Locus 82
ログインしました。
現在の時間は、午後12時56分37秒!
ログインした場所は、前回のログアウトからまだ12時間が経過していないので、荒ぶる仔豚亭で泊まった部屋の中だ。
因みにあの後、俺は食材屋でライフウォーターに漬け込む果物を見繕い、購入した。
以前りんごを買った時よりも品物の種類が増えており、選ぶのに少し時間が掛かったが、中々良い果物が買えたと思う。
オレンジ×10個:300R
ぶどう ×10個:400R
も も ×10個:500R
ライム ×10個:200R
所持金:28475R⇒27075R
また、デトックスウォーターを漬けるための瓶もなかったので、それも購入した。
瓶(大)×20個:2000R
所持金:27075R⇒25075R
材料を揃えた後、各種果物を切り、ライムのデトックスウォーターには少量の蟻蜜を入れ、ライフウォーターに漬けていった。
そして、料理のアーツの状態促進を掛け、見えない肩掛け鞄の方に入れて寝かせた。
何故見えない肩掛け鞄の方に入れたかというと、それは虚空庫内では時間が止まっているためだ。
せっかく料理のアーツで今の状態を促進させても、虚空庫に入れた瞬間今の状態のままになり、それ以上漬からなくなるからだ。
つまり虚空庫は、時間経過で劣化するアイテムの保存には向いていても、時間経過でアイテムを熟成をさせるのには向かないということだな。
さて、過去ログを見る限りだとまだ、作ったデトックスウォーターは漬かり切っていないようだから、ライフウォーターを量産していったおかげで、派生進化できたスキルの説明と今使えるアーツの説明を読み込んでいくとしよう。
〔AS〕アクティブスキル:〔合成Master〕=進化⇒〔AS〕アクティブスキル:〔錬成Lv0〕
〔AS〕アクティブスキル:〔錬成Lv0〕
様々な物を掛け合わせ、より優れた物を生み出す技能。
SLv上昇と共に、新たなアーツを習得する。
但し、錬成に失敗すると、錬成で使用したアイテムは失われるか、別の何かに変化する。 MAXSLv30
□ 錬成:MPを消費して2つ以上のアイテムを合わせて1つのアイテムにすることができる。
SLv上昇と共に、生み出されたアイテムの品質が良くなる。
但し、錬成に失敗すると、錬成で使用したアイテムは失われる。
消費MP:使用したアイテムの数とランクにより変動
リキャストタイム:3秒
□ 上位錬成:同種のアイテムを掛け合わせ、上位のアイテムに変換することができる。
SLv上昇と共に、生み出されたアイテムの品質が良くなる。
但し、上位錬成に失敗すると、使用されたアイテムは別のアイテムに変化するか、失われる。
消費MP:使用したアイテムの数とランクにより変動
リキャストタイム:5秒
□ 下位錬成:各種アイテムを同系統の下位のアイテムに、変換することができる。
SLv上昇と共に、変換されるアイテムの品質が良くなる。
但し、下位錬成に失敗したり、それ以上下位変換できない場合、使用したアイテムは失われる。
消費MP:使用したアイテムのランクにより変動
リキャストタイム:5秒
そうやってスキルやアーツの説明を読み込んでいると、ふいに脳内で『チンッ!』という音が聞こえてきた。
過去ログを見てみると、どうやらライフウォーターに漬けた果物が、漬かり切ったようだ。
よし、それじゃどんな具合にできたのか見ていくとしよう。
そうして俺は出来上がったデトックスウォーターを次々と実体化させていく。
