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桃の果実を食べさせて  作者: 火垂
柘榴の実
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10

「先輩」



前にいる先輩が、振り向く。



「相沢さん」


愛想笑いに程度に、にこ、と微笑む。


少し内気そうな態度が、可愛い。



先輩に追いつくためにぱたぱたと小走りで廊下を進み、

並んで二人で部室まで歩いた。



「本、最後まで読み終わらなかったけど、読みやすいです!ありがとうございます」

にこ、と先輩が笑い返してくれた。



椅子に座りむずむずと本を読んでいると、桜の姿勢の良さが目につく。


「はぁー」

ぐで、と脱力した後、立ち上がり桜の横まで行き、床に座りこんだ。


桜が驚き、唯の動きを見ていた。


「先輩は本当に姿勢よく座りますね、私、机に向かうってあまり好きじゃなくて、

床に座ったり転がりながら読んだ方が落ち着きます」


むぅーとしながら先輩の隣に座り込む。


「私も家だとそんな感じよ。でも、ここには椅子もあるし、埃っぽいから。お尻も痛くなっちゃうしね」


相沢さんは意外と意思表示をしっかりする子なのね、とくすくす笑った。


椅子に座る桜の隣に、床に座った唯。

唯の髪を控えめにぽん、と撫でると、

椅子から立ち上がり、部室に置かれている棚の扉をあけ、少し汚れた座布団を出してきた。


「私もね、たまに床に座るの。一年生の時にね、家から持ってきて…埃で少し汚れてしまっているけれど…よかったら使って」


きっと妹がいるってこんな感じなのね





先輩が、優しい。

前回から続き少し近づけて居るんだろうな、と嬉しくなった。


「わ、本当だ、掃除してても、やっぱり埃ぽいですね」


埃で白くなったスカートをはたく。



座布団を受け取る。



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