Locus 14
さて、それではせっかく鍛錬石が手に入ったことだし、武器を強化してみますか。
チュートリアル以降使ってなかった、精製キットと強化素材である鍛錬石を実体化し、精製キットにある使用手順の本に従い、強化を行っていく。
錬成炉の蓋を開け、ノービスソードと鍛錬石を1つ入れ、蓋を閉める。
すると、ウィンドウが現れ『MP30を注ぎ、ノービスソードを錬成しますか? Yes/No』と出た。
俺は少し考えNoを押して、蓋を開けさらに鍛錬石を2つ追加して、蓋を閉めた。
鍛錬石なら失敗はしないし、もしかしたら注ぐMPも一括で錬成したら少なくすむかも知れないと思ったからだ。
そしてウィンドウには、『MP90を注ぎ、ノービスソードを錬成しますか? Yes/No』と出た。
どうやら、鍛錬石1個に付き、錬成に必要なMP量は30必要らしい。
やっぱり、そううまいことにはならないかぁ。
MPバーを確認するとまだ満タンではないが、MP90を注いでも少し残る位には回復していたので、Yesを押した。
錬金炉の中にあった錬成陣が光始め、その後ピカリと閃光を発した後、電子レンジのような「チン!」という音がした。
俺は錬金炉の蓋を開け、やっとこでノービスソードを取り出し、金床まで運んだ。
ノービスソードは全体的に赤熱化していて、真っ赤になっていた。
運んだノービスソードをやっとこで抑えつつ、ハンマーでノービスソード作成時と同じ回数叩いた。
カン!カン!カン!カン!カン!
叩き終わると、徐々に赤熱化が治まっていき、僅かに金属光沢の増したノービスソードが出来上がっていた。
因みに、鍛錬石以外の強化素材を使って強化に失敗した時は、叩き終わった後赤熱化が治まらず、表面がヒビ割れ砕け散り、強化前の武装具のみ金床に残るそうだ。
俺は、出来上がったノービスソードを手に取ってみると、ウィンドウが現れた。
武器アイテム:剣 名称:ノービスソード+3 ランク:1 強化上限回数:7回
ATK13 DEF3 AGI3 M・ATK3 M・DEF3 DEX3 LUK3
要求STR:3 耐久値:∞ バインド属性
与DP倍率:斬1.0 打0.5 突0.3 魔1.0
クリエイトボーナス:HP+50
ここで注目する所は、要求STRが3になっている所と、強化上限回数が7回になっている所だ。
恐らくこれは、武器を強化したことにより、強化素材分重くなったということだろう。
そして、今回強化素材は一度に入れて強化したのに、3回分強化回数が減っていることから、強化素材1個分又は、1段階強化するのに必要な分を強化回数1回分としているのではないかと思う。
そう考えていると、ふいに脳内で『ピロン♪』という音がしてインフォメーションが流れた。
『これまでの行動により、〔スキル:再生〕を習得しました』
えッ!? なんかしたっけ?
俺は不思議に思いつつもメニューを開き、スキル欄を確認した。
〔PS〕パッシブスキル:〔再生Lv0〕
60秒ごとに最大HPの5%を回復する。
SLvが1上昇するごとに、回復時間を3秒短縮する。 MAXSLv10
とても有用で、戦闘でも死に難くなるので、嬉しいのだが。
なんで、習得したのかがさっぱり分からない。
考えられる可能性は……先程までボスウルフと戦って、HPが残り1割を切っていた。
その後、なんだかんだでアイテムによる回復をせず、自然HP回復でHPを完全回復したから、だろうか?
まぁ、何にしても良いことだから、有効化して装備しておこう。
思わぬサプライズがあったが、強化し終えたノービスソードを再び装備し直し、ふと見上げると空が白み、夜が明け始めていた。
『SLO』内で初日なのに、つい徹夜してしまったようだ。
俺はその事実になんだか疲れてしまい、何か甘いものが欲しくなった。
それに、今夜は大変頭(思考?)を使い疲れたので甘いものは、良い気分転換にもなるだろうしな。
そして重要なことだが、こんな寝る前に食べてもゲーム内なら太らないし。
そう考え、さっそく持ち物を確認してみるとりんごがあったので、簡易焼きりんごを作ることにした。
りんごの皮を剝き、6等分して砂糖と香草をまぶして、串に刺す。
料理キットにあるコンロのような魔道具で焦がさない様に焙る。
焙っていると、りんごの甘い香りがそこら一帯に広がっていく。
あー……いい匂いだ。早く焼けないかなぁ。
りんごが全体的に透き通り、程好く表面が飴色になった所で火から下ろし、器に盛る。
因みに、できたのはこんなのだ。
食品アイテム 簡易焼きりんご:りんごの皮を剝き、砂糖を香草で味付けし、じっくり焙った焼きりんご。香草による香味と砂糖の甘さがりんごに良く合っており、精神を癒す働きがある。
効果:HP5%・MP10%回復