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Struggle Locus On-line  作者: 武陵桃源
第4章  夢現フィールドと再起の遺構
89/123

Locus 80

 あの後、もう1度シエルとネロにお礼を言い、自分の迂闊(うかつ)さについての反省と、今回の経験を踏まえて、岩以上に大きくなる物の合成や爆発するような物等の危険性のある物を扱う時は、外のセーフティエリアとかの広い場所で行おうと心に(ちか)い、再び合成作業に戻っていった。


 そして、1時間の経験値上昇の効果が切れた頃には、合成のLvが9にまで上がり、以下の事が分かった。


 まず、合成に用いた素材は一定数を合成すると、上位素材?に合成することができたことだ。

 石系統の素材は、小石×5で石に、石×10で小岩に、小岩×10で岩に、そして岩×10で大岩に合成することができた。

 また、大岩より上位の合成先があるのかは、素材が不足していたためと、先の1件の事もあり、合成素材が(そろ)ってから、屋外で試すことにした。


 次に、木系統の素材は、小枝×5で細枝に、細枝×10で枝木に、枝木×10で材木に上位合成することができた。

 材木になった素材は石系統素材の岩並に大きくなったので、先程の行動を(かえり)みて、それ以上の合成は止めて置いた。

 あんな事はもう、2度とごめんだしな。


 最後に、分身(わけみ)系のアイテムは、どうやらATK等のステータスが1以上ある物でないと、作ることができない物のようだ。

 何故分かったかというと、下位素材を合成させ、上位素材にすることに失敗しなくなったのに、ATKの表記が無い素材は一向に分身系アイテムに成らず、全て必ず失敗したからだ。


 因みに、今回合成した各素材のATKはこのようになっている。


 小石:ATK 1

  石 :ATK 3

 小岩:ATK 12 

  岩 :ATK 30

 大岩:ATK 100


 小枝:ATK 0 

 細枝:ATK 0

 枝木:ATK 10

 材木:ATK 28


 それと、先程の1件によりシエルの念力が派生進化できるようになったので、進化させた。


〔PS〕パッシブスキル:〔念力Master〕=進化⇒〔PS〕パッシブスキル:〔念動Lv0〕


〔PS〕パッシブスキル:〔念動Lv0〕

念力より更に、心に念じただけで物体に物理的影響を(およ)ぼすことに、(すぐ)れた能力。

SLv上昇と共に、物体を動かす速度と力が増加し、動かせる物体の最大重量は、INT・MID・LUK の値に依存する。  MAXSLv30


 さて、次は回復薬の補充をしていくとしよう。

 今回は蒸留水もあるし、手順も既に分かっているから、前回より早くできそうだ。


 まず、キュアハーブを3枚細かく刻み、それを擂鉢(すりばち)に入れ、擂粉木(すりこぎ)でよく()り潰す。

 磨り潰し終え、ペースト状になったら、擂鉢に蒸留水を加え、よく混ぜる。

 次に、ソレを()し器を重ねた所に流し、濾過(ろか)する。

 最後は、その濾過したものを、空いたポーション(びん)に入れて完成。


【製作者:リオン】

消耗アイテム  HPポーション:使用することで、生命力を回復させることのできる薬水(ポーション)


効果:HP30%回復  使用期限:後29日23時間


 うん、問題無く普通に店売りしている、HPポーションと遜色(そんしょく)無いものができたな。

 後は、コレを少しでも飲み易くするため、砂糖や(あり)蜜を入れたポーションを量産していこう。


【製作者:リオン】

消耗アイテム  HPポーション・改:使用することで、生命力を回復させることのできる薬水。

甘味料が入っているため苦くなく、ある程度飲み易い。


効果:HP31%回復  使用期限:後13日23時間


【製作者:リオン】

消耗アイテム  HPポーション・改:使用することで、生命力を回復させることのできる薬水。

甘味料が入っているため苦くなく、ある程度飲み易い。


効果:HP33%回復  使用期限:後17日23時間


 因みに、回復量が31%のが砂糖入りで、33%の方が蟻蜜入りだ。


 それじゃ今度は、インスタンスダンジョンのボス……ジャイアント・デュアルセンチピードの部位破壊ボーナスでドロップしたものを使って、料理をしていこう。

 大体どんな食材かは覚えてるけど、念のためもう1度鑑定しておく。


【部位破壊ボーナス】

食材アイテム  巨大双頭百足の充毒肉:ジャイアント・デュアルセンチピードの肉。細胞の隅々まで毒が染み渡っており、どのような処理を(ほどこ)しても、毒が抜けることがない。食べることで必ず毒に掛かるが……。


