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Struggle Locus On-line  作者: 武陵桃源
第3章  魔法の性質と魔素溜まりの迷宮
66/123

Locus 58  

 ログインしました。

 今の時刻は、午後1時30分少し前。

 

 俺はさっそくメニューを開きステータスを確認してみると、考えていた通りペナルティ時間は終わっており、ステータスは正常な数値に戻っていた。

 そのことを確認すると、俺はそのままメニューを操作していき、前回のログアウト寸前で習得したものと称号の説明を読み込んでいった。

 習得したものはアーツだった。


□  ダブルマジック:本来は別の技法であったが、異なった手順が踏まれたため、全く違う技法へと昇華してしまった、特殊技法。

同種の魔法を同時に2つ使用することができ、2つの魔法が共鳴し合うことで相乗効果を引き起こし、各魔法の威力を1.5倍に引き上げる。

但し、このアーツを使った場合のみ、各魔法使用時に消費されるMPを0にする。

消費MP:各魔法の消費MP×4  リキャストタイム:10秒


使用法:使用したい魔法の前に使うことで、効果を発揮する。



〔称号:愚かなる探究者〕:意図的にHP・MPを除く全てのステータスを1/20にした、愚か者の証。


 効果:INT上昇(微)


 こいつはまた、消費MPが重そうなアーツだなぁ。

 このアーツを使えば、普通に魔法を使うよりも燃費が悪くなる代わりに、短時間で高威力の魔法を撃てるってことになるから、短期戦には向いてるかもな。

 例えば、限られた時間の中で使ったり、より早く倒す必要がある時なんかなら、普通に魔法を撃つよりも有用ではあるからな。

 優劣を付けることはできないけれど、とれる行動の手段が増えることは悪いことではないから良しとしよう。


 さて、それじゃとりあえず、今のステータスで魔法を撃つとどうなるかを試してみるとしよう。

 グレイスさんのところで撃った時は、反動状態だったからグレイスさんの言った本来の規模というのがどの位なのか気になってたしな。


 そうして俺は、装備スキルを入れ替え〔詠唱破棄〕を装備し直し、魔法を使っていった。

 まずは、アーツを使わずに撃ってみる。

 俺はノービスソードを素早く抜剣して左手を前方に構える。

 魔法を使う意志を込めると、魔法発動成功率を100%にするため心の中で詠唱始めると、視界に直径20cm弱程の青白い円が視認化される。


『マナよ、無垢なる、雷鳴と成りて、我が敵を撃て!』


 前回より小さくなっているターゲットサークルに、前方にある樹木の幹を映して発動言語を唱える。


「エネルギーボルト!」


 すると、直径5~6cmもある青白い雷が俺の左手から発射され、ターゲットサークルに映し出された樹木の幹に当たり、『バズンッ!』という音を立てながら弾けて、樹木の表皮を焦がして消えた。


 うん、たしかに反動状態だった時に比べるとけっこう雷の直径が太くなっているから、これが本来の規模ということになるのかな。

 それに、樹木の表皮の焦げ跡も以前に比べると、色がより黒くなっているようなので、威力も結構ありそうだな。


 よし、次はアーツを使って撃ってみることにしよう。

 比較対象があったほうがより分かりやすいだろうから、今度はさっきの樹木とは別のにしよう。

 

 そうして俺は先程の樹木と同じような幹の太さ且つ大きさの樹木を探し、アーツを使ってから魔法を使ってみた。


「ダブルマジック!」

『マナよ、無垢なる、雷鳴と成りて、我が敵を撃て!』


 すると、中空でバチバチと音を上げながら、何かのエネルギーが前方に向けた左手の3ヶ所に集まってくる感じがする。

 あれ? なんかおかしいような……。

 まぁいいか、このまま何もしないとMPを無駄にすることになるし、いくとこまでいっちゃえ。

 そう考え、俺は若干不思議に思いつつ、発動言語を唱えた。


「エネルギーボルト!」


 俺が発動言語を唱えると、3ヶ所に集まったエネルギーが青白い3条の雷となって、ターゲットサークルに映していた樹木の幹に殺到していった。

 青白い3条の雷の直径はどれも大きく、先程撃った時に比べどれも2倍程もあった。

 ソレと同時に俺の左手から、体感的にスパイラルシェイバーを使った時に近い量の何かが抜けていく感じがする。

 

 そして―――『バゾンッ!』という音が立てながら、ターゲットサークルに映した樹木の幹に当たって弾けると、そこには焼け焦げた3つの穴が開いていた。

 穴は、俺の左手から発射された雷の半分程で、その周りには円形の焦げ跡が付き、いまだプスプスと煙を上げ(くす)ぶっていた。


『ピロン!』


 いったい何がどうなってこうなった?!

