Locus 101
(/ω\*)ウゥ…
また、気が付いたら3万字を超えてまして、泣く泣く切り分けました。
それでは、どうぞ。
爆発するように四方八方に飛び散る光の粒子の奔流が消えると、そこには、先の戦闘によってできた若干陥没した床だけが残り、バリアブルゴーレム・マッドネスの影も形も残ってはいなかった。
「「お、終わったーーー!」」
「「終わったぁ……」」
「終わりました~……」
『かったー!』
「ホオォォォー! ホオォォォー!」
その事実から、色々な意味で厳しかった戦闘が終わったことを実感し、アリルとナギからは歓声に似た声が、俺とリーゼリア、ユンファからは安堵する様な声が、思わず出る。
シエルからは、純粋に戦闘に勝って嬉しい感想とその感情を体全体で表現し、空中で両手を上げて万歳しているような格好で、上空を飛び回る。
ネロはアリルの影から飛び出し、シエルを追い掛けるように上空を大きく旋回し、誇るような勝ち鬨の声を上げている。
俺を含め、皆の状態や表情を見るに、やはり先の戦闘は結構ギリギリだったようだ。
シエルやネロも苦労が報われた感動が大きかったのか、いつもに比べ、テンションが高い気がする。
だけどそれだけ嬉しかったということだろうから、ここは大人しくほっこり見守るとしよう。
そう考えていると、聞きなれた音とインフォメーションが流れる。
『ピロリン♪ 条件を満たしたことにより、テイムモンスター:シエルのスキルに、新たな派生進化先が出現しました。スキルの進化は別途スキル画面から行って下さい』
っと、今度はシエルのスキルか。
確かシエルのスキルで進化できそうだったのは…………うん、光魔法だったはず。
だから、たぶんその派生進化先が増えたんだろうな。
さてさて、いったいどんな派生進化先が増えたのか、楽しみだ。
そう思いつつ気を取り直すように、目を上空から地上に戻すと、何時の間にか1人離れていた……正確にはネロと一緒に離れていたアリルが、前衛組の方へ合流していた。
「お疲れ様! ほんっっっと!! 忍耐を持ってるって分かった時は、これでもまだ倒れないの?! って思ったけど何とか勝てたね!」
「お疲れ様! だね! MPが尽きて、長い技後硬直に入った時とか、すっごい焦ったけど、倒せてよかったよ。本当」
「お疲れ様でした。確かに、攻撃に参加できず、ただ見てるだけしかできなかった時は、歯痒くって、気が気じゃなかったですしね」
「お疲れ様です~。自爆するとか~、本当に心臓に悪いですよ~。カウントダウンが始まった時なんて~、もうダメかと思いました~」
「お疲れ様。だな。HP3本もあって、更にMPまで削り切らなきゃ勝てないとか、本当に鬼畜仕様だよ。いくら重要施設の守護者だからって、限度ってものがあるよなぁ」
そうやって互いに労いの言葉と先の戦闘での感想を言い合っていると、上空で飛び回っていたシエルとネロも戻って来て、参加する。
『おつかれさまー! はぁ~、つかれたー!』
「ホオォォォー! ホオォォォー……」
「シエルもネロもお疲れ様。助かったよ、ありがとうな。」
「シエルちゃん、ネロちゃん、お疲れ様! 連続攻撃やら沼地での足止め、本当に助かったよ。ありがとうね!」
パンパン!
そうしてまた皆で労いを続けていると、リーゼリアが場を仕切り直すように、2度手を叩き、全員の注目を集める。
「はい! 皆さん、本当にお疲れ様でした。労いと反省会はその位にして、一応大丈夫だとは思いますが、空間の制御球とクエスト詳細の確認をしましょうか」
「だね!」
「あ、そういえば、まだ終わりじゃないんだったね」
「もう終わった気でいましたよ~」
「まぁ、激戦だったから、分からないでもないけどな」
その後、全員でドロップアイテムの確認をしたところ、それらしきアイテム?球?というものが見つかったので、実体化して鑑定してみた。
因みに、制御球は他の制御球同様、透明感のある灰色をしていたが、大きさは直径7~8cm程と他の制御球より少し大きくなっていた。
それと、ラストアタックがシエルだったためか、制御球は俺の所にあった。
イベントアイテム 空間の制御球:とある先史文明の遺構の制御兼、動力としての役割を果たす部品にして、装置。現在は内包する魔力が枯渇しているため、作動及び、起動させることができない。
また、定められた数の属性魔法を打ち込むことで、魔法を変換し、魔力を回復する機能を有する。
但し、既定数を超過、或いは既定数に満たない数の属性魔法を打ち込んだ場合、それまでに溜めた魔力を全て発散・放出してしまうので、魔力を完全に溜めるのには、注意する必要がある。
「うん? 少し説明が変わってる?」
「みたいですね。ということは、クエスト詳細の方にその既定数に関するヒントがある、ということでしょうか」
「何だろう……何か、すごく嫌な予感がするんだけど!」
「あ、アリルちゃんも? 実はボクもなんだ……」
「確かに~、このパターンからすると~、アレでしょうね~……」
そんなアリル達の会話を聞きながら、クエスト詳細を見てみると、このキークエスト最後の条件が表示されていた。
『キークエスト【復活! 古の遺構】 2/3
・第1クエストクリア! ●●●
・第2クエストクリア! ●●●
・ 下記の問題を解き、その数字と同数の属性魔法で空間の制御球を魔力で満たし、制御球が示す場所に安置して、機構を再稼動させろ 0/500MP ●●●○
A~Eの計算式にある、☆・△・□・★・▲・■の記号は、1~10のいずれかの異なる数字を表している。
A~Eの計算式の答えから、各記号に該当する数字を推理し、問題の計算を解け。
A:☆×△=12
B:□÷★=5
C:☆+▲=4
D:■+□+☆=18
E:□-☆-△=3
問題:■-☆+{□-(△+★)}-▲=?
