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Struggle Locus On-line  作者: 武陵桃源
第2章  Fランククエストと隠されし店
29/123

Locus 25  

 さて、結構お金も溜まったことだし、念願(ねんがん)の魔法をスキル屋に買いに行こうと思う。

 俺はさっそくマップ検索欄で検索し、スキル屋の場所を探した。

 すると、マップデータ上に黄色い光点が灯り、スキル屋の場所が分かるようになる。


 現在の時刻は午後10時少し前だが、たぶんまだ開いているよね?

 というか、お店やギルドってこんな時間までやっているのかな?

 でも夜型の人だって居るわけだし……だ、大丈夫だよね?


 結論を言えば、大丈夫だった。


 俺はスキル屋に入ると、受付カウンターにいる人に、魔法を置いてるかどうかを聞いた。

 魔法は置いてあったが、高すぎて買うことができなかった。


 四属性(しぞくせい)(火・水・風・地)魔法は、1種1個につき、10万R。

 光・影属性に至っては、その1.5倍の15万Rもしていた。


 た、足りない……全然足りてない。

 魔法はいったん(あきら)めて、他に何かないか見てみた。


 他にあるのは、各武器の基本スキルと生産系スキルとがあった。

 各武器スキルの値段は、500~2000R程でそれほど高くはない。

 生産系スキルの方は、高いもので1万R、安いものだと3000Rのようだ。


 あれ? ゲームによっては違いがあるが、無属性魔法は置いてないのだろうか?

 一応受付カウンターにいる人に聞いてみたが、置いてないそうだ。


 ふむ、置いていないということは、無属性魔法が存在しないということではなさそうだ。

 明日からしばらくFランククエストをこなしながら、情報収集していこうかな。


 そう考えながら、スキルを見ていくと、興味が()いたものがあったので、購入した。

 それがこれだ。


□ 合成:MPを消費して2つ以上の物を合わせて1つの物にする技能。

但し、合成に失敗すると合成で使用した素材は失なわれる。  MAXSLv10  値段:5000R


 それじゃ、次は料理をしようと思う。

 回復やら、なにやらで結構食品アイテムを消費したので、補充(ほじゅう)しておきたい。

 それに、今持っているアイテムで不味くないポーションも作れたら作りたい。

 食品アイテムじゃ戦闘中には、使いづらいからな。

 そう考えつつ、俺は共同生産ギルドに向け歩いていった。


 共同生産ギルドに到着すると、受付窓口で200Rを払い、2階の個室へと入って行く。


 さて、さっそく料理作りを始めよう!

 そう思い材料を実体化しようとして、あることに気づいた。

 それは、今までに見たことのない、正確には見たことのあるものが、変わってしまったアイテムがあったからだ。

 そしてその変わってしまったアイテムがこちら。


食材アイテム  (いた)んだ基本虫の足:常温に24時間以上も(さら)されてしまったベーシックインセクトの足。表面が水っぽくなり、やや生臭い。加熱処理することで、まだ食べることが可能。

完全腐敗まで後、11時間。


素材アイテム  (しな)びた薬草:採取してから何の処理もされず、しまわれていたキュアハーブ。全体的に水気が失われ、しんなりしている。


 あれ? 常温に晒したってあるけど、インベントリにしまってあったはず・・・・・・あっ! そういえば、虚空庫の説明に時間の影響を受けないってあったような。

 インベントリに相当する魔法の肩掛け(かばん)には、時間の影響を受けないという表記はなかった。

 ということはもしかして、実体化していないだけで、肩掛け鞄は常に装備している扱いなのかな?

