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Struggle Locus On-line  作者: 武陵桃源
第3章  魔法の性質と魔素溜まりの迷宮
78/123

Locus 70  

 ……マジか。

 冗談ではなかったにしろ、ただの思い付きだったのに、本当に別種の個体になるなんてな。

 まぁ、なってしまったものは仕方が無いし、とりあえず現在の相手の状況を把握していくことにしよう。

 幸いなことに、今は完全切断したばかりのせいか、痛みでのた打ち回っていて、俺達のことから意識が外れてるようだしな。


 そうして、俺はジャイアント・ポイズナスセンチピードとジャイアント・パライズセンチピードのHPバーを確認していった。

 HPバーは今のところ共に4割を下回り、紫色のエフェクトが激しく明滅するたびに、ガリガリとHPが減少していっている。

 

 そうやって2体に別れたモンスター等のHPを見ているとふいに、ルイリから声が掛かる。


「リオン! 呆けてないで、追撃をお願い!こちらに注意が向いていない今なら、比較的安全に攻撃できるし、こんなチャンスを逃す手はないよ!」


「え? ああ……わかった!シエルとネロも追撃を頼むな!」


『はーい!』


「ホオォォォー!」


その後、遠距離攻撃をできるもので未だにのた打ち回っているジャイアント・センチピード等に、一斉攻撃を浴びせ掛けていった。


「ダブルアロー」

「スナイプショット!」


「グッ?!」

「ギヂッ?!」


 ルイリの放った2本の矢が鋭い角度を描くように飛んで行き、のた打ち回っているジャイアント・センチピード達の腹側の甲殻の隙間に突き刺さり、驚きを含んだくぐもった悲鳴を上げさせる。


「トリプルマジック」

「エネルギーボルト!」

『レイビーム!』

「ホオォォォー!」


「「ギシャァァァーーーーーー!!」」


 俺の放った3条の青白い雷が、ジャイアント・ポイズナスセンチピードの甲殻を焼き焦がし、ネロが放出した淡黒(たんこく)色の影の波動でジャイアント・パライズセンチピードを包み込むようにして拡散していき、そのHPを削っていく。

 シエルは左から右へ光線を薙ぎ払うように照射し、互いに離れているジャイアント・センチピード等を光線で結ぶようにして甲殻を更に焼いていった。

 

 そして遠距離の一斉攻撃により、両者のジャイアント・センチピードのHPバーが2割に差し掛かると、ソレは起こった。


「「キシャァァァーーー!!」」


 2体のジャイアント・センチピード達は、互いに向き合うようにして雄叫びを上げると、前にも見た柔らかな緑色の光に包まれては消え、更にバーサークのような赤いオーラに包まれた。

 HPバーを確認してみると、両者のHPは5割弱まで回復しており、HPバーの隣には新しくSTR×1.5のアイコンが付いていた。


 そうやってジャイアント・センチピード達の変化に注意を向けていると、ジャイアント・センチピード達は唐突にこちらを向き、ジャイアント・ポイズナスセンチピードは俺に、ジャイアント・パライズセンチピードはカインさんに向かって、襲い掛かってきた。

 これは恐らく、ジャイアント・デュアルセンチピードの部位破壊を行ったのが原因なのだと思われる。


「っ! このまま乱戦になるのはまずい! 各自散開して、距離を取れ! それと、互いに近い者同士で連携(れんけい)して戦うようにしてくれ!」


「「「はい!」」」


『はーい!』


「ホオォォォー!」


 そうして、俺とカインさんとが対角線上になるように別れて距離を取り、ジャイアント・ポイズナスセンチピードには俺とルイリとシエルが、ジャイアント・パライズセンチピードにはカインさんとリュクスとネロがそれぞれ立ち向かい、各個撃破していく流れとなった。



 ◇◇◇



 襲い掛かってくるジャイアント・ポイズナスセンチピードが視界に入ると、見切りのスキルによってジャイアント・ポイズナスセンチピードの攻撃到達予測線が、赤いラインとして視覚化される。

 俺は、その予測線の少し外側に()れるように避け、流し、(ある)いは受け、隙を見ては避け様に斬り付ける等して、ジャイアント・ポイズナスセンチピードの猛攻を(しの)ぎつつ反撃し、ルイリ達後衛の方にいかないように引き付けている。


 そうやって引き付けている時、ふとあることを思い出した。

 そういえば、バーサークを使って結構経つよな?