』
「…………。やっぱりかー!」
「もう~、嫌ですぅ~!!」
「どこまで私達を追い詰めれば気が済むの?! この第3クエストは!!」
先程言っていた予想が当たったせいか、アリル達から絶望と怒りの絶叫が上がり、リーゼリアから冷静なツッコミが入る。
「いえ、そういった意図は特に無いと思いますよ。強いて言うなら、相性でしょうか」
「ぐぬぬ。こうなったら腹癒せに、運営に抗議文を送り付けるしか……!」
アリルから何やら傍迷惑極まりない呟きが聞こえたので、その思惑を阻止するべく、声を掛ける。
「コラコラコラ。そんなしょうも無いことで、運営さんの手を煩わせるんじゃありません」
「だってぇ~……」
「リオンさんの言う通りですよ。第一、内容もよく見ずに、ただリドルってだけでそこまで忌避することは無いと思いますよ。この問題なんて、四則算しかありませんから、小学3年生位の学力があれば解ける問題ですし」
「えと……。シ、シソク、ザン?」
「要は、足し算、引き算、掛け算、割り算のことだよ」
「なるほど! リアちゃんがいきなり難しいこと言うから、何のことかと思ったけど、そっか。それなら……できなくはない、かな?」
「何故疑問系なのだ? 妹よ」
「確かによく見れば、あんまり難しくなさそうだね」
「むしろ~、組み合わせを見つける~、パズルみたいですね~」
「ですね。それでは……一応聞きますが、これからどうしますか?」
「え? どうって?」
「いえ、時間も既に深夜12時を回っていますし、このクエストの制限時間は今日いっぱいまでですので、一旦ここでログアウトして、朝になってから始めても、っと思いまして」
「何言ってるの、リアちゃん! そんなのこのまま続行に決まってるよ!」
「そうだよ! 仮に、このまま1度ログアウトして眠るとしても、先が気になって寝付けないよ!」
「私も~、このまま最後まで~、やり切ってからの方が良いですね~」
「まぁ、あなた達はそう言うと思いましたが、今回はリオンさんも居るんですよ?」
「あ、そっか。なるほど」
「馴染み過ぎてて~、すっかり忘れてました~」
「う~っむ、コレは喜んで良いこと、なのかな?」
「うん! 良いことだと思うよ! それはそうと、お兄ちゃんはどうするの? 眠いんだったら、無理強いはしないけど……?」
「いや、俺もこの後のことが気になるし、このまま最後までやり切っちゃうよ。寝るんだったら、何の気掛かりも無く、寝たいしな!」
「分かりました。それでは、このまま続行ということで」
「それじゃ、まずは休憩しようか。さっきの戦闘でHPはともかく、MPは枯渇しちゃってるし、ドロップアイテムとかの整理もしたいしさ」
「ですね~」
「うん! 異議無し!」
「私も賛成です。それでは、各自で分かれて、休憩にしましょう。リドルの方は、その後で解くということで」
「だな」
そうして、俺達は再びこの広い半球状の部屋へと散って行き、俺も適当な場所で休憩がてら、ステータスの確認やドロップアイテムの鑑定をしていく。
ステータスを確認すると、さすがフルアライアンスで挑むのが普通と言われるボスなだけあってか、レベル的には俺と同格であっても経験値の方は豊富だったようで、俺の種族レベルは1つ上がり、シエルとネロの種族レベルは2つ上昇していた。
これで、ヴェアリアントゼライスを倒して得た経験値の差が埋まり、終に種族レベルが追い着かれたことになる。
それと、スキルのレベル上昇に伴い、ステータスも上昇。
更に、新しいアーツや魔法もいくつか習得していた。
まずは、ステータスの割り振りを行っていく。
そして、現在の俺のステータスはこのようになっている。
name:リオン
sex:男
age:16
race:人族Lv26
job:冒険者 rank:E
class:マジックソードマンLv22
HP:726 MP:432
STR:181
VIT:84
AGI:180
INT:80⇒83
MID:82
DEX:246
LUK:62
STP:3⇒0
所持金:582163R 虚空庫 203/730
種族スキル:〔混血・竜の息吹(光)〕、〔竜言語Lv1〕
専科スキル:〔魔法剣・無Lv22〕
装備スキル:〔STR増加Lv67〕、〔AGI増加Lv67〕、〔剣術Lv21〕、〔暗殺術Lv34〕、〔無属性魔法Lv33〕、〔天眼Lv11〕、〔調教Lv48〕、〔賦活Master〕、〔詠唱破棄Master〕、〔気配感知Lv31〕、〔識別Lv53〕
控えスキル:〔鑑定Lv53〕、〔料理Lv21〕、〔虚空庫 rank3〕、〔錬成Lv14〕、〔毒耐性Lv2〕、〔麻痺耐性Lv3〕、〔汎用魔法〕
称号:〔思慮深き者〕、〔戦女神の洗礼〕、〔ウルフバスター〕、〔剣舞士〕、〔二刀の心得〕、〔初めての友誼〕、〔知恵を絞りし者〕、〔先駆けの宿主〕、〔解放せし者〕、〔初心者の心得〕、〔異常なる怪力者〕、〔異常なる俊足者〕、〔愚かなる探求者〕、〔踏破せし者達〕、〔完全なる攻略者〕、〔容赦無き掃討者達〕、〔剥ぎ取り上手〕、〔医食同源〕、〔砕撃の頭壊者〕、〔慈悲深き討滅者達〕
称号スキル:〔念話Lv11〕、〔怪力乱心Lv5〕、〔韋駄天Lv5〕、〔薬膳Lv0〕
固有スキル:〔狂化Lv28〕、〔軽業Lv21〕、〔頑健Lv25〕
ステータスポイントは、引き続き魔法の威力を上げるため、INTに全振りした。
INTにプラス3で、80⇒83へ
□ ストライクバースト:武器に属性の無い魔力を充填し、武器が何かに接触した瞬間、魔力爆発を起こす、付与系攻性魔法。
この魔法の威力は、使用者のINT・DEX・LUK の値に依存する。
但し、1度使うたびに武器の耐久値が著しく減少するので、使用には注意が必要。
消費MP:20 リキャストタイム:3分
□ セリエス:連続して斬り付ける武技。
攻撃が命中し続ける限り、与ダメージが少しずつ増加する。
但し、攻撃間隔が5秒以上開くと効果を失い、また使用し続けた時間により、リキャストタイムも変動する。
消費MP:10 リキャストタイム:使用時間により変動
□ アサルトスライド:対象との距離を瞬時に詰め、斬り付ける強襲剣技。
詰められる最大距離は、使用者のAGI・DEX・LUKの値に依存する。
消費MP:10 リキャストタイム:30秒
□ グリムザッパー:弱点部位に対し、瞬時に複数回斬り裂く暗技。
斬り裂く回数は、使用者のAGI・DEX・LUKの値に依存し、高確率で出血を付与する。
但し、弱点部位以外に当たった場合、技は発動せず、ただの攻撃となる。
消費MP:20 リキャストタイム:3分
□ ボルトスフィア:小球に圧縮された純粋なエネルギーを発射し、何かに命中後、中規模の爆発を起こす、範囲攻性魔法。
この魔法の威力は、INT・MID・LUKの値に依存し、爆発の範囲は、INT・DEX・LUKの値に依存する。
消費MP:30 リキャストタイム:60秒
どうやら、知らない間に新たなアーツを習得していたようだ。
習得していたアーツは、セリエスとグリムザッパー。
セリエスは、ユンファから聞いたラッシュと同じ効果を持つみたいだな。
同じ効果で名前を分けるのは、恐らく用法が違うのだろう。
ラッシュの字面的に、武器を使って攻撃する感じじゃないから、たぶん格闘系の攻撃アーツなんだと思う。
セリエス同様、グリムザッパーも先の戦闘の終盤で習得したアーツのようだ。
習得条件は、あの時の状況を考えて弱点部位に連続で、相当数の斬撃を加えることだと思われる。
というか、暗殺系のアーツって、スキルレベルの上昇で習得するものが無かった気がする。
もしかしたら、暗殺系って自分の行動でしか新しいアーツを習得できないのかもしれないな。
事実、暗殺系スキルの説明に、スキルレベル上昇と共に新たなアーツを習得するとは、何処にも書かれていない。
まぁ、スキルの名前からして、あまり世間に広がるものでも無さそうだし、俺個人の偏見だけど、こういうものって教えてくれる人がいなければ、自分が経験して編み出すしか無さそうだしな。
それにしても、掲示板の情報では、クラスチェンジをするとスキルレベル上昇以外で新しいアーツや魔法を習得するのに、複数回から相当数の反復が必要になるらしいのだが、たった1度の戦闘で習得できるだなんて、いったい何回斬ったのだろうか?