 それなら、この常温に24時間以上も晒されてっていうところも、納得ができる。


 つまり、現実でいうところの普通の肩掛け鞄に、防腐処理をしていない刺身の切り身や、()み取った草をそのまま入れて、放置していたということになる。

 そりゃ、傷んだり萎びたりもするというものだ。


 このことを踏まえ、俺は普段鑑定していなかったアイテムも鑑定してみた。

 その鑑定結果がこれだ。


消耗アイテム  初級者ポーション:キュアハーブを()(つぶ)したものを、蒸留水と混ぜ合わせた薬水(ポーション)(さら)に、蒸留水で2倍に薄めたもの。

薄めた分、薬効も落ちており、ポーションに比べ防腐効果も短くなっている。

効果:HP30回復  使用期限:後6日15時間


 やはりあったか、使用期限・・・・・・現実の薬にも使用期限があるし、妙にリアリティーがあるこのゲームならあると思ったよ。

 今日初級者ポーションを買ってから、8時間と少し経っていることから、恐らく初級者ポーションの使用期限は7日なのだろう。


 しっかし、こんなところまでリアリティー溢れなくてもいいのにな。

 一応このことはアリルに知らせておこう、もっとも既に知っていることかもしれないけどな。

 さて、アリルに連絡するのは後にして、さっさと料理をしてしまおう。

 個室の利用時間には、限りがあるしな。


 個室に備え付けてある(たる)に水が入っていたので、それを料理キットにある(なべ)に入れ、沸騰(ふっとう)させて傷んだベーシックインセクトの足を()でる。

 すると、若草色をしていたベーシックインセクトの甲殻が、みるみる朱色(しゅいろ)に変化していった。

 それを見て俺は、なんか現実の(かに)海老(えび)みたいだと思った。


 ベーシックインセクトの甲殻全体が、綺麗な(あけ)に染まってから3分程度更に茹でてから、火から下ろした。

 その後、茹でたベーシックインセクトの足を水に(くぐ)らせ、粗熱(あらねつ)を取り、料理キットの中にあった料理用の(はさみ)で甲殻を切り裂いていく。


 甲殻を取り除いたら、塩・胡椒(こしょう)と塩・香草で味を付け、()がさないように丁寧に(あぶ)り焼きにしていく。

 そして出来上がったものがこちら。


食品アイテム  焙り焼き(塩・胡椒味):ベーシックインセクトの足を茹で、塩・胡椒で味付けしたものを丁寧に焼き上げた、焙り焼き。

効果:HP12%回復


食品アイテム  焙り焼き(塩・香草味):ベーシックインセクトの足を茹で、塩・香草で味付けしたものを丁寧に焼き上げた、焙り焼き。

効果:HP9%・MP7%回復


食品アイテム  焙り焼き・(れつ)(塩・胡椒味):傷んだベーシックインセクトの足を茹で、塩・胡椒で味付けしたものを丁寧に焼き上げた、焙り焼き。

効果:HP8%回復


食品アイテム  焙り焼き・劣(塩・香草味):傷んだベーシックインセクトの足を茹で、塩・香草で味付けしたものを丁寧に焼き上げた、焙り焼き。

効果:HP5%・MP3%回復


 やはり、食材が傷んでいたせいか、回復効果が若干少なくなっていた。

 食べ比べてみると、味の差がよく分かった。


 傷んでいない方の焙り焼きは、身がしっかりしていて、塩の辛味が仄かな甘みを引き立て、食材自体のうまみを増強させている。

 対して、傷んでいた方の焙り焼きは、身がパサついていて、塩の味のする何かとしか言い様がない。

 胡椒や香草が辛うじて、食材の生臭さを相殺(そうさい)してくれているおかげで、何とか食べることができるという感じだ。

 正直、不味(まず)い。


 今後は、食材アイテムは虚空庫で保管することにしようと思う。

 虚空庫に入り切らなくなったら売ればいいしね。


 よし、次はポーションを作ってみようと思う。

 といっても、調合のスキルがないので、うまくできないかもしれないけどな。

 今回は、蒸留水がないので白湯(さゆ)を鍋ごと水に潜らせ、冷ましたものを代用する。


 まず、キュアハーブを3枚程細かく刻み、それを擂鉢(すりばち)に入れて擂粉木(すりこぎ)でよく磨り潰す。

 磨り潰し終えペースト状になったら、擂鉢に冷ました白湯を入れよくかき混ぜ、()し器を重ね濾過(ろか)する。


 最後に濾過したものを、空いた初級者ポーションの(びん)に入れて完成。


消耗アイテム  劣化ポーション:蒸留水の代わりに、白湯を用いて作られた薬水(ポーション)

効果:HP20%回復  使用期限:後19日23時間


 回復量は減少しているものの、どうやら成功したようだ。

 次はこれを元に、アレンジを加えていこうと思う。


 ペースト状になったキュアハーブに、白湯に蟻蜜を混ぜたものと、白湯に砂糖を溶かしたもの、そしてりんごを()り下ろしてそれを絞ったものをそれぞれ混ぜ合わせ、濾し器を重ねて濾過していく。

 そして濾過し終えたものを空いた初級者ポーションの瓶に入れて、完成。


消耗アイテム  劣化ポーション・改:蒸留水の代わりに、白湯に蟻蜜を混ぜたものを用いて作られた薬水(ポーション)。通常のポーションと違い、苦くはないが美味しいともいえない味。

効果:HP23%回復  使用期限:後9日23時間


消耗アイテム  劣化ポーション・改:蒸留水の代わりに、白湯に砂糖を溶かしたものを用いて作られた薬水(ポーション)。通常のポーションと違い、苦くはないが美味しいともいえない味。

効果:HP21%回復  使用期限:後6日23時間


消耗アイテム  劣化複合ポーション・改:蒸留水の代わりに、りんごを摩り下ろし絞った果汁を用いて作られた薬水(ポーション)。通常のポーションと違い、苦くはないが美味しいともいえない味。20%の確率で解毒することがある。

効果:HP22%回復  20%の確率で解毒  使用期限:後23時間


 ふむ、蟻蜜や砂糖、りんごの果汁を加えたことで少し回復量が増えたが、使用期限が短くなってしまっている。

 これは、甘味料(かんみりょう)が入ったことで、腐りやすくなってしまったということだろう。

 もっとも、ジャムや砂糖漬け位甘ければその限りではないと思うけどな。

 それと劣化複合ポーション・改ができたのは、現実でもりんごには解毒作用が少し含まれているから、それが反映された結果なのだと思う。


 他に混ぜられる液体ってどんなものがあるかなぁ?

 蒸留水・白湯・蟻蜜水(ありみつすい)・砂糖水・果汁の他は……油と酒かな。

 でも油は獣脂(じゅうし)以外では見たことないけど、というより油なんか気持ち悪くて飲めないか。

 酒なら、独特の癖がないか他の味を邪魔しないもの……清酒(せいしゅ)酒精(しゅせい)の強い蒸留酒なんかがいいかな。

 でも清酒や蒸留酒なんてあるかなぁ?

 まぁ探すだけ探してみようかね。


 そうこうしているうちに、終了5分前の合図であるベルが鳴った。

 俺は、食品アイテムと食材アイテム、それと残ったキュアハーブを虚空庫に入れなおし、料理キットを片付け、忘れ物がないかを確認してギルドを出て行った。


 時刻は、午前0時少し前といったところだったので、まだアリルはログインしていたが、こんな時間に連絡を取るのも何か気が引けたのでメールを送っておいた。

 それじゃ今日のところは、これでログアウトすることにしよう。

 明日からは、やることがたくさんあるので、気合をいれて取り組んでいこうと思う。



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