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Struggle Locus On-line  作者: 武陵桃源
第2章  Fランククエストと隠されし店
26/123

Locus 23 

 草原のセーフティエリアに戻った頃には、日が完全に落ち、夜の(とばり)に包まれていた。

 シエルのHPバーを見ると、減っていたHPは完全に回復していたが、MPは半分位になっていた。

 まだこれからすぐに移動することも考え、簡易焼きりんごを作りシエルに与えた。


「・・・・・・~♪」


 シエルは嬉しそうにピカピカ光り、簡易焼きりんごを食べている。


 俺はシエルが簡易焼きりんごを食べている間に、虚空庫から串焼きを取り出し、素早く食べ回復した。

 そして、先程のフォーチュンラビットのドロップアイテムの鑑定をした。

 鑑定結果はこちら。


素材アイテム  幸運兎の一角:フォーチュンラビットの角。やや小ぶりだが綺麗な円錐形をしており、巷では運気上昇のご利益(りやく)があると人気の一品。


素材アイテム  幸運兎の毛皮:フォーチュンラビットの毛皮。白を基調として所々にある金色の毛の(ふさ)が美しい毛皮。巷では縁起(えんぎ)物として人気が高く、高値で取引される。


食材アイテム  幸運兎の柔肉:フォーチュンラビットの肉。どんな料理にも合うという、この辺りで取り扱われる高級食材の一。食べることにより運気が上昇すると言われており、高値で取引される。


 それから、強化素材は鍛錬石が2個入手できたので、さっそくノービスソードを強化した。

 強化した結果はこちら。


武器アイテム:剣  名称:ノービスソード+5  ランク:1  強化上限回数:5回


ATK15 DEF5 AGI5 M・ATK5 M・DEF5 DEX5 LUK5


要求STR:5  耐久値:∞  バインド属性


与DP倍率:斬1.0 打0.5 突0.3 魔1.0


クリエイトボーナス:HP+50


 そして、フォーチュンラビットを仕留めた時に、習得したものを確認した。

 習得したものはアーツだった。

 その内容はこちら。


□ スパイラルシェイバー:本来は馬上槍の技であるが、通常ではありえない突進速度と、回転を加えた異常な突き出しによって、剣の技として昇華してしまった特殊技。

剣身に(まと)螺旋(らせん)状のエネルギーを突き出しと同時に放出することができる。

このアーツの威力は、STR・INT・LUK の値に依存する。

剣系のSLv上昇と共に、放出されるエネルギーの(はば)と射程が増加する。

消費MP:50  リキャストタイム:10分


 ……消費MP50……。

 重い、重すぎる!

 今言えることは、そうほいほい使うことができないアーツってことだけだ。

 実際に使ってみないことには、何とも言えないな。

 願わくば、消費MPに見合う働きを見せて欲しいところだ。


 それと、フォーチュンラビットと戦っていた時、ソードダンス中に苦し紛れでノービスソードを振ったら、ライトアローを砕くことが出来たことの確認もしなくちゃな。

 ちょうどシエルも同じ魔法を使えることだし、シエルに手伝ってもらおうと思う。


 そうこう考えている内に、シエルは簡易焼きりんごを食べ終わったようだ。

 シエルに移動して、アーツの試し撃ちと手伝ってもらいたいことがあると伝えて、セーフティエリアを出て行った。


 セーフティエリアを出て、まず(モンスター)が居なければいけないと思い、気配察知を使いモンスターを探した。

 しばらく辺りをうろうろしつつ探していると、気配察知に引っかかる反応があった。

 数は4体。少し多いが、シエルも居るし大丈夫だろう。


 視認すると、ナイトドッグのグループだった。

 ある程度近づくと、ナイトドッグ達がこちらに気づき、襲い掛かって来た。


「シエル、俺はアーツの試し撃ちをするから、()()らしがあったら迎撃を頼むな」


「・・・・・・!」


 シエルから『まかせて!』っと心強い返事が伝わって来る。


 ナイトドッグ達は時間差攻撃を仕掛けてくるためか、ややばらついた縦列(じゅうれつ)になって突っ込んできた。


 俺は剣を突き出した時に、ナイトドッグに当たる様にタイミングを合わせ、アーツを使った。


「スパイラル……」


 アーツを使う意思を込めながらスパイラルと唱えると、剣身に青白い螺旋状のエネルギーを(まと)い、馬上槍(ランス)の形状を生成する。


「シェイバー!」


 突き出しと同時に、剣身に纏っていた青白い螺旋状のエネルギーが(うず)を巻きつつエネルギー状の部分を膨張(ぼうちょう)させ、ナイトドッグ達の方へと放出させていく。


 放出された青白い螺旋状のエネルギーは、およそ直径1m強、射程5m強といった所だ。


 最初に剣の間合いに到達したナイトドッグはもちろん、その後続に居たナイトドッグをもノービスソードを起点に発射された青白いエネルギーが急速旋回しつつ飲み込んでいった。