因みに、ストライクバーストは、クラスレベル上昇によって習得した魔法で、ボルトスフィアは、無属性魔法のレベル上昇で習得した魔法だ。
セリエスは先の戦闘で習得した剣術のアーツで、アサルトスライドは剣術スキルのレベル上昇で習得したアーツ。
グリムザッパーも先の戦闘で習得したアーツだが、こちらは暗殺術のアーツになる。
次はシエルのステータスだ。
name:シエル
sex:女
race:サニー・スピリットLv16
HP:280 MP:352
STR:0
VIT:49≫97
AGI:53⇒54≫102
INT:54⇒58≫106
MID:53⇒55≫103
DEX:53⇒54≫102
LUK:43≫91
STP:8⇒0
≫調教の効果を加算した値
種族スキル:〔陽光活性(昼)〕、〔物理半減〕
スキル:〔陽光魔術Lv0〕、〔光耐性Lv9〕、〔影耐性Lv9〕、〔浮遊機動Lv0〕、〔装飾化Lv8〕、〔念動Lv10〕、〔賦活Lv3〕、〔毒耐性Lv4〕、〔麻痺耐性Lv3〕
固有スキル:〔STR返上〕
ステータスポイントは、魔法の威力に次いで回復力を高めるため、INTに4ポイント、MIDに2ポイント割り振り、残った2ポイントを速度と命中力を高めるため、AGIとDEXにそれぞれ1ポイントずつ割り振った。
AGIにプラス1で、53⇒54へ
INTにプラス4で、54⇒58へ
MIDにプラス2で、53⇒55へ
DEXにプラス1で、53⇒54へ
それと、スキルのレベルが上がり、進化できるようになっていたので、進化させた。
また、光魔法のレベルが上がったことで、新しい魔法を習得し、更に新しいスキルに派生進化できるようになっていたので、説明を読み込み、シエルに相談した後、こちらも進化させた。
〔PS〕パッシブスキル:〔浮遊飛空Master〕=進化⇒〔PS〕パッシブスキル:〔浮遊機動Lv0〕
〔PS〕パッシブスキル:〔浮遊機動Lv0〕
浮遊飛空よりも空中を移動することに、優れた飛行技能。
SLv上昇と共に、浮遊機動による移動速度と移動技巧が上昇する。 MAXSLv50
□ プリズミックオーブ:光を魔力で固め、球体状にしたものを生み出す、補助系拡散魔法。
攻性光魔法をぶつけることにより、球体内で乱反射し、ぶつけた側の反対側から、7色に分かれた同攻性光魔法を拡散・放出する。
但し、拡散・放出された魔法1発分の威力は、この魔法にぶつけた元の魔法の威力の1/7に減少する。
消費MP:20 リキャストタイム:60秒
〔AS〕アクティブスキル:〔光魔法Master〕=進化⇒〔AS〕アクティブスキル:〔陽光魔術Lv0〕
〔AS〕アクティブスキル:〔陽光魔術Lv0〕
SLv上昇と共に、新たな魔術を習得する。
また、日照量によって、行使する魔術の威力が変化する。 MAXSLv100
屋内・洞窟内・新月等の場合⇒魔術威力0.8倍
雨天・吹雪・夜等の場合⇒魔術威力0.9倍
曇天時等の場合⇒魔術威力1.0倍
晴天時の場合⇒魔術威力1.2倍
快晴時の場合⇒魔術威力1.5倍
□ ソーラーチャージ:陽光を吸収・蓄積し、一定時間この魔術の後に放つ、魔術の威力を増加させる、増幅系強化魔術。
増加する威力は、日照量とINT・MID・LUKの値に依存し、チャージ速度は、日照量とINT・DEX・LUKの値に依存する。
更に、この魔術より後の魔術が対象に当たった場合、低確率で火傷か盲目を付与する。
但し、チャージ中はその場から動けず、敵対者からの注目も集め易い。
また、チャージ中に攻撃が当たった場合、この魔術は失敗する。
消費MP:20 リキャストタイム:60秒
因みに、光魔法が派生進化できる派生先は、通常進化が1つと特殊進化が2つの計3つあり、例の如く詳細な説明は省いた感じの説明だったが、その説明は以下のようなものだった。
〔AS〕アクティブスキル:〔光魔術Lv0〕
より巧みに光を操る魔術。
SLv上昇と共に、新たな魔術を習得する。 MAXSLv100
NEW
〔AS〕アクティブスキル:〔聖魔術Lv0〕
聖なる光を操る魔術。
不死系や悪魔系モンスターに対して、高い効果がある。
SLv上昇と共に、新たな魔術を習得する。 MAXSLv100
NEW
〔AS〕アクティブスキル:〔陽光魔術Lv0〕
太陽の光を操る魔術。
日照量によって、行使する魔術の威力が変化する。
SLv上昇と共に、新たな魔術を習得する。 MAXSLv100
まさか、1番リスクが高そうな派生進化先をシエルが選ぶとは思わなかったけど、実際に使うのはシエル自身だし、あれ程陽光魔術が良いの1点張りで決めたのだから、何かしらの理由があるのだろう。
シエルの要望を聞き入れ、光魔法の派生進化先を陽光魔術にした時なんか、今までに見ない位のはしゃぎ様だったから、見てるこっちも不思議と嬉しくなったからな。
それに、何でもかんでも俺が決めたら、使う方も面白くないし、シエルの意志を蔑ろにしてるみたいで、俺自身、気分が悪いしな。
それじゃ、最後はネロのステータスだ。
name:ネロ
sex:女
race:シャドービーストLv26
HP:360 MP:460
STR:49⇒50
VIT:49⇒50
AGI:57
INT:64⇒66
MID:49⇒50
DEX:64⇒65
LUK:50
STP:6⇒0
種族スキル:〔影装変化〕、〔影記憶〕
スキル:〔影魔法Lv43〕、〔影抵抗Lv3〕、〔影耐性Lv8〕、〔潜影移行Lv28〕、〔宿紋化Lv2〕、〔潜匿Lv5〕、〔賦活Lv7〕、〔索敵Lv31〕、〔毒耐性Lv4〕、〔麻痺耐性Lv3〕
固有スキル:〔専化影装〕
ステータスポイントは、影装変化すればどうせ自動的に変わるが、万が一今回みたいに長期戦になったことも考え、MP不足でも生き残れる様に、なるべくステータスの値を揃える感じに割り振った。
STRにプラス1で、49⇒50へ
VITにプラス1で、49⇒50へ
INTにプラス2で、64⇒66へ
MIDにプラス1で、49⇒50へ
DEXにプラス1で、64⇒65へ
それと、影魔法のレベルが上がったことで、新しい魔法を習得していた。
