Locus 15
俺は器に盛った簡易焼きりんごの串を持ち、顔を上げると目の前に光る球体が居た。
なにこのデジャヴ!? てか、モンスターだと!
俺は驚いたが、ここがセーフティエリアだと思い出し、落ち着く。
光る球体は黄金色をしている。
俺に対して害意? は無さそうなので、気を取り直して簡易焼きりんごを口に運ぼうとすると、光る球体もそれに合わせて近づいて来る。
俺は少し考え、簡易焼きりんごの串を右へ左へと動かしてみる。
すると、やはり光る球体がそれを追いかける様にして動く。
「おまえ、これが欲しいのか? ……欲しいなら上げるよ」
そう俺は言い、光る球体に簡易焼きりんごを盛った器ごと差し出す。
光る球体は嬉しそうに、ピカピカと光り、どうやって食べているのかは分からないが、器に盛った簡易焼きりんごを食べていた。
簡易焼きりんごを完食すると、光る球体が俺に近づいてきたところで、ウィンドウが現れた。
『ソル・ウィスプが一緒に行きたそうにしています。テイムしますか? Yes/No』
なるほど、この奇妙な状況はテイムイベントだからか。
俺がYesを押すと、なじみのある音とインフォメーションが流れた。
『ピロリン♪ ソル・ウィスプをテイムしました』
『ピロン! これまでの行動により〔スキル:調教〕を習得しました』
『ピロン! パパーン♪ これまでの行動により〔称号:初めての友誼〕を取得しました』
『テイムモンスターのソル・ウィスプに名前を付けて下さい』
俺はフィーリングでシエルと名付けた。
名付けたことにより、シエルのマーカーが青へと変わり、シエルのステータスも見られる様になった。
因みに、シエルのステータスはこんなだ。
name:シエル
sex:?
race:ソル・ウィスプLv3
HP:35 MP92
STR:0
VIT:5⇒10
AGI:7⇒8
INT:12⇒15
MID:12⇒15
DEX:8
LUK:5
STP:12⇒0
種族スキル:〔陽光活性(昼)〕、〔物理半減〕
スキル:〔光魔法Lv3〕、〔浮遊飛行Lv3〕、〔光耐性Lv5〕、〔影耐性Lv5〕、〔装飾化Lv0〕
固有スキル:〔STR返上〕
ステータスポイントは長所を伸ばしつつ、スキルにあぐらを搔かない様な割り振りをしてみた。
VITにプラス5で、5⇒10
AGIはDEXに合わせて、7⇒8
INTにプラス3で、12⇒15
MIDにプラス3で、12⇒15
STRに割り振ろうとしたけど上限らしくこれ以上増やすことができなかった。
シエルのステータスポイント割り振りを終え、先程獲得したスキルと称号の説明を確認する。
〔PS〕パッシブスキル:〔調教Lv0〕
テイムモンスターの取得経験値を上昇させる。(微)
SLv上昇と共に、テイムモンスターの全ステータスにSLv分プラス補正。 MAXSLv50
〔称号:初めての友誼〕:最初にテイムを成功させた者の証。
効果:スキル〔伝心〕を使用可能。
〔PS〕パッシブスキル:〔伝心Lv0〕
テイムモンスターの言いたいことが、なんとなく伝わるようになる。
SLv上昇と共に、伝わる精度が上昇する。 MAXSLv10
調教スキルはテイムモンスターを強化するスキルだな。
プレイヤーの装備スキル枠を占める代わりに、テイムモンスターを強化するかどうかが、肝心になりそうだ。
これは、状況によって付け替えるのが、無難な気がする。
初めての友誼の称号は、言葉を話せないテイムモンスターの気持ちがなんとなく伝わる様になるみたいだな。
意思疎通ができるということは、結構大事なことだと思う。
連携も取り易いだろうしね。
それから、先程シエルのステータスを見たときに、気になるスキルがあったので、シエルのスキルの説明を読み込んでいく。
種族スキル:〔陽光活性(昼)〕
日光を浴びることで、30秒ごとにMAXHPとMAXMPの5%を回復する。
但し、この効果は日中で日光を直接浴びなければ、効果を発揮しない。
種族スキル:〔物理半減〕
