Locus 66
ここまでお読み頂き、そして評価して下さり、ありがとうございます。
おかげ様で、何時の間にやら300万PVを突破していました。
本当にありがとうございます。
筋肉が切れため、片手打ちとなり、投稿が遅れてしまいました。
申し訳ありません。
それでは、どうぞ。
「クアドラプルマジック」
「エネルギーボルト!」
『レイビーム!』
「ホオォォォー!」
「ニョポッ?!」
「「「「ニョコッ?!」」」」
4条の青白い雷が中心で踊っているシャイニングノポポとその周辺にいるライティングノココを巻き込むように放出され、その白い体表?を焼き焦がし、シエルから照射された光線は左から右に流れるように薙ぎ払い、更にその白い体表を焼いていく。
そして、ネロから拡散・放射された影の波が追い討ちを掛けるように降り注ぎ、シャイニングノポポ達のHPバーをゴリゴリと削る。
HPバーを見てみると、シャイニングノポポが残り6割程、シャイニングノポポの前で踊っていたライティングノココDが残り4割弱、その両隣にいるライティングノココB・Cが半分位で、偶然シャイニングノポポの影になっていたライティングノココAが残り7割といったところだった。
「よし! それじゃリュクス、アレをやるぞ! 取り巻きはさっさと片付けたいからな」
「はい! 分かりました」
そう言うと、リュクスが先行する形でシャイニングノポポ等の方へと走り出し、カインさん達が攻撃を仕掛ける。
「いきます。―――レッグスライサー!」
「ニョッ?!」
リュクスは最も手前で且つ、残りHPが一番少ないライティングノココDの足元を斬り払うように短槍を振り抜き、ライティングノココDの体勢を崩す。
そしてすぐ様横に跳び退き、カインさんに合図を送る。
「カインさん!」
「おおよ! ―――アックスフォージ!」
「ニ゛ョコーーー!」
突進の運動エネルギーを乗せた鋭い振り下ろしにより、頭上の傘から足元付近まで斬り開かれ、断末魔のような叫び声と共に、光の粒子へと変わっていった。
「注意して下さい! ―――ポーションピッチ!」
そうリュクスが注意を促しながら、何かの小瓶をシャイニングノポポ達の方へ投げ付ける。
パリンッ!
「「「「ツッ?!」」」」
シャイニングノポポ達の若干後方でリュクスの投げ放った小瓶が割れると、中から青い液体が飛び散り、次いでライティングノココ達が何かに誘われるようにそのまま反転し、その青い液体の方へと近寄っていく。
「ニョポッ?! ニョポ、ニョ~ポ! ニョポポー!!」
シャイニングノポポは突然の状況変化に驚きつつも、周囲のライティングノココ達に声?を掛けているようだが、その声に応える様子はない。
シャイニングノポポはライティングノココ達が反応を示さないことが分かると、今度は接触することで引き止めるつもりか、ライティングノココ達と同じ方へ歩き出そうとする。
その行動を確認すると、素早くリュクスがルイリに合図を送る。
「ルイリさん!」
「分かってる! そっちには行かせないよ! ―――フラッシュアロー!」
パァンッ!
「ニョポッ?!!」
ルイリはそれ以上シャイニングノポポがライティングノココの方へ行かないよう即座に矢を放ち、その矢がシャイニングノポポの胴体に瞬く間に到達すると、次の瞬間矢の中程の所から弾け飛び、大きな音を立て破裂した。
シャイニングノポポはその破裂音に驚くような声を上げ、こちらの思惑通りその動きを止める。
そしてその隙に、こうなることが予め分かっていたかのようにカインさんは素早く動き、両刃の斧を両手に持ち、体を捻りながらライティングノココ達が集まっている所に、襲い掛かる。
「ぶっ飛びやがれ! ―――アサルトブランディッシュ!」
「「「ニョコーーー!!」」」
カインさんが独楽のように回転しながら両刃の斧を勢い良く振り回し、ライティングノココ達を切り裂きながら吹き飛ばしていく。
HPバーを確認してみれば、カインさんに斬り飛ばされていったライティングノココ達のHPは残り1~1.5割程にまで減少している。
うん、あの調子なら遠からずライティングノココ達を倒しきることもできるだろう。
「よし、それじゃそろそろ俺達も行ってくるよ。シエルは、全体の牽制と回復を中心とした遊撃だったよな。大変だろうけど、がんばってくれよな」
『はーい!』
「うん、3人(?)共よろしくね。気を付けて……っ! みんな、目を閉じて!」
そう言って俺達を見送ろうとした時、唐突にルイリがそんな風に注意し、素早く目を手で覆う。
俺もルイリの忠告に従うように、すぐ様目を手で庇うと、ふいに周囲の光量が急激に増し、辺り一面を白で塗り潰すような凄まじい閃光が放たれた。
「っく、何が……」
『まぶしー!』
「ホオォォー! ホオォォー!」
閃光により目を庇った手の影がより黒く濃くなり、その他の場所は光に照らし出されて、本来の色より幾分か薄くなっているように感じられる。
凄まじい閃光で動くに動けないでいると、前方からこの閃光を使ったと思われるシャイニングノポポの『ニョポ~ン』とか『ニョポ! ニョポ! ニョポ!』とか『ニョポポポポポーン!』というよく分からない鳴き声のようなものが聞こえてくる。
それにしても、この閃光いやに長いな……。
比較対象がシエルの使うフラッシュライトしかないから、あまり確かなことは言えないんだけど、それでもシエルの使うフラッシュライトの優に3倍近い時間経過しているんじゃないか?
