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Struggle Locus On-line  作者: 武陵桃源
第3章  魔法の性質と魔素溜まりの迷宮
81/123

Locus 73

 カインさん達の誘導に従いしばらく移動していくと、前方に何やら山小屋ならぬ、森小屋が見えて来た。

 

「おっ! やっと戻って来たか。何だかすごく長い時間攻略していたって、感じがするな」


「ですね。でも、これでやっとこのクエストを終わらせることができるんですし、最後まで気を抜かずにがんばりましょうよ」


「はぁ~、かなり大変でしたしねぇ。だけど、リオンさん達の話を聞くに、このL・クエストをクリアすると、新しいシステム? ってのが、解放されるんですよね? そのシステム次第では、これからも何か大変なことが起こるかもしれないと思うと、少し憂鬱(ゆううつ)ですね~」


「まぁ、そうなんだけど……今から考えてても仕方無いだろ? それよりも、前向きにこのクエストのクリア報酬が何なのかって考える方が、精神衛生上に良いと思うぞ?」


「はい~。そうですね、そうします」


「よし! それじゃ、報告に行くぞ!」


「それでは、俺は外で待ってますね。依頼者に、俺は面識は無いですし、そんなやつにいきなり来られても、依頼者の方も困ってしまいそうですしね」


「そうか、分かった。まぁ、この小屋の周りはセーフティエリアのようになっているから、大丈夫だとは思うがな。んじゃ、行って来る」


「はい」


『いってらっしゃーい♪』


「キュー!」


 そうして、カインさん達は小屋の中に入っていった。


 さて、カインさん達を待っている間に、今後どうするか考えて置くことにしよう。


 まず、現在の時刻だが……時計では5時25分少し過ぎといったところで、完全に日が(ぼっ)するまでまだ、1時間以上ある。

 俺は今朝のことがあるから、顔や服装を隠せるもの無しに、ディパートの街を出歩くということはしたくない。


 (ゆえ)に、最低でも日没後にディパートに戻るようにしなければならない。

 この近場のセーフティエリアでログアウトするという手も無くは無いが、ソレは最終手段にして置きたいと思う。

 なぜなら、今では魔法のレベルもかなり上がり、魔法自体も結構使ったので、俺が望むクラスチェンジ先が発生している可能性が高いからだ。

 

 つまり何が言いたいかというと……一刻も早くクラスチェンジをしたくて、抑えが効かなくなりつつあるということだ。

 ソレを踏まえると、後1時間でクラスチェンジできると思うと、居ても立ってもいられず、すぐ様ディパートの街に行きたい衝動に駆られるが、先の理由によりこのまま戻るのはまずいということになる。

 くそっ、なんてままならないんだ!


 まぁ、それはさて置き……日没まで何をして時間を(つぶ)そうかなぁ?

 あ、そういえばさっきルイリに、俺でも覚えられそうなアーツの情報をもらったんだったな。

 リュクスに教えてもらった、情報の方を実践(じっせん)しても良いけど、MAXスキルレベルが10のスキルを進化させるまでにはいかないだろうから、今回は状態異常を与えるアーツを習得する方向で行動していくことにしよう。

 まぁ、それでも合成のLvを上げるには、素材が必要だろうから、道中に拾っては行くんだけどな。

 

 そして日が完全に沈んだらディパートに戻って、適当にNPCの店でフード付きのマントでも買ってから、クラスチェンジしに行くとしよう。


 そうやって今後のことを考えていると、ふいにファンファーレが鳴り、インフォメーションが流れた。


『パパ~ン♪ L・クエスト《森の生態系を守れ!》をクリアしました』


『途中参加報酬:ステータスポイント10ポイントを入手しました』


 どうやら、称号の方は貰えないみたいだな。

 まぁ、あんな壊れ効果のある称号は、そう何度も取れるはずないとは思うけどな。

 ……いや、もしかしたら、途中参加だったからという可能性も無きにしも非ずか?

