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桃の果実を食べさせて  作者: 火垂
柘榴の実
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最初は、なんだこの子は、と思っていた。


読書部に入る子は、大抵説明をしたら紙を置き、そそくさと帰っていった。

出した日だけ図書館や部室で読んでいき、見かけない子もたくさんいた。



去年、自分が入部したときも、同じように先輩が座って入部届けを受け取っていたが聞いたら普段は部室では読んでいないと言っていた。部室は、たまに来て勉強に使ったり一人になりたいときに来たり、そんな使い方だと。



私は、入部して毎日部室で本を読んだ。

普段は誰も居ないと聞いたから。図書館も好きだけど一人きりになれる場所があるのならそっちがいいなと思ったのだ。


たまに先輩がやってきて、私は読書をやめ出て行ったり、ただ先輩の話を聞き流したり、そんなものだった。




冬になると先輩は受験で度々訪れるようになった。

なので私は冬の間は図書館のソファで本を読んでいた。

そして卒業する先輩を見送り、私が部長になった。

私の部室になった。



一年間、ゆっくり本を、一人で読むのだろうと思っていた。



そこに、唯ちゃんが来た。毎日。

手には毎日全然進まない本を持って。


同じ作家が好きなのかと思ったが、そわそわとこちらを伺いながらでも必死にゆっくりと本を読み進めていた。本は全然読まないと聞いた。


新入生には気を使うべきなのか、ずっとちらちらとこちらを見ながら、でも話しかけては来ない後輩にどうしたらいいか戸惑った。


GW前にあちらから話しかけて来たので、

本棚から手に取った、何度も読み返している本を丁度良いと思い手渡した。

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