そうやって考えていると、辺りの光量がだんだんと減少していき、通常の光量に戻っていった。
閃光が消えた後すぐに状況を把握しようと、前方に目を向けモンスター達を確認していった。
すると驚いたことに、先程までカインさん達にやられて虫の息だったライティングノポポ達のHPが5割強まで回復しており、更にHPバーの横にはALL×1.5のアイコンが付いていた。
どうやら、先程の妙なシャイニングノポポの声は、ライティングノココ達の回復と強化によるものだったようだ。
そして、そのシャイニングノポポの方を見てみると何故だか、全体的にしんなりしており、そこはかとなく儚い雰囲気を身に纏っていた。
HPバーを確認してみると、HP自体は残り6割程から減少していなかったが、HPバーの横にはALL×0.1のアイコンが付いていたので、なんとなくソノ理由が分かったような気がする。
つまり、あの長い閃光を発している間に、ライティングノココ達の回復と自身のステータスを犠牲にして、仲間のステータスを上昇させるアーツか魔法を使ったということなのだろう。
カインさん達の方を見てみると、シャイニングノポポに近かったためか、将又ルイリの声が届かなかったせいか、カインさん達は盲目状態になっていた。
しかし、すぐ様慣れたような手付きで、リュクスが腰のポーションホルダーから瓶を取り出すと、自分の前頭部付近に瓶の中身を掛け、盲目状態を回復させた。
そして、そのままカインさんのところへ行き、また腰にあるポーションホルダーから瓶を取り出していることから、恐らく盲目状態を回復するポーションでも使うのではないかと思われる。
それに、シャイニングノポポのせいでライティングノココのHPは回復されてしまったが、閃光を放たれる前にカインさんに吹っ飛ばされて転げているままなので、カインさんの状態異常が回復するまではたぶん攻撃を仕掛けてくるなんてことはないはずだから、もうしばらくは大丈夫だと思う。
それよりも、問題はシャイニングノポポだ。
こんな知恵のあるモンスターは、今までにストライフオウル位だったが、厄介さでいえばこちらが断然上だろう。
ゆえに、これ以上何かされる前に、一気に倒すことにしよう。
弱体化もしているから、今なら結構楽に殺れる気がするしな。
そう考え、この後どう動くかの考えをまとめ、俺はルイリ達に声を掛け、シャイニングノポポを確殺するため、行動を開始する。
「それじゃ、ルイリ頼むな」
「まかせといて! いくよ! ―――パワーシュート!」
ボカンッ!
「ニョポッ?!」
ルイリが大きく引き絞った弓弦から放たれた一矢がシャイニングノポポの足元に着弾すると、その着弾地点から強い衝撃が走り、シャイニングノポポの足場を崩し、シャイニングノポポを転がすことに成功する。
転がされたシャイニングノポポはコロコロと転がって行き、その転がりが止まると、必死になって起き上がろうと手足をじたばたさせている。
『いくよー! ―――ライトアロー!』
ドスドスドスドスドスドスドスドスドスドス!!
「ッツ?!」
シエルから放たれた10本の光の矢は、俺の指示通りまるで昆虫標本のように、シャイニングノポポの体に沿って刺さり、その動きを封じる。
『よし、ナイスだシエル! よくやった!』
『えへへ~♪』
そう心話のスキルでシエルを褒めつつ、俺は冷静にシャイニングノポポを見据え、アーツを使いながらネロに合図を出す。
「トリプルマジック―――いくぞ、ネロ!」
「エネルギーボルト!」
「ホオォォォーー!」
「ニ゛ョポポーーー!!」
俺は左手を突き出すようにして構え、その手の平から3条の青白い雷を発射し、狙い違わずシャイニングノポポを焼き焦がす。
そしてそのすぐ後、ネロによる6本のシャドーエッジが殺到していき、シャイニングノポポは断末魔のような悲鳴を上げ、光の粒子になり消えていった。
「ふぅ~、何とかうまくいってよかったよ」
「そうだね。まさか、シエルのライトアローをあんな風に使うだなんてね……って、ちょっとリオン! あれ見て! まだ転がってる、ライティングノココの上!」
「ライティングノココの上?」
俺はルイリに言われた通り、転がっているライティングノココの上を見てみると、何やら光の粉のようなものが降り注いでいるのが見えた。
なんだあれ?
