Locus 48
あの後俺達は、当初の予定通りセーフティエリアへと入って行き、先程考えていたことの実行とステータスポイントの割り振り、そして先の戦闘後に聞こえてきたインフォメーションの内容確認等をしていった。
まず、シエルとネロに再生と再精の習得をさせるため、HPを1割以下に、MPを0にさせなければならなかった。
MPの方は、魔法を空撃ちさせたりすれば良いので、先にHPを1割以下にする方法を模索した。
色々と考えた末、PVPの時に使った対戦システムが使えれば、シエルとネロを安全に戦わせることができるのではと思い、対戦システムの設定を弄くり回してみた。
その結果、俺(PC)対シエル(NPC)&ネロ(NPC)で戦えるようになった。
ただ、どうやっても俺が対戦相手として入らないと、シエルとネロだけでは戦えるようにならなかったので、対戦システムの戦闘設定を弄ることで、この問題を解決した。
対戦システムの戦闘設定に選んだのは、《味方へのダメージ有効化》・《HPを全損させて勝敗が決まる、デスマッチ形式での戦闘》・《対戦後HPが全損した者をHP1で復活させ、デスペナルティはなし》というものにしてシエルとネロに同士討ちをしてもらった。
俺は、誤ってシエルとネロがHPを全損させないように、ステータスをチェックしながら、シエルとネロのHP残量が上手く1割以下に留まるように、魔法を斬り壊して調整をした。
一応、対戦システムの設定で保険が掛けてあるとはいえ、中々に調整は難しく、スリリングな経験だったが、喉元を過ぎてしまった今では、それも良い思い出だ。
無事シエルとネロのHPを1割以下に留めた後、シエルには魔法の空撃ちを、ネロにはストライフオウルの影を記憶させ、更にストライフオウルの影を専化影装に登録させ、余ったMPは魔法の空撃ちをさせて0にした。
その後、自然HP・MP回復でHPとMPを完全回復させ、無事に再生と再精のスキルを習得させることができた。
因みに、自身を強化するためとはいえ、仲間同士で戦わせたり、意図的にMPを0にさせたりするといった、言わば『鞭』だけではかわいそうかと思い、再生と再精のスキルを習得した後で、シエルとネロが希望する料理……つまり『飴』を与えた。
シエルは予想通り、りんご料理を希望したが、ネロは意外なことに肉料理が好みのようだった。
以前にHP・MPを回復する際、シエルと一緒にりんご料理を食べていたので、恐らく雑食性なのだろう。
それでも、見た目が完全にただの兎であるネロが、皿に盛られた肉料理を食べている姿はシュールの一言に尽きるのだが、実際はモンスターなのだからこういうものなのかと思い、深く考えないことにした。
次は、ステータスの確認だ。
俺とシエルの種族Lvと、俺のクラスLvが1上昇し、ネロの種族Lvが2上昇していたので、ステータスポイントを順次割り振っていく。
今の俺のステータスはこんな感じだ。
name:リオン
sex:男
age:16
race:人族Lv10【lock】
job:冒険者 rank:E
class:ノービスLvMAX
HP:246 MP:172
STR:79⇒80
VIT:33
AGI:79⇒80
INT:33⇒44
MID:33
DEX:85
LUK:42
STP:13⇒0
所持金:52797R 虚空庫 63/121
種族スキル:〔混血・竜の息吹(光)〕、〔竜言語Lv1〕
装備スキル:〔STR増加Lv21〕、〔AGI増加Lv21〕、〔剣Lv26〕、〔暗殺Lv25〕、〔調教Lv14〕、〔気配察知Lv27〕、〔梟の目Lv27〕、〔見切りLv16〕、〔再生Lv8〕、〔再精Lv3〕
控えスキル:〔鑑定Lv28〕、〔識別Lv23〕、〔料理Lv12〕、〔発見Lv20〕、〔虚空庫 rank2〕、〔合成Lv0〕
称号:〔思慮深き者〕、〔戦女神の洗礼〕、〔ウルフバスター〕、〔剣舞士〕、〔二刀の心得〕、〔初めての友誼〕、〔知恵を絞りし者〕、〔先駆けの宿主〕、〔解放せし者〕、〔初心者の心得〕
称号スキル:〔心話Lv1〕
固有スキル:〔狂化Lv10〕、〔軽業Lv6〕
ステータスポイントは、STRとAGIの値が切りの良い数字になるようそれぞれに、1ポイントずつ割り振り、明日には無属性魔法を使える人の所を訪ねて、無事に無属性魔法を習得できるようにという願掛けのつもりで、残ったステータスポイント全てをINTに割り振った。
少々早まった気がするが、クレアさんに頼んだ装備ができれば、防御力も充実するだろうから、たぶん大丈夫……だと思いたい。
STRにプラス1で、79⇒80へ
AGIにプラス1で、79⇒80へ
INTにプラス11で、33⇒44へ