 アレか?

 あの時、何かおかしいと思ったけど、構わずにやってしまった結果が、コレというわけか?

 

 それにしても、消費MP50のスパイラルシェイバーを使った時に近い量の何かが、抜けていった気がするんだけど……まぁ、そのせいでMPが0になったわけでも無いし、今回は良いことにしておこう。

 それにまた何か、習得したようだしそちらを先に確認してみるとしよう。


 そうして俺は素早くメニューを開き、先程習得したものの確認をしていった。

 習得したものは、またアーツだったようだ。


□  トリプルマジック:同種の魔法を同時に3つ使用することができる、特殊技法。

3つの魔法が共鳴し合うことで相乗効果を引き起こし、各魔法の威力を2倍に引き上げる。

但し、このアーツを使った場合のみ、各魔法使用時に消費されるMPを0にする。

消費MP:各魔法の消費MP×8  リキャストタイム:30秒


使用法:使用したい魔法の前に使うことで、効果を発揮する。


 ふむ、なるほど。

 どうやら、このアーツを習得するに至ったのは、ダブルマジックを使いながら詠唱破棄を装備しつつ、心の中で詠唱したせいであるようだ。

 つまり、ダブルマジックで詠唱2回分と詠唱破棄を装備しながら心の中での詠唱で、詠唱1回分が加算され、同時詠唱3回分とカウントされた結果、このアーツを習得することになったというわけだな。

 

 消費MPもダブルマジックより上がって、各魔法の消費MPの8倍になっているから、あんなに何かが抜けていく感じがしたんだな。

 エネルギーボルト1発分で消費MP5だから、トリプルマジックを使うだけで5×8で40もMPを使ったことになる。

 エネルギーボルト1発分の威力を1とすると、ダブルマジックは4発分のMPを消費して3の威力の魔法を撃つことになる。

 トリプルマジックの場合は、8発分のMPを消費して6の威力の魔法を撃つことになるんだから、消費するMPの燃費は悪いことになるな。

 それでも、時間当たりのダメージ量は増えてそうだから、やっぱり短期戦向きのアーツっぽいよな。


 ん? ちょっと待てよ。

 ダブルマジックを使いながら詠唱破棄を装備しつつ、心の中で詠唱して、トリプルマジックのアーツを習得できたのだとしたら、また同じようにトリプルマジックを使えば、新しいアーツを習得できるってことじゃないか?

 

 問題なのは、消費MPの量だけど、ダブルマジックで各魔法の消費MPの4倍でトリプルマジックの時は各魔法の消費MPの8倍だったから……。

 推定クアドラプルマジックの消費MP量は、各魔法の消費MPの12倍か16倍といったところかな?

 

 ダブルマジックからトリプルマジックへと消費MP量が4倍から8倍へと変わっていたから、その次のクアドラプルマジックなら、トリプルマジックにダブルマジックとの差分を加えた8+4=12か、単純に消費MP量を倍にした8×2=16のどちらかになるのだと思う。

 まぁ、実際にやってみれば分かることだし、MP残量に気をつけて試してみることにしよう。


 そうして、俺はMPの許す限り試していき、結果新たに2つのアーツを習得した。


□  クアドラプルマジック:同種の魔法を同時に4つ使用することができる、特殊技法。

4つの魔法が共鳴し合うことで相乗効果を引き起こし、各魔法の威力を2.5倍に引き上げる。

但し、このアーツを使った場合のみ、各魔法使用時に消費されるMPを0にする。

消費MP:各魔法の消費MP×16  リキャストタイム:60秒


使用法:使用したい魔法の前に使うことで、効果を発揮する。


□  クインティプルマジック:同種の魔法を同時に5つ使用することができる、特殊技法。

5つの魔法が共鳴し合うことで相乗効果を引き起こし、各魔法の威力を3倍に引き上げる。

但し、このアーツを使った場合のみ、各魔法使用時に消費されるMPを0にする。

消費MP:各魔法の消費MP×32  リキャストタイム:3分


使用法:使用したい魔法の前に使うことで、効果を発揮する。


 因みに、クインティプルマジックまでしか習得できなかったわけは、現在の最大MP量が172しかないからだ。

 エネルギーボルトの消費MP量は5だから、クインティプルマジックを使うと5×32=160となる。

 したがって、クインティプルマジックより発動する魔法が多いものを使うためには、160×2=320のMPが必要になるので、今習得できる上限のクインティプルマジックまでにしておいた。