 もしも、このままバーサークまで切れたら物理攻撃でダメージを与えるなんてできなくなるから、いつかはルイリやシエルの方に注意が向く可能性がある。

 そうするとやっぱり、まずいよなぁ……。

 う~ん……まぁ、とりあえずこのことをルイリに言っといた方がいいよな。

 何の前情報も無いのと有るのとでは、対応できる選択肢も違ってくるだろうしな。


 俺はそう考えると、ジャイアント・ポイズナスセンチピードの攻撃をうまく(さば)きながら、ルイリにこのことを伝える。


「ルイリ! このままだとそう遠くない内に、こいつを引き付けるのが難しくなるんだけど、どうすればいい?」


「えっと……そうだね。後どのくらいなら持ちそう?」


「持って1分だと思う!」


「分かった! それじゃ私の奥の手を使うから、合図があるまでそのまま引き付けて置いて! シエルもそのまま牽制(けんせい)をお願いね」


『はーい!』


 シエルは右手を上げつつ頷き、了承の意を伝える。


 そうして、俺とシエルはルイリからの合図を待ちながら、ジャイアント・ポイズナスセンチピードを引き付けていくと、然程(さほど)待たずしてその時が来る。


「準備できたよ! 離れて!」


 俺はその合図を受けると、すぐ様後方に跳躍し、ジャイアントポイズナスセンチピードから距離を取り、シエルも上空に退避する。


「ロックオン!」

「ピンホールショット!」

「スパイラルアロー!」


「ギャシャァァァーーー!!」


 ルイリは矢の先端が棘の付いた螺旋状の穂先のようなものを弓弦(ゆんづる)(つが)え、さらにそのまま矢を半回転させつつ引き絞り、その矢を放つ。

 放たれた矢は高速旋回しつつ、ジャイアント・ポイズナスセンチピードの大顎(おおあご)をすり抜けるように飛び、ジャイアント・ポイズナスセンチピードの口内にから入り、まだ紫色のエフェクトが明滅している傷口から出て行った。

 そしてジャイアント・ポイズナスセンチピードの体内を貫通していった矢は、そのまま光る根のある壁まで到達し、『バキャッ!』という音を立てながら、自壊(じかい)する。


 HPバーを確認してみると、ジャイアントポイズナスセンチピードのHPは残り1割強にまで減少しており、新しくALL×0.5のアイコンが付いていた。

 これは、恐らく出血によってHPダメージが一定以上になり、ステータスの減少も併発(へいはつ)したためだろう。

 更に傷口を開く形で攻撃されたため、弱くなっていた紫色のエフェクトの明滅がまた激しくなり、残ってるHPをガリガリと減らしていっている。

 この様子を見るに、このまま放っておいても出血のスリップダメージで倒すことができそうだな。


「ギジャァァァアアアアアーーー!」


 そう思っていると、ジャイアント・ポイズナスセンチピードは何かに耐えるようにくぐもった雄叫びを上げ、次の瞬間今度は青い光に包まれそして消えた。

 再度HPバーを見てみると、出血のバッドステータスアイコンは付いたままだが、出血によるスリップダメージの勢いを減らし、更に新しくVIT×1.5のアイコンが付いていた。


 さすがは守護者(ボス)なだけあってか、硬く、(ねば)り強いな。

 そんなにがんばらなくても、こっちも結構ボロボロだし、もういい加減倒れてくれてもいいんだけどなぁ。

 そう考えているとふいに、俺の体全体と武器を覆っていた赤いオーラが消えた。

 どうやら、バーサークの効果が切れたようだ。

 するとバーサークが切れるのとほぼ同時に、ルイリから声が掛かる。


「今度は私が前衛をするから、リオンは後方から魔法で攻撃をお願い!」


 そう言うと、ルイリは弓矢をしまい、腰の短剣を抜き放つ。


「え? まぁいいけど、何で弓矢で攻撃しないんだ?」


「さっき使ったアーツの副作用? で、一定時間間接攻撃での命中力が1/4倍になるから、使い物にならないんだよ!」


「そうなのか、分かった! よし、シエル! 今度は牽制じゃなくて倒し切るつもりで攻撃するぞ!」


『はーい!』


 そうして、ルイリが前衛としてヒット&アウェイを繰り返して、ちまちまとダメージを与えつつ、引き付けている内に魔法を放つ。


「トリプルマジック」

「エネルギーボルト!」

『レイビーム!』


「ギャジャァァァーーー!」


 俺が発射した3条の青白い雷とシエルの照射した光線の薙ぎ払いにより、ジャイアント・ポイズナスセンチピードが痛みで仰け反りながら悲痛な叫び声を上げる。

 

