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部室を出て、図書室。
扉一枚の壁。
びく、と震えたさくらの姿が、あたまの中を占める。
つい、触れてしまったその後の先輩の素っ気ないような態度。
パーソナリースペースを超えてしまっただろうか、やりすぎてしまっただろうか。
ドキっとしてしまった。
また、耳まで赤い。
先輩は顔が真っ赤だった。
あまり、避けられないように気をつけなければいけないな…と心にとめた。
本を探さないとな…
本を取りに行くために、部室を、出たのだ。
落ち着くためにも、本棚へ目を向けようと、歩き始めた。
静かとは言えど、それなりに人もいる。この学園は大きいから蔵書量もそれなりにある。
部室は二人きりだからとても静かだけれど、外に出るとそれなりに人の気配を感じる。
ぱたぱたと走る音がした。
図書室を走るなんて事はあまりないので目立つ。
足音が近づいてきて、音のする方へ目を向けると、
不安そうな顔の、ひよりがいた。
今にも泣きそうな不安で不安でどうしようもない、顔。
「ゆ、い…ちゃん!」
唯を見つけると、ぎゅっと抱き着いた。
部室には、戻れなかった。