 というかこのアーツって、エネルギーボルトのようなMP消費量が無属性魔法の中で最も少ない魔法だから習得できたんだよな。

 それってつまり、他のこれから習得できるような魔法だとクインティプルマジックまで、消費MPの関係で使えないんじゃないか?

 ……まぁいいか。

 今は無理でもMP量が増えれば、何時かは他の魔法も使えるってことだから、後から習得する手間が省けたと前向きに考えておくとしよう。

 それに、少なくともエネルギーボルトは使えるんだから、無駄にはならない……はずだ。

 

 俺が新たに習得したアーツの説明を読み込みながら、そんなことを考えていると、ふいに「ポーン」という聞き慣れ始めてきた音が聞こえてきた。

 視界の端を見てみると、案の定FCと書かれたアイコンが表示されていた。

 俺が視線入力で、そのアイコンを選択するとウィンドウが現れ、『ルイリからフレンドコールが来ています』と出た。


 ルイリか……アリルに『SLO』初日に紹介してもらって以来だな。

 俺はその時のことを、少し懐かしく思い出しながら、音声入力で回線を開く。


「フレンドチャット オープン」


『あ、リオン? 久しぶり~。今、大丈夫かな?』


「ああ、久しぶり。大丈夫だけど、どうしたんだ?」


『んと実はね、今私とカインさんともう1人でパーティを組んでクエストをやってるんだけど、私達だけじゃこれ以上今やってるクエストを進めることが難しくなってきちゃってね。だからそのクエストの手伝いをお願いできないかなっと思って、連絡してみたんだけど、どうかな?』


「クエストの手伝いか……午後から特に予定があるわけでもないから、別に良いけど。俺クラスがまだノービスのままだけど、本当に俺でいいのか?」


『種族レベルも10まであるみたいだし、大丈夫だよ』


「ん? 俺、種族レベルのことって言ったっけ?」


『ああ、フレンド登録してれば、フレンド登録欄にあるフレンドの名前をタップすれば、簡易ステータスが表示されるから、ソレを見て言ったんだよ』


「へー、なるほどな~」


 俺はルイリにそう返事をしつつ、フレンド欄にあるルイリの名前をタップしてみた。

 すると、『name:ルイリ  race:狼人族(ワーウルフ)Lv12  job:傭兵(マーセナリー)rankE 』と出た。


『それに、多少レベルが低くても、今回のクエスト関係で必要としていることは別のことだからね』


「別のこと?」


『まぁ、それについては、合流してから話すよ。それで、リオンは今何処にいるのかな?』


「今は西の森のセーフティエリアにいるけど」


『そっか、それはちょうど良いね。私達が受けてるクエストも、その西の森でやっているんだ』


「へー、それは奇遇だな」


『だね。それで、どうやって合流するかだけど……昨日フィリアと一緒に行ったっていう、広場で落ち合うっていうのはどうかな?』


「広場って、L・クエストで行ったあの広場のことか?」


『そうそう。フィリアからすごく綺麗な所だからって、場所も教えてもらっているから、問題無く合流できるはずだよ』


「分かった。それじゃ、今から移動するな」


『うん、よろしくね。それと、お願いを聞いてくれてありがとう。ほんとに助かるよ。それじゃまたね』


「ああ、またな」


 そう言い合うと、ルイリとのフレンドチャットの回線が切れた。


 その後俺は、素早くシエルとネロの装飾化と宿紋化を解き、移動することを告げて、ルイリとの合流場所に向かい、西の森のセーフティエリアを出ていった。



~おまけ~

愚かなる探究者の姉妹称号


〔称号:愚かなる蛮行(ばんこう)者〕:意図せず、HP・MPを除く全てのステータスを1/20にした、愚か者の証。

 

 効果:HP・LUK上昇(微)

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