 まぁでも、既に過ぎたことだし、確認は……次に機会があれば、っというところかな。 


 そんな取り()めの無いことを考えていると、あの時に聞いた音と、インフォメーションが流れた。


『ピロリロリロリロリ♪ あるプレイヤーが条件を満たしたことで、新たなシステムが解放されました。(くわ)しくは、一斉送信された《解放されたシステムについて》というメールをご確認下さい』


 俺はすぐ様メニューを開き、件のメールを探し、見つけ、その内容を読み込んでいった。

 そして、その内容はこういうものだった。


 ①:現時点を持って、既にプレイヤーが足を踏み入れたエリア全てに、魔素(マナ)溜まりか段階迷宮(インスタンスダンジョン)が発生する。

 但し、初期の最大進行段階は3段階目まで、各エリアでの出現数は最大で7箇所(かしょ)までとなる。

 また、魔素溜まりは不定期的に発生するため、段階迷宮を攻略しダンジョンコアを破壊しても問題は無く、実体のある迷宮ではないので、複数のパーティで(いど)んでも、ダンジョンコアが破壊されるまでは、全てのパーティで攻略が可能。


 尚、魔素溜まりとは、何らかの要因により特定地点で魔素が偏り、収束して自我を持ち、魔素で構築・実体化させた領域と、その自我を持った魔素核を守るモンスターが出現する場所のことであり、魔素溜まりは最大で7段階に変化する。

 変化内容は以下の通り。


 1段階目:魔素溜まりができ、特定地点周辺でMPの自然回復速度が通常よりも早くなる。


 2段階目:魔素溜まりの中に異界領域(ダンジョン)ができ、特定範囲内でMPの自然回復速度が通常よりも遅くなる。


 3段階目:魔素溜まりの中のダンジョンに、ダンジョンコアを守る守護者が生まれ、ダンジョンの入り口を魔素の渦として視覚化することができ、この時点でダンジョン内に入ることが可能となる。


 4段階目:ダンジョン内の守護者の魔力がダンジョン外に漏れ出し、魔素溜まり周辺のモンスターが強化され、凶暴化する。


 5段階目:魔素溜まり周辺の強化・凶暴化したモンスターが、何かに誘われるように、魔素溜まりの中のダンジョンに入っていき、ダンジョンに喰われる。


 6段階目:魔素溜まりの中にあるダンジョンの入り口が完全に実体化し、ダンジョン外へダンジョン内のモンスターが溢れ出し、周囲の生態環境を不特定期間狂わせる。


 7段階目:ダンジョン内のモンスターを全てダンジョン外に吐き出し、魔素溜まりが自然消滅する。


 ②:魔素溜まりの進行段階が1~2の場合、付近の村・街で住人から(うわさ)という形で、魔素溜まりが発生したことを知ることができる。


 ③:魔素溜まりの進行段階が4になると、付近の村・街で住人から噂、各ギルドからは依頼という形で、段階迷宮が出現したことを知ることができる。


 ④:アイテムのレアリティを開示。

 レアリティは以下の通り。


 C (コモン):ランク1


 UC (アンコモン):ランク2~3


 R (レア):ランク4~5


 HR (ハイレア):ランク6~7


 SR (スーパーレア):ランク8


 LR (レジェンドレア):ランク9


 ⑤:互いに離れていても同じエリア内にいる限り、パーティメンバー同士で会話ができる、パーティチャットが使えるようになる。


 ①は、まぁその内容の通りだな。


 ②と③は、無闇に魔素溜まりと段階迷宮を探し、徒労(とろう)にならないようにする運営側からの配慮(はいりょ)だと思われる。


 ④は、各ランクのアイテムがどのくらいのものであるかの区分を明確にするものだと思うが、俺としては別に無くても困らないと思うんだけどな。


 ⑤は、今までは互いに声を掛け合うか、個別にフレンドチャットを使うしか、意思疎通(いしそつう)ができなかったが、これからはこのパーティチャットでパーティ内で会話ができるようになるみたいだから、戦略の幅も広がりそうだな。

 

 そうやってメールの内容を確認していると、クエストの報告が終わったのか、カインさん達がさっき入っていった小屋から出て、こちらに向かって来るのが見えた。

 