次はシエルのステータスポイントを割り振ろうと思い、シエルのステータス画面を開くと、ウィンドウが現れ、『テイムモンスター:シエルは、進化条件を満たしています。テイムモンスター:シエルを進化させますか? 今すぐ進化させる ◎/後で進化させる ○/進化させず保留する △ 』と出た。
進化はさせるつもりだが、先にステータスポイントの割り振りと現在のステータスの確認をしたかったので、後から進化させるを選び、○ボタンを押した。
○ボタンを押すと今度は、『後から進化させるを選択すると、無操作状態で3分経過するか、一度メニューを閉じ、再びテイムモンスターのステータス画面を開かなければ、再度進化選択ウィンドウは出現しません。本当によろしいですか? Yes/No 』と出たので、ウィンドウの文章をしっかりと読み込み、Yesを押して、シエルのステータスポイントを割り振った。
現在のシエルのステータスはこんな感じだ。
name:シエル
sex:女
race:ソル・ウィスプLv10
HP:105 MP:162
STR:0
VIT:21≫35
AGI:21≫35
INT:23⇒25≫39
MID:23⇒25≫39
DEX:21≫35
LUK:16≫30
STP:4⇒0
≫調教の効果を加算した値
種族スキル:〔陽光活性(昼)〕、〔物理半減〕
スキル:〔光魔法Lv19〕、〔光耐性Lv6〕、〔影耐性Lv6〕、〔浮遊飛行Master〕、〔装飾化Lv5〕、〔念力Lv0〕、〔再生Lv0〕、〔再精Lv0〕
固有スキル:〔STR返上〕
ステータスポイントは、長所を伸ばすようにINTとMIDに、それぞれ2ポイントずつ割り振った。
INTにプラス2で、23⇒25へ
MIDにプラス2で、23⇒25へ
それと、新しいスキルに派生進化できるものがあったので、説明を読み込み進化させた。
〔PS〕パッシブスキル:〔浮遊飛行Master〕 =進化⇒ 〔PS〕パッシブスキル:〔浮遊飛空Lv0〕
〔PS〕パッシブスキル:〔浮遊飛空Lv0〕
浮遊飛行よりも空中を移動することに、優れた飛行技能。
SLv上昇と共に、浮遊飛空による移動速度が上昇する。 MAXSLv30
さて、それじゃシエルのステータスポイントの割り振りと現在のステータスの確認もできたことだし、シエルを進化させることにしよう。
俺は先程読んだウィンドウの内容に従い、開いていたメニューを一度閉じて再び開き、シエルのステータス画面を開いた。
すると、先程と同じように進化選択のできるウィンドウが現れたので、迷わず今すぐ進化させるを選択し、◎ボタンを押した。
◎ボタンを押すと今度は、『進化条件を満たしているテイムモンスター:シエルを進化させます。本当によろしいですか? Yes/No 』というウィンドウが出たので、先程与えた料理を食べ終わり、ネロと一緒に戯れているシエルを呼び寄せ、これからシエルを進化させることを告げ、シエルの了承を得てからYesを押した。
すると、ふいにシエルが淡く輝き出し、徐々に形を変えながら大きくなっていく。
少しして淡い輝きが消えるとそこには、全身に黄金色の光を湛えた、白いワンピース姿の幼女がいた。
幼女の身長は、目測でネロの全長の2倍より少し大きい程度の、60cm強位と小さい。
髪は真昼の陽光の様な色合いの明るい金髪のセミロングで、目の色も髪と同じような明るい金色をしている。
白いワンピースから伸びる肌には、シミひとつ無く透き通るような白さがある。
よく見ると、全体的に少し透けており、見ようによっては足のある幽霊に見えなくともない。
「えっと……シエル、だよな?」
『うん! そーだよ♪』
そうシエルは返事をすると、にぱぁという擬音が似合いそうな、無邪気な笑顔を向けてくる。
「そっか。それで、進化した感想とか何かあるか?」
『う~んと……おっきくなった?』
「ははっ、まぁそうだな。それじゃ、俺はまだやることがあるから、もうしばらくネロと遊んで待っててくれていいぞ」
『うん! わかった~♪』
シエルは元気良く返事をすると、『おっきくなったよ~!』と言いながら、ネロの方へとすーっと空中を滑るように、移動していった。
俺はそんな微笑ましいシエルの行動を見送ると、再びシエルのステータスを確認してみた。
すると予想通り、シエルが進化したことで、ステータスにも変化があった。
因みに、今のシエルのステータスはこのようになっている。
name:シエル
sex:女
race:サニー・スピリットLv0
HP:120 MP:192
STR:0
VIT:24≫38
AGI:24≫38
INT:30≫44
MID:30≫44
DEX:25≫39
LUK:21≫35
≫調教の効果を加算した値
種族スキル:〔陽光活性(昼)〕、〔物理半減〕
スキル:〔光魔法Lv19〕、〔光耐性Lv7〕、〔影耐性Lv7〕、〔浮遊飛空Lv0〕、〔装飾化Lv5〕、〔念力Lv1〕、〔再生Lv0〕、〔再精Lv0〕
固有スキル:〔STR返上〕