物理攻撃による受DPを常時半減する。
〔AS〕アクティブスキル:〔光魔法Lv3〕
SLv上昇と共に、光魔法の威力増加と新たな光魔法を習得する。 MAXSLv50
〔AS〕アクティブスキル:〔装飾化Lv0〕
テイムモンスターを装飾化することができる。
どの部位の装飾品に変化するかは、装飾化するまでは分からない。
SLv上昇と共に、装飾化しているときのテイムモンスターのHP・MP・ステータス異常の回復速度が上昇する。
但し、装飾化中はテイムモンスターに経験値は入らない。 MAXSLv10
〔PS〕パッシブスキル:〔浮遊飛行Lv3〕
SLv上昇と共に、浮遊飛行による移動速度が上昇する。 MAXSLv10
〔PS〕パッシブスキル:〔光耐性Lv5〕
光属性の攻撃による受DPを(SLv×10%)軽減する。 MAXSLv10
〔PS〕パッシブスキル:〔影耐性Lv5〕
影属性の攻撃による受DPを(SLv×10%)軽減する。 MAXSLv10
固有スキル:〔STR返上〕
Lvアップ時に自動でSTRに振られるステータスポイントを返上して、任意で割り振ることができるステータスポイントを1ポイント増やす。
但し、この効果はSTRが0でなければ発揮されない。
ふむ、どの部位の装飾品に変化するのか分からないのかぁ。
装飾品を装備できる所というと、頭:サークレット、首:ネックレス、耳:ピアス・イヤリング、腕:バンクル、指:リング、足首:アンクルの6箇所かな?
できれば、サークレット・ネックレス・リングは戦い辛くなるから、外れて欲しいところだ。
というか、すでにネックレス(聖印)はしてるから、ダブりは無い方がいいな。
後、アンクルも着脱が大変そうだから、外れて欲しいかな。
まぁ、ぐだぐだ考えていても仕方ないし、シエルに装飾化してもらおう。
「シエル、さっそくで悪いが、装飾化してみてくれないか?」
「・・・・・・」
シエルから了承の意志が伝わってくる。
そしてシエルが淡く輝き出し、徐々に小さくなっていく。
淡い輝きが消えたところで装飾化が終わり、シエルが装飾化したものが落下してくる。
「おっと!」
俺はシエルが装飾化したものが、地面に落ちる前になんとか摑むことに成功する。
摑んだ手を開くとそこには、黄金色をしたカフスイヤリングがあった。
とりあえず俺は、そのカフスイヤリングを鑑定してみた。
鑑定した結果はこちら。
装飾アイテム:耳飾り 名称:霊体化のカフスイヤリング ランク:3 強化条件:???
要求STR- 耐久値:∞ バインド属性
説明:テイムモンスターのシエルが装飾化した、カフスイヤリング。
効果:確率で装備者の受物理DP半減。
但し、確率はテイムモンスターの懐き具合により、変動する。
テイムモンスターの懐き具合によるけど、受物理DP半減は結構大きいと思う。
でも装飾化しているとテイムモンスターに経験値は入らないということは、あたりまえだけど懐くなんてことはしない。
そして、人でもそうだけど大抵放って置かれると、信頼や愛情等も薄れていく。
だから、装飾化もあんまり頻繁に使っていると、確率も下がる様な気がする。
なので、何かしら理由があるとき以外は、なるべく装飾化は使わないようにしようと思う。
とりあえず、このカフスイヤリングは左耳に装備しておくとして、今日はもうログアウトしよう。
何だかんだで、初日なのに徹夜しちゃったし。
あっ。でも、シエル……テイムモンスターのことは、アリルに聞いておいた方がいいかな。
今はログインしてないみたいだし、メールを残しておこう。
…………送信っと。
さぁて、それじゃログアウトして寝ますか。
おやすみなさ~い。
ここまでお読み下さり、ありがとうございます。
この話で、第1章が終了となります。
いかがでしたでしょうか?
作者は結構ヘロヘロです。
それと、ストックがなくなったので、今後の更新ペースが落ちます。
なにとぞご了承下さい。
それでは、また第2章で。