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桃の果実を食べさせて  作者: 火垂
柘榴の実
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この学校の図書館は、広い。


校舎の端にある一棟。

中途半端な大きさの私立図書館よりも大きいし、

古い文芸書も、専門書も美術書も、大抵揃っている。小難しい専門書や美術書は大抵卒業生が未来の後輩の為にと寄贈していくのだそうだ。マンモス校と言うほどではないがそれなりに大きなこの学校は著名人を多く輩出し、人気も高い。

文武平等と唄う運動部もいるし、個人のやりたいことの時間を作りたい人は読書部に籍を置くか自分で部活動を作ってしまう。


やる気に満ちた生徒が多いのだ。





私は、ただ、淡々と本を読むだけ。


図書館に魅かれ、偏差値の高いこの高校へ入学した。

授業は選択科目も多く沢山の興味を惹かれるものもある。


やる気に満ち溢れたキラキラ輝く生徒達と並んで、

取り残されているような、

停滞し置いてけぼりにされているような、


でも、誰も読書の邪魔をしてこない。

みな個人のしたい事の時間は邪魔をしない。

お昼ご飯を一緒に食べる友達くらいはいる。

空き時間を自分のしたい事に費やす生徒がほとんどなので友達作りには躍起にならなくていいので、助かる。


にこにこしながら、わざわざ、一緒に読みましょう!なんて言う子は、唯ちゃんくらいなのだ。


本棚の列を通り過ぎ、読み終えた本を戻すために目的の棚まであるく。

海外文学は、建物の奥の方。

奥と言っても、棚は沢山あるので、美術書なども奥の方である。



目的の棚まで辿り着き、本を戻していると、棚の隙間から人が見えた。


元々目的の本を手にしたらすぐに出ていく人が多いためあまり人がいることはない。

人影に気が付いたのは、

しゃがんで、下段に本を戻していたら、

足が見えたから。2人分。


抱きしめ合っているようだった。



たまに居る。同性しか居ない学校でもたまに、居る。

あまり見ないようにしようと立ち上がり戻ろうとした。一瞬だけみえた横顔が、私のよく知っている子だった。


小さい子に、シャツがくしゃくしゃになるほどぎゅっと抱きつかれて、その子の頭を優しく、ずっと撫でていた。


ドキッとしたのと同時に何かわからない気持ちが多く、慌ててその場から立ち去った。

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