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Struggle Locus On-line  作者: 武陵桃源
第1章  初心者がやらかした? 長い1日
13/123

Locus 11 

 フォレストウルフが残り3体になったところで、黒毛金眼の他のフォレストウルフに比べ1回り以上大きな狼が現れた。

 その黒い狼を視界に入れつつ、識別を行う。


ボスウルフ・Lv6・属性:-・耐性:魔法・弱点:光


 ボスウルフが()えるモーションを取ると、残っていた3体のフォレストウルフが赤と緑が混じった様な黒いオーラに包まれた。


 ボスウルフがまた吼える様なモーションを取ると、それが合図だったのか、フォレストウルフ達が一斉に襲い掛かって来た。


 ボスウルフが来る前に比べ少し速く動いてる様に見えたが、今の俺にとって大した差は感じなかった。

 1体目は、ノービスソードで首を切り付け、2体目は、ダガーで心臓部を刺し、3体目は、ノービスソードで脳天を叩き砕いた。


 後に残ったのは、こいつ……ボスウルフのみ。


 ボスウルフは、四肢(しし)を踏ん張り、全身の毛を逆立て、まるで威嚇(いかく)するときのように、吼えた。(おそらく)

「ウオォォォォォーーーン!!」


 俺には、ボスウルフが吼えているかもしれないとしか分からないが、ボスウルフのアーツなのか、今まで普通に動かせていた体が急に重くなったように感じた。

 その隙を逃さず、ボスウルフは俺を押し倒す勢いで、猛烈(もうれつ)な突進を繰り出して来た。

 かろうじて、剣の腹で防御することができたが、勢いに負け押し倒されてしまった。


 せっかくの思考加速による、行動力の倍化も押さえ込まれてしまえば関係ない。

 ボスウルフは剣を(くわ)えつつ力を掛け、俺の咽に牙を突き立て様としてくる。


 俺のHPはじわりじわりと、ボスウルフが力を掛け続けて来ることにより減少していく。


 ここでさらに色覚がなくなり、俺の見る風景から色がなくなった。

 そこは白と黒しかない世界。

 加速する思考の中、この状況を打開する手を考える。


 押さえ込まれているゆえ、回避や流すという行動はできない。


 ボスウルフが体重を掛け伸し掛かっているので、払い退けることも不可能。


 同様に、ボスウルフが体重を掛け伸し掛かっているため、例え両足でボスウルフを蹴り上げたとしても、今のこの体制が崩れ、牙を咽元に突き立てられるだろう。


 何かないかと、再度ボスウルフに識別を掛ける。


ボスウルフ・Lv6・属性:-・耐性:魔法・弱点:光


 弱点:光……先程の咆哮……っ!


 俺は今のこの状況を変える唯一の手を思いついた。


 やり直しは()かない、1発勝負。


 コレがもし、魔法に属するものでも弱点ではあるのだから、少なくとも普通には効くだろうと願い、俺は一か八かの()けに出る。


 狙いをボスウルフの目周辺にして、ソレを使う。


 ソレを使おうとする意志に反応して、口内に温かい何かが(あふ)れて来るのを感じ、ソレをボスウルフ目掛けて解き放つ!


「ガァァァァァアアアーーーーー!!」


 俺の口から、口の大きさより明らかに太い光線が発射され、ボスウルフの目と頭を焼く。


「ギャウゥゥゥン!」


 ボスウルフは()()り、体勢を大きく崩した。


 俺はこの隙に、ボスウルフの下から両足で蹴り上げ、ボスウルフを転がして脱出する。


 ボスウルフのHPバーは5分程減っており、さらにHPバーの横には、渦巻き模様のアイコンと黒い雲のようなアイコンが出ていた。

 察するに混乱と盲目のバッドステータスが発生した様だ。


 俺はこの機に、無防備に転がっているボスウルフに、今使える全てのアーツを叩き込んでいく。


「ハイドアタック!」


 現在盲目状態であるためか、問題なく発動してボスウルフのHPバーを1割程度減少させる。


「ネックハント!」

「スラッシュ!」

「レイスラッシュ!」


 チェーンボーナスでも発生したのか、同属性のアーツを重ねるたびに、ボスウルフのHPバーはより多く減少していった。


 ネックハントで、1割5分。

 スラッシュを首筋に当て、2割。

 レイスラッシュを首筋に当て、2割5分。


 ボスウルフのHPバーを見ると、残り3割を切っていた。

 さらに、HPバーの横には赤い雫が描かれたアイコン……出血のバッドステータスが発生していた。


 ボスウルフのHPバーの横の混乱と盲目のバッドステータスアイコンが点滅しているのを見て、急いで攻撃を加えていく。


「ヘッドクラッシュ!」

「スマッシュ!」


 剣の与DP倍率のせいか、斬属性の攻撃よりダメージは少なかった。

 ヘッドクラッシュで、5分。

 スマッシュを脳天に叩き込んで、1割。


 今回の攻撃後、混乱と盲目のバッドステータスは消えてしまったが、新たに星が回っているアイコンが出ていた。

 気絶のバッドステータスが発生したみたいだ。

 しかし、あまり時間はないようだ。

 気絶のバッドステータスアイコンの右下に10と表示されていて、刻々と数字が減っているからだ。


 俺は一気に畳み掛ける様にして、アーツを使い攻撃する。


「ストライクハート!」

「ピアース!」


 ストライクハートで、3分。

 この時、低確率発動の即死は付与されなかったので、すぐに次のアーツを使った。

 ピアースをストライクハートで刺した所に刺し込んで、6分。


 俺は全てのアーツを使い切り、その技後硬直の蓄積により、動けないでいた。

 そうしていると、ボスウルフが正気を取り戻したようだ。


 ボスウルフのHPバーを見ると、残り数ドット残っていた。


 くそっ! せっかくここまでやったのに、足りないなんて!


 動けずにいる俺に、ボスウルフは前足を振り上げ……。


 振り下ろす直前に、HPバーを散らしながら光の粒子に変わっていった。


 俺はボスウルフのHPバーの横に、アイコンがあったのを目の端で捉えることができた。

 あれはおそらく、出血のバッドステータスアイコンだったのだろう。

 残り数ドットもしくはもっとを、出血によるHPスリップダメージで減少したんだと思う。


 ここで、自分のHPバーを確認すると、残り1割もない。

 数字で表すと11だった。

 今回は運良く助かったが、次からは慢心(まんしん)等せず、もっと慎重に行動しようと思う。


 そう思っていると、ファンファーレとインフォメーションが滝の様に流れたが、俺は今それ等に構っている余裕がなかった。

 ボスウルフを倒し、俺の目と耳、鼻が正常に戻った時思考加速の反動か、ものすごく体がだるいのだ。

 それに、今別のモンスターに襲われたら、死に戻り確実。


 なので、(すみ)やかに()つ、静かに来た道を戻り、セーフティエリアまで戻って行った。


 それにしても、種族スキルを使う時、スキルを唱えたら竜言語が出たのには驚いたなぁ。




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