイコロステーキ』


#twnovel「今日のおかずはサイコロステーキですよ」「風邪ひいてて味覚が変だから美味しくない…ってレベルじゃねえよ!これ食い物じゃねえ!本当のサイコロじゃねえか!」「好きでしょう?サイコロ」「すみません!深夜までオンラインセッションしてて寝落ちした挙句風邪ひいてすみません!」


  *


【ある一人だけを忘れた記憶喪失の音楽家とたった一言、言葉を覚えたカラスが段々おかしくなっていく話】


332.『ミューズ』


#twnovel 芸術家とは気性が荒いものだ。蔑まれればそれを糧に奮起し、楽曲作りに打ち込む。それ以外は省みない。私のミューズは自分を「阿呆」となじってくれるカラスだ。もともとはいなくなった寂しさを埋めたくて飼ったのだが…いなくなった?誰が「阿呆」くそ、そんなことより次の作品を…


  *


333.『呼び出しアナウンス』


#twnovel『お客様の中に探偵の方はいらっしゃいませんか?』離陸を目前に控えた中、突然のアナウンスに機内が騒然とする。殺人事件でも起こったのだろうか。私はすぐさま手を挙げた。CAに案内されて操縦室へ。乗務員に囲まれる私を見て、機長は彼らに命じた。「殺人事件が起きるぞ!殺せ!」


  *


334.『パスタの達人』


#twnovel 俺はただ、パスタが好物だという彼女の気を引こうと、美味しいパスタを作りたかった。サプライズで披露するために黙ってイタリアへ渡った。やっと納得のいくものが作れるようになって帰国し、俺は念願の店を開いた。彼女も祝いに駆け付けて俺を殴った。思い出した。初心と、下心を。


  *


《今日の献立報告シリーズ⑥》


335.『きしめんと青汁』


#twnovel「今日は日付に因んだメニューですよ」「なるほど。きしめんのつゆを青汁に…何でや!」「わがまま言わずに」「当然の文句だよ!」「好き嫌いせずに」「悪魔合体させる前はそう嫌いでもなかったよ!」「どうぞ」「まずい!」「もう一杯!」「替え玉入れんな!別々に!してください!」


  *


336.『異物混入』


#twnovel「製造過程で、テディベアに異物が混入された可能性があります」それだけ告げて、彼らは仕入れたばかりのテディベアを物色し始めた。大型の喋るタイプだ。何度も喋るパターンを試し、耳をあてて調べている。異物って、何か危険なものなんですか。「実は、従業員が1人行方不明でして」


  *


【ついのべお題ったーマニアック「道草」「ばらばら」】


337.『道草』


#twnovel 子どもの頃から道草なんてできない二人だった。まっすぐ家に帰って、いつも二人で遊んだ。そのままではもう会えないと気付いたのは、帰る家がばらばらになってからだった。あれから僕は毎日のように人生の道草を食っている。逢えないのは、君が今もまっすぐ帰っているからだろうか。


  *


【自分に自信のない受験生ととことん職選択をミスってる契約社員が、期間限定の恋人として振る舞う話】


338.『浪人生と派遣スタッフの恋』


#twnovel 司法試験に落ち続ける自分を実家に戻そうと見合いを薦める両親を騙すための恋人が欲しい。オーダーに応じて派遣された人は「また職をミスった」と嘆き、紹介前に喧嘩別れした。あれから奮起して今では一端の法曹になった僕は、また派遣を依頼する。今度は選択ミスとは言わせないぜ。


  *


【「深夜のゲームセンター」で登場人物が「恋する」、「永遠」という単語を使ったお話】


339.『最後の逢瀬』


#twnovel その日の深夜、俺はどうしてもゲームセンターに忍び込まねばならなかった。青春を懸けた格闘ゲームの撤去が決まったからだ。コインは1枚。俺と女格闘家となら、それで永遠に勝ち抜いていられる。君の負ける姿を見たくなくて、俺は腕を上げたんだ。俺はずっと君に恋焦がれていたよ。


  *


【ついのべ三題ったー「幼児」「チョコケーキ」「幼児」】


340.『幼児がふたり』


#twnovel 妻が幼い娘を叱っていた。チョコケーキを勝手に食べたらしい。客人用だったのだろうか。やれやれと笑って仲裁しようとすると「どうして!?」と大声が上がった。「どうしてママのケーキ食べちゃったのぉ!?」あれェェェ幼児がもう一人増えたよォォォ収集つかないやつだよこれェェェ


  *


【ついのべ三題ったー「記憶」「速度」「銃弾」】


341.『早撃ち』


#twnovel 記憶している限りでは、先に銃を抜いたのは相手の方だった。だが、先に銃弾を撃ち込まれていたのも相手だった。「君たちのその証言がある限り、奴が罪に問われることはない。正当防衛だからな。だが危ない橋だ。いつ踏み外すことか…」彼を守る正義は、早撃ちの速度に守られている。


  *


342.『かしかしか』


#twnovel「菓子か死か」「何て!?」「ハッピーハロウィン。菓子か死か」「トリックオアトリートだろ。物騒すぎるわ」「もともとは死と隣り合わせのイベント。菓子か死か」「お盆みたいなもんらしいからな…」「菓子か死か。逆から読んでも」「あら本当」「仮死か死か」「待て何かが変わった」

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