 発射されたエネルギーが消えると、後に残ったものはナイトドッグだったものの光の粒子だけだった。


 ん~……威力の方はちょっとよく分からないけど、種族スキルの竜の息吹よりは使い勝手のいい、中距離攻撃の手段を手に入れたってことでいいかな? (リキャストタイム的な意味で)

 まぁMP消費的にも、そうほいほい使うことはできないけれど、選択肢(せんたくし)が増えることは良いことだしな。


「シエル、討ち漏らしなかったみたいだ。警戒(けいかい)ありがとな。」


「・・・・・・~♪」


 シエルから『どういたしまして~♪」という返事が伝わってくる。


 さて、新しいアーツの試し撃ちは終わったし、次はシエルに手伝ってもらって、魔法が剣で切れるかの試してみよう。


 俺は気配察知を使い、周囲にモンスターがいないことを確認すると、シエルに手伝いを頼む。


「シエル、ちょっと確認したいことがあるから、手伝ってくれないか?」


「・・・・・・?」


 シエルから『なにをするの?』っと伝わってくる。


「夕方に光魔法を使う兎と戦っただろ。あの時ソードダンス中に剣を振ったら、ライトアローを斬れたんだよ。だから、その確認をと思ってね」


「・・・・・・~?」


 シエルから『そんなことしてだいじょうぶ~?」っと心配してくれているのが伝わる。


「ああ、たぶん大丈夫だよ。それに(あらかじ)めシエルに、マインドブースター・ライトを掛けてもらっておけば、もしもダメージを負っても少しはダメージを緩和(かんわ)してくれるだろうしね」


「・・・・・・」


 シエルから『わかった』っという返事が伝わってくる。


「あ、それとライトアローを撃つ時、一斉にじゃなくて、1本1本の時間差にしてくれると助かる」


「・・・・・・~」


 シエルから『やってみる~』という返事が伝わってくる。


 俺はまずシエルに、マインドブースター・ライトを掛けてもらい、その後ソードダンスを使った。

 俺の体全体と武器は銀白色の燐光に包まれ準備が完了する。


「よし、それじゃシエル始めてくれ」


「・・・・・・!」


 シエルの周りには既に、光の矢が生成されており、シエルが『ライトアロー!』っと唱えたことが伝わってくる。


 シエルは先程俺が注文した通り、ライトアローを時間差で着弾(着矢?)するように撃ち出してくれた。

 俺の目には見切りのスキルによって、ライトアローの到達予測線が見えているので、比較的簡単に斬り壊していける。

 3本全て斬り壊し終えた頃、まだソードダンスの効果時間が残っていたので、引き続きシエルにライトアローを撃ち出してもらい、斬り壊す練習をしていった。


 斬り壊すのにある程度慣れた所で、ライトアローを一斉に発射するように練習方法を変え、ソードダンスの持続時間が切れるまでライトアローを斬り壊す練習をした。

 ソードダンスの効果が切れる頃にふいに、脳内で『ピロン♪』という音がした。


 俺はシエルに手伝ってもらったことに礼を言って、気配察知で周囲にモンスターがいないことを確認してから、先程習得したものの確認をした。

 習得したのはアーツだった。

 その内容はこちら。


□ マジックミューティレイト:剣にオーラを纏い、魔法に当てることで魔法を斬り壊す技。

魔法を斬り壊すたび、剣の耐久値が減少していく。

持続時間は、INT・MID・LUK の値に依存する。

消費MP:10  リキャストタイム:60秒


 どうやら剣の耐久値を代償(だいしょう)に、魔法を斬り壊す技のようだ。

 今は耐久値∞のノービスソードを使っているから、実際にどのくらい耐久値が減少するのかは分からない。

 しかし、わざわざ説明に剣の耐久値が減少すると書かれているのだから、このアーツを習得する前の段階よりは、おそらく剣の耐久値の減少するのが格段に軽減されるのだと思う。


 街に戻ったら安い剣を買って実際に試してみようと思う。


 さて、今の時刻は午後6時半を少し回ったところだ。

 一度晩御飯を食べにログアウトしなきゃならない。

 本当は毒草納品が終わってからにしたかったが、仕方無い。


 そう思いながら俺は、シエルに移動することを伝え、急いでまた草原のセーフティエリアに戻り、シエルを装飾化し装備してログアウトした。



 ここまでお読み下さり、ありがとうございます。

 特殊技の補足?説明なのですが、設定上あまり明言はできません。

 特殊技に昇華する条件があり、それをクリアしなければ特殊技を習得することはありません。


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