「よぉ、リオン。待たせたな」


「いえ、解放されたシステムについて見てたので、大丈夫でしたよ」


「そうか、それならよかった。それで、報酬の方はどうだったんだ?」


「あ、はい。カインさん達が言ったように、途中参加報酬をもらえました」


「おっ! それは、よかったね。因みに、報酬の内容は何だったの?」


「ステータスポイントを10ポイントだったよ」


「ほほう。そりゃ、結構良い報酬だな」


「ですね。大体レベル1相当のステータスポイントなら、自由に割り振られる分こちらの方が、レベルを1上げるより魅力的だと思いますよ」


「まぁ、確かにそう言われれば、そんな気もする……かな?」


 そうやってリュクスと話合っていると、ふいにルイリから声が掛かる。


「さて、それじゃクエストも無事終わったことですし、そろそろ街に戻りませんか?」


「だな。このままだと、後1時間位で日が暮れるだろうしな」


「あ、すみません。俺はまだやりたいことがあるので、ここで別れることにしますね」


「あぁーそうなのか? 分かった。それじゃ別れる前に、礼を言っとくな。リオン、今回はクエスト手伝ってくれてありがとな。正直、助かったわ」


「ですね。リオン、シエルにネロも、助かったよ、ありがとうね。お疲れ様」


「お疲れ様でした。ありがとうございました。何かあれば言って下さいね。今度は僕達がお手伝いしますから」


「ああ、こちらこそ、ありがとうな。お疲れ様でした。その時は、またよろしくな」


『おつかれさまー♪』


「キュウ! キュウ!」


 そうして、俺達は互いに別れの挨拶をし、リュクスとは互いにフレンド登録をし合い、カインさん達のパーティから抜け、カインさん達がディパートに戻って行くのを見送った。


 よし! それじゃ、俺もさっき考えた予定通り、行動していくとしよう。

 確か、ルイリが言うには毒液を刷毛で剣身に塗って、モンスターを状態異常にしていけば良いんだったよな。

 

 そう考え、俺は素早く毒液と刷毛を取り出し、ノービスソードの剣身に塗り、シエルとネロに声を掛け、カインさん達が行った方向と真逆の方へと進んで行った。




 ◇◇◇




 あの後、日が完全に没するまで、西の森とディパートへの道中にモンスターを狩りつつ、ルイリの言った方法でモンスターに状態異常を掛けていった。

 新しいシステムが解放されたから、(こぞ)ってプレイヤーが魔素溜まり……っていうか段階迷宮(インスタンスダンジョン)を探しに来るかと思ったが、それ程プレイヤーを見掛けることは無く、普段通りに行動することができた。

 その結果、ディパートに到着する頃には、新たなアーツを習得することができたが、暗殺のスキルに対応するアーツだったせいか、ルイリから聞いていたアーツとは名前が変わっていた。


□  インベナム:武器等に毒を塗り、攻撃する技法。

塗布される毒の種類は、既に1度使用して対象に状態異常を付与したことのある毒のみ選択可能。

(あらかじ)め毒の種類を選択して置くことで、効果を発揮する。

初めにセットできる毒の種類は1種類だが、SLvが10の倍数になるたびに、セットできる空き枠が1つ増加する。

対象に状態異常を掛ける確率は、毒の種類とINT・DEX・LUK の値に依存し、塗布された毒の有効時間はSLvとINT・LUK の値に依存する。

消費MP:10  リキャストタイム:60秒


 それと、暗殺のスキルが新たなスキルに派生進化できるようになっていたので、派生進化させた。

 

〔AS〕アクティブスキル:〔暗殺Master〕=進化⇒〔AS〕アクティブスキル:〔暗殺術Lv0〕


〔AS〕アクティブスキル:〔暗殺術Lv0〕

40+(SLv)分STRとAGIにプラス補正。

ウィークポイントに攻撃を当てた時、与ダメージ増加。

対象を状態異常にした時、状態異常の効果時間増加(微)  MAXSLv50


 暗殺術にスキルを進化させたことで、先程習得したアーツにセットできる枠が1つになってしまっていたので、とりあえず対象に掛かれば数秒間動きを止められる麻痺毒をセットして有効化して置いた。