「これで、止め!―――シャープエッジ!」


「ギャガッ?!」


 ルイリは仰け反りにより、がら開きになったジャイアント・ポイズナスセンチピードの弱点……大顎の付け根目掛けて短剣を勢いよく差込み、そのHPバーを削り切って、光の粒子へと変えた。


「はぁ~。何とか倒せたかぁ。リオン、シエルお疲れ様。引き付け役や牽制助かったよ。ありがとね」


「ああ、お疲れ様。こちらこそ、ありがとな。うまいタイミングで牽制してくれたり、援護してくれたりで助かったよ。それと、シエルもお疲れ様。回復に牽制に、引き付け役とたくさん助けてくれてありがとな」


『おつかれさま~! えへへ~♪ どういたしましてー!』


 そうやってお互いを(ねぎら)っていると、ルイリから声が上がる。


「あ、そろそろあっちも、終わるみたいだよ」


 そう言われ、ネロやカインさん達の方を見てみると、たしかにそろそろジャイアント・パライズセンチピードを倒し切るところだった。


 ネロは何時の間にやら、ヴェアリアントゼライスに変化しており、そのジェル状の体をジャイアント・パライズセンチピードの体表にバラけさせ、白い煙を立てながら黒光りする甲殻を溶かしていっている。

 溶かされた甲殻は、色が抜けやや黒ずんだ灰色に変わっており、遠くからみると黒と灰色の斑模様(まだらもよう)のように見える。


 カインさん達の方は、ネロが溶かして(もろ)くした甲殻をリュクスが叩き割り、叩き割った所をカインさんが斬り付けるということをして、着実にダメージを与えていっている。


「あ、どうやらあっちはもう終わったみたいですね」


「おっ! そのようだな。」


「それじゃ、あまり待たせちゃアレですし、切り札を使いますね。カインさん、少しでいいので、あいつの動き止められませんか?」


「まぁ、できなくはないな。」


「それじゃ、タイミングはそちらに任せますので、よろしくお願いします」


「おう! 任せとけ!」


 そうリュクスはカインさんに言うと、メニューを素早く操作し、短槍を実体化させる。

 カインさんもソレを見届けると、即座に行動を開始する。


「当たらないようにはするが、ネロも気をつけろよ! いくぞ!―――スタンバッシュ!」


「ギヂッ?!」


 カインさんは、そう言って注意を促すと素早くジャイアント・パライズセンチピードの(ふところ)に潜り込み、両刃の斧の腹で勢い良く打ち付ける。

 すると、仰け反ったジャイアント・パライズセンチピードに一瞬黄色のエフェクトが走り、その動きが一時的に止まる。


「いきます!―――ハイジャンプ!」

「ぺネトレイトジャベリン!」


「ギャシャァァァーーー!」


 リュクスはジャイアント・パライズセンチピードの頭上へと跳び上がると、橙色(だいだいいろ)の光を(まと)った短槍を振りかぶり、そして投げる。

 投げられた短槍は大きく開けられたジャイアント・パライズセンチピードの口内から入り、内側からジャイアント・パライズセンチピードの甲殻を貫き、更に再度外側からも甲殻を貫いていき、残った胴体の中程で地面に刺さり自壊する。


 そして投げたリュクスの短槍が自壊するのと同時に、ジャイアント・パライズセンチピードの口と傷口から盛大な紫色のエフェクトが(ほとばし)り、出血によるスリップダメージの量が目に見えて増えていった。

 HPバーを確認すると、残り1割を割っており、倒されるのは時間の問題といったところだろうか。


 すると、ジャイアント・パライズセンチピードは先程のジャイアント・ポイズナスセンチピードのように雄叫びを上げようとするが……。


「おっと、これ以上の面倒はごめんだぜ! ってなわけで、くたばりな!―――キーンアックス!」


「ギジャ?!」


 赤く光るエフェクトを迸せながら突進の運動エネルギーを乗せた力強い振り上げにより、ジャイアント・パライズセンチピードの頭と体は斬り離され、ジャイアント・パライズセンチピードは驚きを含むような声を出した。

 それを最後に、ジャイアント・パライズセンチピードは急速にHPを減少して行き、HPが0になると光の粒子へと変わり消えていった。


 その後、俺達はカインさん達の方へ行き、互いを労っているとふいに、何かが這はいずるような、『ズズズズズズズズッ……』という音が俺達のいる守護者(ボス)部屋に響き渡った。