□ シャドウパイル:影を収束し、魔力で杭の形に固めたものを自身の影から出現させ、対象を刺し貫く、攻性魔法。
出現する杭の大きさはINT・DEX・LUK の値に依存し、威力はINT・MID・LUKの値に依存する。
若干の追尾性を有するが、側面からの衝撃に弱いため、魔法発動中に打属性の攻撃を受けると、魔法が解除されることがある。
消費MP:30 リキャストタイム:60秒
よし!こんなもんかな。
さて、次はドロップアイテムの鑑定だな。
そう思いながら、メニュー画面を所持アイテム一覧の画面へ変更していると、ふいにパーティチャットで声が掛けられる。
『えっと、お兄ちゃん? そろそろ、いいかな?』
『ん? どうし……っ?!』
俺はその声に反射的に答えつつも、何となく視線を上げる。
すると、俺が座っている所から前方5~6m程の所に、アリルとユンファが何故か体育座りをしながら、こちらを見ていた。
なんで、よりにもよって体育座りなんだよ?!
危うく、吹き出すところだったじゃないか!
というか、何時の間に近付いて来てたんだ?
こんなに接近されて、普通は気付かないなんてことはないはずなのに……。
まぁ、そんなことよりも今はちゃんと受け答えをしなきゃな。
視線が何処と無く、奇妙な者を見る目になってるし。
「コホン。ああ、まだ終わってないけど、一段落したところだから、大丈夫だぞ」
そう俺が答えると、2人は立ち上がり、俺の方に近付きながらも、会話を続行する。
「え?! まだ終わってないの?」
「何かアクシデントでも~、ありましたか~?」
「いや。ただ、ソロプレイヤーに比べると、確認するステータスやスキルが3倍位多いからな」
「あぁ! なるほど! シエルちゃんとネロちゃんの分だね」
「それなら~、納得ですね~」
「それで、あんな所で2人は何をしてたんだ?」
「それはお兄ちゃんが、真剣な顔してステータス操作してたから、邪魔しちゃいけないと思って、終わるまで待ってたんだよ」
なるほど、謎は全て解けた。
つまり、周囲の事に気が付かない程集中して、ステータス操作や新しく習得したアーツと魔法の説明文を読み込んでいたらしい。
それなら、2人の接近に気が付かないのにも頷けるな。
「そっか。ありがとな。待っててくれて」
「いえいえ~、どういたしまして~」
「それじゃ、本題に入ろうか」
「もしかして、さっきの戦闘中に言ってた事か?」
「はいです~。大事な事ですし~、改めて聞きますね~。リオンさんが使っていた~、魔法を詠唱せずに使えるスキルと~、同種の魔法を強化しながらも~、1度に複数発射するスキルかアーツを~、教えてもらえませんか~? もちろん~、対価は支払いますので~」
「あ、私も私も!」
「んー……そうだなぁ。まぁ、アリルはもちろんのこと、ユンファも昨日今日と行動を共にして、ある程度人となりは分かったから、教えてもいいけど……」
「けど?」
「何か問題でもあるんですか~?」
「問題と言う程でも無いんだけどな。対価をどうすればいいのかなって思ってさ」
「対価? どういうこと?」
「んん~?」
「いや、その……。ぶっちゃけ、今はある程度懐も潤ってるから、金銭……もちろん、ゲーム内通貨な。は、いらないし。そもそも、お金が欲しければ、クエストをこなせばいい訳だし、それにアリル達は、獣魔の卵を購入するために、お金を貯めているところだから、ソレを遅らせるのは論外、だろ?」
「うん、確かに」
「お気遣い~、ありがとうございます~」
「そうすると、他の対価っていうと、何かしらの攻略情報か、アイテムになる訳だけど。攻略情報は、掲示板である程度分かるし、掲示板に乗っていないスキルやアーツの習得情報だとしても、今あるスキルも結構あるから、最悪控えスキルの肥やしになり兼ねないし、今はコレ以上増やす気は無い」
「ふむふむ」
「なるほど~」
「それで残すところ対価として機能しそうなのは、何かのアイテムになるんだが……考えても、今現在欲しいアイテムとかが思い当たらないんだよな」
「あー、それは……」
「詰んでますね~」
「まぁ、何かしら魅力を感じるようなアイテムがあれば、対価として十分に機能するんだけどな。俺じゃ思い付かないから、何かあれば試しに言ってみてくれ」
「そっかー。んー…………それじゃぁ、さっき出た力の欠片何てどう?」
「は?! 力の欠片? いやでも、ソレって何かのイベントボスからしか出ない、かなり貴重なものだろ?」
「その反応を見るに、対価としては十分みたいだね。まぁ、これは私個人としての意見だけど、いくら装備スキル枠を消費しないスキルを習得できるアイテムだとしても、プレイスタイルに合わないスキルがあっても正直、困るんだよね。最も、エンハンススキルであれば、話は別だけどね」
「ですです~。それに~、習得するなら~、使うまで何を習得するか正確には分からないスキルよりも~、自分のプレイスタイルに合って~、尚且つ強化できるものの方がいいんですよね~」
「そういうもの、なのか? っというか、アリル、ユンファ。その言い方だと、まるである程度なら何を習得できるか、事前に分かってるみたいじゃないか?」
「ふっふっふー。ずばり! その通りなのだよ、明智君!」
「いや、明智じゃないし、俺」
「それでは~、そのことも踏まえて~、対価にするというのはどうですか~?」
「ん? んー……俺としては特に不満は無いから、構わないけど、アリルは良いのか?」
「え? 何が?」
「どうやっているかは、詳しくは分からないけど、詠唱を溜めて魔法を一気に放っているみたいだし、詠唱をせず魔法が使えるようになったら、ソレ使えなくなるんじゃないか?」
「あぁ! そのこと。それなら大丈夫だよ。スキルが生えるまでは、アレはただのプレイヤースキル扱いになるだけだし、スキルさえ生えれば、詠唱を溜める時間を考えずに、使えるから、むしろ戦闘効率も良くなって、良いこと尽くめだよ」
「へー。あー、なるほど。道理でシエルやネロのスキル欄や習得アーツに何も無かった訳か。ようやく納得がいったよ」