 更に、再生と再精のスキルが両方共Masterになったおかげで、新しいスキルに統合進化できるようになっていた。

 統合進化させると、またスキルLvが0に戻るため回復量が減るが、その分装備スキルに空きができるようになるので、迷わず進化させた。


〔PS〕パッシブスキル:〔再生Master〕+〔PS〕パッシブスキル:〔再精Master〕=統合進化⇒〔PS〕パッシブスキル:〔賦活(ふかつ)Lv0〕


〔PS〕パッシブスキル:〔賦活Lv0〕

60秒ごとに最大HPとMPの5%を回復する。

SLvが1上昇するごとに、回復時間を3秒短縮する。  MAXSLv10


 さて、それじゃクラスチェンジをしに街役場に向かうとしますか。

 変装用のフード付きマントとかは、街役場の道中にあるNPCの店で買って行くとしよう。

 日も完全に沈んでいるおかげで、夜目持ちでない限り顔や服装も見分け難いだろうが、念には念を入れてハイディングを使いながら移動して行こう。


 因みに、シエルには西の森を出た辺りから既に、装飾化してもらっている。

 日中なら常に黄金色に光っていてもそれほど気にならないが、周囲が夜闇に覆われていれば、嫌でも目に付くことになってしまうからだ。

 ごめんな、シエル。


 そうして、物陰(ものかげ)から家屋(かおく)の影へと移動し、時に人気の少ない裏路地や、家屋の屋根を伝いながら移動して行った。

 時間帯的には、既に飯時であるにも関わらず、多くのプレイヤーが街の中を(せわ)しなく動き回っていた。

 これは恐らく、新たに解放されたシステムの②と③によるものだろう。

 だから、さっき森の中で行動していた時にあまりプレイヤーを見掛けることがなかったんだな。


 俺はてっきり、情報が開示されてからすぐに現場?に直行するものだとひやひやしていたが、良い意味で予想が外れてくれたことに感謝の念が絶えない心情だ。

 もっとも、情報が開示された時間が夜に近かったせいもあるかもしれないな。

 このゲームでも夜になると、フィールドを徘徊(はいかい)するモンスターが強くなるから、死に戻りのリスクを減らすため、ということも十分に考えられる。


 そう思いながら移動して行くと、途中でNPCの露店を見つけたので、売っていたフード付きのローブを買い、装備していった。

 最初は当初の考え通りにマントを買おうとしたのだが、実際にマントを見てみると動きを阻害し易そうだったので、動きに制限を与え難そうな雨合羽(あまがっぱ)の形に似た、フード付きのローブを買うことにしたのだ。


 現在の所持金:25648R⇒25048R


 それから、またなるべく他のプレイヤーに会わないように移動して行き、時にはハイディングを使い隠れてやり過ごし、どうにか呼び止められることも他のプレイヤーに見つかること無く、目的の街役場に着くことができた。


 そして、街役場に到着するとふいに『ピロン!』という音が脳内で鳴り、新たにアーツを習得したようだった。

 確認してみるとハイディングの上位互換のようなアーツを習得していた。


□  ハイドストーク:気配を殺しながら、無音で忍び寄る移動技法。

アーツの精度は、AGI・DEX・LUK の値に依存する。

アーツの精度が上がる程、周囲から知覚され辛くなり、攻撃の対象にされ難くなる。

但し、範囲攻撃の範囲内である場合その限りではない。

消費MP:12  リキャストタイム:15秒


 現状ではすごく役に立ちそうなアーツではあるんだけど……なんだか自分だけ全く別のジャンルのゲームをしているんじゃないかって、錯覚(さっかく)しそうになるよ。

 ほんと、何でこんなことにをしなくちゃならないんだろうな。はぁ~。


 まぁ、いいや。

 深く考えてもドツボに(はま)りそうだし、気を取り直してさっさとクラスチェンジしに行くとしよう。

 うん、そうしよう。


 そうして俺は街役場の中へと入って行き、以前に教えてもらった通りに青い矢印の順路に沿()って進み、修練場というプレートが付いた扉を見つけ、その中へと入っていった。


 俺は以前利用した、個々人がクラスチェンジ候補先を確認できる水晶版が安置されている小部屋へと入って行き、まずクラスチェンジ可能リストを確認していく。


 すると、以前にも選択できていた、〔ソードマン〕、〔ソウルダー〕、〔ウォーリアー〕、〔フェンサー〕、〔ヒットマン〕、〔テイマー〕、〔コック〕に加え、新たに〔マジシャン〕、〔マジックソードマン〕、〔アクロバッター〕、〔ストライカー〕、〔ポイズナー〕が選択できるようになっていた。

 

 因みに、〔マジシャン〕はその名の通り、魔法使いのことで、〔マジックソードマン〕は所謂(いわゆる)魔法剣士のことだ。

 〔アクロバッター〕は、軽快なフットワークと常人には行いがたい身軽な動きで、相手を翻弄(ほんろう)し、注意を引き付けるクラスで、〔ストライカー〕は徒手空拳で戦うクラスだ。

 そして〔ポイズナー〕は、毒を精製し武器等に塗布して対象を状態異常に掛からせて戦う、毒使いのことだ。


 うん、ようやく俺の希望に合致(がっち)したクラスが発生したな。

 俺が希望するクラスは、魔法が使えるクラス……正確には魔法にも補正が掛かり、戦闘でも使い物になるクラスということになる。

 だから、〔マジシャン〕では剣が使い難くなりそうだし、現在の俺の戦闘スタイルとも合いそうにないから、もう1つの魔法が使えるというか、使えそうなクラスの〔マジックソードマン〕にクラスチェンジしようと思う。


