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ひよりが、話す、小さな声で。震えた声ですこしずつ、話してくれた。
私がしらない、ひよりの話。
入学して、しばらく経って一番仲がいいと言える友達。それでも、今日聞くことは知らないことばかりだった。
少しは気を許してくれているから、こんなことを話してくれるのだろうか。
いつも明るく、天真爛漫だと思っていたひよりは、私なんかよりも全然複雑に出来ていて、繊細で、
そんな彼女が抑えきれないほどに今震えている。
話を聞いて、相槌をうって、背中をさすり落ち着かせてあげることしか出来ない。
私は何も。
何も出来ていない。
チャイムが鳴る。
もう下校時間になる。
20時、図書室の窓から見える景色ももう暗くなっていた。
その音に、ひよりも不安げに反応する。
「今日、私の家、来る?」
ここで話を中断してしまうのも良くない、
かつ事情を伺うかぎりひよりも帰りづらいのではないかと思い訪ねた。
「私のうち、いつも友達くらい連れて来なさいよ!あんたもうちょっとは人付き合いってものしたらどうなの!って言われるくらいだから平気だよたぶん。あ、私の部屋は少し散らかってるけど…」
「唯ちゃん家が大丈夫なら…」
話していたら、司書さんがきたので、唯は荷物を取りに部室へ戻った。
扉をあけるのは少々緊張したが、
部室には、もう先輩は居なかった。




