Locus 61
体調不良というか、消化不良のため投稿が遅れました。
少し短いですが、何卒ご勘弁を……。
ルイリの案内に従いつつ、緩やかな蛇行を幾度かしていくと、ふいにルイリの足が止まった。
「ついたよ」
そう言われ辺りを見回してみると、何の変哲もない森林の風景の一角に、異様なものが1つあった。
ソレは、茶色を基調として怪しく明滅を繰り返す緑の不規則な線が浮かび上がった、魔素の渦だった。
渦の中心は、そこだけぽっかりと穴が開いたように黒くなっており、向こう側を見通すことはできない。
渦の形状は縦に細長い小判のような楕円形で、大きさは地上2~30cmの所から、高さ1.5m幅50cm程となっている。
「ん? あれ?」
「どうしたの?」
「いや、カインさん達はダンジョンの入り口でモンスターの間引きをしているって聞いてたのに、いないからどうしたのかなって思ってさ」
「……ああ! ごめんごめん。ダンジョンの入り口っていうのは、外側じゃなくて内側でって意味だよ。私がカインさん達と別れて、リオンを迎えに行った時はまだ3段階目だったからね」
「なるほど! そういうことか」
「うん。それじゃ、そろそろ中に入ろっか。準備は良い? 時間はまだあるけど、何があるか分からないし、入るなら早いに越したことはないからね」
「ああ、そうだな。大丈夫だ」
『だいじょ~ぶ~♪』
シエルはわくわくした面持ちで両手を上げ、元気良く返事をする。
「キュゥウ!」
ネロもシエルの真似をするように、両前足を上げ元気良く鳴き声を上げる。
そうして俺達はルイリの後に付いて、ダンジョンの入り口である、魔素の渦の中に入っていった。
そして、魔素の渦の中には入った次の瞬間、今までいた森林の風景からがらりと変わった場所に俺達はいた。
そこは、板や石材等で補強されてない、土が剥き出しの洞穴だった。
洞穴の所々には、何やら光を発している木の根のようなものが幾つかあり、ある程度周辺を見渡すことができる光量が保たれている。
後ろを振り向けば、魔素の渦の形にそこだけ空間が切り取られたかのように、木々が生い茂る豊かな森林が映し出されていた。
「へー。こんな風になっているんだぁ。不思議な所だな」
『ふしぎ~』
「キュゥウ~」
「はは、まぁたしかにね。私達がここに来たばかりの時は、同じようなことを思ったものだよ。さっ、この少し奥にカインさん達がいるはずだよ。逸れることはないと思うけど、遅れずに付いて来てね」
「ああ、分かった。シエル、ネロ、行くぞー」
俺はまだ周囲を見回していたシエルとネロに声を掛け、移動し始めることを確認してから、ルイリの姿を見失わないように、後を追って行った。
そうやって少し歩いていくと、ふいにルイリが呟くように声を漏らした。
「……おかしい」
「ん? 何がおかしいんだ?」
「いや、その~最初に入った時は、こんなに歩かずに三叉路になっていたはずなんだけど……気のせいかな?」
そうルイリは言いながら首を傾げ、少し歩く速度を上げていく。
俺達もそんなルイリから離れないように速度を上げ付いていった。
それから更に曲がりくねった一本道を歩いていくと、数m先に少し開けたような場所が見え、誰かが何かと戦っているような音が聞こえてきた。
「ッ! リオン、聞こえた?」
「ああ、この先で戦闘音がするな」
「うん。たぶんカインさん達が戦っているんだと思うから、近くまで行って様子を見てみようか」
「え? 戦いに参加しなくてもいいのか?」
「う~ん、そのあたりは戦闘の状況を見てみないと分からないかな。勝てそうなら手出しは必要無いと思うけど、苦戦しているならすぐに助けないとだから、状況を確認できる所までは、なるべく早く移動はするけどね」
「ん、分かった」
そうして俺達は更に速度を上げ、素早く開けた場所の入り口に到着することができた。
そこでは、カインさん達が多くのモンスターに取り囲まれて戦っている窮地を見ることとなった。
カインさん達は、土壁を背に戦っているようで、カインさんが前衛、もう1人がその後方から攻……いや、よく見てみればその茶色のうさ耳を生やした人は、土壁に背を預けて座っているだけのようだった。
HPバーの横を見てみると、黄色の稲妻が縦に2本走っている……麻痺のアイコンが付いていた。
麻痺を与えてくるモンスターがいるのかー……厄介だな。
今はカインさんが奮戦しているけど、それも時間の問題だろう。
できれば真っ先に倒したいところなんだけど、いったいどいつが麻痺を与えてくるんだろうか?
そう考えつつ開けた場所にいるモンスターを順次見ていく。
どうやら見た感じでは、モンスターは3種類いるようだ。
カインさんに最も近く、また現在戦っているのが、ぼんやりとした光を常に傘から発しているノココだ。
姿形はほぼノココと同じだが、目に生気が無く、それなのに嬉々としてカインさんに襲い掛かる姿は、少し何ともいえない恐怖を感じる。
そのノココ等のやや後方の上空には、5~6匹の妙にスマートな黒い蜂のようなモンスターが滞空している。
黒い蜂のようなモンスターの全長(触覚・羽は含まない)は、80cm程で胸部から腹部にかけて拳2つ分位の長さの細長い管のようなものがあり、その管に近い腹の上部にのみ黄み掛かった橙色をしている。
そしてそれらの後方に、拙い動きでカタカタと音を立てながら徐々に距離を詰めていく、3体の顔の無いデッサンの時に用いる人形達。
人形の全長はおよそ1.5m程で、色は最近見たことのある緑褐色をしている。
これらの外見から推察するに、最も麻痺攻撃をしてきそうなのは、黒い蜂っぽいモンスターなんだけど……さて。
そう思いながら、この後すぐに加勢がしやすいように、開けた場所全域を視界に入れつつ、識別を行った。
ライティングノココB:Lv10・属性:光・耐性:光・弱点:斬・影
ライティングノココD・E:Lv11・属性:光・耐性:光・弱点:斬・影
ディガーインセクトA・B・E:Lv10・属性:-・耐性:麻痺・弱点:火・打
ディガーインセクトC・D・F:Lv11・属性:-・耐性:麻痺・弱点:火・打
アクティブパペットA・B:Lv12・属性:木・耐性:水・地・弱点:火・魔法
アクティブパペットC:Lv13・属性:木・耐性:水・地・弱点:火・魔法
カイン:山人族:Lv13・属性:-・耐性:火・弱点:-
リュクス:兎人族:Lv11・属性:-・耐性:-・弱点:-