 俺達はその音源と思われる場所を見ると、案の定最初にこの守護者(ボス)部屋に来た時に見た、光る根が密集して壁のようになっていた所の光る根が動いていた。

 光る根は徐々に土壁からなくなっていき、最後にはぽっかりと新たな通路の入り口を作り出していた。


 俺達は先程の戦闘で結構消耗していたので、このまま先に行くか少し迷ったが、カインさんの『インスタンスダンジョンの攻略は、ダンジョンコアを破壊するまでが攻略だ!』という言葉に後押しされ、後はダンジョンコアを破壊するだけだという結論に達し、手早くHPとMPの回復を行い、新たな通路を通って進んでいった。


 新たな通路はやや下り坂の一本道で、守護者(ボス)部屋に来るまでの通路とは違い、十分な光量が保たれていた。

 通路の入り口から通路の終わりまでおよそ10数mといったところで、下り坂のせいで通路の先がどのようになっているか見通すことができなかったが、足元に注意する必要がない分サクサク進んで行くことができた。


 程無くして通路を進み終わるとそこには、土壁に半ばまで埋まった巨大な多面体の結晶があった。

 結晶の大きさは目測で直径1m以上もあり、色は琥珀(こはく)色をしている。

 結晶からは数多の光る根が生えており、四方八方にその根を(から)ませながら伸ばし、土壁を覆っている。

 そして時折、その数多の光る根の中を通るように一際(ひときわ)強い光がすー……っと進んで行き、多面体の結晶へと送られていっている。


「よし、それじゃアレを壊せばここの攻略は完了なんだが……リオン、一応あの結晶を調べてみてくれ。何となくだが、嫌な予感がするんでな」


「え?! 嫌な予感ですか?」


「まぁ、杞憂(きゆう)であってくれればソレでいいから、念のためってことで頼む」


「……? 分かりました。」


 そうして俺は、カインさんの頼みで目の前にある巨大な多面体の結晶……ダンジョンコアを識別やウィークネスアイ、発見のスキルを駆使(くし)し、調べていった。


ダンジョンコア:Lv15・属性:木・地・耐性:木・地・水・弱点:火・風


 すると、ウィークネスアイや発見のスキルでは特に反応を示す場所は無かったが、識別を使うとダンジョンコアの情報が開示され、それと同時にHPバーが見えるようになった。

 俺は、すぐにこのことをカインさん達に話した。


「カインさん、識別を使ったら、HPバーが見えるようになったんですけど、これって?」


「ああ、こちらでも確認できている。それはたぶん、このダンジョンコアもモンスターであるということなんだろうな。だが、これで最悪このダンジョンコアが反撃して来ても、不意打ちを食らうことは無くなったんだし、俺の勘もなかなか捨てたもんじゃないな」


「え?! ダンジョンコアって反撃を仕掛けて来るんですか?」


「ん~……そういうのもあるし、このダンジョンコアが反撃してくるって決まった訳じゃないから、あくまでそういう可能性があるってだけだよ」


「なるほど~」


「さて、それじゃ俺がまず一当てしてみるから、(あぶ)なそうならフォローを頼む」


「了解です!」


「分かりました」


「はい!」


『はーい!』


「ホオォォォー!」


 そうして、カインさんは両刃の斧を振りかぶりながら突っ込んで行き、巨大な結晶に向かって斧を振り下ろす。


「まずは、小手調べだ!―――バッシュ!」


 ヒィィィィィン!


 すると、カインさんの斧が結晶に当たる前に結晶と斧の間に、薄っすらと黄褐色(おうかっしょく)に光る膜が現れ、結晶を守るかのように覆い包む。

 しかし、そのままカインさんの斧は何の抵抗もなくその膜を付きぬけ、小さな火花を散らしながら、結晶を斬り付ける。


「おいおい、マジかよ……」

 

 そんなカインさんの声を聞きつつ、ダンジョンコアのHPバーを見ると、カインさんが何故あんな言葉を発したのかが、理解できた。

 

 なぜなら、ダンジョンコアのHPバーにはダメージがせいぜい数ドットのみしか与えられていなかったからだ。

 恐らくあの膜が、カインさんからのダメージを軽減しているのだろう。

 そう考えていると、カインさんから俺達に声が掛かる。


「あーこりゃ、一人じゃ無理だな。ルイリ達もこっちに来て攻撃していってくれ、幸いにもダメージの軽減はあっても、反撃はなさそうだからな」


「「「はい!」」」


『はーい!』


「ホオォォォー!」


 それから、カインさん、ルイリ、リュクスは前衛で結晶をひたすら攻撃していき、俺とシエルとネロは後方から、カインさん達を巻き込まないように魔法を撃ち、徐々にダンジョンコアへとダメージを積み重ねていった。