すると、果物が漬かり切った瓶の中はどれも、ライフウォーターに果物の色素が移ったようでそれぞれ透明感のある色合いに染まっており、やはり良く見ると、薄っすらとそれぞれの色彩に光っているのが分かる。
漬けた瓶は全部で7つあり、見たところ、りんご『薄赤』、オレンジ『薄橙』、ぶどう『薄紫』、もも(果肉のみ)『薄桃色』、もも(桃仁入り)『薄乳桃色』、ライム(少量の蟻蜜入り)『薄黄緑色』、ミックス(各種果物入り)『薄乳橙』といった感じだろうか。
因みに桃仁とは、桃の種の中にある核のことだ。
器に移し替えるため、瓶の蓋を開けてみれば、芳醇な果物の香りが宿屋の部屋に広がっていく。
うん、良い匂いだ。
それじゃ時間も押してることだし、最後の仕上げをして、どんなアイテムになったのか、確認していくとしよう。
まず、濾し器で濾過して、別の瓶に移し換える。
そして、お玉で濾過したデトックスウォーターを掬い、ポーション瓶に入れて完成だ。
【製作者:リオン】
食品アイテム ライフジュース(りんご味):生命力が豊富に溶け込んだ、果実水。飲み干すことで生命力を回復させることができ、30%の確率で解毒することがある。
効果:HP130回復 30%の確率で解毒 使用期限:9日23時間59分
【製作者:リオン】
食品アイテム ライフジュース(オレンジ味):生命力が豊富に溶け込んだ、果実水。飲み干すことで生命力を回復させ、3分間体力が上昇する。
効果:HP130回復 3分間VIT+5 使用期限:9日23時間59分
【製作者:リオン】
食品アイテム ライフジュース(ぶどう味):生命力が豊富に溶け込んだ、果実水。飲み干すことで生命力を回復させ、3分間精神力が上昇する。
効果:HP130回復 3分間MID+5 使用期限:9日23時間59分
【製作者:リオン】
食品アイテム ライフジュース(もも味):生命力が豊富に溶け込んだ、果実水。飲み干すことで生命力を回復させ、3分間魔力が上昇する。
効果:HP130回復 3分間INT+5 使用期限:9日23時間59分
【製作者:リオン】
食品アイテム ライフジュース(桃仁・もも味):生命力が豊富に溶け込んだ、複合果実水。飲み干すことで生命力を回復させ、3分間状態異常の効果時間を短縮する。
効果:HP150回復 3分間状態異常の効果時間短縮 使用期限:11日23時間59分
【製作者:リオン】
食品アイテム ライフジュース(ライム・蟻蜜味):生命力が豊富に溶け込んだ、複合果実水。飲み干すことで生命力を回復させることができ、30%の確率で解痺することがある。
効果:HP130回復 30%の確率で解痺 使用期限:8日23時間59分
【製作者:リオン】
食品アイテム ライフジュース(ミックス味):生命力が豊富に溶け込んだ、複合果実水。飲み干すことで生命力を回復させることができる。
効果:HP200回復 使用期限:6日23時間59分
うん、見た目も香りも良く、回復量も上がったし、とりあえずは上出来かな?
ミックス味は、各果物の追加効果? を打ち消しあったのかHP回復しかないけど、他のものよりも回復量が上がっているから、これが一番使い勝手が良いのかもしれないな。
試飲も一応してみるつもりだけど、待ち合わせのこともあるし、複合果実水のものだけ飲んでみるとしよう。
複合の方の味が問題無ければ、単体で漬けた方も恐らくは大丈夫なはずだしな。
そうして、俺は軽く覚悟を決め、複合果実水を飲んでいった。
味の方は特に不味過ぎるとか、甘過ぎるということも無く、現実で飲むような普通のジュースと遜色ない味で、美味しい。
強いて言えば、蟻蜜入りのライムを漬けたライフジュースの酸味が、若干強過ぎる程度だろうか?