 よし! 善は急げだ。

 そうして俺は、窓口にいた職員に声を掛け、どうやったらクラスチェンジできるかを聞いた。


 話によると、クラスチェンジを行うには、特殊な陣を封入した水晶柱が安置されている部屋があり、ソレに触れることでクラスチェンジが可能になるとのことだった。

 そして俺は、その職員にクラスチェンジしたいことを伝え、その部屋に案内してもらい、その部屋の水晶柱に触れた。


 すると、水晶柱がぽぅっと澄んだ水色の光を放ち、『現在のクラスからクラスチェンジすることができます。クラスチェンジをしますか? Yes/No 』というウィンドウが現れたので、迷わずYesを押した。


 Yesを押すと今度は、『クラスチェンジできるクラスが複数存在します。クラスチェンジするクラスを選択して下さい。 〔ソードマン〕、〔ソウルダー〕、〔ウォーリアー〕、〔フェンサー〕、〔ヒットマン〕、〔コック〕、〔マジシャン〕、〔マジックソードマン〕、〔アクロバッター〕、〔ストライカー〕、〔ポイズナー〕 』というウィンドウが出たので、押し間違えが無いよう慎重に、〔マジックソードマン〕の文字をタップし、選択した。


 〔マジックソードマン〕の文字をタップすると、『これ以後、選択したクラスレベルが10にならない限り、同位クラスへのクラスチェンジができなくなります。本当にクラスチェンジしますか? Yes/No 』と出たので、ウィンドウの文章をしっかりと読み込み、Yesを押した。


 すると、脳内に軽快な音が鳴り、インフォメーションが流れた。


『ピロン♪ 転科(クラスチェンジ)に成功しました。これよりクラスが〔マジックソードマン〕になります』


『ピロン♪ これまでの行動により、専科(クラス)スキル:〔魔法剣・無〕を取得しました』


『ピロリン♪ クラスチェンジが確認されました。蓄積(プール)されていた取得経験値が解放され、種族Lvが上昇しました。ステータスポイントの割り振りは別途、ステータス画面から行って下さい』


 クラススキル? もしかして、クラスチェンジでしか入手できない専用スキルのことだろうか?

 このタイミングで取得できたことを考えると、恐らく合っているはず。

 いったいどんなスキルなのかとても気になるけど、とりあえずはステータスの確認とステータスポイントの割り振りの方が先かな。

 そう思いながら、俺は先程のインフォメーションに従うように素早くメニューを開き、ステータスを確認していき、種族レベルのところで1度目が止まった。


 何だコレ?!


name:リオン

sex:男

age:16

race:人族(ハーフドラゴン)Lv19


 なんか知らないけど、シエルやネロよりも種族レベルが高くなっている?!

 何故だ?

 シエルとネロとは、ほとんど一緒に行動しているはずだから、こんなにレベルに差が出るはずないんだけど……あ。

 もしかしなくても、ヴェアリアントゼライスのせいか!

 あー、それなら納得がいくな。

 レベル差が倍以上のモンスターを1人で倒せば、そりゃぁ多くの経験値を取得できるよな。

 

 よし! 疑問も解消されたことだし、早速ステータスポイントの割り振りをしていくことにしよう。

 

 そして、現在の俺のステータスはこのようになっている。



name:リオン

sex:男

age:16

race:人族(ハーフドラゴン)Lv19

job:冒険者(エクスプローラー) rank:E

class:マジックソードマンLv0

HP:396  MP:312

STR:111

VIT:53

AGI:109

INT:63⇒70

MID:42⇒64

DEX:100⇒108

LUK:51

STP:37⇒0

所持金:25048R  虚空庫 104/400 


種族スキル:〔混血・竜の息吹(光)〕、〔竜言語Lv1〕


専科スキル:〔魔法剣・無Lv0〕


装備スキル:〔STR増加Lv32〕、〔AGI増加Lv32〕、〔剣術Lv2〕、〔暗殺術Lv0〕、〔無属性魔法Lv10〕、〔気配察知Lv28〕、〔梟の目Lv35〕、〔見切りLv24〕、〔詠唱破棄Lv8〕、〔賦活Lv0〕


控えスキル:〔鑑定Lv32〕、〔識別Lv30〕、〔料理Lv12〕、〔発見Lv22〕、〔虚空庫 rank2〕、〔合成Lv0〕、〔調教Lv20〕


称号:〔思慮深き者〕、〔戦女神の洗礼〕、〔ウルフバスター〕、〔剣舞士〕、〔二刀の心得〕、〔初めての友誼〕、〔知恵を絞りし者〕、〔先駆けの宿主〕、〔解放せし者〕、〔初心者の心得〕、〔異常なる怪力者〕、〔異常なる俊足者〕、〔愚かなる探求者〕、〔踏破せし者達〕、〔完全なる攻略者〕


