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「じゃあじゃあ、先輩さんのお家を今日後ろからつけていって確認するとか!」
「ストーカーはいや…」
「お家の番号を聞くとか!」
「かける用が必要じゃない…」
この学園では基本的に携帯電話などを持ってる子は極端に少ないのである…
「んー、んー」
ひよりが考えあぐねている。
結局、いい案は思いつかなかったのだ。
いつも通り、図書館へ向かう。
好きな人は、すぐ目に入る。
本棚へ隠れて見えなくなってしまったが、先輩の後ろ姿が見えた。
これは偶然を装って話しかけるのではない。本当に偶然見かけたのだ。
ドキドキとうるさい胸の音を抑え、先輩のいる書架へと近づいていった。
見えるのは、大好きな、横顔。
本へ手を伸ばす細い腕。
制服の裾が上がり腰の位置がはっきりとわかるスカート。
その下から覗く、細い足。
見惚れてしまう。
「こんにちは、」
小さな声で話しかけた。
びくっと、反応があり慌ててこちらを見る。
片耳だけかけられた肩までの髪がシャンプーのコマーシャルみたいに曲線を描いた。
「あ、…びっくりした。こんにちは」