「まぁ、シエルちゃんやネロちゃんも使えるから、いつかはスキルが生えると思うから言っちゃうけど、〔遅延〕ってスキルが生えたら、純後衛型のシエルちゃんやネロちゃんに、そのお兄ちゃんが使えるスキルを覚えさせた方が良いと思うよ。詠唱時間気にせずバンバン魔法が撃てるし、詠唱中に狙われる心配も無くなるしさ」
「分かった。それじゃ、その〔遅延〕? ってのを習得したら、覚えさせることにするよ」
「うん! それじゃ、交渉成立って事でいいよね?」
「ああ」
そうして、俺は〔詠唱破棄〕のスキルと二重詠唱系アーツ……ダブルマジック系統の習得方法を教え、その対価に、アリルから赤い色をした力の欠片を、ユンファから青い色をした力の欠片を受け取り、力の欠片を使う前でも、ある程度どんなスキルを習得するのかを見分ける方法を教えてもらった。
そしてその方法とは、力の欠片の色で見分けるというものだった。
何でも、力の欠片は、純色系であれば、ある程度どのようなスキルが習得できるか決まっているみたいだ。
赤色なら、STR上昇系か物理攻撃系スキル。
青色なら、VIT・MID上昇系か防御系スキル。
黄色なら、エンハンススキル。
白色なら、回復・耐性系スキル。
黒色なら、魔法系スキル。
っといった具合に。
ただ、2種類以上の色が混じった力の欠片は、どんなスキルを習得できるのか、全く分からないらしい。
「なるほど! 心の中で唱えればよかったのかー」
「と言うかですね~、普通そんな事思い付きませんよ~、リオンさん~」
「まぁ、その辺りは個人差ってことで。ああそれと、このスキルとアーツを習得したのは、まだクラスがノービスだった頃のことだから、クラスチェンジした後だと習得するために何回か反復する必要があると思うぞ」
「そっか、分かった! それじゃ…………制御球に魔力を込める時にでも試してみるよ。ありがとね、お兄ちゃん」
「それでしたら~、私も試してみます~。今回の制御球は~、決まった数の属性魔法を打ち込む必要がありますからね~」
「だね! ユンファちゃん、習得するまで一緒にガンバロ!」
「はいです~!」
「それじゃ、お兄ちゃん。情報ありがとね」
「整理の途中に~、お邪魔しました~。それと~、交渉に応じて下さって~、ありがとうございました~」
「いやいや、こっちも良い取引ができたから、お互い様だよ。こっちこそ、ありがとな」
そう言い合い、アリルとユンファは連れ立って、俺から離れて行った。
さて、それじゃ今度こそドロップアイテムの鑑定をするとしよう。
力の欠片があることが分かったが、特に急ぐ必要も無いし、後にでも使ってみればいいよな。
素材アイテム バルア二ウム合金の板:バリアブルゴーレム・マッドネスの外部装甲の板切れ。魔力伝導に優れ、魔力消費を抑える働きを持つ。鋳潰し、形成し直すことができれば、様々な物の材料になるだろう。
素材アイテム バルア二ウム合金の塊:バリアブルゴーレム・マッドネスの外部装甲の塊。魔力伝導に優れ、魔力消費を抑える働きを持つ。鋳潰し、形成し直すことができれば、様々な物の材料になるだろう。
【部位破壊ボーナス】
素材アイテム 魔晶球の破片:バリアブルゴーレム・マッドネスの肘関節に嵌っていた、魔晶球の破片。様々な物に混入することで、その物の最大耐久値を上昇させる特性を持つ。
【部位破壊ボーナス】
素材・消耗アイテム 魔水晶(風)の破片:バリアブルゴーレム・マッドネスの第1・第2ブースターの破片。様々な物に混入することで、所有者の移動速度を高める特性を持つ。また、使用することで一時的に風属性を付与することもできる。
【部位破壊ボーナス】
素材・消耗アイテム 魔水晶(影)の破片:バリアブルゴーレム・マッドネスの第3ブースターの破片。様々な物に混入することで、その物の魔法攻撃力を高める特性を持つ。また、使用することで一時的に影属性を付与することもできる。
【特殊条件:鹵獲ボーナス】
素材・消耗アイテム ヒビ割れた制御核:バリアブルゴーレム・マッドネスの狂った制御核。優れた魔力伝導を持つため、優秀な杖の材料となる。また、使用することで生命力を代償に、魔法の威力を上昇させるアーツ<オーバーマジック>が使用可能になる。 最大耐久値:500
消耗アイテム 力の欠片:バリアブルゴーレム・マッドネスの力の欠片が結晶化したもの。使用することで、バリアブルゴーレム・マッドネスの力の一部をランダムで入手することができる。
強化素材は、第2クエスト同様、レベルが20以上の敵でも、鍛錬石が3つ出ていた。
うーん、それにしても、何か説明文がおかしい気がする。
特に、鋳潰し、形成し直すことができれば、とか。
様々な物の材料になるだろう、とかの下り。
もしかして、先史文明の技術が高度過ぎて、鋳潰せない、とか?
いやいやいやいや、そんな使えないアイテムをドロップアイテムで出すとか、それじゃ本当の鬼畜に他ならない。
だから可能性としては…………今は使えないだけで、スキルのレベルが上がれば、使えるようになる。
とかが、妥当な線かな。
まぁ、それはそれとして、この鹵獲ボーナスのアイテムは、とんでもないな。
何てたって、アーツが付与されたアイテムなんて、初めて見たからな。
しかも、アイテムの名前を見るに、1点ものっぽいから、後々揉める事が無い様に、報告するなら早い方がいいだろうな。
そう思い、アイテム欄から顔を上げると、何故かアリル達4人は1つの所に集まって何かを話している。
ん? 休憩の終わりか?
いやでも、制御球から光の帯は出てないみたいだし、まだリドルが解けてないのか?
何にしても全員集まっているなら丁度良い。
最初はパーティチャットで集まってもらおうかと思ったけど、その手間が省けたな。
そうして、俺はアイテム欄から、件のアイテムを素早く実体化させる。
実体化したヒビ割れた制御核は、拳大の大きさで、見る方向によって色が変わるプリズム色をした、1面が正三角形の正二十面体をしており、その中心付近に僅かにヒビが入っていた。
恐らく、このヒビのせいで、狂うことになったのだろう。
俺は実体化したヒビ割れた制御核を確認した後、アリル達の方へと向かって行った。
歩くこと数十秒。
アリル達の表情が見えるようになると、何やら焦っているように見える。
何だろう? 何かあったのかな?