称号スキル:〔心話Lv7〕、〔怪力乱心Lv2〕、〔韋駄天Lv2〕


固有スキル:〔狂化Lv16〕、〔軽業Lv8〕、〔頑健Lv1〕


 ステータスポイントは、これから魔法を使うことも多くなるからと切りの良いところまでINTに割り振り、固有スキルの頑健の影響でこれからVITの値が上がっていくことを考え、MIDに現在のVITとの差分の2倍ポイントを割り振り、残ったポイントはDEXに割り振った。


 INTにプラス7で、63⇒70へ

 MIDにプラス22で、42⇒64へ

 DEXにプラス8で、100⇒108へ

 

 それじゃ次は、クラスチェンジし終えた時に取得した、クラススキルを確認してみるとしよう。

 

〔CS〕クラススキル:〔魔法剣・無Lv0〕

マジックソードマンの専用技能の1つ。

10+SLv分ATKとM・ATKに、プラス補正。

SLv上昇と共に、新たなアーツを習得する。

また、このスキルのアーツを使うことで、剣系スキルと対応する魔法系スキルに経験値が入る。

MAXSLv30


□  リープスラッシュ:剣身に魔力を充填(じゅうてん)させ、剣身を振るうことで魔力の斬撃を生み出し、離れた場所へ攻撃を飛ばす技。

このアーツの威力と射程は、STR・INT・LUK の値に依存する。

但し、このアーツを使用する武器の魔属性の与DP倍率が1.0未満の場合、このアーツを使用するたびに武器の耐久値が減少していく。

消費MP:7  リキャストタイム:3秒


 よし! やることもやったことだし、そろそろログアウトすることにしよう。

 時間を見てみれば既に7時半を回っているし、これ以上ここに居ると最悪飯抜きになる羽目になってしまう。

 何故最悪飯抜きになる可能性があるかというと、現代の食生活では午後9時以降に食事を取ると、寝るまでに摂取したエネルギーを消費し切れず、その大半が体脂肪として体に蓄積(ちくせき)されてしまうからだ。

 よって、健康や自身の体重に気を使う必要が無い一部の人を除き、午後9時以降にはなるべく食事を取らない方が良いとされている。


 俺の現実の体形は中肉といった感じだし、脳を使っているとはいえSLOをプレイするために日がな1日寝たっきりであるので、そういう余分な脂肪を付けてしまえば、すぐにブクブクとした肥満体形の仲間入りを果たしてしまうだろうな。


 まぁ、そうならないためにも、さっさとここを出てログアウトするに限るな。

 俺はそう思い、すぐ様修錬場から出て行った。

 そして、修錬場から街役場の入り口までの道中に今後の予定を立てる。

 

 たぶん今後はある程度情報を集めたプレイヤー達が、各エリアにある段階迷宮(インスタンスダンジョン)を探しに出て行くはずだから、狩りに行くのは控えた方が良いかな。

 それに、デスドロップで所持金を半分失ったから、まずはいらないアイテムを売って、それからヴェアリアントゼライスに溶かされたプレアダガーの修理に行くとしよう。

 その後は、リュクスに聞いた情報を活用しつつ、生産作業をしていけばいいかな。


 そうやって今後の予定を立て終わると、丁度街役場の入り口に到着したので、そのまま街役場を出て行き、人気の少なそうな所でネロを宿紋化してログアウトしていった。

 


 ここまでお読み下さり、ありがとうございます。

 この後、Extra Locusを(はさ)みますが、この話で、本編の第3章が終了となります。

 

 いかがでしたでしょうか?


 おうふ……ついに入りきらず、文字数が1万字を超えてしまいました。

 (´・ω・`)やってしまった。

 後34文字削ることができれば、1万文字未満になったのに!

 o(T^T)o悔(くや)しい!!


 ちょっと詰め込み感が無くも無いですが、まぁ許容範囲であれば良いと思うところです。


 因みに、今回出てきたクラス名を漢字とひらがなに直すとこうなります。


マジシャン⇒魔法使い

マジックソードマン⇒魔法剣士

アクロバッター⇒軽業師

ストライカー⇒拳闘士

ポイズナー⇒毒使い

 

 それでは、またExtra Locusか第4章で。

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