 しかし……。

 ダンジョンコアにも再生能力があるようで、1分もすればすぐに俺達全員で与えたダメージの総量より多く回復されてしまい、一向にHPバーを減らすことができていない状況だった。

 もっとも、俺達が全員で与えたダメージってのが目測で、HPバーの5分未満だから、仕方ないと言えば、仕方ないんだけどな。


 そうやって不毛になりつつある攻撃を数回していく内に、ふとある事に思い至った。

 それは、あの結晶を包んでいる膜は何なのだろうということだった。

 もしも、あの膜がダンジョンコア特有のものであっても、何かしらの魔法の1種であれば斬ることができるんじゃないか?

 

 俺はそう思い、とりあえず試してみるべく、カインさん達に話してみた。


「えっと、カインさん! ちょっと思いついたことがあるんですけど、試してみてもいいですか?」


「んん? それはどういうことだ?」


「あのダンジョンコアを包んでいる膜があるじゃないですか。アレって何だと思いますか?」


「何って……ダンジョンコア固有のスキルか何かなんじゃない?」


「まぁ、そうだと俺も思うけど、そういうことじゃなくて、あの膜自体がアーツか魔法かどっちかってことだよ」


「あぁ、そういうことか。そりゃー……どっちかっていうと、魔法なんじゃないか?」


「ですよね。それだったら、何とかなるかもしれないので、少し試したいことがあったんですよ」


「なるほど~。あ、もしかしてライティングノココと戦っていた時に、剣に纏ってたあの青白いオーラっぽいもののこと?」


「ああ、良く見ていたな。あのオーラなら魔法を斬り壊すことができるから、あの膜が魔法ならダメージを軽減させることなくダメージを与えられるようになると思ってさ」


「……分かった。そういうことなら、話は早い。リオンやってみてくれ」


「分かりました」


 そうして、俺は結晶の前にいるカインさん達に場所を空けてもらい、マジックミューティレイトを使い、結晶を覆い包んでいる膜に真一文字と×の字になるよう三度斬り付けた。


 パキィィィィィン!


 すると、思った通り結晶を包んでいた膜を斬り裂き壊すことができた。

 だが、しばらくすると新たな膜が張り直されてしまった。


 膜を斬り裂いてからの時間を調べてみれば、丁度10秒後に復活することが分かった。

 その後、このことをカインさん達に話し、ダンジョンコアを破壊する段取りを決め、その方針に従って、ダンジョンコアに着実にダメージを与えていった。

 ダンジョンコアのHPが3割を下回ると、膜が張り直される時間が8秒と早くなって一時的に、ダメージを与えるリズムを狂わされたが、すぐに対応してそのままダメージを積み重ねていき、ついにダンジョンコアを破壊することができた。


 そして、ダンジョンコアを破壊した次の瞬間、目の前の景色が白く輝きながら(ゆが)み始めていく。


「えっ?!」


「な、何?!」


『ふぇ?!』


「ホォ?!」


「落ち着いて! ダンジョンコアが破壊されたことで、通常フィールドに戻るだけだから、大丈夫だよ」


「通常フィールドに戻る際に、気を付けないと転ぶかもしれないから、両足にしっかり力を入れとけよ!」


 そう言われ、俺は何とか落ち着きを取り戻しつつ、カインさんに言われた通り両足に力を込め、踏ん張りを強めていく。

 すると、次第に目の前の景色が渦を巻き、白い光に塗り潰されていく中、ふいに、聞き覚えのある音とインフォメーションが流れるのが聞こえて来た。


『ピロン! パパ~ン♪ これまでの行動により、〔称号:踏破せし者達〕を入手しました』


『ピロン! パパ~ン♪ コンプリートボーナス、〔称号:完全なる攻略者〕を入手しました』


『ピロリン♪ 条件を満たしたことにより、新たな派生進化先が出現しました。スキルの進化は別途スキル画面から行って下さい』

 


 最後の戦闘は、ほぼ無抵抗の敵を殴るだけの簡単なお仕事だったため、戦闘描写はカットしました。


 それでも、9000文字以上あるのが、恐ろしい限りです。


 (((。;ω;))) ガタガタ ぶるぶる


 追記:先日、Extra Locus 5を割り込み投稿しました。


 まだ、お読みでない方が居ましたら、暇な時にでも読んで下されば、幸いです。

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