そう考えながら、俺は集まっている4人へと声を掛ける。
「ちょっと報告したいことがあるんだけど……どうしたんだ? 深刻そうな顔して」
「あ、お兄ちゃん! 良いところに」
「もう~、整理はいいんですか~?」
「ああ、整理は終わったな。それ以外がまだ残ってるけど」
「あはははは。やっぱり聞いていた通り、やることが多いんですね。お疲れ様です」
「それで、リオンさん。報告したいこととは?」
「ああ、ドロップアイテムの中にこのアイテムがあったから、分配のためにも相談が必要だと思ってな」
そう言いつつ、俺は実体化し手に持っていた、ヒビ割れた制御核を見せる。
「これは……プリズム色の正二十面体、ですか?」
「きれいですね~」
「だねー」
「確かにきれいだけど……コレがどうしたの?」
「まぁ、百聞は一見に如かずってことで、各自で鑑定してみてくれよ」
そう言いながら、とりあえず代表として、リーゼリアに手渡す。
「わ、分かりました」
「お兄ちゃんが態々そう言うってことは、すごい物なのかな?」
「だろうねー」
「この2日で~、やらかすことには定評が付いたリオンさんですし~、十分有り得るでしょうね~」
って、ちょっと待て! 俺ってそんな評価なのか?
特にやらかしていることなんて…………うん、まぁ、人それぞれだよね。
そうやって、心の中で自問自答して、幾つか心当たりが無いでも無いことに気付く。
だが、顔に出すと何か負けた気がするので、素知らぬ風を装い、アリル達が次々と鑑定し、その顔が一様に驚きに染まっていくのを眺める。
「おぉーー! これ良いね!」
「ですね~♪」
「アーツが付与された、アイテムですか」
「これは確かに、別の意味で問題ですね」
「ん? 別の意味? ということは、やっぱり何かあったのか?」
「えっと、リドルの答えが出たんですけど、その数字が5だったんです」
「あー、つまり……1属性足りない、っと」
「はい。それでなんですが、念のためリオンさんの魔法を打ち込んでもらえないかと」
「でも、属性魔法じゃないと魔力変換できないんだろ? 普通、属性魔法の括りに無属性魔法が入るとは思えないんだが……。まぁ、やるだけやってみるか」
そう言い、空間の制御球をリーゼリアから受け取る。
「ありがとうございます。それでは、またシエルちゃんに手伝いをお願いしないとですね」
「いや、俺だけだったら、その必要は無いよ」
「そうなんですか?」
「ああ、接触状態でも魔法は打ち込める、し…………ん?」
俺はリーゼリアの質問に答えながら魔法を使おうとして、妙な違和感があることに気が付く。
「どうしたんですか? リオンさん」
「なぁ、俺達の場合はシエルの念動があるから、安全に魔法を撃ち込めるけど、もしも他のプレイヤーだった場合は、どうだと思う?」
「それは~、やっぱり~、何処かに置いて撃ち込むしかないのでは~?」
「…………いえ、そもそも魔法を撃ち込むことについて攻撃魔法である必要は無い。つまりは、そういうことですね」
「あぁ、なるほど! 確かに魔法を撃ち込むことで、とはあったけど、攻撃しろとは無かったね」
「だな。ってことは、回復魔法でも、補助魔法でも対象を選択して放つことができるタイプの魔法なら、変換・吸収されるんじゃないか。もっとも、対応する属性魔法であることが、条件だとは思うけどな」
って、そういえば、属性魔法ってアレもそうだったよな。
「そっかー。そうだよね。当たり前になってたけど、シエルちゃんのスキルはGPで取得も、スキル屋で習得もできるものじゃないもんね。安全に魔力を回復させる手段位は用意されてるのが普通だよね」
「あぁ、それと。つい今し方思いだしたんだけど、汎用魔法の魔法も、属性魔法、だよな?」
「えっ?」
「はい?」
「あっ!」
「あぁぁぁあああああああああっ!! そうだよ! 汎用魔法! それがあったじゃない!」
「…………確認できました。確かに、汎用魔法にある魔法は、属性魔法で間違い無いようです」
「って、ことは……悩み解決?」
「ですね~。後必要な属性は~、火か地でしたから~。これで基本6属性が揃ったことになりますし~」
「はぁ~。あぁ、もぅ! 何でこんな簡単な事に気付かなかったんだろう。今何を習得するために、クエストをやってるか考えれば、すぐに分かることだったのに~~~!!」
「ですがこれで、余計な出費を気にしなくてよくなりましたね」
「だね! 一時は皆でカンパでもして、スキル屋に買いに行くかまで考えてたもんね」
「後は~、このヒビ割れた制御核をどうするかですね~」
「そのことだけど、俺は遠慮して置くよ。魔法の威力を上げるアーツが既にあるし」
「私も魔法は使えませんから、辞退しますね」
「あ、ボクもー」
「っということは、後は私かユンファちゃんだね」
「そうなりますね~」
「まぁ、時間はそれなりにありますから、存分に相談をして下さい。その間に、私達で制御球に魔法をあるていど撃ち込んで置きますので」
リーゼリアがそう言うと、少し慌てたようにアリルが待ったを掛ける。
「って、ちょぉーーーっと待ったー! リアちゃん、その魔法の撃ち込みは、私とユンファちゃんでやるよ! さっきお兄ちゃんと交渉できたことを試したいからね」
「ですです~!」
「そう、ですか。ナギもリオンさんも、それでよろしいですか?」
「うん、問題無いよ」
「こっちも大丈夫だ」
「分かりました。それでは、お願いしますね」
その後、どちらがヒビ割れた制御核を受け取るか相談するアリルとユンファをその場に残し、俺・リーゼリア・ナギは、それぞれが休憩していた場所へと戻って行った。
さてと、かなり後になったが、これでようやく力の欠片を使うことができるな。
アリルとユンファから聞いた話の通りなら、情報の対価にもらった、アリルの赤い色の力の欠片には、STR上昇系か物理攻撃系スキルが、ユンファの青い色の力の欠片には、VIT・MID上昇系か防御系スキルが、それぞれ習得できることになる。
そういえば、俺のところに来た力の欠片は何色なんだろうな?