そう思いながらライティングノココに降り注ぐ光の粉を眺めていると、ふいにその光の粉が消え、HPバーの横には、なにやら見慣れないアイコンが付いていた。
目を凝らして見てみると、それは光が上から降り注ぎ、その光の下には人が跪いて祈っているというものだった。
そして、今まで無様に手足をわたわたとさせて転がっていたとは思えないような動きで、ムクリと立ち上がるや否や、ライティングノココ達はこちらを見て一斉に光の矢を生成していく。
「っ! させないよ! ―――フラッシュアロー!」
パァンッ!
ルイリは即座に矢を放ち、その矢が起き上がったライティングノココBの傘に瞬く間に突き刺さると、次の瞬間矢の中程の所から弾け飛び、大きな音を立て破裂した。
しかし、ライティングノココ達はその破裂音を気にした様子はなく、そのまま光の矢を生成し続ける。
「え……、なんで?!」
「分からないけど、とりあえずルイリは俺の後ろに下がっていてくれ」
「あ、うん。分かった」
そうやってルイリを後ろに下がらせた後、再びライティングノココ達の方を見ると、ライトアローを発射する直前だった。
そして、その光景が視界に入ると見切りのスキルによって、ライティングノココ達が生成したライトアローが何処を狙っているのかが、分かった。
「ッ! ネロ、どうやら狙いはおまえみたいだ。注意してくれ! シエルは、抜けて来たライトアローがあったら、サポートを頼む!」
「ホオォォォー!」
『はーい!』
そうしてネロに注意喚起をしていると、ライティングノココ達は、見計らったようにネロに向けて数十ものライトアローを一斉に解き放った。
ライティングノココ達が、放ったライトアローが迫って来るのを視界に捕らえると、見切りのスキルによってライトアローの到達予測線が赤いラインとして視覚化される。
そしてソレを逆手に取り、到達予測線に割り込む形でネロ達の前に出て、ライティングノココ等の近くにカインさん達がいないことを確認して、数十ものライトアローの一群?を一気に壊すべくアーツを放つ。
「マジックミューティレイト」
アーツが発動し、俺が持っているノービスソードの剣身を青白いオーラが包み込む。
「バーサーク!」
バーサークが発動し、赤いオーラが俺の体全体と武器を包み込み、剣身のみマジックミューティレイトの青白いオーラと赤いオーラが混じり合い、薄紫色のオーラに包まれる。
「スパイラル……」
アーツを使う意思に反応して、剣身に薄紫色の螺旋状のエネルギーを纏い、馬上槍の形状を生成する。
「シェイバー!」
突き出しと同時に、ノービスソードの剣身を起点に薄紫色のエネルギーが急速旋回しつつ発射され、エネルギー状の部分を膨張させ、狙い通りこちらに迫り来るライトアローの一群へと放出され、それらを破壊しつつ、ライティングノココ達までも飲み込んで行く。
パキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャ―――ドゥン!!
「「「…………」」」
スパイラルシェイバーによって放出された薄紫色のエネルギーと土煙が消えた後そこには、直径5m以上の擂鉢状に陥没した土壁に、ライティングノココ達が不気味なオブジェのように、減り込んだ状態という奇妙なものが出来上がっていた。
HPバーを確認してみると、結構削れたようだったが、まだ2割以上ものHPが残っていた。
うーん、やっぱり残ったかぁ。
まぁ、今回はライトアローの一群を壊すことを主眼に置いた攻撃で、ダメージは二の次だったから、むしろ残ってたHPを半分以上削り、結果的に行動も阻害出来たことを喜ぶべきなのかもしれないな。
そう考えつつ、とりあえずこの後どうするかを聞くために後ろを振り向くと、唖然とした表情のルイリと目が合った。
「ん? どうしたんだ? そんな顔して。」
「っと、うん、まぁ言いたいことは色々あるけど、ソレは一旦置いておくとして。今は、あの減り込んでるのを倒す方が先決だよ。カインさん達も動き出したみたいだし、私達も行って加勢しよう。ほら、さっさと行くよ!」
「あ、ああ、分かった。シエル、ネロ、行くよ」
『はーい!』
「ホオォォォー!」
そうして、俺達は土壁に減り込んでいるライティングノココ等に攻撃を仕掛けているカインさん達に加勢し、魔法による反撃に合いつつも、どうにか倒すことができたのだった。
普通に戦えばもっと苦戦するはずだったんですけど……強襲・奇襲されたりすると、弱いんですよね……。




