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桃の果実を食べさせて  作者: 火垂
柘榴の実
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5

「昨日借りてた本、もう読み終わったんですか?」


「いや、明日から連休だから、借り足そうかと…」


でも、それは重くありませんか…と告げると、

あ…

と返された。


桜の腕にはすでに4冊ほどの単行本があり、さらに数冊の文庫本を追加しようとしていたところだった。



「…何かおすすめとか、ないですか」

耳が熱い。


「あの、先輩の好きなやつで全然よくて、

出来れば、薄いというかあんまり難しくないやつで…」


しどろもどろしていると、


桜は手に持っていた文庫本を一冊渡してくれた。


でもこれは先輩が読みたいやつなのでは…と疑問を浮かべたまま動くことが出来ないでいると、


「今読んでるあの本、面白い?

少し読みづらいんじゃない?」


私がずっと本を読み進められずにいたのに気づいていたらしい。


「これ、ずっと前から好きで、何度も読み返してるの。そんなに難しくないから、読みやすいと思うの。」


「あの本、好きな作家さんだから読んでみたのだけど、私は少し読みづらくて。で、読みづらそうにしてるから…余計なお世話だったらごめんなさい」



「あの、ありがとうございます!

わわ私らあんまり本読んだことなくて、これを気に本好きになりたいなーなんて思っちゃったりしてて…」


緊張と嬉しさでうまく気持ちも伝えられていないし、おそらく顔も真っ赤で、変に思われてるのではないだろうかと不安まで出てきて、いっぱいいっぱいだった。


司書さんに、雑談するなら外で、と注意を受けてしまい、


先輩が少し恥ずかしそうに、部室行こう。と声をかけてくれた。



その日はいつもよりたくさん、たくさん先輩のことが知れた。

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