まぁ、それも実体化して見れば分かることか。
そうして、俺はメニューを開いた後、アイテム一覧の画面を開き、次々に力の欠片を実体化していく。
ふむ、黄色か。
ということは、エンハンススキルが習得できるのか。
エンハンススキルは常時効果を発揮し、ステータスを上昇させてくれるから重宝するんだよな。
前回は……頑健っていう、HPとVITを上昇させるものだったけど、今回はどのステータスを上げてくれるのだろうか? 楽しみだ。
その後、俺は3色の力の欠片を次々にタップしていき、『バリアブルゴーレム・マッドネスの力の欠片を使用しますか? Yes/No 』というウィンドウを出現させていく。
そして、実体化させていった色の順にYesを押していく。
すると、Yesを押した瞬間、力の欠片は黄・青・赤と各種の色の光に変わり、俺の胸の辺りに入っていき、お馴染みの音が鳴り、インフォメーションが流れる。
『ピロン! これまでの行動により、固有スキル〔強靭〕、固有スキル〔拒絶〕、固有スキル〔自爆〕を取得しました』
…………ん? あれ? 今自爆とか聞こえたんだけど。
気のせい……? じゃないな、過去ログにしっかりと載ってるし。
どういうことだ? いや、今の状況は分かってはいる。
だけど、自爆ってスキルは最後に取得したことから、アリルからもらった赤い色の力の欠片で取得したんだよな。
自爆って物理攻撃系だったのか?
先の戦闘終盤でのことを思い出すと、魔力を逆流させての大爆発ってイメージから、魔法系かと思ったんだけど……。
あーでも、スパイラルシェイバーもあんな見た目で物理攻撃扱いだった例もあるし、そういうことがあってもおかしくは無い、のか?
まぁいいか。
とりあえず、新しく取得した固有スキルを有効化して、説明を順番に読み込んでいくとしよう。
〔ES〕エンハンススキル:〔強靭Lv0〕
10+(SLv)分VITとDEXにプラス補正。 MAXSLv100
うん、この辺りは安心して読める説明だな。
今度上がるのは、VITとDEXか。
VITはやっぱり、バーサークで一時的に半減するから、上がってくれるのは嬉しい限りだな。
DEXの方は元々、全ステータス値の中で1番高かったけど、生産活動時に失敗し辛くなるし、戦闘中の攻撃も外し難くなるから、いくら高くても困ることはない。
もしかしなくても、コレは当たりスキルなんじゃないだろうか?
それじゃ、少し名前的に不安だが、次を見てみるとしよう。
〔AS〕アクティブスキル:〔拒絶Lv0〕
アーツ<リフューザルバリア>が使用可能になる。 MAXSLv100
□ リフューザルバリア:一定時間、一定量のダメージを無効化する障壁を展開する。
SLv上昇と共に、展開する障壁の範囲が広がり、SLvが5の倍数になるたびに、消費MP量が1%減少する。
持続時間は、INT・MID・LUKの値に依存し、無効化できる最大ダメージ量は、INT・MID・DEX・LUKの値に依存する。
但し、障壁展開中は移動することができず、障壁が拒絶できるダメージ量を上回った場合、障壁は砕け散る。
また、この障壁は任意のタイミングで解除することが可能。
消費MP:最大MPの30% リキャストタイム:60分
ふむ、障壁展開中は移動ができなくなるというマイナス要素と、スキルレベルが低い内はMP消費量が大きいというのがあるが、中々使えそうなアーツだな。
逆に考えれば、避け切れない攻撃に対して、備えができるということになる。
っというか、コレって先の戦闘で俺が放ったスパイラルシェイバーを、不完全ながら防いだやつじゃないか?
あの時確か、バリアブルゴーレム・マッドネスの巨体を覆い隠せる程の大きさの障壁を展開していたから、少なくともあそこまでは大きくなる、ということだろう。
リキャストタイムは1時間だから、1日の睡眠時間が6時間で、その他の食事等の雑事を2時間で済ませたとして……残りが16時間。
少しの誤差を見ても15時間はあるだろうから、1日に15回は使える計算になるな。
最初がどの程度の大きさの障壁かにも寄るが、何かあった時の保険にするには十分な可能性があるから、なるべく使える時には使って、レベルを上げておくことにしよう。
なんなら、またシエルやネロに協力してもらってもいいしな。
さて……。
もう、スキルの名前からして、どんな効果かある程度予想は付くが、詳しく内容を見ておかないと、ソレはソレで何か恐ろしいものがあるので、覚悟を決め、見てみるとしよう。
願わくば…………死にスキルだなんて事がありませんように。
〔AS〕アクティブスキル:〔自爆Lv0〕
アーツ<バーストブレイク>が使用可能になる。 MAXSLv100
□ バーストブレイク:自身の全魔力を暴走状態にさせ、生命力の大半を起爆剤に、大爆発を引き起こし、周囲の敵を掃討する。
SLv上昇と共に、爆発の規模が拡大し、爆発の威力は、残存HP・MPの総量とINT・MID・DEX・LUKの値に依存する。
但し、バーストブレイク使用時、残存HPが10以上であった場合、効果終了後に残存HPの90%を失い、また残存HPが9以下であった場合は、死亡する。
消費MP:全て リキャストタイム:3日
こいつはまた…………使い難い。
まず、1度使うとMPが枯渇するので、確実に衰弱状態になり、例えHPが最大値まで残っていたとしても、使用後に残りが1割にまで減少する。
それに、使用時の残存HPが9以下の場合、死亡するとか……。
自分の死と引き換えに、相手諸共爆死する、神風特攻かよ!