【部位破壊ボーナス】

食材アイテム  巨大双頭百足の充麻痺肉:ジャイアント・デュアルセンチピードの肉。細胞の隅々まで麻痺毒が染み渡っており、どのような処理を施しても、麻痺毒が抜けることがない。食べることで必ず麻痺に掛かるが……。


 うん、やっぱりな。

 この説明文だと、食べることによって必ず状態異常に掛かるけど、その後に何かがあると言っているようなものだ。

 態々ぼかした説明をするというのは、インスタンスダンジョンで入手したイベントアイテムにもあったから、まず間違い無いだろう。


 問題は、どんなことが起きるか、だけど……。

 ここは部位破壊ボーナスなんていう、ちょっと特殊なボーナスなんだから、プレイヤーの頑張りを無にするような、悪い事でないことを(いの)って、食べるとしよう。

 少なくとも、死にはすまい! ……そうだといいなぁ。


 そうして俺は少し考えた後、状態異常に掛かる時間が短い麻痺に掛かる、巨大双頭百足の充麻痺肉を全て実体化させた。

 巨大双頭百足の充麻痺肉は、全体的に透き通るようなレモンイエローをしており、言外にありありと『コレは毒だぞ! 危ないぞ! 』っと喧伝(けんでん)しているような色合いをしていた。


 本当にこんなの食べて、大丈夫かな?

 いやでも、毒に(おか)されていないジャイアント・デュアルセンチピードの肉は、高値で取引される程の高級食材で、味の方も美味ってあったから、しっかりと料理すれば意外と味の方は、大丈夫な気がするな。

 ……うん、可能性としては十分に有り得そうだ。

 それじゃ、出来るだけ美味しくなるように心掛けて、料理していくとしよう。


 まずは、食材の臭いやぬめり気を取るための下準備を行う。

 最初に2つ鍋を用意し、両方に水を張り、1つは火に掛け沸騰(ふっとう)させる。

 湯が()いたら、鍋の中に巨大双頭百足の充麻痺肉を入れて熱湯に(くぐ)らせ、すぐに引き上げる。

 そしてそのまま、水を入れて置いたもう1つの鍋に(ひた)し、粗熱を取ると同時に霜降(しもふ)りにする。


 巨大双頭百足の充麻痺肉の全ての表面が白くなったら、水から上げ、塩・胡椒(こしょう)・香草で下味を付け、少し寝かす。

 その後、料理キットにあったフライパンに獣脂(じゅうし)を薄く引き、下味を付けた巨大双頭百足の充麻痺肉を乗せ、焦がさないようじっくりと焼く。

 全面がキツネ色になったら火から下ろし、皿に盛り付けて完成。


食品アイテム  霜降りステーキ(塩・胡椒・香草味):霜降りという下準備を経て、丁寧に焼き上げられた、巨大双頭百足の充麻痺肉のステーキ。

完食した後、必ず麻痺に掛かるが、食べ終えるまでの間は至福を味わうことができる。


効果:HP23%・MP13%回復+確実に麻痺付与+???


 やはり俺の予想は合っていたようだな。

 それでも、まだ何があるのかが分からないというのが、嫌らしい!

 まぁ、ここまでやったことで、味の方は確約されたっぽいし、後は覚悟を決めて実食するのみだな。

 ……よし! 覚悟完了。

 いただきます!