まぁ、それでもこの位なら十分許容範囲内だろうし、味的にも効果的にも成功したといえよう。
ただ、漬けるためには必要だったとはいえ、結構な量を作ってしまったため、これ等のライフジュースを使用期限内に消費し切れるかどうかが、心配になる。
少し考えれば分かることだが、普段の俺の戦闘スタイルは、なるべく余分なダメージを受けないように回避しながら戦うのが常だ。
それに今では賦活といった自動HP回復のスキルもあるし、余程なことがない限りそうそう回復アイテムを使うことが無い。
だからといって、念のためということもあるので、回復アイテムがいらない訳でも無い。
消費し切れなければ虚空庫に死蔵しても良いが、スキルのLvを上げていくためには、作り続けたり、改良していかなければならない。
そうすると当分は良くても、これからのことを考えると、あまり良い選択肢とは言えなくなる。
もっともアイテムとして作ったからには、使わなければもったいないという貧乏性故の、強迫観念みたいのがあるせいかもしれないけどな。
出来れば本当にもったいないからやりたくはないが、最終手段として、スキルのLvを上げるためだけに作ったアイテムとして割り切り、捨てるという手もあるにはある。
う~ん……捨てるよりはましだろうから、ここはいっそのこと、初日に聞いた市場で売り出すことにしようかな?
でも俺、市場の相場とか知らないし、適当な値段で出品して手数料だけ取られるのも嫌だしなぁ。
どうしようかなー。
……よし!これから丁度会うことになるのだし、アリルに試飲してもらって、このライフジュースが市場で売れるかどうかや、売るならいくらで売ればいいかの基準とかを聞いてみるとしよう。
今の時間はー……午後1時25分過ぎか。
待ち合わせの時間まで後30分以上あるから、ゆっくり歩いていっても十分に間に合いそうだ。
確か、アリルの友達も一緒にってことだったから、シエルとネロは出さないで行った方が良さそうかな。
シエルはテイムモンスターだけどあの姿だし、ネロは獣魔だから、色々と突っ込んだ質問をされても困るだろうし、仕方無いよな。
ごめんな、シエル、ネロ。
さて、それじゃそろそろ移動を開始していこう。
目的地? は、西区の大通りにある、トワイライトって店だったよな。
そうして、俺はフードを深く被り、念のためハイドストークを使いながら荒ぶる仔豚亭を後にし、待ち合わせ場所へと向かって行った。
◇◇◇
特に呼び止められることもなく、無事に目的の店に到着すると、そのまま中へと入り、フードを下ろした。
店内は以前入った時と変わらず、落ち着いた雰囲気のある喫茶店だが、前来た時よりも来客数は増えているようだった。
「いらっしゃいませ~。お一人様ですか?」
「いえ、待ち合わせです」
「失礼ですが、お客様の名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「え? あ、はい。リオンですけど」
「リオン様ですね。お連れ様のアリル様から、当店に到着し次第、個室に案内するよう言われてますので、ご案内しますね。付いて来て下さい」
個室?
なんで個室?
もしかしたら、俺への配慮とかかな?
何にしても、個室であることで何かしら不利益がある訳でも無いし、俺自身も助かるから、まぁいいか。
「わ、分かりました」
そうして少し疑問に思いつつ返事を返し、店員さんの後に付いていく。
店員さんは、店の奥の通路に入っていき、しばらく歩いていくと先導していた足が止まった。
どうやら、その個室に着いたようだ。
「こちらになります。何か御用がお有りでしたら、備え付けの呼び鈴をお鳴らし下さい。それでは、ごゆっくりどうぞ。失礼します」
「あ、はい。案内、ありがとうございました」
そう俺はここまで案内してくれた店員さんにお礼を言い、その後案内された個室の扉を開いた。
「あ、お兄ちゃん!」
するとそこには、扉が開いたことに逸早く気づき、嬉しそうな笑み浮かべながら声を上げたアリルと、アリルの友達と思しき女の子が3人居たのだった。
ここまでお読み頂き、そして評価して下さり、ありがとうございます。
リアルの都合により、またしばらく投稿頻度が一定ではなくなりますが、予めご了承下さい。
なるべく、遅くなり過ぎないようにはしたいとは思いますが、同僚がインフルエンザでバタバタと倒れていき、更に鬱病に掛かった同僚が無断欠勤をしていったおかげで、多忙すぎて投稿が不定期になりそうです。
ちくせぅ……。
よろしくお願いします。