まぁ、今ではMP回復液もあるし、自然回復で回復しなきゃいけないという縛りは無いから、アイテムで回復すればいいのかもしれないけど。
もしも、周囲の敵に生き残りがいて、その回復の隙を突かれたら、終わる未来しか見えてこないなぁ。
そもそも、このゲームではフレンドリーファイアが普通に有効だから、使用時には巻き込まないようにしなければならないし。
その事を踏まえて、1度は使って見て、実際の爆発の規模を把握して置く必要があるな。
だけど、使えば必ず死ぬ訳ではなさそうだし、使い方次第では、最高の一手になる可能性を秘めている。
結論! 総じて使い辛くはあるが、条件さえ揃っていれば、最大の武器になる……はず。
それで試すとしたら、何処にすべきか……。
通常フィールドであっても、夢現フィールドであろうとも、少なからずプレイヤーはいるからなぁ。
んー……他のプレイヤーが絶対にいなくて……標的がいて……周囲の被害を気にしなくて良い場所、か……。
…………うん、あそこしか無いな。
どちらにせよ、あそこに行ってアイテムを取ってこなければいけないし、その時に試すとしよう。
そう今後のことを考えていると、離れた場所にいるアリルとユンファから、歓声が上がる。
クエスト詳細を見てみれば、蓄積魔力が0から448へと増加していた。
どうやら、俺が力の欠片を使って、説明を読み込んでいる間に、相談は終わっていたみたいだな。
そして、余程嬉しかったのか、一頻りはしゃぎ合い、その後パーティチャットで報告を受ける。
『お兄ちゃん、やったよ! 〔詠唱破棄〕習得できた!』
『がんばった甲斐がありました~!』
『お、そうか。おめでとう。よく、がんばったな』
『えへへ~。ありがとう!』
『ありがとうございます~♪』
『それで、アーツの方は?』
『そっちはまだ、だね』
『ですね~』
『それじゃ、1つ、アドヴァイスな』
『うん! 何々~?』
『何でしょうか~?』
『詠唱破棄の説明を読めば分かるけど、スキルレベルが5になるまでは、魔法が不発する可能性があるんだ』
『え? うそぉ?!』
『そうなんですか~?!』
『いや、本当。だから、少し面倒でもスキルレベルが5になるまで、今度は口を塞がずに、心の中でも一緒に詠唱を唱えると、魔法の発動率が片方だけは確実に100%になるぞ』
『う~ん、確かに戦闘中に発動しなかったりしたら、危ないし。仕方無いかなぁ』
『ですね~。詠唱破棄を習得すれば~、後は楽かと思っていたんですけど~、うまくいきませんね~』
『まぁ、そう落ち込むなよ。レベルが5になったら、詠唱はしなくてもよくなるからさ。それに、そうやってスキルレベルを上げていれば、自ずとダブルマジック系のアーツを習得すると思うから、やって損するってことは無いと思うぞ?』
『あぁ! そういえば、そのアーツって、そうやって習得するんだったね。……よーしっ! 何か元気出て来た! 引き続き、何とかがんばってみるよ! ありがとうね、お兄ちゃん!』
『アドヴァイス、ありがとうございます~。私も~、がんばってみますね~』
『ああ。応援してるよ』
そうしてパーティチャットでの会話は途切れ、少し離れたところに居る2人は、再び詠唱を開始し、空間の制御球に魔法を打ち込んでいく。
クエスト詳細の方を見てみれば、少しずつ蓄積魔力量が増加していき、後40と少しで満タンになるところだった。
それじゃ、俺もそろそろ支度をして置こう。
もう少しすれば、空間の制御球の魔力も回復し切るみたいだしな。
その後、鑑定したドロップアイテムを虚空庫に入れ直したり、習得・取得したスキルやアーツ、魔法等の有効化の確認をしていく。
その作業も終わり、少し待っていると、アリル達がいる方から、『リィィィィィン!』という涼やかな鈴の音を辺りに響かせる。
その音に釣られ、音の発生元を見てみると、シエルの念動によって、空中で固定された空間の制御球が淡い5色――赤色・青色・緑色・黄褐色・白色――の光を四方八方に放っていた。
そしてその発光が少しして止んだ次の瞬間、5色の色が入り混じった光の帯が、俺が座っていたすぐ後ろへと照射される。
おっと、ここにいるとまずいな。
そう瞬時に思い、すぐにその場から離れる。
カチンッ! バシュゥゥウ! ……ゥゥゥゥゥヴィィィィィイイイイイイイン!! ――――
照射された光の帯は、俺のすぐ後ろにあった天井に届かんばかりの巨大な扉の中心部にある、逆正三角に各辺の1/3辺りから別の辺の1/3辺りまで弧を描くように結ばれ、逆Yの字の怒筋に見える紋様に当たると、巨大な扉全体に回路状の光が一瞬走り、次いで何かが外れる音と蒸気を噴出させたような音を響かせる。
その数瞬後、重い重低音が響き始め、まるでタービンでも高回転させているような音が、次第に大きくなっていく。
だが、ある時を境にその音はだんだん小さくなり、ドーム全体を微かに振動させる音が残るだけとなる。
これで終わりか?
そういぶかしんでいると、今まで照射されていた、空間の制御球からの光が消え、その直後、新たな光の帯がドーム状の部屋の中心部の床に照射される。
ドンドンドン! ドンドンドン! ドンドンドン! バシュッ! ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!
新たに照射された光の帯が、この部屋の中心部にある床に当たると、連続した3つ打音が3つ続いていく。
その直後、短く空気を抜くような音を響かせると、部屋の中心部にあった床が2重丸状に割れ、その外周部分が更に3分割された後、周囲にある床の方へと、次第に収納されていく。
…………ゴガゴンッ!
音が鳴り止むと、そこにはドーナツ型の縦穴が口を開けていた。
シエルの念動で支えられた空間の制御球からは、2度目の照射から変わらず、5色の色が入り混じった光の帯を、新たな通路……というか、縦穴の先へと照射したままだった。
どうやら、今度はあの穴が先へと進む通路のようだな。
だけど、ここらじゃよく見えないし、とりあえず移動するか。
そうして、移動しようとすると、ふいにアリル達とネロから悲鳴が聞こえてくる。
「きゃぁぁぁあああああー?!」
「はわわわわわわ~?!」
「うわぁぁぁあああああ?!」
「ひゃっ?!?!?!」
「キューウーーー?!」
何事だ?! と思いながらも、アリル達の方を振り向くと、アリル達は皆一様に空中をゆっくりと飛び、ある者は前転し続け、ある者は錐揉み状態のまま空中を移動し、ある者は普段は行かないような高高度の空中へと舞い上がっていく。
ん? 何コレ? 白昼夢?
って、今は深夜だから、普通に夢の可能性も……?
そう思いつつも、いつものように歩き出すため、足を1歩踏み出す。
すると、次の瞬間、何故か俺は上空7~8m程の空中にいた。
は? 何だ、今の変な感覚?
ってか、着地?!
一瞬何があったのか分からなくなるが、すぐに気を持ち直し、着地のことを考える。
しかし、何時になっても……そう思える程に、床は近付いてこず、いつもの落下に比べ、遥かに遅い、ゆっくりとした落下が始まる。
そして何とか無事? に、着地を果たすと、すぐには動き出さず、今あったことを考える。
何気ない1歩で上空へと至り、落下が異様に遅い。
シエル以外の全員が空中をゆっくり移動し、空を飛べるはずのネロが、慌てたまま、一向に空を飛ぼうとしない。
そして…………。
『みんな、どうしちゃったの~? あたらしい、あそび~?』
シエルだけが普段通り行動している事実。
つまりコレは…………このドーム内では現在、普段掛かっているはずの重力が、何十分の1かに抑えられてることになる。
それは何故か?
答えは恐らく、このドームの中心部に開いた縦穴という、新たな通路を危険無く通るためのものだろう。
それなりに深い縦穴を登り降りしようとすれば、ある程度しっかりしたの知識や経験が無いと無理だろうからな。
とすれば、まずやることは…………全員を落ち着かせ、床上に下ろすこと、かな?
そう考え、まずシエルに念話で話掛け、事情を説明し、次に他のメンバーに今の状況の推論を聞かせ、順次助けに行った。
(/ω-\*) チラ、
本来、Locus 100で終わる予定だった第4章。
何故にこんなに長くなりやがりましたか?
こんちくせぅ。
次こそは……! (`・ω・´)キリッ