 そうして俺は料理キットにあったナイフとフォークを使い、霜降りステーキを丁度良い大きさに切り分け、口へ運んだ。


 ジュワァアアアー……


 霜降りステーキを噛み締めると、(かに)に似た繊維質(せんいしつ)の肉がホロホロっと(ほど)け、口いっぱいにその肉汁(にくじゅう)(あふ)れ出す。

 溢れ出した肉汁は、ベーシックインセクトなんかと比べ物にならない程深いコクと甘みがある。

 数回も咀嚼(そしゃく)すれば、自然と嚥下(えんか)され、あんなにインパクトのある味であったにも関わらず、意外と後味はさっぱりしていて、しつこさがまるで無い。


 結論、めちゃくちゃ美味い!

 何コレ?! 何でこんなに美味しいんだろう?

 そんな疑問を持ちつつも、俺の持つナイフとフォークは動き続け、あっという間に皿を空にする。

 

 あー……美味かった。

 ただひたすら美味かった。

 説明に偽り無し!

 本当に至福の時間だったわ、大満足です。


 そうやって霜降りステーキの美味さの余韻(よいん)に浸っていると、ふいに全身が痺れ、力が入らなくなった。


「っ?!」


 あ、そういえば完食すると麻痺になるんだった……霜降りステーキが美味過ぎて、すっかり忘れてたな。

 幸い、余韻に浸っている時、椅子の背もたれにもたれ掛かるようにしていたため、料理が入っていた皿に顔面からダイブすることは避けられた。

 

 しかし、よくよく考えてみれば麻痺の状態異常に掛かるのは、これが初めてだな。

 体の下に腕なんかを敷いて寝たり、正座したせいで血行が悪くなって痺れる感じに似てるけど、指1本動かすことができないなんて、こりゃ戦闘中に掛かったらまず間違いなくやばいだろう。

 無抵抗の相手を好きにボコれるなんて、よっぽどステータスに差がなければ、まず確実に()られることになるだろうしな。

 それに、声を出そうとすれば出すことは出来るが……呂律(ろれつ)が上手く回らず、意味の無い言葉を並べるだけになるから、助けすらも呼べそうに無い。

 これは、本当に何とか対策を取れるようにして置かないと、まずいかもしれないな。


 そう考えていると、麻痺の効果が終わったようで、今まで全身に走っていた痺れが無くなった。

 そして、その痺れが完全に消えると、聞きなれた音とインフォメーションが流れた。


『ピロン♪ これまで行動により、〔スキル:麻痺耐性〕を習得しました』


 なるほど、そういうことか。

 そう俺は思いつつ、素早くメニューを開き、説明を読み込んでいった。


〔PS〕パッシブスキル:〔麻痺耐性Lv1〕

状態異常:麻痺が付与される確率を(SLv×10%)減少させる。

また、状態異常:麻痺に掛かった場合、(SLv×1秒)効果時間を短縮する  MAXSLv10


 どうやら、この部位破壊ボーナスでドロップした食材は、食べることで絶対に掛かる状態異常の耐性スキルを習得させるもののようだ。

 ってことは、もう1つのアイテムでは、毒耐性が習得できるのかな?

 それなら絶対に食べなきゃ損だよな。

 それと、合意の上でこの食材を余分もらえたから、まださっき食べた巨大双頭百足の充麻痺肉が2つあるし、せっかくだからシエルとネロにも食べさせることにしよう。

 もちろん、食べさせる前に食べた後どんなことが起きるかの説明は、きちんとして置く必要があるけどな。


 よし、それじゃ張り切って残りの食材も料理していくとしよう。

 そうして、俺は個室スペースの1角で遊んでいるシエルとネロを呼び、説明をしてから食べさせていった。

 そして、その間にもう1つの巨大双頭百足の充毒肉を料理していき、今度は皆揃って至福の時間を味わい、その後で毒の苦しみを耐え抜き、予想通り〔毒耐性〕のスキルを習得することができたのだった。


〔PS〕パッシブスキル:〔毒耐性Lv1〕

状態異常:毒が付与される確率を(SLv×10%)減少させる。

また、状態異常:毒に掛かった場合、(SLv×1秒)効果時間を短縮する。  MAXSLv10



 終わらなかった……生産回。

 

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